株式会社COTSUBU
マーケティング

GA4で中小企業が見るべき数字は3つだけ

宇田川 将也|8分
GA4アクセス解析計測サイト改善中小企業

GA4を開いても何を見ればいいか分からない、という相談をよく受けます。原因は機能の多さではなく、見る数字を決めていないことです。

中小企業が月次で見る数字は3つで足ります。問い合わせ件数・その経路別の内訳・問い合わせページへの到達数です。この3つがあれば、次にやること(集客を足すのか、受け皿を直すのか)が決まります。決まらない数字は、見ても仕事が増えないだけです。

計測の考え方はコンバージョンを正しく数える(Web広告運用の教科書 3章)と計測の土台(SEOの教科書 3章)に詳しく書いています。

見る数字を3つに絞る理由

数字を増やすと、報告は長くなるのに判断は増えません。 月次の会議で「ページビューが前月比で増えました」と言われて、次に何をするかが決まった経験はあるでしょうか。

この記事の3つは、すべて見た結果として次の行動が1つに決まるものだけを選んでいます。

見る数字 分かること 次にやること
問い合わせ件数 今月、何件の商談の種ができたか 目標との差を埋める手を決める
経路別の内訳 どこからの流入が件数になっているか 効いている経路に寄せ、効かない経路を止める
問い合わせページへの到達数 詰まっているのが集客か受け皿か 集客を足すか、フォームと導線を直すか

1. 問い合わせ件数

いちばん先に、これを正しく数えられる状態にしてください。 GA4はタグを貼っただけでは、フォーム送信を成果として数えません。どの操作を成果と呼ぶかを、こちらで指定する必要があります。

指定する前に、社内で「何を1件と数えるか」を決めます。

決めること 例
数える操作 フォームの送信完了・電話番号のタップ・資料のダウンロード
1件として扱うか、分けるか 見積依頼と資料請求を同じ1件と呼ぶか
数えないもの 社内からのテスト送信・採用への応募

ここを決めずに設定すると、報告の数字と営業の実感がずれます。 ずれた瞬間に、その数字は社内で信用されなくなり、誰も見なくなります。

社内のIPアドレスからのアクセスを除外する設定も、最初に入れてください。自社の人間が自社サイトを見た分が混ざると、件数の少ない会社ほど影響が大きく出ます。

なお、成果として数えるイベントの呼び名は変更されることがあります。 設定の場所と名称は、最新を公式ヘルプで確認してください。この記事では画面の手順は書きません。

2. 経路別の内訳

件数が数えられたら、その件数がどこから来たかを分けます。GA4は流入元を自動で分類します。中小企業が見るのは、おおむね次の5つです。

経路 何を意味するか 増やし方
検索(広告以外) 検索結果から来た SEO・ローカル検索
検索広告 Google広告などから来た 広告運用
直接 URLを直接開いた、名刺やチラシ経由 オフラインの接点
参照 他サイトのリンクから来た 掲載先の見直し
SNS SNSの投稿から来た 投稿の見直し

重要なのは、訪問数の内訳ではなく件数の内訳です。 訪問数がいちばん多い経路と、問い合わせがいちばん多い経路は一致しません。訪問数で判断すると、たくさん人が来るだけで1件も生まない経路にお金を使い続けることになります。

広告を出している場合、GA4の件数と広告の管理画面の件数は必ずずれます。 数え方の基準が違うためで、どちらかが壊れているわけではありません。社内では「どちらの数字で話すか」を先に決めてください(→3章)。

3. 問い合わせページへの到達数

3つ目は、問い合わせページを見た数です。これと1つ目を並べると、詰まっている場所が分かります。

状況 詰まっている場所 手を付ける先
到達数も件数も少ない 集客 広告・SEO・MEO
到達数はあるが、件数が極端に少ない フォーム 改善の順番の1番
サイト全体の訪問はあるが、到達数が少ない 導線と文言 同じ記事の2〜3番

この表が、3つの数字を見る目的です。 毎月ここまで来れば、その月にやることが1つに決まります。

見なくていい数字

数字 見なくていい理由
ページビュー 増減しても、次にやることが決まらない
直帰率・エンゲージメント率 定義が変わっており、他社や過去と比べられない
平均滞在時間 長い=良いとは限らない(迷っている場合も長くなる)
ユーザー数・新規率 件数と連動しないことが多い
リアルタイム 見ても手は打てない。公開直後の動作確認にだけ使う

見るなと言っているのではなく、月次の判断材料にしないという意味です。何かを調べる途中で必要になったときに開けば足ります。

月1回、15分で見る手順

  1. 先月の問い合わせ件数を出す
  2. 経路別に分ける
  3. 問い合わせページへの到達数を出す
  4. 前月・前年同月と並べる
  5. 3つのうち落ちているものを1つだけ選び、その月の手を1つ決める

