株式会社COTSUBU
不動産DX

不動産会社のGA4設定と活用例|反響を数える初期設定と分析の型

宇田川 将也|12分
GA4Google Analytics不動産DXWeb分析反響分析

不動産会社のGA4活用は、問い合わせ・内見予約・査定依頼を「成果(キーイベント)」として数える設定から始めます。 成果を反響台帳と同じ定義にそろえれば、どの検索・広告・ページから反響が来たかを比べられるようになり、サイト改善の順番が決まります。

GA4とは何か

Google Analytics 4(GA4)は、Googleが提供するWebサイト分析ツールです。自社サイトに来た人が、どこから来て、どのページを見て、問い合わせに至ったかを記録できます。

不動産会社にとってGA4は「自社サイトの反響を増やすための道具」です。ただし、GA4が見ているのは自社サイトの中で起きたことだけです。ポータルからの反響、電話、来店はそのままでは入りません。この前提を外すと、数字の読み方を誤ります。

GA4の仕組み(イベントとパラメータ、名前の付け方)は教科書「GA4の土台」に、成果の決め方は教科書「コンバージョンの設計」にまとめています。この記事では不動産会社に固有の話を書きます。

不動産会社が見るべき基本指標

指標 意味 不動産での活用
ユーザー数 サイトに訪問した人数 集客力の把握
セッション数 訪問回数(1人が複数回訪問もカウント) 物件を何度も見に来る人がいるか
表示回数 見られたページ数 よく見られる物件・エリアの把握
エンゲージメント率 一定以上の関わりがあった訪問の割合 ページ同士の比較に使う
キーイベント(成果)の数 問い合わせ・内見予約・査定依頼の件数 成果の把握

滞在時間やエンゲージメント率は、上がった理由が1つに決まりません。判断の中心は成果の件数に置き、滞在時間は比較の補助にとどめます。

業態によって「成果」が変わる

業態 成果にするもの 成果にしないもの 注意点
賃貸仲介 物件の問い合わせ、内見・来店予約、LINEの追加 物件詳細ページの閲覧 ポータル経由の反響はGA4に出ない
賃貸管理 オーナーからの管理の相談 入居者の修繕依頼・退去連絡のフォーム 反響ではない送信が混ざると件数が膨らむ
売買仲介 査定依頼、売却相談、物件の問い合わせ 相場ページの閲覧 査定フォームが外部サービスのことが多い
買取再販 買取の相談、電話 事例ページの閲覧 電話が中心なら、電話の数え方を先に決める
投資用販売 資料請求、セミナー申込 物件資料のダウンロードの一部 資料だけ欲しい人と相談したい人を分けて数える

成果の数を増やすと、成果1件の意味が薄くなります。 反響台帳に1件として載るものだけを成果にするのが、線の引き方です。

不動産サイトのGA4設定手順

GA4の設定は、次の順番で進めます。画面の名前や場所はGoogleの更新で変わることがあるので、操作は公式ヘルプで確認してください(2026年10月確認)。

順番 やること 確認すること
1 成果として数えるものを1枚に書き出す 反響台帳に1件として載るものと同じか
2 GA4のプロパティを作り、タグ(またはGoogleタグマネージャー)を全ページに入れる 物件詳細・物件検索・フォームのページにも入っているか
3 問い合わせ・内見予約・査定依頼・電話タップ・LINE追加をイベントで記録する イベント名を増やしすぎていないか
4 記録したイベントを「キーイベント」に登録する 修繕依頼など反響でない送信が混ざっていないか
5 外部の物件検索・査定フォームの計測を確認する 参照元が外部サービスの名前に書き換わっていないか
6 社内のアクセスを除外し、データの保持期間を確認する 社員の閲覧が混ざっていないか
7 Search Console・Google広告とリンクする 検索語句と広告の成果がGA4で見えるか
8 自分で1件ずつテスト送信し、記録を確かめる 送った日と件数を書き残したか

手順1が一番大事です。ここを飛ばして設定から始めると、「何が成果か」が担当者ごとに違ったまま数字だけが溜まります。考え方は教科書「何を数えるか」にまとめています。

GA4の初期設定で必ずやるべきこと

1. 成果(キーイベント)の設定

  • 問い合わせフォームの送信: 自社サイトの完了ページの表示で取る
  • 電話ボタンのタップ: tel:リンクのタップを記録する(実際に話したかは別。電話の件数は台帳で数える)
  • LINE友だち追加: 追加ボタンのタップを記録する
  • 査定依頼・内見予約: フォームごとに分けず、同じ名前のイベントにしてパラメータで種類を分ける

