株式会社COTSUBU

CHAPTER 03

GA4の仕組み|イベントとセッション

この章で分かること

  • GA4が持っているのはイベントとパラメータだけ、という構造と、イベントの4つの層
  • 名前の付け方の決めごと(あとから変えられない前提で決める)
  • セッションが切れる場面・参照元が書き換わる場面と、そこで数字が合わなくなる理由
この章の目次(10)
  1. 1GA4が持っているのは、イベントとパラメータだけ
  2. 2イベントは4つの層に分かれる
  3. 3パラメータは「登録しないとレポートに出ない」
  4. 4名前の付け方(あとから変えられない前提で決める)
  5. 5セッションはどこで切れるか
  6. 6参照元が書き換わる(自己参照とドメインまたぎ)
  7. 7数字が合わないとき、GA4側にある理由
  8. 8GA4でやらなくてよいこと
  9. 9よくある間違いを5つ
  10. 10この章の出口

GA4を「見方が難しいツール」だと思っていると、いつまでも使えません。難しいのは見方ではなく、データの持ち方が以前の解析ツールと違うことです。 GA4が持っているのは、イベント(何が起きたか)と、そこに付いたパラメータ(どんな条件で起きたか)だけです。ページも、購入も、問い合わせも、全部イベントです。 この章は、その仕組みと、名前の付け方、セッションが切れる場面、数字が合わなくなる理由を押さえるための章です。設定を足す前に、ここを読んでください。

この章で分かること

  • GA4が持っているのはイベントとパラメータだけ、という構造と、イベントの4つの層
  • 名前の付け方の決めごと(あとから変えられない前提で決める)
  • セッションが切れる場面・参照元が書き換わる場面と、そこで数字が合わなくなる理由

なお、Search Console と GA4 の役割分担、入れた直後に必ず変える設定の合格ラインは、SEOの教科書3章が扱っています。同じ表を2冊に書きません。 この章は、その先にある「GA4というツールの考え方」に絞ります。

GA4が持っているのは、イベントとパラメータだけ

以前の解析ツールは、「ページが見られた」を中心に組み立てられていました。GA4は違います。起きたことをすべて同じ形(イベント)で記録します。

この違いを飛ばして操作を覚えようとすると、必ず行き詰まります。画面の操作は、うまくいっている間は覚えられますが、思ったとおりの数字が出ないときに、どこを疑えばよいか分からないからです。仕組みを知っていれば、疑う場所は3つに絞れます。イベントが送られていないのか、パラメータが付いていないのか、レポートで使う登録をしていないのか。この3択に落とせるだけで、調べる時間が大幅に減ります。

そしてもうひとつ、仕組みを知っておくべき実務上の理由があります。画面は変わるが、仕組みは変わらないことです。メニューの位置や名称は、この数年でも何度も変わりました。そのたびに手順書を作り直していては追いつきません。イベントとパラメータという構造を理解していれば、画面がどう変わっても、探すべきものの名前が分かります。この本が画面の手順を書かず、探す言葉だけを添えているのは、この理由によります。

起きたこと GA4での扱い
ページが表示された イベント(どのページか、はパラメータ)
ファイルがダウンロードされた イベント(どのファイルか、はパラメータ)
フォームが送信された イベント(どのフォームか、はパラメータ)
商品が購入された イベント(金額・商品、はパラメータ)

つまり「イベント=動詞、パラメータ=その説明」です。この形が分かると、設定でやることは2つに減ります。

  1. どの動詞を記録するか(イベントを決める)
  2. その動詞に、どんな説明を付けるか(パラメータを決める)

4章のコンバージョン設計も、5章のGTM設計も、この2つを決める作業でしかありません。

イベントは4つの層に分かれる

自分で全部を作る必要はありません。GA4には、放っておいても集まるものがあります。

層 どこから来るか 自分で決めること 注意
1 自動で集まる タグを入れただけで記録される(ページの表示、初回訪問など) 無し 止められないものが多い
2 設定で増やせる 設定を有効にすると、追加で記録される(スクロール、外部リンクのクリック、ファイルのダウンロード、サイト内検索など) 有効にするかどうか 有効・無効の切り替えで、ある日から数字が変わる
3 名前が決まっているもの 用途ごとに名前と形が用意されている(購入、カート投入、ログインなど) 使うかどうか 決められた名前を使うと、既存のレポートに載る
4 自分で作るもの 自分で名前を決めて送る(問い合わせ完了、電話リンクのクリックなど) 名前・パラメータ・送る条件 この本の主戦場

