株式会社COTSUBU
不動産DX

不動産リスティング広告の始め方と費用相場|Google広告で反響を増やす方法

宇田川 将也|7分
リスティング広告Google広告不動産集客Web広告不動産DX

ポータルサイト依存から脱却する選択肢

不動産会社の集客は、SUUMOやHOME'Sなどのポータルサイトに依存しがちです。ポータルでは競合他社と横並びで比較されるため、条件の比較だけで選ばれやすいという課題があります。

リスティング広告(Google広告)は、検索した人を自社サイトに直接連れてくる方法です。ポータルの代わりというより、ポータルでは取りにくい反響(売却相談、管理の相談、自社名での検索)を取りに行く道具と考えると判断を誤りません。

リスティング広告の基本的な仕組み

リスティング広告は、Googleの検索結果に表示される広告です。ユーザーが特定の語で検索したときに表示され、クリックされたときに費用が発生します。

クリック単価は、同じ語でも地域・時期・競合の数で変わり、一律の相場はありません。配信前にGoogle広告のキーワードプランナーで自社の地域・語の推定を見るのが、いちばん当てになる目安です。

業態によって何が変わるか

業態 狙う検索の例 着地先 反響1件の価値
賃貸仲介 駅名×間取り×条件 条件で絞った物件一覧 1件の価値は相対的に小さく、ポータルとの競合が強い
賃貸管理 地域×管理会社、管理会社 変更 オーナー向けの管理サービスのページ 件数は少ないが、管理戸数につながる
売買仲介 地域×売却・査定 売却相談・査定のページ 1件の価値が大きい。査定フォームの設計が重要
買取再販 地域×買取、相続した家 売却 買取の流れと事例のページ 急いでいる売主が多い。電話の受け方が成果を分ける
投資用販売 物件種別×投資 物件・セミナーのページ 審査ポリシーや表示の確認が他業態より多い

賃貸と売買を両方扱う会社は、キャンペーンを必ず分けます。 反響1件の価値が違うものを1つの予算で回すと、クリックの安い賃貸の語に予算が吸われます。

リスティング広告を始める手順

手順1:計測を先に入れる

成果を数える設定が入るまでは、配信しません。 何を1件と数えるか(フォーム送信、電話、LINEの追加など)を決め、テスト送信で数えられることを確かめてから始めます。当社は不動産事業の広告運用(月予算200万円規模)を担当してきましたが、後から計測を直すほど、過去の数字と比べられなくなる手間が大きくなります。計測の設計は教科書「広告の計測」にまとめています。

手順2:予算を逆算する

予算は相場からではなく、自社の台帳の数字から決めます。

反響1件にかけてよい額 = 成約1件の粗利 × 反響から成約する割合(自社の実績)× 広告に回してよい割合

反響台帳に「反響から成約した割合」がない場合は、先に台帳を整えます。この数字がないまま広告を始めると、高いか安いかを誰も判断できません。

手順3:キーワードと除外を決める

  • 地域名を必ず含める: 「賃貸マンション」だけでは広すぎる
  • 業態ごとに語を分ける: 賃貸・売買・管理の語を同じ広告グループに混ぜない
  • 自社名の検索は別のキャンペーンに: 指名検索の数字が混ざると、他の語の良し悪しが見えなくなる
  • 除外キーワードを最初から入れる: 求人、賃貸のキャンペーンでの「売買」「分譲」など

除外の作り方と、配信後に検索語句を精査する手順は教科書「除外の設計」を参照してください。

手順4:広告文と着地先を揃える

  • 見出しに地域名と物件種別・業務を入れる
  • 検索した語と、着地先のページの中身を一致させる(「◯◯区 売却」ならトップページではなく売却相談のページ)
  • 問い合わせフォームは必須項目を最小限にし、電話とLINEも選べるようにする

「物件数◯件以上」「仲介手数料半額」のような表現は、Google広告の審査とは別に、不動産の広告表示のルールや景品表示法が関係します。使う前に不動産公正取引協議会連合会の公正競争規約や所属団体、顧問の宅建士・弁護士で確認してください。

