CHAPTER 03
SEOの効果測定|順位ではなく問い合わせ数
この章で分かること
- Search Console と GA4 の役割の違いと、どちらで何を見るか(境目は「クリックされる前か、後か」)
- 入れた後に必ず変える設定(プロパティの種類・データ保持・内部トラフィック・キーイベント)と、その合格ライン
- 順位を目標にしない理由と、代わりに見る3つの数字(表示回数 × 掲載順位 × CTR)
この章の目次(11)
- 1道具は2つ。境目は「クリックされる前か、後か」
- 2手順1 Search Console:プロパティの種類を決める
- 3手順2 サイトマップを送る
- 4手順3 GA4:入れた後に必ず変える4つ
- 5順位ではなく、3つの数字をセットで見る
- 6検索パフォーマンスは、絞ってから読む
- 7週次と月次で見る画面(3つだけ)
- 8生成AIパフォーマンスレポートは、表示回数だけ
- 9数字が動かない期間の扱い
- 10よくある間違い5つ
- 11この章の出口
計測は、道具を入れた時点では終わっていません。入れた後に変える4つの設定で、判断に使えるかどうかが決まります。 そして目標に置く数字は順位ではなく、月の問い合わせ件数です。順位は自社の外にあり、件数は自社で数えられます。 この章は、Search Console と GA4 を判断に使える状態にする手順を並べ、週次・月次で見る画面を3つに絞り、10項目の点検リストで計測の土台の合否を出すための章です。
この章で分かること
- Search Console と GA4 の役割の違いと、どちらで何を見るか(境目は「クリックされる前か、後か」)
- 入れた後に必ず変える設定(プロパティの種類・データ保持・内部トラフィック・キーイベント)と、その合格ライン
- 順位を目標にしない理由と、代わりに見る3つの数字(表示回数 × 掲載順位 × CTR)
道具は2つ。境目は「クリックされる前か、後か」
| Search Console | GA4 | |
|---|---|---|
| 見える範囲 | 検索結果に出てから、クリックされるまで | サイトに来てから、離れるまで |
| 主な数字 | 表示回数・クリック数・CTR・平均掲載順位・検索された語 | 参照元・閲覧されたページ・キーイベント(問い合わせ) |
| 期間 | 最長16ヶ月 | 標準レポートは期間の制限なし/データ探索は保持期間まで |
| 費用 | 無料 | 無料 |
| これが無いと | どの語で出ているかが永久に分からない | 問い合わせがどこから来たかが分からない |
片方だけでは判断できません。 Search Console だけだと「来た人が問い合わせたか」が分からず、GA4 だけだと「どの語で出ているか」が分かりません。どちらも無料なので、両方入れます。
手順1 Search Console:プロパティの種類を決める
最初の分かれ道が、プロパティの種類です。Googleは2種類を用意しています(プロパティを追加する)。
| ドメインプロパティ | URLプレフィックスプロパティ | |
|---|---|---|
| 対象になる範囲 | http・https、www有無、すべてのサブドメイン | 入力したURLで始まるものだけ |
| 所有権の確認方法 | DNSのレコードのみ | HTMLファイル、metaタグ、GA、GTM、DNS |
| 向く場合 | 原則こちら | DNSを触れない/サブディレクトリ単位で分けて見たい |
合格ライン:ドメインプロパティで所有権が「確認済み」になっている。
DNSを触れない事情があるなら、URLプレフィックスで登録します。ただしその場合、https://example.com と https://www.example.com は別のプロパティ扱いになるため、実際に使っているほうを登録し、2章の工程1(URLの集約)が○になっていることを先に確かめてください。集約されていない状態で片方だけ登録すると、数字が半分しか見えません。
所有権の確認に使ったもの(DNSのTXTレコード、HTMLファイル)を後から消さないこと。 消すと所有権が外れ、過去のデータごと見られなくなります。サイトを作り直すときに起きる事故です。
手順2 サイトマップを送る
/sitemap.xml を Search Console の「サイトマップ」に登録します。2章の工程4と同じ画面です。
合格ライン:ステータスが「成功」、エラー0、検出URL数が公開ページ数と±10%以内。
サイトマップは「送る」ものではなく「置いて、場所を知らせる」ものです。知らせ方は2つだけで、Search Console への登録と、robots.txt の Sitemap: の行です。当社はサイトマップをコードから自動生成し、1時間ごとに作り直しています(作りは5章で扱います)。
手順3 GA4:入れた後に必ず変える4つ
タグを貼った直後のGA4は、判断には使えません。次の4つを変えます。どれも管理画面で10分以内に終わります。
| # | 設定 | 場所 | 合格ライン | 放置するとどうなるか |
|---|---|---|---|---|
| 1 | イベントデータの保持 | 管理 → データの収集と修正 → データの保持 | 「14か月」になっている | データ探索で2ヶ月より前が見えない |
| 2 | 内部トラフィックの除外 | 管理 → データストリーム → タグ設定 → 内部トラフィックの定義/データ設定 → データフィルタ | フィルタの状態が「有効」 | 自社の閲覧が数字に混ざる |