この表は、自分の作業範囲を見極めるために使ってください。読む順番は、4の層から上に向かってです。まず自社が数えたいもの(1章の設計シートの出口と中間行動)を書き出し、それが3の層に用意された名前で足りるか、2の層を有効にするだけで済むか、と上へたどります。上から順に読むと、1と2の層の細かい挙動に時間を使ってしまい、肝心の4の層に着く前に力尽きます。

1の層に手を出す必要はまずありません。止められないものが多く、止める理由もないからです。中小企業が設計として悩むべきなのは、実質的に2の層を有効にするかどうかと、4の層で何を作るかの2点だけです。

2の層(設定で増やせるもの)は、事故の原因になりやすい場所です。 あとから有効にすると、その日を境にイベント数が増えます。増えたのは実態ではなく設定です。有効・無効を変えた日を必ず記録してください(12章)。

3の層は、決められた名前を使うかどうかが判断点です。ECのように用意された形がある領域では、決められた名前を使うと標準のレポートがそのまま使えます。一方、問い合わせのように自社固有のものは、4の層で自分で作ります。

層の名称と、どのイベントがどの層にあるかは変わることがあります。最新は公式ヘルプで確認してください(探す言葉:「GA4 自動収集イベント 拡張計測機能 推奨イベント」)。

パラメータは「登録しないとレポートに出ない」

ここが最初の落とし穴です。イベントにパラメータを付けて送っても、それだけではレポートの中で分けて見られません。 レポートで使うには、別途「このパラメータを項目として使う」という登録が要ります。

性質 内容 実務上の意味
登録が要る 送っただけでは、レポートの分類軸にならない 「送っているのに見られない」の原因の大半
上限がある 登録できる数に上限がある 思いつきで増やすと、後で本当に必要なものが登録できない
さかのぼらない 登録した日以降のデータにしか適用されない 気づいた日に登録する。過去は戻らない

上限があることが、設計が要る理由です。 「とりあえず全部パラメータにする」と、半年後に枠が足りなくなります。1章の設計シートに書いた出口と中間の行動で必要な分だけを登録してください。

登録の場所と上限の数は変わります(探す言葉:「GA4 カスタムディメンション 登録 上限」)。

名前の付け方(あとから変えられない前提で決める)

イベント名は、後から一括で変えられません。 名前を変えると、過去のデータと新しいデータが別物として並びます。だから最初に決めます。

決めごと 内容 理由
小文字のみ contact_submit(Contact_Submit にしない) 大文字と小文字は区別されます。 表記揺れが別イベントになる
単語は _ でつなぐ tel_click 読みやすさと、ツール間の互換
日本語を使わない shiryo_download 書き出し・連携で壊れることがある
動詞で終える form_submit・tel_click 「何が起きたか」が名前で分かる
数字・日付を名前に入れない contact_submit_202604 にしない 月が変わるたびに新しいイベントが増える
区別はパラメータで行う form_submit + パラメータ form_id=contact イベント名を増やさずに分けられる

最後の行が最も重要です。イベント名を増やすのではなく、パラメータで分けます。

悪い例 何が起きるか 良い例
contact_submit / saiyo_submit / shiryo_submit / lp_a_submit イベントが増え続け、合計を出すたびに足し算が要る form_submit + form_id(contact / saiyo / shiryo / lp_a)
tel_click_header / tel_click_footer 設置場所が増えるたびにイベントが増える tel_click + location(header / footer / floating)

「合計を見たいのか、分けて見たいのか」ではなく、「両方見たい」が普通です。 パラメータで分ければ、合計も内訳も出せます。イベント名で分けると、合計が出しにくくなります。

イベント名を増やすかパラメータで分けるかで迷ったら、迷った時点でパラメータです。判断の基準は単純で、「これは同じ種類の行動か」を自問してください。問い合わせフォームの送信も、採用応募フォームの送信も、資料請求フォームの送信も、読者の立場から見れば同じ「フォームを送った」という行動です。同じ行動なら、1つのイベント名にして、違いはパラメータで持たせます。

