株式会社COTSUBU
マーケティング

小さい会社のGoogle広告の始め方|月10万円で何ができるか

宇田川 将也|8分
Google広告リスティング広告Web広告集客中小企業

広告費が月10万円の会社がGoogle広告を始めるとき、最初に知っておくべきことはこの額は「自社で出す」額であって、代行を付ける額ではないということです。

当社の運用代行は広告費の20%または月10万円のいずれか高い方なので、月10万円の予算に代行を付けると、広告費が残りません。この帯でやるべきなのは、自社で出して、判断に迷う箇所だけ外に聞くことです。

手順の全体像はWeb広告運用の教科書(全12章)にまとめています。この記事は、そのうち少額で始める場合に絞って順番を並べたものです。

月10万円で何ができて、何ができないか

できること できないこと
検索している人に、自社の名前を出す 複数の媒体を同時に試す
狙った地域・時間だけに絞って出す 幅広い語を網羅して出す
どの検索語で問い合わせが来たかを知る 短期間で自動入札を安定させる
効かない語を止めて、効く語に寄せる 認知を広げる(ディスプレイや動画に回す余力がない)
数か月後にSEOで狙う語を見つける 予算を分散させて複数の商材を同時に検証する

月10万円は「絞れば効く」額です。 絞らずに出すと、1つの語あたりに回る費用が少なすぎて、効いたのか効かなかったのかが判定できないまま終わります。

なお当社が推奨している広告費は月20万円からですが、これは判断に必要なデータが早く溜まるからです。業種によっては月10万円から試すこともあります。 検索される語が限られていて、1件の粗利が大きい業種ほど、少額でも成立します。

出す前に決める3つ

1. 問い合わせ1件にいくらまで払えるか

自社の数字だけで出せます。1件受注したときの粗利 × 問い合わせから受注になる割合 が上限です。粗利30万円で5件に1件受注なら、問い合わせ1件に6万円まで。月10万円なら、1件取れれば合格という設計になります。

この額が決まっていないと、止める判断も続ける判断もできません(→広告で何が決まるのか(1章))。

2. どの検索語で出すか

すでに買う気で調べている人の語だけにします。 少額で「調べている段階」の語まで拾うと、予算がそこで終わります。

拾う語 後回しにする語
サービス名+地域(「◯◯ 修理 千代田区」) 「◯◯とは」
サービス名+依頼の意図(「◯◯ 業者」「◯◯ 見積もり」) 「◯◯ やり方」「◯◯ 自分で」
競合ではなく自社が明確に強い領域の語 一般名詞だけの広い語

語の選び方はSEOの教科書のキーワードの決め方(4章)と考え方が同じです。検索数ではなく、発注の近さで選びます。

3. 出さない検索を決める

予算の漏れは、狙った語ではなく余計な語から出ます。先に外すのは、求人・無料・自分で・意味・資格・年収・中古、といった発注意図のない語です。業種ごとに固有の外すべき語もあります(→除外の設計(6章))。

除外は配信前に作り、配信後も毎週足していきます。 ここを自社でやるかどうかで、月10万円の使われ方がまったく変わります。

最初は、キャンペーン1本で足りる

少額のうちは、キャンペーン1本・広告グループ2〜3個で始めてください。

分けるほど1つあたりの予算が薄くなり、どれも判断できる件数に届きません。分けるのは、地域ごとに予算を固定したい、商材ごとに止める判断を分けたい、といった明確な理由ができてからです。

広告グループは「同じ検索意図の語をまとめたもの」を単位にします。1つの広告グループに意図の違う語を混ぜると、広告文をどちらに寄せても合わなくなります(→アカウント構造の組み方(5章))。

入札も、件数が少ないうちは上限クリック単価を自分で決める方式から始めるほうが読めます。自動入札は溜まったデータをもとに調整する仕組みなので、件数が少ない段階では動きが安定しません(→入札と予算配分(7章))。

計測を入れてから出す

問い合わせを数えられない状態で広告を出すのは、お金を捨てるのと同じです。 出す前に次の3つを済ませてください。

  1. フォーム送信を成果として記録する設定を入れる
  2. 電話の問い合わせをどう数えるかを決める(着信履歴を手で数えるのでも、最初は構いません)
  3. 何を1件と数えるかを社内で決める(資料請求と見積依頼を同じ1件と呼ぶのか、分けるのか)

3番目が抜けたまま始めると、報告の数字と営業の実感がずれます(→コンバージョンを正しく数える(3章))。設定を自社でやるのが難しい場合、アクセス解析・GA4設定は15万円から、現状の診断は無料で行っています。