| 3 | キーイベント | 管理 → キーイベント | 問い合わせ完了が1つ以上ある | 問い合わせを数えられない |
| 4 | Search Console とのリンク | 管理 → サービス間のリンク設定 → Search Console | リンク済み | 検索語と着地後の行動がつながらない |
1(データ保持)と2(内部トラフィック)は、あとから直しても過去にさかのぼりません。 データ保持の設定は標準の集計レポートには影響せず、データ探索とファネルのレポートにのみ影響するため(データ保持)、壊れていても気づきません。気づくのは、1年前と比べようとしてデータ探索を開いた日です。内部トラフィックのほうは、IPアドレスを登録しただけでは除外されず、データフィルタを「有効」に変えるまで効きません(データフィルタ)。初期状態は「テスト」です。どちらも今日変えます。
3(キーイベント)=問い合わせを1件として数える設定については、この本では合格ラインだけを置きます。
- 自分で1件テスト送信して、GA4に1件だけ計上されること。実測していない設定は、設定していないのと同じです
- 入口(フォーム・電話・LINE・資料請求)ごとに、別のキーイベントにしてあること
成果の取り方の選び分け(完了ページ方式/完了メッセージ方式/サーバー側)、完了ページをフォームごとに分ける理由、重複計上の症状別の直し方、1件の重みの決め方は、計測設計の教科書4章 GA4のコンバージョン設定にまとめてあります。同じ手順を2冊に書きません。 いま入っている計測が生きているかを60分で点検する手順は同2章、電話とLINEのようにWebで完結しない問い合わせの数え方は同6章です。
月末に、受付記録(メール・CRM・電話のメモ)と突き合わせます。ずれたときは、受付記録が正です。 計測ツールの数字は、広告ブロックや tel: リンクを使わない発信で必ず取りこぼします。
順位ではなく、3つの数字をセットで見る
Search Console の検索パフォーマンスには4つの数字があります。このうち表示回数・掲載順位・CTR の3つは、常にセットで読みます。
| 数字の動き方 | 読み方 | 次の手 |
|---|---|---|
| 表示回数↑・掲載順位は横ばい | 新しい語で出始めた | どの語か見る(4章) |
| 表示回数は横ばい・掲載順位↑・クリック↑ | 効いている | そのまま続ける |
| 掲載順位↑・CTRは低いまま | タイトルと説明文が検索意図に合っていない | 6章でタイトルを直す |
| 表示回数↑・CTR↓ | 客ではない語で出ている | 語を絞る(4章) |
| 3つとも動かない | まだ何も起きていない | 3ヶ月は待つ |
平均掲載順位という数字の性質を先に押さえてください。これは、表示された語すべての平均です。新しい語で50位に出始めると、平均掲載順位は「悪化」します。つまり平均掲載順位が下がったからといって、悪いとは言えません。 表示回数が同時に増えていれば、それは前進です。
順位チェックツールの数字は、検索する場所・履歴・端末で変わります。Search Console の数字は自社サイトの実測値なので、比較に使うならこちらです。
検索パフォーマンスは、絞ってから読む
全体の合計だけを見ていると、何が起きても「横ばい」に見えます。Search Console の検索パフォーマンスは、絞り方を変えると別の画面になります。 SEOの判断は、次の4つでほぼ足ります。
| 絞り方 | 何が分かるか | 見つかるもの |
|---|---|---|
| クエリ(検索された語) | どの語で出ているか | 客ではない語で表示回数だけが増えていないか(4章) |
| ページ | どのページが表示・クリックされているか | 直す価値のあるページ(7章)/1度も出ていないページ |
| デバイス | モバイルとPCで順位・CTRが違うか | モバイルだけ極端に悪いページ(表示の崩れ・速度。2章) |
| 検索での見え方 | 通常の検索結果か、それ以外の形式か | 構造化データが実際に使われているか(5章) |
絞り込みは重ねられます。 「ページ=/services/seo」かつ「クエリに『費用』を含む」で見れば、そのページが費用系の語でどう出ているかだけが残ります。直す対象を1つに決めるときは、ここまで絞ってから決めます。 全体の平均を見て決めた施策は、たいてい何にも当たりません。
もう1つ、比較の相手を「前の28日」ではなく「前年同期」にする場面があります。季節性のある商材(受験・引越し・年末調整・決算)は、前の28日と比べると毎年同じ月に「悪化」します。前年同期と並べれば、季節なのか自社の問題なのかが分かれます。
表示回数が0のページを数える
サイトマップに入っているのに、検索パフォーマンスのページ別に1行も出てこないURLは、検索結果に一度も出ていないページです。原因は2つに分かれ、行き先も違います。
| 原因 | 確かめ方 | 行き先 |
|---|---|---|
| インデックスされていない | URL検査で「登録済み」かを見る | 2章(点検)・5章(構造とURL) |
| 登録はされているが、誰も検索していない語しか扱っていない | その語で検索して、自社が何位にも出ないかを見る | 4章(語の選び方)・7章(統合・削除) |
後者は、記事を増やすほど静かに溜まります。 半年に1回、表示回数0のページを数えてください。数が増え続けているなら、直す対象はページではなく語の選び方です。