この判断を誤ると、被害は時間とともに大きくなります。たとえば、キャンペーンごとにイベント名を分けていくと、キャンペーンを打つたびにイベントが1つ増え、2年もすれば30を超えます。問い合わせの合計を出すには、その都度30個を選んで足し算します。毎月それをやるのは現実的ではないので、結局、誰も合計を見なくなります。出口の件数という、いちばん大事な数字が出せない状態です。

さらに厄介なのは、後から直せないことです。イベント名は一括で変えられないので、名前を統一した日から新旧が分断されます。過去2年分をさかのぼって直すことはできません。この章を設定の前に置いているのは、名前の決めごとだけは、やり直しが効かないからです。

セッションはどこで切れるか

GA4の「セッション(訪問の回)」は、一定時間操作が無いと終了します。 既定値は変更できますが、初期値のまま使っている会社がほとんどです。細かい挙動(日付をまたいだときの扱いなど)は仕様が変わりうるので、最新は公式ヘルプで確認してください(探す言葉:「GA4 セッション タイムアウト 定義」)。

実務で問題になるのは、切れてほしくないところで切れる場面です。

場面 何が起きるか 結果
外部の決済・予約サービスに移動して戻ってくる 別のサイトへの移動として扱われる 成果の参照元が、その外部サービスになる
問い合わせフォームだけ別ドメインのサービスを使っている 同上 広告から来た問い合わせが、広告の成果に見えなくなる
LINEやSNSのアプリ内ブラウザから開く 通常のブラウザと別の入れ物になる 同じ人が別人に見える
入力に時間がかかるフォーム 操作が無い時間が長いと切れる 送信が「直接訪問」として記録される

2行目が、中小企業のサイトで最も多い事故です。 外部のフォームサービスを使っていて、その設定をしていないと、問い合わせの参照元がすべて「そのフォームサービス」になります。 広告もSEOも、成果が0件に見えます。

参照元が書き換わる(自己参照とドメインまたぎ)

症状と対処を表にします。設定の名称は変わりますが、やることは2つだけです。

症状 原因 やること(探す言葉)
参照元に自社のドメインが並んでいる 自分のサイトから来たことになっている 参照元から自社ドメインを除外する(「参照元除外リスト」)
参照元に決済・予約・フォームのサービス名が並ぶ 別ドメインへの移動で切れている そのドメインを除外し、ドメインをまたぐ計測を設定する(「クロスドメイン測定 設定」)
広告から来たのに「直接」が多い 途中で参照元が失われている 上の2つを両方確認する
同じ人が別人に見える アプリ内ブラウザ、端末またぎ 仕組み上避けられない部分がある。台帳で補う(6章)

この表の使い方は、左端の症状から引くことです。原因や設定の名称を覚える必要はありません。参照元の一覧を開いて、そこに何が並んでいるかを見て、当てはまる行の右端の言葉で検索する——それだけです。設定の名称は変わりますが、症状は変わりません。だから左端から引ける形にしてあります。

4行目だけは性質が違います。上の3行は設定で直りますが、4行目は仕組み上そうなるもので、設定では直りません。直らないものを直そうとして時間を使わないために、あえて同じ表に入れてあります。直らないと確定させて、台帳で補う側に回してください。

「直接/ノーリファラー」が不自然に多いサイトは、まずここを疑ってください。 ブックマークや直接入力だけでこの比率にはなりません。

数字が合わないとき、GA4側にある理由

計測が正しく入っていても、画面に出る数字がぴったり合わないことがあります。壊れているとは限りません。 主な理由を並べます。

理由 何が起きているか どう扱うか
表示のしきい値 個人が特定されうる場合に、一部のデータが表示されないことがある 少数の内訳が消えることがある。合計との差として扱う
値の種類が多すぎる 値の種類が上限を超えると、まとめて「その他」に寄せられることがある パラメータに一意の値(URL全文・IDなど)を入れない
値が取得できなかった 「未設定」として記録される どの条件で取れていないかを調べる
保持期間を過ぎた 詳細な分析に使えるデータが残っていない 保持期間を最長にする(2章・工程8)
集計のタイミング 当日の数字は後から確定する 当日の数字で判断しない

