CHAPTER 10
広告のCVRを上げる|LPとフォームの直し方
この章で分かること
- 広告の数字が動かないとき、広告の中を疑う前に見る順番(着地先 → フォーム → 通知 → 返信の速さ)
- フォームのどこで人が落ちるか。削ってよい項目と削ってはいけない項目の分け方
- 電話・LINEの扱いと、問い合わせが来てから返すまでの速さを、自社の記録で測る方法
- 受け皿を直せないときに、広告の側だけで損を止める4つの手
この章の目次(10)
- 1受け皿を直すと、広告の数字が良くなる
- 2広告の中を疑う前に見る順番
- 3着地先:トップページに広告を当てない
- 4フォーム:必須項目を数える
- 5電話・LINE:数えていないものは改善できない
- 6追客:返す速さは、自社の記録で測れる
- 7直す順番:作り直さずに直す
- 8受け皿が直らないときの、広告側の打ち手
- 9よくある間違いを5つ
- 10この章の出口
同じ広告費で問い合わせ件数が変わる原因の多くは、広告アカウントの外側にあります。 着地先のページ、フォーム、電話の受け方、返信までの速さです。 ここが壊れていると、入札をどう直しても、除外をどれだけ足しても数字は動きません。 広告の設定は正しいのに成果が出ない、という状態のかなりの部分がこれです。 この章は、広告の外で失っているものを特定し、作り直さずに直す順番を決め、12項目の点検リストで受け皿の合否を出すための章です。
この章で分かること
- 広告の数字が動かないとき、広告の中を疑う前に見る順番(着地先 → フォーム → 通知 → 返信の速さ)
- フォームのどこで人が落ちるか。削ってよい項目と削ってはいけない項目の分け方
- 電話・LINEの扱いと、問い合わせが来てから返すまでの速さを、自社の記録で測る方法
- 受け皿を直せないときに、広告の側だけで損を止める4つの手
受け皿を直すと、広告の数字が良くなる
広告の費用は「見てもらう機会」に払っています(1章)。クリックされた時点で費用は発生済みで、その先で何人が問い合わせるかは受け皿が決めます。
だから受け皿の改善は、広告費を1円も増やさずにCPAを下げます。 計算で確かめられます。
現在のCPA = 広告費 ÷ 問い合わせ件数
受け皿を直して件数が1.2倍になったときのCPA = 現在のCPA ÷ 1.2
許容CPA 20,000円で、いまのCPAが 24,000円(=不合格)のアカウントでも、受け皿の改善で件数が1.2倍になれば 20,000円になり、合格ラインに乗ります。広告の設定は何も変えていません。
「広告費を増やすかどうか」の前に、必ずこちらを確かめてください。 広告費を1.2倍にすれば費用は1.2倍かかりますが、受け皿の改善は一度直せば以降ずっと効きます。
広告の中を疑う前に見る順番
数字が動かないとき、次の順で確かめます。上から順に、費用の捨て方が大きい順です。
| 順 | 見るところ | 壊れているときに起きること | 確かめ方 |
|---|---|---|---|
| 1 | 社内への通知 | 問い合わせが来ても誰も知らない。費用が全額捨て金 | 自分で1件送る(2章の工程1) |
| 2 | 着地先ページ | クリックはされるが、読まれずに戻られる | 自分の広告をクリックする。スマホでも |
| 3 | フォーム | ページは読まれたのに、送信まで届かない | 自分で最後まで入力する |
| 4 | 電話の受け方 | かかってきているのに取れていない | 着信履歴と、折り返した件数を数える |
| 5 | 返信までの速さ | 問い合わせは来ているが、受注にならない | 受付日時と初回返信日時を並べる |
1と3は自分で1件送るだけ、2は自分の広告を押すだけで確かめられます。合計30分で、費用はかかりません。
着地先:トップページに広告を当てない
点検リストの1(広告の着地先が専用ページかLPになっている)は必須項目です。会社概要を読みに来たわけではない人を、会社概要のページに送ることになるからです。
| 状態 | 起きること |
|---|---|
| コーポレートサイトのトップに当てている | 探しているものが最初の画面に無く、戻られる |
| サービス一覧ページに当てている | 選ばせる手間が増え、離脱する |