手順5:効果測定と改善

指標 見る場所 悪いときの判断
クリック率 広告の管理画面 広告文と検索語がずれている。広告文を直す
成果の件数・単価 広告の管理画面 着地先・フォーム・電話の受け方を先に疑う
反響の中身 反響台帳 件数はあっても冷やかしが多いなら、語と除外を見直す
成約 反響台帳 広告経由の成約を月ごとに数え、予算の増減を決める

広告の管理画面の件数と社内の台帳の件数はずれるのが普通です。判断は台帳の件数で行い、ずれは月に1回突き合わせます。 着地先の直し方は教科書「受け皿」にまとめています。

費用の内訳と予算の考え方

費用 中身 確認すること
広告費 Googleに払うクリックの費用 上の逆算で決める
運用手数料 代理店に払う費用 何に対する何%か、最低額があるか。最新は各社で確認
着地先の制作 売却相談のページなど 既存ページの手直しで足りるか
計測の設定 タグ・電話の計測など 誰の名義のアカウントに入れるか

最初は主力の1業態・1エリアの語に絞って少額で始め、台帳の数字で反響1件の単価が見えてから広げます。

自社運用と代理店委託の比較

項目 自社運用 代理店委託
費用 広告費のみ 広告費+運用手数料
専門知識 必要 代理店が持つ
対応スピード 即座に変更可能 依頼→対応のラグがある
ノウハウ蓄積 社内に蓄積される 代理店に依存しやすい

どちらを選んでも、広告アカウントと計測のアカウントは自社名義で持ちます。 代理店を替えたときに、過去の履歴ごと失わないためです。発注前に確認することは教科書「費用と発注」にまとめています。

失敗例:賃貸と売買を1つにまとめた不動産会社

賃貸と売買を両方扱う、従業員20名ほどの不動産会社で起こりがちな失敗です。

  • 起きたこと: 1つのキャンペーンに賃貸と売却の語を入れて配信した。クリック数と成果の件数は増えたが、売却の相談はほとんど来なかった
  • なぜ: 自動入札が、件数を取りやすい賃貸の語に予算を寄せた。成果も「問い合わせ」1種類で数えていたので、賃貸の1件と売却の1件が同じ扱いだった
  • どうすればよかったか: 賃貸と売買でキャンペーンと予算を分け、成果も業態ごとに分けて数える。売却相談の件数は台帳で別に集計する

よくある失敗パターン

  • 語が広すぎる: 「不動産」だけで出稿し、関係のないクリックが増える
  • 着地先がトップページ: 検索した内容と合わず、すぐ離脱される
  • 計測をしていない: 成果の設定をせずに配信を始める
  • 一度設定して放置: 繁忙期や競合の動きに対応できない

まとめ

  • 計測が入るまで配信せず、予算は台帳の数字から逆算する
  • 業態ごとに狙う語・着地先・反響の価値が違うので、キャンペーンを分ける
  • 広告表示のルールは、審査とは別に規約と専門家で確認する
  • 判断は広告の管理画面ではなく、反響台帳の件数で行う

まずは反響台帳で、業態ごとの「反響から成約した割合」を出すところから始めてください。運用を任せたい場合は広告運用の支援もご覧ください。


関連リンク

よくある質問

不動産のリスティング広告は月いくらから始められますか

少額から始めること自体はできます。ただしクリック単価は地域・語・時期で大きく違うため、一律の相場は言えません。キーワードプランナーで自社の語の推定を確認し、「反響1件にいくらまで出せるか」から逆算して予算を決めます。

賃貸と売買を両方扱っている場合、キャンペーンは分けるべきですか

分けます。反響1件の価値も、検索する人も、着地先のページも違うためです。同じキャンペーンに入れると、クリックの安い語に予算が寄り、価値の高い反響が取りにくくなります。

広告文に「仲介手数料半額」と書いてもよいですか

Google広告の審査とは別に、不動産の広告表示のルールや景品表示法が関係します。条件の書き方を含め、不動産公正取引協議会連合会の公正競争規約や所属団体、顧問の宅建士・弁護士に確認してから使ってください。

宇田川 将也/ 代表取締役

2024年に総務省の地域活性化起業人として島根県海士町に着任。役場に住み込んで業務改善に従事し、kintoneで電子決裁や定期健診管理を構築しました。

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