株式会社COTSUBU

CHAPTER 01

kintoneとは何か(何に向いて、何に向かないか)

この章で分かること

  • 契約した時点で手に入るものと、自分で作らなければならないものの境目
  • 向く業務・向かない業務を、印象ではなく5つの問いで切り分ける順番
  • 自社に向くかを判定する10項目の点検リストと、その合格ライン
この章の目次(5)
  1. 1箱であることの意味
  2. 2判断は、この5つを上から通す
  3. 3失格条件
  4. 4よくある誤解を3つだけ
  5. 5この章の出口

kintoneは業務システムではなく、業務システムを作るための空の箱です。 だから「kintoneがよいか悪いか」を考えても答えは出ません。答えが出るのは「自社のどの業務が、その箱に入る形をしているか」を見たときだけです。 この章は、契約する前に5つの問いを上から順に通し、最後に10項目の点検リストで向き・不向きを決め切るための章です。

この章で分かること

  • 契約した時点で手に入るものと、自分で作らなければならないものの境目
  • 向く業務・向かない業務を、印象ではなく5つの問いで切り分ける順番
  • 自社に向くかを判定する10項目の点検リストと、その合格ライン

箱であることの意味

会計ソフトを買えば、仕訳の仕組みが最初から入っています。販売管理ソフトを買えば、受注から請求までの流れが入っています。kintoneを契約しても、業務は1つも入っていません。入っているのは、表を作る機能、入力画面を並べる機能、承認の流れを持たせる機能、権限を細かく分ける機能、スマホで開ける機能です。

これは弱点ではなく、選ぶ理由そのものです。パッケージソフトが合うのは、世の中の多くの会社と同じやり方をしている業務です。逆に、自社だけのやり方になっている業務は、どのパッケージにも合いません。そこを埋めるための箱がkintoneです。

したがって判断の出発点は、「うちにDXが必要か」ではありません。「自社だけのやり方になっていて、しかも回数が多い業務がどれか」です。ここを決めずに契約すると、空のアプリを前にして止まります。

kintoneに何が入っていて何が入っていないかの一覧は、kintoneとは?中小企業のための入門ガイドに表でまとめてあります。この章では、その一覧を前提に判断の順番だけを扱います。

判断は、この5つを上から通す

途中で「いいえ」が出たら、そこで止めます。下の問いに進んでも答えは変わりません。

問い1 その業務は「同じ形の記録」が繰り返し発生するか

kintoneが扱えるのは、1件ずつ積み上がっていく記録です。受注、日報、点検、問い合わせ、契約、入出庫。1件ごとに書く項目がだいたい同じであれば、箱に入ります。

逆に、毎回まったく違う資料を作る仕事、文章そのものが成果物である仕事は入りません。記録が発生せず、ファイルが増えるだけの業務なら、共有フォルダのほうが適しています。

問い2 その記録を、複数の人が入れ替わりで触るか

1人しか触らない表は、Excelのままのほうが速いです。kintoneの価値は、同時に入力できること、誰がいつ何を変えたかが残ること、人によって見える範囲を変えられることにあります。触る人が3人以上いて、かつ「最新はどれか」で迷ったことがあるなら、ここは通ります。

問い3 その業務のやり方は、これからも変わり続けるか

やり方が固まっていて、今後も変わらないのであれば、その業務に合うパッケージソフトを探したほうが安く済みます。kintoneを選ぶ理由は、作ったあとに自分たちで直せることです。裏を返せば、直す必要がない業務にkintoneを使うのは、費用の払い損になります。

「やってみないと正解が分からない」「毎年ルールが変わる」「部署ごとに少しずつ違う」——こうした業務ほど向いています。

問い4 kintoneが構造的に苦手な領域に入っていないか

次の4つは、作り込んでも報われません。

苦手な領域 理由 代わりに見るもの
会計・給与の計算そのもの 法令に従った計算と帳票が必要 会計ソフト・給与ソフト
在庫の引き当て・所要量計算(MRP) 計算エンジンを持っていない 生産管理システム
不特定多数が使う一般公開のサービス ユーザー単位の契約が前提 Webアプリとして作る
1秒間に何件も発生する大量処理 APIの実行数に上限がある データベースを直接使う構成