受け皿も先に点検してください。フォームが届いていない状態で広告を出すのが、いちばんもったいない失敗です(→問い合わせが来ないときに最初に見る5つ)。

最初の1か月の回し方

時期 やること 触らないこと
配信〜3日目 実際に検索された語を見て、明らかに関係ない語を除外する 入札額・広告文
1週目の終わり 除外を追加。費用が集中している語を確認する キャンペーンの構成
2〜3週目 広告文を1案だけ差し替えて比べる 予算の増減
1か月後 成果0で費用を使った語を止める。残った語に寄せる —

毎日いじらないことが大事です。 変えた直後に数字が動いても、その変更のせいかどうかが分かりません。変えるのは週に1回、1か所だけにしてください(→運用の型(9章))。

広告文と着地ページは、セットで考える

広告文で書くべきことは、検索した語に対する答えです。凝った表現は要りません。

書く 書かない
何を提供するか(検索語と同じ言葉で) 「業界No.1」など、根拠を示せない表現
対応エリア・対応範囲 社内でしか通じない商品名だけ
他社と違う具体的な条件(即日対応・出張費無料など、事実) 「高品質」「安心」といった、誰でも書ける言葉
次にすること(見積無料・電話1本で) —

そして、広告文で書いたことが着地ページの一番上にも書いてあることを必ず確認してください。広告で「即日対応」と言っておいて、着地ページのどこにも書いていなければ、その人は探すのをやめます。

着地先はトップページでなくて構いません。その商材の説明ページに直接着地させるほうが、ほとんどの場合うまくいきます(→広告文とクリエイティブ(8章))。

なお、広告の審査で止まることがあります。落ちたときは表現を直せば通ることが多いので、通らないからといって別の媒体に逃げないでください(→審査と法規制(11章))。業種によっては、そもそも出せない表現や必要な資格の確認があります。

続けるか、止めるかの判定

3か月使って、次のどちらかに当てはまるなら止めるか、やり方を変えます。

  • 問い合わせが0件。 語の選び方か、着地ページか、そもそも検索されていないかのどれかです
  • 問い合わせはあるが、1件あたりの費用が上限を超え続けている。 上限は最初に決めた「粗利 × 受注率」です

逆に、上限を下回って件数が出ているなら、予算を増やす判断ができます。 ここまで来て初めて、運用代行を頼む意味が出てきます。

頼むとしたら、いつか

状況 現実的な選択
広告費が月10〜20万円 自社で出す。代行は付けない
自社で出していて、無駄がないか不安 広告アカウント診断(1媒体5万円〜・5営業日・単発可)
広告費が月20万円を超え、件数が読めてきた 運用代行(初期構築20万円〜・月10万円〜)
着地ページで落ちている LP制作40万円〜/LPO・CVR改善月10万円〜

すべて税別です。広告費は媒体への実費で、当社を経由しません。アカウントは御社名義で作るので、合わないと思われたらそのまま他社に引き継げます。 手数料の仕組みと代理店の選び方は費用と発注(12章)にまとめています。

まとめ

  • 月10万円は自社で出す額。代行を付けると広告費が残らない
  • 出す前に「1件にいくらまで払えるか」「どの語で出すか」「何を外すか」の3つを決める
  • キャンペーンは1本で足りる。分けるのは理由ができてから
  • 計測を入れてから出す。何を1件と数えるかを社内で先に決める
  • 触るのは週1回1か所。毎日いじると、何が効いたか分からなくなる
  • 3か月で問い合わせ0なら、入札ではなく語か着地ページを疑う

→ Web広告運用の教科書(全12章) → リスティング広告運用 → 広告アカウント診断 → 広告とSEO、どちらを先にやるか

よくある質問

月10万円の広告費で運用代行を頼めますか

おすすめしていません。当社の運用代行は広告費の20%または月10万円のいずれか高い方なので、月10万円の予算では広告費が残りません。この帯は自社で出し、判断に迷う箇所だけ広告アカウント診断(1媒体5万円から・5営業日)で第三者に見てもらう形が現実的です。

Google広告は最初からいくつもキャンペーンを作ったほうがいいですか

少額のうちは1本で足ります。分けるほど1つあたりの予算が薄くなり、どれも判断に必要なデータが溜まりません。地域を分けたい、商材ごとに予算を固定したい、という明確な理由ができてから分けてください。

広告を出したのに問い合わせが来ません。どこを見ればいいですか

実際に検索された語の一覧を、費用つきで見てください。成果が0のまま費用を使っている語が見つかります。次に着地ページを見て、検索された語と見出しが揃っているかを確かめます。多くの場合、原因は入札ではなく、この2つのどちらかです。

宇田川 将也/ 代表取締役

2024年に総務省の地域活性化起業人として島根県海士町に着任。役場に住み込んで業務改善に従事し、kintoneで電子決裁や定期健診管理を構築しました。

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