2. 外部の物件検索・査定フォームの確認

不動産サイトでは、物件検索や査定フォームを別の会社のサービスで動かしていることがよくあります。この場合、何もしないと問い合わせが記録されないか、参照元がそのサービスの名前に書き換わります。 提供会社に、送信後に自社サイトの完了ページへ戻せるか、GA4のタグを入れられるかを確認します。設定した後は、自分で1件送って参照元まで確かめます(教科書「フォーム・電話・LINEの計測」)。

3. Google Search Consoleとの連携

GA4とSearch Consoleを連携すると、どんな語で検索されて自社サイトに来たかを、サイト内の行動と並べて見られます。検索で狙う語の決め方は不動産SEO対策の進め方にまとめています。

4. 内部トラフィックの除外

社員が物件ページを確認するアクセスは多いので、社内のアクセスは除外します。テスト送信も成果に混ざらないように、送った日と件数を記録しておきます。

失敗例:キャンペーンごとにイベント名を分ける

広告を多く出している会社ほど起きやすい、よくある形の失敗です。

  • 起きること: キャンペーンを打つたびに問い合わせのイベントを1つ増やしていくと、2年もすれば30を超える。問い合わせの合計を出すには毎回30個を選んで足す必要があり、結局、誰も合計を見なくなる
  • なぜ: キャンペーンの違いをイベント名で表そうとするから。区別はパラメータ(どのページ・どのフォームか)で持つべきもの
  • どうすればよいか: 問い合わせのイベント名は1つに固定し、種類や物件の区別はパラメータで持つ。名前の付け方を最初に1枚に書いて、代理店や制作会社が替わっても守る

不動産会社向けの分析

分析1:流入経路の分析

流入経路 内容 見るときの判断
Organic Search Google検索からの流入 物件名・自社名以外の語から成果が出ているか
Paid Search リスティング広告からの流入 広告の管理画面の件数と月1回突き合わせる
Direct URLの直接入力、ブックマーク 物件を何度も見に来る人。多くても施策とは限らない
Social SNSからの流入 プロフィールのリンクにUTMを付けないと他と混ざる
Referral 他サイトからのリンク ポータルの物件ページから自社サイトに来た人がいるか

分析2:よく見られる物件ページの把握

物件詳細ページの表示回数を並べ、よく見られているのに問い合わせが少ない物件を探します。

  • よく見られているが問い合わせが少ない → 写真・賃料以外の情報(初期費用、入居可能日)を見直す
  • ほとんど見られていない → 一覧からの導線や、エリアページからのリンクを見直す

分析3:離脱の多いページの特定

  • 物件一覧で離脱が多い → 絞り込みの条件、並び順、写真を見直す
  • 問い合わせフォームで離脱が多い → 必須項目を減らす
  • 募集終了の物件ページに来た人が離脱している → 同じ建物・エリアの物件への誘導を置く

分析4:デバイス別の分析

スマートフォンとPCの割合は、業態やサイトによって違います。自社の割合を見たうえで、スマートフォンの成果の割合がPCより極端に低いなら、スマートフォンの画面で物件検索やフォームが使いにくい可能性があります。

GA4・Search Console・ポータル管理画面の比較

不動産会社が見る数字の出どころは、GA4だけではありません。それぞれが見ている範囲が違うので、比べてよいもの・比べてはいけないものを分けておきます。

道具 見ている範囲 分かること 分からないこと
GA4 自社サイトに来た後 流入経路、見られたページ、サイトからの問い合わせ 検索結果で見られたがクリックされなかった回数、電話・来店
Google Search Console Google検索の結果画面 表示回数、クリック数、平均順位、検索語句 サイトに来た後の行動
ポータルの管理画面 ポータルの中 物件ごとの閲覧数・反響数 自社サイトとの重なり
広告の管理画面 広告の表示とクリック 広告費、クリック単価、広告側の成果 広告以外の経路
反響台帳 すべての反響 経路別の反響数・来店・契約 サイト内の行動

最終的な判断は反響台帳、経路やページの比較はGA4、検索での見え方はSearch Consoleと役割を分けます。ポータルの費用対効果を比べるときは、SUUMO・HOME'Sの費用対効果を正しく測る方法のように、台帳の契約数まで含めて比べます。

不動産会社のGA4活用例(典型的な3つの型)

ここで挙げるのは、特定の会社の実績ではなく、不動産会社でよくある使い方の型です。

型 見る数字 分かったことの例 打つ手
1 物件ページの見直し 物件詳細ページの表示回数と問い合わせ数 よく見られているのに問い合わせが少ない物件がある 初期費用・入居可能日・写真を足す
2 集客経路の比較 流入経路ごとのキーイベント数 自然検索は売却相談、広告は賃貸の問い合わせが多い 広告は賃貸に寄せ、売却はSEOのページを厚くする
3 フォームの改善 フォームページの表示数と送信数 スマートフォンでの送信が少ない 必須項目を減らし、電話・LINEの入口を並べる

