株式会社COTSUBU
kintone

kintoneとは?中小企業のための入門ガイド

宇田川 将也|12分
kintone入門中小企業ノーコード業務アプリ

kintone(キントーン)は、サイボウズ株式会社が提供するクラウド型の業務アプリ作成プラットフォームです。プログラミングなしで、自社の業務に合わせた入力画面・一覧・承認フローを作れます。

ただし、kintoneは「業務システム」ではなく「業務システムを作るための箱」です。会計ソフトや販売管理ソフトのように、買った時点で業務が入っているわけではありません。ここを取り違えたまま契約すると、空のアプリを前にして止まります。

この記事では、kintoneに何が入っていて何が入っていないか、最初の1アプリに何を選ぶか、どこで失敗するかを、判断できる形で並べます。

「入っているもの」と「入っていないもの」

先に、契約した時点で使えるものと、自分で用意しなければならないものを分けます。

入っている 入っていない(自分で作る・足す)
データの置き場所 アプリ(表)を好きなだけ作れる 業務ごとのアプリの形(項目の設計)
入力画面 30種類ほどのフィールドを並べるだけ 入力ミスを防ぐ細かいチェック
一覧・検索 条件を保存した一覧、絞り込み 条件に合う行に色を付ける機能
集計 棒・折れ線・円・面・集計表のグラフ アプリをまたいだ集計、ダッシュボード
承認フロー プロセス管理(ステータスと作業者) 承認段階ごとの入力必須・編集禁止
権限 アプリ・レコード・フィールド単位 ―
通知 条件通知、リマインダー通知 ―
モバイル ブラウザ・専用アプリに標準対応 ―
連携 REST API、Webhook(スタンダード以上) 会計・販売管理ソフトとの実際のつなぎ込み
帳票 ― 見積書・請求書のPDF出力(プラグインか外部サービス)

右の列が、導入でつまずく場所そのものです。とくに「帳票」と「入力チェック」は、標準にないと知らずに契約する方が多いところです。帳票は無料では難しいですが、入力チェックや色分けは無料プラグインで埋められます。

kintoneでできること

1. 業務アプリの作成

顧客管理、案件管理、日報、在庫管理、問い合わせ管理、点検記録、設備台帳など、「Excelの表で管理しているもの」はほぼアプリにできます。1アプリ=1つの表で、1レコード=1行にあたります。

2. データの一元管理

誰がいつ更新したかが自動で記録され、レコードごとに変更履歴を追えます。添付ファイルもレコードに紐づくので、「見積のExcelがどのフォルダにあるか」を探す時間が消えます。

3. プロセス管理(承認フロー)

申請→承認→完了の流れを、ステータスと作業者で回せます。金額による分岐や、複数人の承認も設定できます。詳しくはkintoneプロセス管理で承認フローを自動化するにまとめています。

4. アプリ同士のつなぎ込み

顧客マスタから値をコピーするルックアップと、関連するレコードを一覧で並べる関連レコード一覧の2つで、アプリをつなぎます(→kintoneルックアップ機能の使い方)。

5. コミュニケーション

レコードごとにコメントを付けられます。メールのように「どの件の話か」を書き出す必要がありません。

kintoneの料金

コース 月額(1ユーザー) 主な違い
ライトコース 1,000円 アプリ作成・プロセス管理・グラフまで
スタンダードコース 1,800円 + プラグイン、REST API、Webhook、ゲストスペース
ワイドコース 3,000円〜 + 大規模利用向けの管理機能

いずれも税抜・最低10ユーザーからです。スタンダードコースなら月18,000円からになります。

どのコースを選ぶか

迷ったらスタンダードコースです。 プラグインとAPIが使えないと、標準機能で足りない部分を埋める手段がなくなります。COTSUBUの無料プラグインも、スタンダードコース以上が前提です。

ライトコースで足りるのは、入力チェックも色分けも外部連携も要らず、「表として溜めて、一覧で見るだけ」の使い方に限られます。あとからライトからスタンダードへは変更できますが、最初からプラグイン前提で設計したほうが作り直しが減ります。コースの違いはkintoneのライセンスとプランの選び方に詳しく書きました。

Excelとの違い

項目 Excel kintone
同時編集 ファイルがロックされる 同時に入力できる
履歴 上書きされる 誰がいつ何を変えたかが残る
権限 ファイル単位 アプリ・レコード・項目単位
入力の制限 入力規則である程度 選択肢・必須・プラグインでのチェック
検索 ファイルを開いてから 全アプリを横断して検索
集計 ピボットテーブルが強力 グラフ機能(Excelほど自由ではない)
自動化 マクロ・VBA ノーコード+JavaScript
モバイル 実質使えない 標準対応