大事なのは5番です。3つ全部に手を打とうとすると、どれも中途半端になります。 落ちている1つだけを選んでください。

あわせて、電話の着信件数を手で数えて横に並べます。 サイトの番号をタップした回数はGA4で分かりますが、実際に会話が成立した件数は分かりません。業種によっては電話が主経路なので、ここを数えないと判断を誤ります。

もう1つ。受注まで追えるのは、GA4ではなく自社の記録です。 問い合わせ1件がいくらの受注になったかは、営業側の管理表や業務システムに残ります。広告の良し悪しを最終的に決めるのはこちらの数字です。

計測は、静かに壊れる

GA4は壊れても警告を出しません。件数が0になっても、「0件でした」という顔をして表示されます。 壊れるきっかけは決まっているので、覚えておいてください。

きっかけ 起きること
サイトをリニューアルした 計測タグが新しいサイトに入っていない
フォームを別のサービスに変えた 送信完了を検知できなくなり、件数が0になる
完了ページのURLを変えた URLを条件にしていた設定が外れる
担当者が退職した 管理権限を持つ人がいなくなり、設定を誰も直せない
広告の設定を作り直した 広告側とGA4の連携が切れる

防ぎ方は2つです。サイトやフォームを触ったら、その日のうちにテスト送信して件数が増えるか確認すること。 そして、GA4の管理権限を社内の2人以上が持つことです。代理店や制作会社だけが権限を持っている状態は、契約が終わった日に数字を失います。

もう1つ。GA4には過去データをどれだけ遡って分析できるかの設定があります。初期設定のままだと遡れる期間が短いことがあるので、最初に確認して延ばしておいてください(設定の名称と上限は変わることがあるため、最新は公式ヘルプで確認してください)。

3つの数字を、報告の形にする

社内で共有するときは、1枚に収めてください。 項目が多い報告書は読まれません。

項目 先月 前月 前年同月
問い合わせ件数(フォーム)
問い合わせ件数(電話・手で数える)
経路別の内訳(検索/広告/直接/その他)
問い合わせページの閲覧数
今月やること(1つだけ)

最後の行がこの表の目的です。数字を並べるだけの報告は、3か月で誰も読まなくなります。 毎月1つ、やることが書いてあるから続きます。

毎月見る画面を作り込むこともできます(当社ではレポート画面の作成を10万円から)。ただし画面を作る前に、上の表を3か月手で埋めてみてください。 手で埋めて続かないものは、自動化しても見ません。

準備にかかる費用

GA4とGoogleタグマネージャーの設定、問い合わせを数える仕組みの構築は、アクセス解析・GA4設定で15万円からです。現状の診断は無料で、今の計測がずれていないかだけを見ることもできます。毎月見るレポート画面の作成は10万円から、月次のレポートと改善提案は月5万円からです(すべて税別)。

計測がずれたまま広告費を判断している会社は少なくありません。 広告やSEOに毎月お金を使っているなら、その判断の土台が正しいかを先に確かめる価値があります。

まとめ

  • 月次で見るのは3つだけ。問い合わせ件数・経路別の内訳・問い合わせページへの到達数
  • 設定の前に「何を1件と数えるか」を社内で決める。決めないと数字が信用されなくなる
  • 訪問数の内訳ではなく、件数の内訳を見る。両者は一致しない
  • GA4と広告管理画面の件数はずれる。どちらで話すかを先に決める
  • ページビュー・直帰率・滞在時間は月次の判断材料にしない
  • 電話の着信件数は手で数えて横に並べる。受注まで追うのは自社の記録

→ アクセス解析・GA4設定 → Web広告運用の教科書(全12章) → SEOの教科書(全12章) → ホームページの問い合わせを増やす改善の順番

よくある質問

GA4で最低限見るべき数字はどれですか

問い合わせ件数、その経路別の内訳、問い合わせページへの到達数の3つです。この3つがあれば、集客を足すのか受け皿を直すのかが決まります。ページビューや直帰率は、次の行動が決まらないので月次では見なくて構いません。

GA4を入れているのに問い合わせ件数が出ません

成果として数えるイベントを指定していない可能性が高いです。GA4はタグを貼っただけでは、フォーム送信を成果として数えません。どの操作を1件と呼ぶかを決めて設定する必要があります。当社では現状の診断を無料で行い、設定は15万円から対応しています。

電話での問い合わせはGA4で数えられますか

サイトの電話番号をタップした回数までは数えられますが、実際に会話が成立したかどうかは分かりません。タップ数と着信履歴の実数は必ずずれます。業種によっては電話が主な問い合わせ経路なので、着信履歴を月1回数えて、GA4の数字と並べて管理してください。

宇田川 将也/ 代表取締役

2024年に総務省の地域活性化起業人として島根県海士町に着任。役場に住み込んで業務改善に従事し、kintoneで電子決裁や定期健診管理を構築しました。

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