CHAPTER 04
GA4のコンバージョン設定|キーイベントと重複
この章で分かること
- 成果の取り方3通り(完了ページ・完了メッセージ・サーバー側)の選び分けと、壊れにくさの違い
- 重複計上の症状ごとの実装の直し方(設定を変えるのか、ページを作り直すのか)
- 1件の重みを自社の数字だけで決める手順と、重みを付けてはいけない場面
この章の目次(9)
- 1成果に印を付ける、とはどういうことか
- 2成果の取り方は3通り。壊れにくい順に選ぶ
- 3成果は3階層で持つ
- 4重複を潰す(症状別の直し方)
- 51件の重みを決める
- 6「1件の定義書」を1枚作る
- 7印を付けてはいけないもの
- 8よくある間違いを5つ
- 9この章の出口
コンバージョン(成果)の設計とは、「どのイベントに成果の印を付けるか」と「その1件をいくらとみなすか」を決める作業です。 設定そのものは10分で終わります。時間がかかるのは決めるほうで、ここを飛ばすと、数字は増えるのに判断は悪くなるという状態になります。 この章は、成果の取り方を3通りから選び、重複を実装で潰し、1件の重みを自社の数字で決めるための章です。
この章で分かること
- 成果の取り方3通り(完了ページ・完了メッセージ・サーバー側)の選び分けと、壊れにくさの違い
- 重複計上の症状ごとの実装の直し方(設定を変えるのか、ページを作り直すのか)
- 1件の重みを自社の数字だけで決める手順と、重みを付けてはいけない場面
入札に使う成果を何種類まで登録するか、媒体側の数え方の設定については、Web広告運用の教科書3章が扱います。この章は、その前段にある「GA4側の実装」に責任を持ちます。
SEOの教科書3章と広告3章は、どちらも「問い合わせを1件として数える設定」については合格ラインだけを置き、取り方の選び分けと重複の潰し方をこの章に送っています。そこから来た方は、この章だけで設定が終わります。
成果に印を付ける、とはどういうことか
GA4では、記録されているイベントのうち、数えたいものに印を付けることで成果になります(3章のとおり、GA4はすべてをイベントとして記録しています)。新しく何かを計測し始めるわけではありません。すでに記録されているイベントに、印を付けるだけです。
ここから2つのことが言えます。
- 記録されていないイベントには、印を付けられません。 先にイベントを作る必要があります(5章)
- 印を付けた日以降にしか、成果として数えられません。 さかのぼりません
この印の呼び名は変わります(以前は「コンバージョン」と呼ばれていたものが、現在は別の名称になっています)。最新は公式ヘルプで確認してください(探す言葉:「GA4 キーイベント 設定 コンバージョン」)。呼び名が変わっても、「数えたいイベントに印を付ける」という中身は変わっていません。
成果の取り方は3通り。壊れにくい順に選ぶ
同じ「フォームの送信」を数えるにも、取り方が3通りあります。壊れにくさが違うので、選べるなら上から選びます。
| 取り方 | 何を起点にするか | 壊れにくさ | 実装の手間 | 向く場合 |
|---|---|---|---|---|
| A 完了ページの表示 | /contact/thanks のような別アドレスのページが表示されたこと |
最も壊れにくい | 小(ページを1枚作るだけ) | 原則こちら |
| B 完了メッセージの表示 | 同じアドレスのまま「送信しました」と表示されたこと | 中(画面を作り直すと壊れる) | 中 | 完了ページを作れない場合 |
| C 送信が成立したときに送る | サーバー側で送信が成立したこと | 高いが、実装次第 | 大(開発が要る) | 送信の成立を厳密に数えたい場合 |
Aを選べるなら、Aにしてください。 完了ページを1枚作るだけで、以降の計測がほぼ壊れなくなります。しかも、広告媒体にも同じ方法で渡せます。
Bの弱点は、「送信しました」の出し方が変わると黙って止まることです。 サイトを少し直しただけで止まり、エラーは出ません。Bを使う場合は、8章の定期検査を必ず組んでください。
Cは、「ボタンは押されたが送信は失敗した」を除けます。 ただし開発が要るうえ、ブラウザ側で数えていないので、参照元の情報を別に渡す必要があります。中小企業のサイトで必要になる場面は多くありません。
完了ページは、フォームごとに分ける
Aを選ぶ場合の決めごとです。問い合わせ・採用応募・資料請求で、完了ページのアドレスを分けてください。
| 形 | 結果 |
|---|---|
すべてのフォームが /thanks に行く |
採用応募も資料請求も、問い合わせとして数えられる |
/contact/thanks・/recruit/thanks・/download/thanks に分ける |
出口ごとに数えられる。重みも分けられる |
