株式会社COTSUBU

CHAPTER 03

広告のコンバージョン計測と媒体とのずれ

この章で分かること

  • 何を1件と数えるか(フォーム・電話・LINE・資料請求の扱い)と、入札に使う成果を2種類以内に絞る理由
  • 媒体の管理画面で計測について見る3か所と、媒体の件数と社内の件数についてどこまでのずれなら許容してよいか(±20%の根拠)
  • 重複計上の見つけ方と、計測が壊れたことに毎月気付き続けるための仕組み
この章の目次(10)
  1. 1なぜ計測が最初なのか
  2. 2何を1件と数えるか
  3. 3入札に使う成果は2種類以内
  4. 4重複計上は、多い方向に壊れるので誰も疑わない
  5. 5社内アクセスとテスト送信を除外する
  6. 6媒体の管理画面で、計測について見る3か所
  7. 7媒体の件数と社内の件数は、ずれるのが普通
  8. 8計測が止まったことに気付く仕組み
  9. 9よくある間違いを5つ
  10. 10この章の出口

広告の良し悪しは、1件をどう数えるかが決まってからしか判定できません。 コンバージョンが取れていないアカウントで、キーワードを直しても、入札を変えても、直した結果が数字に出ないので、直したことが正しかったのかが永久に分かりません。 この章は、何を1件と数えるかを決め、重複と漏れを潰し、媒体の件数と社内の件数のずれを説明できる状態にするための章です。ここが終わるまで、4章以降の設計の話には進みません。

この章で分かること

  • 何を1件と数えるか(フォーム・電話・LINE・資料請求の扱い)と、入札に使う成果を2種類以内に絞る理由
  • 媒体の管理画面で計測について見る3か所と、媒体の件数と社内の件数についてどこまでのずれなら許容してよいか(±20%の根拠)
  • 重複計上の見つけ方と、計測が壊れたことに毎月気付き続けるための仕組み

なぜ計測が最初なのか

広告の改善は、すべて「変える → 数字を見る → 良くなったか判定する」の繰り返しです。 このうち判定だけは、広告の外側(計測)に依存しています。 計測が壊れていると、残りの2つをどれだけ丁寧にやっても、繰り返しが閉じません。

状態 できること できないこと
計測が正しい 変えた結果が数字に出る。続ける・止めるを決められる —
計測が壊れている 設定を変えることはできる 良くなったかの判定。つまり、改善のすべて

2章の工程1で×が出た方は、ここが行き先です。点検の点数が何点でも、先に計測を直します。 そしてもう1つ、計測はさかのぼれません。 今日入れた計測は今日からの分しか溜まりません。後回しにするほど、判断材料の空白期間が長くなります。当社が「過去データは復元できないので、早く入れる」と言っているのはこのためです。

何を1件と数えるか

まず、自社の問い合わせの入口を全部書き出します。多くの会社で、次の5つのどれかに収まります。

入口 何が起きたら1件か 計測の難しさ
フォーム送信 送信が完了したとき(送信ボタンを押したときではない) やさしい。完了画面かメッセージ表示を起点にする
電話 スマホで番号をタップしたとき 中程度。タップ数であって、通話が成立した数ではない
LINE・チャット 友だち追加、または最初のメッセージ送信 中程度。媒体をまたぐので取りこぼしやすい
資料請求・ダウンロード ファイルを開いた、または請求フォームの完了 やさしいが、問い合わせとは質が違う
来店・来社予約 予約の確定 予約システム側の設定が要る

ここで決めることは2つだけです。①それぞれを数えるか、数えないか。②数える場合、何が起きたら1件と呼ぶか。 数えない判断も正しい判断です。ただし「数えないと決めた」ことを書き残してください。 半年後に「電話の件数が入っていない」と揉めるのは、決めていなかったときだけです。

電話の扱い

電話が主導線の業種(工事・修理・医療・飲食)では、フォームだけを数えると実力の半分も見えません。 一方で、電話タップは「押した数」であって「話がまとまった数」ではありません。間違いタップも入ります。当社は次のように扱っています。

  • 電話タップは記録する(入口別の量を知るため)
  • ただし入札の最適化には使わない(精度が足りないため)
  • 受注の突き合わせは、通話記録か着信履歴の側で行う

入札に使う成果は2種類以内

成果の種類を増やすほど親切に見えますが、逆です。 自動入札は「登録された成果が増える方向」に配信を寄せます。フォーム送信・電話・資料ダウンロード・ページ滞在を同列に置くと、媒体は一番増やしやすいもの(たいてい最も価値の低いもの)を増やしに行きます。

区分 扱い 例
主要コンバージョン 入札の最適化に使う。2種類以内 問い合わせフォーム完了、見積依頼完了
副次コンバージョン 記録のみ。数は見るが、入札には使わない 電話タップ、資料ダウンロード、LINE追加
成果にしないもの 登録しない ページ表示、滞在時間、スクロール

ページ表示や滞在時間を成果にしているアカウントは、問い合わせが減る方向に最適化されています。 「よく読む人」と「問い合わせる人」は別人だからです。 主要・副次の呼び名と設定方法は媒体によって違い、名称も変わります。最新は公式ヘルプで確認してください(探す言葉:「主要コンバージョン 副次 設定」)。