| 検索語と同じ見出しの専用ページに当てている | 合格 |
合格の判定は簡単です。打った検索語(またはバナーの訴求)が、着地先の最初の画面に出てくるか。 「◯◯市の△△工事」で出稿しているなら、最初の画面に「◯◯市」と「△△工事」が出ていることです。
当社も「LPがなくても始められますが、おすすめしません」と答えています。コーポレートサイトに広告を当てると成約率が大きく下がるためです。LPが用意できないなら、広告を出す前にLPを作るほうが先です。
スマホで見る(必須項目)
点検リストの3(スマホで見て崩れていない)も必須です。実機で見てください。 パソコンの画面を縮めた表示と、実機の見え方は違います。
- 文字が小さすぎて読めない
- ボタンが指で押しにくい位置・大きさ
- 電話番号が画像になっていてタップできない
- 最初の画面が画像だけで、何の会社か分からない
表示の速さも見ます。極端に遅いと、読まれる前に戻られます。計測ツールで測って自社の基準を決めてください(「◯秒以内」と決めて、直したら測り直す)。ここは体感ではなく数字で持つ項目です。
フォーム:必須項目を数える
フォームは、入力する項目が増えるほど、途中でやめる人が増えます。 まず自分で最後まで入力してください。面倒だと感じたら、それが答えです。
この本での結論は1行です。削るかどうかは、「その項目が無いと、最初の返信が書けないか」で判断する。 名前と連絡先は必須、問い合わせ内容は必須にしてよい。会社名は法人向けなら必須にしてよい。住所・予算・希望時期・従業員数・ふりがなは、最初の返信に要らないなら任意にするか削ります。
「営業がやりやすいから」は、フォームを重くしてよい理由になりません。 入力の手間は相手が払い、その結果落ちた人は二度と戻りません。聞きたいことは、返信の1通目で聞けます。
項目ごとの残す・削るの判断と、フォームを直しても件数が動かないときの切り分けは、ホームページ制作の教科書11章 ホームページの問い合わせを増やすにあります。受け皿の改善手順は2冊に書きません。
送信後も確かめます。
- 完了画面またはメッセージが出る(出ないと、送れたか分からず、二重送信か離脱になります)
- 自動返信メールが届く(迷惑メールフォルダに入らないか確認する)
- 社内に通知が届く(受信者は複数にする。1人だと、その人が休んだ日に止まります)
3つめが必須項目の8です。受信先が退職者のアドレスのままだった、という事故は実際にあります。 自分で1件送れば分かります。
電話・LINE:数えていないものは改善できない
電話が主導線の業種で、電話を数えていないアカウントは、広告の成果を過小評価しています。 問い合わせは来ているのに、管理画面上は「成果0」に見えるためです(3章)。
| 入口 | 決めること |
|---|---|
| 電話 | スマホでタップ発信できるか。番号が画像になっていないか |
| 受電できない時間 | 案内を出す(「◯時〜◯時、翌営業日に折り返します」)。または広告の配信時間を合わせる(6章) |
| 留守電・不在着信 | 折り返す担当と時間を決める。 折り返した件数を数える |
| LINE | 友だち追加のあと、誰がいつ返すかを決める。自動応答だけにしない |
「受電できない時間帯に広告を出し続けるかどうか」は、決めるべきことです。 出すなら、折り返しの目安をページに書く。書かずに取りこぼすのが最も損です。
数え方の定義も決めます。「電話タップ」は発信ボタンを押した数で、通話が成立した数ではありません(2章の工程2)。ずれることを前提に、社内の着信記録と突き合わせます。
追客:返す速さは、自社の記録で測れる
問い合わせが来てから返すまでの時間は、広告の外で最も直しやすく、最も見過ごされている項目です。
世の中には「◯分以内に返すと成約率が◯倍」といった数字が出回っていますが、この本では使いません(出典と条件が確かめられないため)。代わりに、自社の記録で測ってください。 必要な列は3つだけです。
| 列 | 中身 |
|---|---|
| 受付日時 | 問い合わせが届いた日時 |
| 初回返信日時 | こちらが最初に返した日時 |
| 結果 | 商談になったか、受注したか |