集計の自由度だけはExcelが上です。 kintoneに溜めてCSVで出し、Excelで分析する使い分けが現実的です。切り替えの判断基準はkintone vs Excel|いつ切り替えるべきかにまとめています。

向いている業務・向いていない業務

向いている 理由
複数人が同じ表を入れ替わりで触る業務 同時編集と履歴が効く
申請・承認がある業務 プロセス管理で滞留が見える
現場から入力したい業務(日報・点検・内見) モバイル対応
マスタを参照して記録を作る業務(受注・発注・請求) ルックアップが効く
期限を追う業務(契約更新・是正・納期) 一覧と通知で漏れを防げる
向いていない 代わりに検討するもの
会計・給与計算 専用の会計ソフト・給与ソフト
在庫の引き当てや所要量計算(MRP) 生産管理システム
不特定多数が使う一般公開のWebサービス Webアプリとして作る
1秒間に何件もレコードが増える処理 データベースを直接使う構成
1人だけが使う、その場限りの集計 Excelのまま

「会計はkintone、在庫もkintone、給与もkintone」は失敗します。 kintoneが得意なのは、パッケージソフトに合わない、その会社だけの業務です。

最初の1アプリの選び方

全社展開から始めると止まります。次の3つを満たす業務を1つだけ選んでください。

  1. 毎日か毎週、決まった人が触っている(月1回の業務は定着しない)
  2. 今はExcelか紙で、転記が1回以上ある(転記がゼロなら効果が見えない)
  3. 1つの部署で完結する(部署をまたぐと合意に時間がかかる)

この3つに当てはまりやすいのは、案件管理・問い合わせ管理・日報・備品管理・点検記録あたりです。逆に、最初に選んではいけないのは「基幹システムの置き換え」と「全社の勤怠」です。

導入が失敗する原因

原因 起きること 避け方
要件を全部決めてから作ろうとする 設計書だけで数ヶ月が過ぎる 1週間で動くものを見せて直す
Excelの列をそのまま項目にする 使われない項目が50個並ぶ 今の業務で実際に埋まっている列だけ移す
例外を全部アプリに入れる 分岐だらけで誰も使えない 例外は備考欄と運用で吸収する
現場に相談せず情シスだけで作る 使われずExcelに戻る 作った翌週に現場に触ってもらう
入力チェックを入れない 表記ゆれで集計できない 選択肢にする、プラグインで止める
最初から外部システムと連携する 連携の調整で構築が止まる まずCSVの受け渡しで運用を固める

くわしくはkintone導入で失敗する会社の共通点にまとめています。

標準機能で足りないところを、無料で埋める

COTSUBUは、中小企業と自治体でよく必要になる23本のプラグインを無料・会員登録不要で公開しています。すべてkintoneの公式APIだけで動き、外部と通信しないので、閉じたネットワークやLGWAN環境でも使えます。

やりたいこと プラグイン
見積番号・契約番号を自動で振りたい 自動採番
期限切れ・遅延の行に色を付けたい 条件書式
期限までの残日数を出したい 期限・残日数
「法人なら法人番号を必須」にしたい 条件付き必須
承認済みの金額を編集できなくしたい 条件付き入力禁止
条件に合うときだけ項目を出したい 項目の表示切替
会社名+電話番号の重複を止めたい 重複チェック Pro
会議室や担当者のダブルブッキングを防ぎたい 期間重複チェック
メール・電話番号の形式違いを止めたい 入力形式チェック
金額が0以上、開始<終了を確かめたい 範囲チェック
和暦・曜日・営業日を自動で入れたい 日付計算
明細テーブルに行番号を振りたい テーブル行番号
全角半角・空白の表記ゆれをそろえたい 入力値の整形
入力漏れを画面の上にまとめて出したい 入力漏れサマリー
一覧で絞った行をまとめて書き換えたい 一覧からの一括更新

一覧はkintone無料プラグイン一覧にあります。プラグインの入れ方とライセンスはkintoneプラグインの選び方と入れ方をご覧ください。

実際の画面で見る

「ノーコードで作れる」と言われてもイメージが湧きにくいので、業種ごとに動くアプリの画面を公開しています。データはすべて架空です。

  • 不動産会社のkintone — 物件台帳・反響・内見予約・契約・賃貸管理・原状回復の6アプリ
  • 建設会社のkintone — 案件台帳・見積・発注と原価・工程・作業日報・安全の6アプリ
  • 製造業のkintone — 品目マスタ・受注・製造指示・工程実績・在庫入出庫・不良と是正の6アプリ