分けられない事情がある場合は、送信時にフォームの種類をパラメータ(form_id)で渡します(3章の命名規則)。
成果は3階層で持つ
印を付けるものを全部同じ扱いにすると、レポートの合計が意味を失います。3つに分けてください。
| 階層 | 扱い | 例 | 印を付けるか |
|---|---|---|---|
| 主要(出口) | 毎月の判断に使う。1章で決めた出口 | 問い合わせフォームの送信完了 | 付ける |
| 副次 | 量は見るが、判断の主にはしない | 電話リンクのクリック、資料請求、LINE追加 | 付ける(主要と区別できる形で) |
| 記録のみ | 原因の切り分けに使う | フォームの表示、料金ページの閲覧 | 付けない |
「記録のみ」に印を付けないことが要点です。 印を付けると成果の合計に混ざり、「今月は成果50件」のような、中身の分からない数字ができあがります。
副次と主要を混ぜないために、レポートでは必ず内訳で見ます(9章)。合計だけを見る画面は作りません。
重複を潰す(症状別の直し方)
重複計上は、数字が実力より多く見えるので、誰も疑いません。 症状ごとに直し方が違います。
| 症状 | 原因 | 実装の直し方 |
|---|---|---|
| 完了画面を更新するたびに増える | 「ページの表示」を成果にしている | ①送信後に完了ページへ転送する作りにする ②送信のたびに変わる値(送信ID)を渡し、同じIDを重複とみなす ③完了ページに直接アクセスされたときは数えない条件を付ける |
| 常にきれいに2倍・3倍 | 同じタグが2か所に入っている | 片方を消す。誰がいつ入れたかを確かめてから消す(消したほうが本番だった、という事故を防ぐ) |
| 採用応募や資料請求が問い合わせに混ざる | 完了ページが共通 | 完了ページを分ける。分けられないなら form_id で分ける |
| 同じ人の複数回が全部数えられる | GA4は起きた回数を記録する | GA4側では寄せません。 台帳側、またはレポート側で寄せる |
最後の行は、重要なので補足します。「1人1回だけ数える」という設定は、広告媒体側にあることが多く、解析ツール側とは別です。(媒体ごとに仕様が違うため、最新は各媒体の公式ヘルプで確認してください。探す言葉:「コンバージョンのカウント方法 1回 毎回」)。
したがって、同じ数字を3か所(GA4・広告媒体・台帳)で見ると、寄せ方の違いだけでずれます。 これは壊れているのではありません。1章の設計シートの「重複の扱い」に、どこで寄せるかを書いておいてください。
重複を見つける方法は1つ
自分で1件送って、記録が1件かを見る。 これだけです。月次のレポートを眺めていても見つかりません(2章・工程3)。
1件の重みを決める
出口が複数ある会社では、すべての1件が同じ価値ではありません。 問い合わせ1件と資料請求1件を同じ1件として足すと、資料請求が増えただけで「成果が伸びた」ように見えます。
重みは、自社の数字だけで計算できます。 他社の相場は要りません。
1件の重み = その行動からの受注率 × 1件あたりの平均粗利
| 使う数字 | どこから取るか |
|---|---|
| 受注率 | 受付台帳と受注台帳(過去1年の実績) |
| 平均粗利 | 会計・請求書(売上ではなく粗利を推奨) |
正確である必要はありません。 重みの目的は金額を当てることではなく、出口どうしを比べられるようにすることです。桁が合っていれば足ります。
| 決めるときの注意 | 理由 |
|---|---|
| 粗利で計算する | 売上で置くと、原価の高い商材が過大評価される |
| 期の途中で変えない | 変えると前月と比較できなくなる。見直すのは年1回 |
| 変えた日を記録する | 数字に段差ができる。段差の理由を残す(12章) |
| 実績が無い出口には付けない | 推測で重みを付けると、推測に最適化される |
最後の行が重要です。 始めたばかりで受注実績が無い出口(新しく作ったLINE導線など)には、重みを付けないでください。根拠の無い重みは、根拠の無い判断を生みます。 3か月分の実績が溜まってから決めます。
ECのように金額がその場で確定する商売では、重みは推定ではなく実際の金額を渡せます。この場合は推定の話になりません。
「1件の定義書」を1枚作る
この章の成果物です。成果ごとに1行、次の欄を埋めます。
| 欄 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 名前 | イベント名(3章の命名規則) | form_submit(form_id=contact) |
| 階層 | 主要/副次/記録のみ | 主要 |
| 何が起きたら1件か | 1行 | 完了ページ /contact/thanks が表示されたとき |
| 取り方 | A/B/C | A(完了ページの表示) |