これを直近3ヶ月分並べれば、自社における「返すまでの時間」と「受注率」の関係が、自社の数字で出ます。 他社の平均は要りません。当日返した群と翌々日以降の群で受注率が変わるなら、それが自社の答えです。
そのうえで、当社の決めごとは「翌営業日までに返す体制があること」を、広告を出す前提条件に置くことです(1章の点検リストの7)。返す人と返す時間が決まっていない状態で広告を出すと、払った費用の多くが他社への送客になります。
1回返して終わりにしないことも決めておきます。1通目が届いていない(迷惑メール)、見落とされている、という理由で止まっている案件があります。何日後にもう一度連絡するかを決め、記録に残してください。
直す順番:作り直さずに直す
全面リニューアルは費用も期間もかかり、数字が上がる保証もありません。 原因が分からないまま作り直すと、良かった箇所まで失います。
直す順番は「フォーム → 導線 → 文言 → デザイン → 作り直し」です。 前にあるものほど、速くて、安くて、効き方が大きい。順番の理由・費用の目安・1つずつの直し方はホームページ制作の教科書11章にあります。
広告を出している側としてこの章で決めるのは、着手の締切です。通知先・自動返信・迷惑メール判定・電話のタップ発信・受電時間の案内は、今日・0円で終わります。 フォームの必須項目を削るのと、見出しを検索語に合わせるのは今週です。ここを飛ばして作り直しの見積を取るのが、最も遠回りです。
変更したら、日付を記録してください。 記録がないと、数字が動いたときに季節や広告の影響と区別がつきません。当社も「変更した日を記録し、下がった変更は戻します」としています。
受け皿が直らないときの、広告側の打ち手
受け皿の改善は、こちらの一存では進まないことがあります。サイトが他社の管理下にある、社内の決裁が要る、直せる担当がいない。 ここで「直るまで待つ」を選ぶと、待っている間ずっと広告費が捨てられます。
受け皿が×のまま、広告の側だけで損を止める手が4つあります。
| 受け皿の状態 | 広告側でできること | 引き換えに失うもの |
|---|---|---|
| 着地先がトップページしかない | 指名(社名・ブランド名)の検索に絞る。 探して来た人だけを拾う | 新規の獲得。ただし捨てていた費用も止まる |
| 受電できない時間帯がある | 配信時間を受電できる時間に合わせる(6章) | 時間外の表示。取れない電話に払う費用も止まる |
| フォームが重い/直せない | 電話を主導線にする。 番号を広告に出し、タップ発信で受ける | フォーム経由の件数。受電の体制が要る |
| スマホ表示が崩れていて直せない | PC・タブレットに配信を寄せる | スマホの母数。多くの業種で大半を失うので、これは最後の手 |
4つとも「広告を良くする手」ではありません。損を止める手です。 どれを選ぶ場合も、受け皿が直ったら戻すことと、いつ見直すかを先に書いてから実行してください。書かずに絞ると、そのまま何年も縮んだ配信が残ります。
そして、どれも当てはまらない状態が1つあります。 着地先が専用ページでもLPでもなく、指名の検索もほとんど無い(=まだ知られていない)場合です。このときは広告を止めて、先にLPを作るほうが安く済みます。 出稿を続けながらLPを作ると、作っている期間の広告費がそのまま損失になります。
よくある間違いを5つ
「クリックは増えているのに問い合わせが増えないので、広告を止めた」 ——止める前に、自分の広告をクリックしてください。着地先がずれている、スマホで崩れている、フォームが送れない、のどれかであることがよくあります。広告は正しく働いていて、受け皿だけが落としている状態です。 → 直し方:この章の「見る順番」を上から5つ確かめる。30分・0円で終わります。直す作業はホームページ制作の教科書11章の順番で。それでも原因が無ければ、除外(6章)と検索語句を見る。
「フォームの項目を増やして、質の高い問い合わせだけを集める」 ——質は上がるかもしれませんが、件数は確実に減ります。 そして減った分のうち、どれだけが本当の見込み客だったかは、永久に分かりません(送られなかった問い合わせは記録に残らないため)。 → 直し方:聞きたいことは、返信の1通目で聞く。 フォームの必須は「最初の返信が書けるか」で決める。どうしても事前に聞きたい項目は任意にする。