始め方

  1. 30日間の無料お試しに申し込む(クレジットカード不要)。サイボウズのサイトから申し込めます
  2. 上で選んだ1業務を、1アプリだけ作る。項目は今のExcelで実際に埋まっている列だけにする
  3. 実データを10件だけ入れて、現場に触ってもらう。全件の移行は後で構いません
  4. 1週間使ってもらい、出た不満を直す
  5. 続けられそうなら、残りのデータをCSVで取り込む(→11章 Excelからの移行)

2の「今のExcelで実際に埋まっている列だけ」が肝です。「いつか使うかもしれない項目」を入れると、入力画面が長くなって現場が離れます。

費用と進め方

COTSUBUでは、初回30分で業務を聞き、その場で画面の形をお見せします。そこから1〜4週目で構築し、現場の声で直します。ここまでが0円です(1業務1アプリまで、最大1か月)。1ヶ月後に使うか決めていただき、使うと決めた場合だけ月額5万円から(最低12ヶ月)で改善と追加を続けます。

kintoneのライセンス料(スタンダードコース 1ユーザー月1,800円・税抜/最小10ユーザー)は別途、サイボウズ社とのご契約です。使い続けるといくらかかるかは2章 費用の全体像にまとめています。

現場での実例

COTSUBUは島根県海士町の役場で、kintoneによる電子決裁、入札関連情報の一元管理、定期健診管理を構築しました。健康福祉課では、電話受付のメモとExcelの名簿を突き合わせる作業が毎日発生していたものを1つのアプリに統合し、料金判定の自動化と案内の一括出力までを1本にしています。詳細は海士町の事例にあります。

まとめ

  • kintoneは「業務システム」ではなく「業務システムを作る箱」。買った時点で業務は入っていない
  • 帳票出力と細かい入力チェックは標準にない。入力チェックは無料プラグインで埋められる
  • 迷ったらスタンダードコース。ライトではプラグインもAPIも使えない
  • 会計・給与・MRPは専用ソフトに任せる。kintoneが効くのはパッケージに合わない業務
  • 最初の1アプリは「毎週触る・転記がある・1部署で完結する」業務から選ぶ
  • 失敗の原因はkintoneではなく進め方。要件を固めきる前に動くものを出す

→ kintone導入支援の詳細 → kintone無料プラグイン一覧 → kintone vs Excel|いつ切り替えるべきか → 2章 費用の全体像 → AIでkintoneアプリを爆速構築する方法

よくある質問

kintoneとはどんなサービスですか

サイボウズ株式会社が提供するクラウド型の業務アプリ作成プラットフォームです。プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップで顧客管理や案件管理、日報などの業務アプリを作れます。一言で言えば、自社専用の業務システムをノーコードで作れるサービスです。

kintoneは月額いくらですか

スタンダードコースが1ユーザー月1,800円(税抜)、ライトコースが1,000円、ワイドコースが3,000円からです。最低10ユーザーからの契約なので、スタンダードコースなら月18,000円からになります。API連携やプラグインを使うにはスタンダードコース以上が必要です。

Excel管理からkintoneに変えると何が変わりますか

同時編集ができ、データ量が増えても重くなりません。アクセス権限を細かく設定でき、検索性が高く、スマートフォンにも標準対応します。Excelではマクロが必要だった自動化も、ノーコードで組めます。

kintoneが向いていないのはどんなケースですか

高度な計算処理が必要な業務はERPの方が適切です。外部に公開するWebサービスを作りたい場合や、大量のトランザクション処理が必要な場合も向きません。逆に、従業員5〜100名程度でExcel管理に限界を感じている企業には合いやすいです。

いきなり契約しないとkintoneは試せませんか

30日間の無料トライアルがあるので、まず試してから判断できます。COTSUBUでは構築を1業務1アプリまで最大1か月0円で提供しており、使うと決めていただいた段階で月額5万円から、最低契約12ヶ月となります。kintone本体のライセンス料は別途サイボウズへのお支払いです。

宇田川 将也/ 代表取締役

2024年に総務省の地域活性化起業人として島根県海士町に着任。役場に住み込んで業務改善に従事し、kintoneで電子決裁や定期健診管理を構築しました。

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