| 重複の扱い | どこで寄せるか | GA4は毎回。台帳で同一人物の同日重複を寄せる |
| 重み | 金額と根拠 | ◯円(受注率◯% × 平均粗利◯円。2026-09 算出) |
| 印を付けた日 | 日付 | 2026-09-20 |
| 担当 | 氏名 | ◯◯ |
この1枚が、9章のレポートと、10章の読み方と、12章の引き継ぎで、そのまま使われます。 作っておくと、担当が替わっても数字の意味が失われません。
印を付けてはいけないもの
| 印を付けないもの | 理由 |
|---|---|
| ページの表示(料金ページ・会社概要など) | 見た人と問い合わせる人は別人。成果に混ざると合計が無意味になる |
| 滞在時間・スクロール | 増えた理由が2通り以上ある(1章) |
| メールマガジンの開封 | 成果ではなく、経過 |
| 実績の無い新しい導線 | 重みを付けられない。3か月は記録のみで様子を見る |
成果の数を増やすと、成果の平均的な価値は下がります。 「先月より成果が増えた」が良い知らせでなくなるので、判断が鈍ります。
よくある間違いを5つ
「成果になりそうなものに、片っ端から印を付けた」 ——合計が意味を失い、増えても喜べなくなります。広告に渡すと、増やしやすい成果(価値の低いもの)に配信が寄ります(Web広告運用の教科書3章)。直し方:主要は出口だけ。副次は区別できる形にし、「記録のみ」には印を付けない。
「完了ページを共通の /thanks にしている」 ——採用応募も資料請求も、問い合わせとして数えられます。直し方:完了ページをフォームごとに分ける。分けられないなら form_id をパラメータで渡す。
「完了メッセージ方式(B)で組んだが、その後サイトを直した」 ——黙って止まります。エラーも出ません。直し方:Bを使う場合は、8章の定期検査(月1回の実送信)を必ず組む。可能ならAに作り替える。
「1件の重みを、なんとなく1万円にした」 ——根拠の無い重みで比べると、根拠の無い判断になります。直し方:受注率×平均粗利で計算する。実績が無いものには重みを付けず、記録のみにする。
「GA4と広告媒体と台帳で件数が違うので、どれかが壊れていると思った」 ——寄せ方(1回だけ/毎回)と、数える日付の取り方が違うだけのことがあります。直し方:どこで寄せるかを設計シートに書く。媒体との差の原因はWeb広告運用の教科書3章の6分類で仕分ける。
この章の出口
手元に残っているべきものは3つです。
- 1件の定義書(成果ごとに8欄)
- 実測の記録(1件送って1件だった、完了画面を更新しても増えなかった)
- 重みの算出根拠(受注率と平均粗利を、いつの実績から出したか)
何を数えるかが決まりました。次は、それをどう実装するかです。タグ管理ツール(GTM)を使うと、実装のたびに制作会社へ依頼する必要がなくなります。ただし、設計なしに使うと、誰も中身が分からない箱になります。
この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)
点検リスト:コンバージョンの設計(12項目)
| # | チェック項目 | 合格ライン |
|---|---|---|
| 1 | 主要な成果が、1章で決めた出口と一致している | 出口と主要成果が同じもの |
| 2 | 主要・副次・記録のみの3階層に分けてある | 一覧表がある |
| 3 | 「記録のみ」に印を付けていない | ページ表示・滞在・スクロールに印が付いていない |
| 4 | 成果の取り方(A/B/C)が決まっている | 定義書に書いてある |
| 5 | 完了ページがフォームごとに分かれている | 分かれている/form_id で分けている |
| 6 | 自分で1件送って、1件だけ記録された | 実測の日付が記録されている |
| 7 | 完了画面を2回更新しても件数が増えない | 実測した |
| 8 | 同じタグが二重に入っていない | 完了ページのソースで確認した |
| 9 | 重複をどこで寄せるかが決まっている | GA4・媒体・台帳のどれで寄せるかが書いてある |
| 10 | 重みの根拠が自社の数字である | 受注率×平均粗利。算出した月が書いてある |
| 11 | 実績の無い出口に重みを付けていない | 3か月未満のものは記録のみ |
| 12 | 1件の定義書がある | 成果ごとに8欄が埋まっている |
合格ライン=12項目中9以上。ただし 1・6・7 のどれかが×なら、点数に関係なく先に直します。
- 1が×:数えている成果と、判断したい成果が別物です。設定の前に1章へ戻ります
- 6が×:数えられていません
- 7が×:多く数えています。多い方向の故障は誰にも疑われないので、最も長く放置されます
6と7は、自分で1件送って完了画面を2回更新するだけで判定できます。5分です。
更新日 2018年10月20日