「自動返信メールを設定したので大丈夫」 ——届いていないことがあります。迷惑メールに振り分けられる、送信ドメインの設定で弾かれる。相手には「送れなかった」ように見えます。 → 直し方:自分の個人アドレス(会社以外のドメイン)宛にテスト送信し、受信箱に届くか確認する。 社内通知も同様に、複数の受信者で確認する。
「問い合わせが来たら、営業担当が見て順次対応している」 ——「順次」は時間が決まっていません。忙しい週に3日空きます。しかも誰がいつ返したかの記録が無いので、遅れていることに誰も気づけません。 → 直し方:返す人と、返す期限(翌営業日まで)を決めて書く。 受付日時・初回返信日時・結果の3列を記録し、月次で見る(9章)。
「効果が出ないので、LPを作り直す」 ——どこで落ちているかを特定しないまま作り直すと、うまくいっていた箇所まで変わります。しかも比較できません。 → 直し方:落ちている箇所を先に特定する。 どこまでスクロールされ、どのボタンで止まり、フォームの何項目目で離脱したかを計測してから着手する。当社のLPO・CVR改善は現状調査・離脱分析が無料で、計測・ヒートマップの設置が10万円から、継続改善が月10万円から、ページの改修(単発)が40万円からです(税別)。構成そのものに無理がある場合は、その時点で作り直しを提案します。
この章の出口
手元に残っているべきものは4つです。
- 12項目の○×が付いた表(日付入り。サイトを改修したら付け直す)
- 自分で1件送ってみた記録(通知・自動返信・完了画面の3つが○だったか)
- 受付日時・初回返信日時・結果の3列の記録(直近3ヶ月分。返す速さを自社の数字で持つ)
- 直した日の記録(下がった変更を戻せるようにするため)
受け皿の点検は、広告の点検(2章)より先にやっても構いません。 費用がかからず、今日終わり、直した効果は広告の数字にそのまま乗ります。
ここまでで、広告の中と外がそろいました。最後にもう1つ、中でも外でもない領域があります。出したくても出せない、という問題です。
この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)
点検リスト:受け皿(12項目)
広告を出す前に1回、そのあとはサイトを改修するたびに付けてください。
| # | チェック項目 | 合格の状態 |
|---|---|---|
| 1 | 広告の着地先が専用ページかLPになっている | トップページ直撃ではない |
| 2 | 打った検索語が、最初の画面に出てくる | 見出しと検索語が一致している |
| 3 | スマホで見て崩れていない | 実機で確認した |
| 4 | 表示が極端に遅くない | 計測ツールで測り、基準を決めてある |
| 5 | フォームの必須項目を数えた | 必須が必要最小限に絞られている |
| 6 | フォーム送信後に完了が分かる | 完了画面またはメッセージが出る |
| 7 | 自動返信メールが届く | 迷惑メールに入らないか確認した |
| 8 | 社内に通知が届く | 実際に届くことを確認した(受信者が複数) |
| 9 | 電話番号が押せる状態になっている | スマホでタップ発信できる |
| 10 | 受電できない時間の案内がある | 折り返しの目安が書いてある |
| 11 | 翌営業日までに返す体制がある | 返す人と時間が決まっている |
| 12 | 離脱箇所を計測している | どこで落ちているかを数字で見た |
合格ライン=12項目中9つ以上。ただし 1・3・8 は必須です。 1が×なら、来た人が探しているものに行き着きません。3が×なら、スマホから来た人をまとめて失います。8が×なら、問い合わせが来ていること自体を誰も知らないので、広告費が全額捨て金になります。点数に関係なく、この3つが×の状態で広告を出してはいけません(1章の点検リストの6・8と同じ趣旨です)。
5〜11 は、ほとんどが今日・0円で直せる項目です。12 だけは計測の設置が要るので、後回しで構いません。
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