ここで重要なのは、「会計ソフトの数字をkintoneで見る」のは苦手ではないことです。苦手なのは計算そのものを担わせることです。線の引き方を間違えると、費用も期間も跳ね上がります。

問い5 10ユーザー分を払い続ける規模か

kintoneのスタンダードコースは1ユーザー月1,800円(税抜)で、最小10ユーザーからの契約です(2026年9月時点。サイボウズの料金ページ)。実際に触るのが3人でも、10人分を払います。プラグインやAPIを使うにはスタンダードコース以上が必要なので、当社では原則スタンダードで見ます。

つまり、触る人数が少なくても、1業務あたりの効果が10ユーザー分を超えるかが問いです。月に何時間の転記が消えるか、何件の漏れが止まるかを、先に1つだけ数えておきます。

失格条件

問い4の4領域は、点数に関係なく対象外です。この4つのどれかを「kintoneの中で計算させたい」と考えている限り、他の条件がすべて揃っていても導入は失敗します。 該当する場合は、その部分を切り離し、残りの記録だけを対象に選び直してください。

よくある誤解を3つだけ

「kintoneはコスト削減の道具」 ——違います。ライセンス料は増えます。減るのは、探す時間・転記する時間・間違いを直す時間です。だから点検リストの10番で、減る時間か件数を先に1つ数えます。

「ノーコードだから誰でも作れる」 ——作れます。ただし「使われるものを作れる」とは別です。項目を50個並べたアプリは誰でも作れて、誰も使いません。設計の判断(5章)だけは、作る前に学ぶ価値があります。

「まず全社で使ってみる」 ——止まります。全社の合意を取るうちに、最初の熱が冷めます。1業務・1部署から始めて、動いている画面を見せるほうが速いです。

この章の出口

この章を終えたとき、手元に残っているべきものは次の3つです。

  1. 対象にする業務の名前が1つ(会社名でも部署名でもなく、業務名)
  2. その業務の点検リストの点数と、合格ラインのどこに入ったか
  3. その業務で減らしたい時間か件数の数字が1つ

この3つが揃っていれば、次は金額の話に進めます。揃っていなければ、別の業務でもう一度点検リストを付けてください。向く業務が社内に1つも無い、という結論も正しい結論です。

次の章へ:2章 費用の全体像(ライセンス・構築・運用で合計いくらか)

この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)

点検リスト:自社にkintoneが向くか(10項目)

対象は会社全体ではなく、1つの業務です。業務ごとに付けてください。

# チェック項目 ○の条件
1 同じ形の記録が繰り返し発生する 1件ごとに書く項目がだいたい同じ
2 その記録を触る人が3人以上いる 1人専用ではない
3 「最新はどれか」で迷ったことがある ファイルの版が複数ある/二重入力がある
4 今はExcelか紙で、転記が1回以上ある 転記の回数を実際に数えた
5 毎日または毎週その業務が発生する 月1回・年数回ではない
6 業務のやり方が今後も変わる見込みがある 固定されていない
7 1つの部署で完結する(最初の1業務として) 部署をまたぐ合意が要らない
8 現場からスマホ・タブレットで入力したい場面がある 外出先・現場・店舗がある
9 市販のパッケージソフトを探したが合わなかった 探した上で合わないと分かっている
10 月の費用(最小10ユーザー分)を超える効果を1つ数えられる 時間・件数・金額のどれかで言える

合格ライン

○の数 判断
7つ以上 向いている。その業務から始めてよい
4〜6つ 1業務に限って試す。全社展開の計画は立てない
3つ以下 kintone以外を探す(Excelのまま/パッケージソフト/共有フォルダ)

ただし、問い4の失格条件に当たる業務は、○が何個でも対象外です。

○が4〜6でも進めてよいのは、kintoneには無料お試しがあり(2026年9月時点で30日間。サイボウズ公式)、当社の場合は1業務1アプリまでの構築を最大1か月0円で行い、使えると判断いただいた段階で月5万円から・最低12ヶ月の継続に移るためです。つまり、判断を先に確定させなくても、実物を見てから決められます。

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更新日 2018年10月20日