どの型も、直す前と直した後を同じ期間で比べるところまでが1回分です。直した日を記録しておかないと、数字が動いても理由が分かりません。

反響を増やすためのサイト改善

改善1:ファーストビューの最適化

トップページの最初に見える部分で「このサイトで物件を探せる」「売却の相談ができる」と分かるようにします。物件検索と、業態ごとの入口(借りる・買う・売る・管理を任せる)を並べます。

改善2:問い合わせフォームの簡素化

必須項目は、お名前、連絡先(メールか電話のどちらか)、お問い合わせ内容の程度に絞ります。詳しいヒアリングは初回の連絡で行えば足ります。

改善3:ページ速度の改善

物件写真が多いページは重くなりがちです。どれだけ離脱に影響するかはサイトと端末で変わるので、PageSpeed Insightsで速度を確認し、写真の圧縮から手を付けます。

数字の読み方:台帳と突き合わせる

GA4の問い合わせ件数と、社内の反響台帳の件数は合いません。電話・来店・ポータル経由の反響はGA4に入らず、GA4側も取りこぼしがあるためです。判断は反響台帳の件数で行い、GA4は経路やページの比較に使います。 月に1回、両者を並べて差の理由を書き残してください(教科書「数字の読み方」)。

GA4の設定を外注するときの確認点

GA4の設定は、ホームページ制作会社、広告代理店、Googleの認定パートナー企業などに頼めます。頼む前に、次を確認してください。

確認すること なぜ確認するか
成果として何を数えるかを一緒に決めてくれるか タグを入れるだけでは、反響台帳と合わない数字が溜まる
外部の物件検索・査定フォームまで計測できるか 不動産サイトで一番取りこぼしが起きる場所
イベント名と設定の一覧を納品物として残すか 担当や会社が替わったときに引き継げる
GA4の管理者権限を自社が持てるか 外注先が抜けると誰も設定を触れなくなる
月1回、反響台帳と突き合わせる運用まで見るか 設定した後の読み方で差が出る

GA4のアカウントの持ち主は自社にしておきます。 外注先のアカウントで作られていると、契約を終えたときにデータごと失うことがあります。

まとめ

  • GA4が見ているのは自社サイトの中だけ。ポータル・電話・来店は台帳で数える
  • 成果は反響台帳に載るものだけにし、業態ごとに線を引く
  • 外部の物件検索・査定フォームは、参照元が消えていないか確認する
  • イベント名は増やさず、区別はパラメータで持つ

まずはGA4で成果として数えているイベントの一覧を出し、反響台帳と同じものを数えているかを確認してください。計測の設計から任せたい場合はアクセス解析の支援もご覧ください。


関連リンク

よくある質問

不動産会社のGA4では、何を成果(コンバージョン)にすればよいですか

反響台帳に1件として載るもの、つまり物件の問い合わせ・内見予約・査定依頼・電話・LINEの追加などに絞ります。物件詳細ページの閲覧や滞在時間は、見た人と問い合わせる人が別なので成果にしません。入居者の修繕依頼のように反響ではない送信も分けて数えます。

物件検索や査定フォームが別のサービスで動いている場合、GA4で測れますか

そのままでは、問い合わせが記録されないか、参照元がそのサービスに書き換わることがあります。提供会社に、送信完了後に自社サイトの完了ページへ戻せるか、GA4のタグを設置できるかを確認し、設定後は自分で1件送って参照元まで確かめます。

GA4の問い合わせ件数と、社内で数えた反響数が合いません

合わないのが普通です。電話や来店、ポータル経由の反響はGA4に入らず、GA4側も同意の状況や設定で取りこぼしがあります。判断は反響台帳の件数で行い、GA4は経路やページの比較に使い、月に1回両者を突き合わせて差の理由を書き残します。

不動産会社のGA4設定は、最初に何から始めればいいですか

成果として数えるもの(問い合わせ・内見予約・査定依頼・電話・LINE)を1枚に書き出すことから始めます。次に、その送信を完了ページかイベントで記録し、キーイベントに登録します。最後に社内のアクセスを除外し、自分で1件テスト送信して記録されるかを確かめます。

GA4の設定を外注するとき、何を確認すればいいですか

成果として何を数えるかを一緒に決めてくれるか、外部の物件検索や査定フォームまで計測できるか、イベント名の一覧を納品物として残してくれるかを確認します。Googleの認定パートナーかどうかより、反響台帳と突き合わせる運用まで面倒を見てくれるかが大事です。

宇田川 将也/ 代表取締役

2024年に総務省の地域活性化起業人として島根県海士町に着任。役場に住み込んで業務改善に従事し、kintoneで電子決裁や定期健診管理を構築しました。

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