最後の行は覚えておいてください。 当日や前日の数字は、後から増えることがあります。判断は週単位・月単位で行います(10章)。

そして、GA4の数字と広告媒体の数字が合わない理由は、GA4側ではなく媒体側の数え方にあることが大半です。これは7章で扱います。

GA4でやらなくてよいこと

設定は、足すほど壊れやすくなります。次のものは、多くの中小企業では要りません。

やらなくてよいこと 理由
ページごとの細かいスクロール計測 判断が変わらない。件数が動かない
全てのボタンのクリック計測 上限を食う。見る人がいない
1つの会社で複数のプロパティを並行運用 数字が分かれ、どちらが正か決まらない
見る予定のないパラメータの登録 上限があるため、本当に必要なときに登録できなくなる

判断が変わらない数字は、取らない。 これが設計の原則です。1章の設計シートに無いものは、原則として取りません。

よくある間違いを5つ

「イベント名を、キャンペーンやページごとに分けて作った」 ——イベントが増え続け、合計を出すたびに足し算が要ります。上限にも近づきます。直し方:イベント名は行動の種類だけにし、区別はパラメータ(form_id・location)で行う。

「パラメータを送っているのに、レポートで分けられない」 ——送ることと、レポートの項目として使えることは別です。直し方:項目としての登録を行う。登録した日以降のデータにしか効かないので、気づいた日にやる。

「参照元に自社のドメインや決済サービスが並んでいるが、そういうものだと思っていた」 ——参照元が書き換わっています。この状態では、広告もSEOも成果0件に見えます。 直し方:参照元の除外と、ドメインをまたぐ計測の設定を行い、設定後に自分で1件送って確かめる。

「昨日の数字が今日見たら変わっていたので、壊れていると思った」 ——当日・前日の数字は後から確定します。直し方:判断は週単位・月単位で行う。日次は監視(0件になっていないか)にだけ使う。

「拡張の計測を全部オンにして、取れるものは全部取った」 ——上限を食い、見る人のいないイベントが並びます。しかも、オンにした日から数字が変わるので、過去との比較ができなくなります。直し方:1章の設計シートにあるものだけをオンにする。変更した日を記録する。

この章の出口

手元に残っているべきものは3つです。

  1. 命名規則を書いた1枚(イベント名の付け方・パラメータで分ける方針)
  2. 登録したパラメータの一覧(何を、いつ登録したか)
  3. 参照元の設定を確認した記録(自社ドメインの除外・ドメインまたぎ・実測の日付)

土台が分かったので、次は「何を成果として印を付けるか」です。ここを間違えると、数字は増えますが判断は悪くなります。

次の章へ:4章 GA4のコンバージョン設定|キーイベントと重複

この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)

点検リスト:GA4の土台(12項目)

設定を足す前に通します。 所要30分です。

# チェック項目 合格ライン
1 使っているプロパティが1つに決まっている 同じサイトで複数のプロパティを並行運用していない
2 イベント名の命名規則が紙に書いてある 小文字・_区切り・動詞で終わる・日付を入れない
3 イベント名に日付・キャンペーン名が入っていない 月ごとに増えるイベントが無い
4 区別はパラメータで行っている 同じ行動が複数のイベント名に分かれていない
5 レポートで使うパラメータが登録されている 出口と中間の行動に必要なものが登録済み
6 パラメータに一意の値を入れていない URL全文・注文番号などを分類軸にしていない
7 参照元から自社ドメインを除外している 参照元一覧に自社ドメインが並んでいない
8 外部サービスへの移動がある場合、設定済み 決済・予約・フォームのドメインをまたぐ計測を設定し、実測した
9 参照元「直接」の比率が不自然でない 直接が突出していない/理由を説明できる
10 拡張の計測で、オンにしたものが分かる 何をオンにし、いつ変えたかが記録されている
11 データの保持期間が最長になっている 初期値のままでない
12 設定変更の履歴を残している 変えた日・内容・担当が1行ずつある

合格ライン=12項目中9以上。ただし 5・7・8 のどれかが×なら、点数に関係なく先に直します。

  • 5が×:送っているのに見られません。数えている意味がありません
  • 7・8が×:参照元が壊れます。 広告もSEOも、成果が自分のところに戻ってきません。どちらの施策が効いたかを永久に判定できなくなります

7と8は、自分で1件送って参照元を見れば判定できます。 設定自体は、いずれも管理画面の変更だけで終わります。

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更新日 2018年10月20日