重複計上は、多い方向に壊れるので誰も疑わない

同じ1件が2件、3件と数えられている状態です。件数が実力より多く見えるので、誰も疑いません。CPAも実際より良く見えます。 見つけ方は1つだけです。

自分で1件送信し、そのあと完了画面を2回更新する。それで件数が増えたら×。 5分で判定できます(点検リストの1と2)。

原因は4つ(完了画面の再読み込み/同じタグの二重設置/完了画面が全フォーム共通/同一ユーザーの複数回)に分かれ、症状ごとに実装の直し方が違います。 症状と直し方の一覧は計測設計の教科書4章 GA4のコンバージョン設定にあります。同じ表を2冊に書きません。

この本で決めるのは、そのうち広告の入札に直結する1点だけです。問い合わせは「1人1回だけ数える」、ECの購入は「毎回数える」。 媒体側にはこの数え方の設定があり、自動入札は、その数え方で出た件数に向かって配信を寄せます。 「毎回数える」のまま問い合わせを計測すると、同じ人が何度も送るような配信面が有利に評価されます。自社がどちらなのかを決めて、設定と一致させてください。設定の呼び名と場所は媒体ごとに違うので、最新は公式ヘルプで確認してください(探す言葉:「コンバージョンのカウント方法 1回 毎回」)。

社内アクセスとテスト送信を除外する

計測を入れた直後、必ずやるべき作業です。抜けると、自社の担当者が動作確認するたびに成果が1件増えます。月の成果が10件のアカウントで社内のテストが3件混ざれば、3割が架空です。CPAも3割よく見えます。

除外は解析ツールと広告媒体の両方に設定が要ります。片方だけのことが非常に多いです。 解析ツール側の設定と、除外が実際に効いているかの確かめ方は計測設計の教科書2章にあります。

設定が間に合わないときは、テスト送信の日付と件数をメモしておくだけでも後から引き算できます。最低限の保険です。

媒体の管理画面で、計測について見る3か所

計測が広告に効いているかは、解析ツールではなく媒体の管理画面で確かめます。見る場所は3つだけです。呼び名と場所は媒体ごとに違うので、最新は各媒体の公式ヘルプで確認してください。

見る場所 合格ライン 壊れているときの見え方
成果(コンバージョン)の一覧 登録されている成果が全部把握できていて、直近7日に記録があることが分かる 何年も前に作った成果が残っている/すべて記録0なのに誰も気づいていない
入札に使う/使わないの区分 主要が2種類以内。副次は「記録のみ」になっている 全部が入札の対象になっている(=価値の低い成果に配信が寄る)
キャンペーン・広告グループ別の成果件数 件数の列を出したうえで判断している 費用とクリック数だけを見て判断している

3つ目が抜けているアカウントが、実務では最も多いです。 費用とクリック数だけを並べると、「クリックが安いキャンペーン」が良く見えます。成果件数の列を出した瞬間に、順位が入れ替わることが珍しくありません。

もう1つ、成果の名前を後から分かる形にしておいてください。 「コンバージョン1」「CV_new」のような名前が並ぶと、半年後に「どれが問い合わせか」が誰にも分からなくなります。名前には何が起きたら1件かを入れます(例:問い合わせフォーム完了)。

媒体の件数と社内の件数は、ずれるのが普通

「Google広告は12件と言っているが、社内には9件しか来ていない」。これは異常ではありません。 媒体は自分の広告の貢献を数え、社内の台帳は届いた問い合わせを数えています。立場が違うものは一致しません。

問題は、ずれていることではなく、ずれる理由を誰も説明できないことです。 原因は6つに分類できます。そのうち3つ(日付の取り方・端末またぎ・ブラウザ側の制限)は仕組み上のもので直せません。残りの3つ(重複計上・社内への未達・媒体をまたぐ二重計上)は直すべきずれです。分類の全体と、自社の計測側で直せる部分の見分け方は、計測設計の教科書7章 GA4と広告の数字が合わない理由にまとめてあります。

広告を出す側としてこの章で決めるのは、許容範囲と突き合わせの段取りの2つだけです。

許容範囲は±20%

当社の決めごととして、媒体の件数と社内の受注記録のずれが±20%以内なら合格としています。 20%に理論的な根拠はありません。「仕組み上のずれだけならこの程度に収まり、それを大きく超えるなら直せるほうのずれが起きている」という、実務上の線引きです。社内で別の数字に決めても構いません。大事なのは基準を決めて、毎月同じやり方で突き合わせることです。

突き合わせは月1回、次の形で十分です。

| 月 | 媒体の成果件数 | 社内に届いた件数 | 差 | 差の率 | 説明 |

担当者と実施日を決めてください。 決めていないと、必ずやらなくなります。

計測が止まったことに気付く仕組み

計測は静かに壊れます。サイトを改修した、フォームを別サービスに替えた、タグ管理ツールの公開を戻した——どれもエラーは出ません。件数が0になるだけです。 そして0件は「今月は反応が悪かった」に見えるので、1〜2ヶ月気付かれません。防ぎ方は2つだけです。