週次と月次で見る画面(3つだけ)
見る場所を増やすと続きません。3つに絞ります。
| 頻度 | 画面 | 見るもの | 時間 |
|---|---|---|---|
| 週1回 | Search Console 検索パフォーマンス(過去28日 vs 前の28日) | 表示回数・クリック数の増減/上位の語が入れ替わっていないか | 5分 |
| 週1回 | Search Console ページのインデックス登録 | 登録済みの数が減っていないか(減っていたら事故) | 2分 |
| 月1回 | GA4 キーイベント(月次・参照元別) | 問い合わせ件数と、その経路 | 15分 |
月1回だけ、Search Console の「生成AIパフォーマンス」を開きます。
毎日見ないもの:順位、PV、直帰率。日々揺れ、動いた理由は測れません。毎日見ると、動いていないのに何かを変えたくなります。
生成AIパフォーマンスレポートは、表示回数だけ
2026年6月に提供が始まり、8月31日に全サイトへ展開されました(Search Console の生成AIパフォーマンスレポート)。
見られるのは表示回数だけです。クリック数・CTR・平均掲載順位・検索された語は含まれません。
したがって、このレポートで判断できるのは「AI検索に出ているか/出ていないか」までです。ここに成果指標を置きません。 月1回開いて、表示回数が0でないことを確かめる。それ以上のことは、2026年9月時点ではできません(8章で詳しく扱います)。
数字が動かない期間の扱い
先に決めておかないと、3ヶ月目に「効かないからやめる」という話になります。当社の目安は、新しく記事を出す場合、検索に載り始めるまで3ヶ月、問い合わせが安定するまで6ヶ月です。既存ページの改善なら、1ヶ月で順位が動くこともあります。
だから、設定が終わった日を起点として記録します。 その日以前の数字とは比較しません(内部トラフィックを除外した日の前後で、数字の意味が変わるためです)。
よくある間違い5つ
1. 内部トラフィックのフィルタを作って「テスト」のままにする 除外の定義を作った時点で終わったつもりになります。直し方:データ設定 → データフィルタで、状態を「有効」に変える。変えた日をメモし、それ以前の数字とは比較しない。
2. データ保持を「2か月」のまま放置する 標準レポートは見えるので気づきません。直し方:管理 → データの保持 → 14か月に変更。過去にさかのぼっては戻らないので、気づいた日に変えます。
3. 目標を順位に置く 順位は自社の外にあり、日々揺れ、動いた理由も測れません。直し方:目標は月の問い合わせ件数に置き、順位は途中経過として、表示回数・CTRと3つセットで読む。
4. 平均掲載順位が下がったと慌てる 新しい語で出始めると、平均は必ず下がります。直し方:表示回数とセットで見る。表示回数が増えていれば前進です。判断は語ごとに見ます。
5. 問い合わせ件数を計測ツールの数字だけで数える 電話、紹介、迷惑メールに振り分けられたフォーム送信が漏れます。直し方:月末に受付記録と突き合わせ、受付記録を正とする。ツール側が少ないなら、計測が壊れていないかを確かめます。
この章の出口
手元に残っているべきものは3つです。
- 設定が終わった日付(比較の起点。これより前の数字は使わない)
- 見る画面3つと、その頻度を書いた1枚
- 目標にする1つの数字(月の問い合わせ件数)
ここまではすべて無料でできます。設置と設定で半日、実測を入れても1日で終わります。当社のサイト改善は、初回相談と改善方針の提案が無料、現状分析が20万円から、継続的な改善が月5万円からです(税別)。10項目を自分で付けてから相談すれば、頼む範囲が「×が付いた項目だけ」に絞れます。
数え方が決まったら、次は何の語で数えるかです。この章で開いた Search Console の検索パフォーマンスが、そのまま次の章の材料になります。
この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)
点検リスト:計測の土台(10項目)
| # | チェック項目 | 合格ライン |
|---|---|---|
| 1 | Search Console の所有権が確認済み | ドメインプロパティで「確認済み」/確認に使ったDNSレコード・ファイルを消していない |
| 2 | サイトマップが登録され、成功している | ステータス「成功」・エラー0 |
| 3 | GA4 が全ページで発火している | 主要5ページをリアルタイムで実測した |
| 4 | イベントデータの保持が14か月 | 「2か月」になっていない |
| 5 | 内部トラフィックのデータフィルタが有効 | 状態が「テスト」のままでない |
| 6 | 問い合わせ完了がキーイベントとして記録される | 自分でテスト送信して1件計上された |
| 7 | 電話・LINE・資料請求を分けて数えている | 入口ごとに別のキーイベントがある |
| 8 | GA4 と Search Console がリンクされている | リンク済み |
| 9 | 見る画面が3つ以内に決まっている | 画面名と頻度が紙に書いてある |
| 10 | 目標が「月の問い合わせ件数」になっている | 順位・PVを目標にしていない |
合格ライン=10項目中8つ以上。ただし 1・3・6 は必須です(この3つが×だと、何をやっても効果を判定できません。点数に関係なく、先にここを直します)。
更新日 2018年10月20日