方法 やること かかる手間
人が見る 毎週、成果件数が0でないかを誰かが見る。見る人と曜日を決める 週1分
変更履歴を残す サイト・フォーム・タグを触った日を1か所に書く 都度1行

変更履歴は、数字に段差ができたときに原因を1日で特定できるので、費用対効果が最も高い作業です。「4月12日 フォームを別サービスに移行」と1行あるだけで、4月13日からの0件の理由が即座に分かります。

よくある間違いを5つ

「GA4を入れたので、計測はできている」 ——タグが入っていることと、問い合わせが数えられていることは別です。解析ツールに入っていても、広告の管理画面に成果として渡っていないことは珍しくありません。 → 直し方:実際に1件送信し、①社内通知、②解析ツール、③広告の管理画面の3つすべてに現れるかを確認する。当社の計測診断はここを無料で見ます。

「成果が多いほど良いので、思いつくものを全部登録した」 ——入札に使う成果が3種類以上あると、媒体はどれを増やせばよいか分かりません。結果として最も増やしやすい成果(価値の低いもの)に寄ります。 → 直し方:主要を2種類以内に絞り、残りは記録のみにする。減らす作業なので、その日のうちに終わります。

「媒体の件数と社内の数が合わないので、媒体の数字は信用しない」 ——ずれは仕組み上必ず出ます。信用しないと決めると、広告の良し悪しを判断する手段が無くなります。 → 直し方:ずれの原因を6分類で仕分け(計測設計の教科書7章)、直せるずれだけを潰す。仕組み上のずれが残った状態で±20%以内なら、媒体の数字を判断に使う。

「先月より件数が半減したので、広告の調子が悪い」 ——計測が壊れた可能性を先に疑ってください。設定変更・サイト改修・フォーム変更の直後なら、ほぼそれです。 → 直し方:数字の段差の日付と、変更履歴の日付を突き合わせる。一致したら計測を疑い、自分で1件送信して確かめる。

「テスト送信も本番の数字に入っているが、少ないので気にしない」 ——月の成果が10件のアカウントで、社内のテストが3件混ざれば3割が架空です。CPAも3割よく見えます。 → 直し方:社内アクセスの除外を解析ツールと広告媒体の両方に入れる。除外を入れた日を記録し、その前後で数字に段差が出ることを了解しておく。

この章の出口

手元に残っているべきものは4つです。

  1. 入口ごとの一覧(フォーム・電話・LINE・資料請求を、数える/数えないで仕分けた表)
  2. 主要コンバージョンの定義(2種類以内。何が起きたら1件かが1行で書いてある)
  3. 実地テストの記録(送信した日付と、3か所すべてに現れたかの○×)
  4. 月1回の突き合わせの段取り(担当者・実施日・ずれの許容範囲)

この4つがそろえば、以降の章で出てくる数字(CPA・成果件数・除外で取り戻せる件数)が、すべて意味を持ちます。

自分で確認するのが難しい場合、当社のアクセス解析・計測設計は計測診断が無料です。GA4・GTMの設定が15万円から、レポート画面の作成が10万円から、月次レポートと改善提案が月5万円から(すべて税別)。 設定を足す前に、今の数字が信用できるかを先に確認します。ここは無料です。 診断だけで終わって構いません。

数え方が決まったので、次はどの媒体に出すかです。

次の章へ:4章 検索広告とSNS広告、どちらを先に出すか

この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)

点検リスト:計測の設計(10項目)

# チェック項目 合格の状態
1 自分でフォームを送り、1件として記録された 実地テストを日付つきで記録した
2 同じ1件が2重に数えられていない サンキューページを再読込しても件数が増えない
3 入札に使う主要コンバージョンが2種類以内 残りは副次として記録のみ
4 電話・LINEの扱いを決めている 数える/数えないを決め、理由を書いた
5 社内からのアクセス・テスト送信を除外している 除外設定を入れてある
6 媒体の件数と社内の受注記録を月1回突き合わせている 突き合わせの担当者と日が決まっている
7 ずれの理由を説明できる 計測の期間の取り方・端末またぎ・迷惑メール振り分け等を確認した
8 GA4等の解析ツールと広告アカウントがつながっている 経路別に件数が見られる
9 計測を変えた日を記録している 変更履歴が残っていて、数字の段差と照合できる
10 計測が止まったときに気付く仕組みがある 「先週0件」を誰かが見る形になっている

合格ライン=10項目中8つ以上。ただし 1・2・3 は必須です。 この3つが×なら、広告の良し悪しは永久に判定できません。点数に関係なく、ここから直します。 1と2は自分で1件送信するだけで判定できます。3は減らす作業なので、その日のうちに終わります。必須3項目は、どれも今日できる作業です。

読んでも決めきれないところは、一緒に決めます

30分の相談は無料です。2章の点検を当社が代わりに回すこともできます(単発可)。引き受けられる範囲は広告アカウント診断にまとめています。

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更新日 2018年10月20日