CHAPTER 11
ホームページの問い合わせを増やす
この章で分かること
- 公開後に数える数字と、見なくてよい数字(順位・PV・直帰率をどう扱うか)
- 直す順番が「フォーム → 導線 → 文言 → デザイン」である理由と、1つずつの直し方
- 直しても数字が動かない3つの場合と、改善を頼むときに渡すと見積もりが小さくなるもの
この章の目次(8)
- 1いつから見るか:30日は見ない、判断は90日
- 2数えるのは3つだけ
- 3直す順番は「フォーム → 導線 → 文言 → デザイン」
- 4直しても数字が動かない場合
- 5作り直す前に直す
- 6自分で直すもの/頼むもの
- 7よくある間違いを5つ
- 8この章の出口
公開後に数えるのは、アクセス数ではありません。問い合わせ件数を、入口ごとに、月単位で数えることだけが出発点です。 ここが数えられていないサイトでは、何を直しても効果が判定できません。「なんとなく良くなった気がする」で終わり、2年後にまた「古いから作り直したい」という話が出ます。 この章は、見る数字を3つに絞り、フォーム → 導線 → 文言 → デザインの順で直し、作り直す前に直して済ませるための章です。
この章で分かること
- 公開後に数える数字と、見なくてよい数字(順位・PV・直帰率をどう扱うか)
- 直す順番が「フォーム → 導線 → 文言 → デザイン」である理由と、1つずつの直し方
- 直しても数字が動かない3つの場合と、改善を頼むときに渡すと見積もりが小さくなるもの
いつから見るか:30日は見ない、判断は90日
公開直後の数字は、社内・取引先・既存客のアクセスで膨らみます。検索エンジンが新しいページを評価するのにも時間がかかります。最初の30日の数字で判断すると、ほぼ確実に間違えます。
| 経過 | 見るもの | やってよいこと |
|---|---|---|
| 〜7日 | 壊れていないか(404・フォーム・計測) | 壊れの修理だけ。 改善はしない |
| 〜30日 | 問い合わせ件数を数え始める | 数え方の整備。判断はしない |
| 〜90日 | 問い合わせ件数・入口別・到達数 | ここから判断する |
| 90日以降 | 月次で同じ3つを見る | 毎月、直す対象を1つ決める |
この表は、いま自分がどの行にいるかを確かめるためだけに使ってください。上の行の「やってよいこと」を飛ばして下の行の作業を始めても、判断の材料が揃っていないので結論が出ません。とくに2行目と3行目の境目が重要です。30日の時点で数えるのは、数え方が整っているかの確認であって、増えた減ったの話ではありません。ここを混ぜると、整備の途中の数字で判断することになります。
例外は1つだけです。壊れているものは即日直します。 フォームが届かない、404が出ている、計測が動いていない——これは改善ではなく修理です。
数えるのは3つだけ
見る画面を増やすと続きません。3つに絞ってください。
| # | 数えるもの | 場所 | 何が分かるか |
|---|---|---|---|
| 1 | 問い合わせ件数(月単位・入口別) | 自社の受付記録+GA4 | 目標そのもの |
| 2 | フォームを開いた数と、送信した数 | GA4(ページ別+送信完了) | どこで落ちているか |
| 3 | 非指名の流入と、404 | Search Console | 新しい人が来ているか/壊れていないか |
1が最も重要で、自社の受付記録が正です。ツールの数字と食い違ったら、受付記録を信じてください。メールの通し番号でも、ノートの手書きでも構いません。数えていることが重要です。
入口別に分けるのは、直す場所を決めるためです。
| 入口 | 数え方 | 分けないと |
|---|---|---|
| フォーム | 送信完了の記録 | どの施策が効いたか分からない |
| 電話 | 電話番号のタップ数+着信数 | スマホからの反応が見えない |
| メール(直接) | 受信記録 | サイト経由か紹介か区別できない |
| LINE・チャット | 追加数・開始数 | — |
| 紹介・既存客 | 受付時に聞く | サイトの成果が水増しされる |
最後の行が抜けると、ほとんどの会社でサイトの成果が実際より大きく見えます。 受付のときに「何をご覧になりましたか」と一言聞くだけで分けられます。
見なくてよい数字
| 数字 | なぜ見なくてよいか |
|---|---|
| 検索順位 | 日々揺れ、人によって違う結果が出る。目標にできない |
| PV(ページビュー) | 増えても問い合わせが増えるとは限らない |
| 直帰率 | 調べて満足して帰った人も、間違って来た人も同じ数字になる |
| 滞在時間 | 読み込まれたのか、放置されたのか区別できない |
| SNSのフォロワー数 | サイトの成果と直接つながらない |
見るなという意味ではなく、これらを目標にしないという意味です。 目標は、月の問い合わせ件数です(1章で数字を決めています)。
直す順番は「フォーム → 導線 → 文言 → デザイン」
×が出たとき、多くの会社はデザインから直そうとします。順番が逆です。 前のほうにあるものほど、直すのが速く、効き方が大きく、費用が小さいからです。
順番を決めておく理由は、費用の話だけではありません。改善は、1つ直すごとに1ヶ月数えて効果を確かめる作業なので、1年に試せる回数が限られています。その限られた回数を、効き方の大きいものから順に使うか、思いついた順に使うかで、1年後の到達点が変わります。デザインから始めた会社は、たいてい3回目あたりでフォームの不備に気づきます。そこで初めて件数が動くのですが、そこまでに半年を使っています。
もうひとつ、前のほうにあるものほど、原因と結果が結びつきやすいという性質があります。フォームの必須項目を減らして送信が増えたなら、因果はほぼ確実です。配色を変えた月に件数が増えたとしても、たまたま紹介が重なっただけかもしれません。判定しやすい打ち手から先に消していくほうが、学習が積み上がります。
| 順 | 直す対象 | 直す内容 | 費用と時間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | フォーム | 届くか・項目数・エラー表示・スマホでの入力しやすさ | ほぼ無料〜数万円/即日 |
| 2 | 導線 | 問い合わせボタンの位置・数・行き止まりのページ | 数万円/数日 |
| 3 | 文言 | 見出し・価格の目安・対象・問い合わせ後に何が起きるか | 数万円/数日 |
| 4 | デザイン | 配色・写真・レイアウト | 数十万円/数週間 |
| 5 | 作り直し | 全体 | 80万円〜/2ヶ月〜 |
順番の理由は単純です。1で直る問題を4でやると、20倍のお金と10倍の時間がかかります。 そして、フォームが届いていない状態でデザインを直しても、問い合わせは1件も増えません。
広告を出している場合も、順番は同じです。 広告の管理画面をどれだけ直しても、フォームが届いていなければ件数は増えません。広告側で何を判断するか(着地先と検索語が一致しているか、受け皿を直せないときに損を止める手)は、Web広告運用の教科書10章にあります。
1. フォーム(最初に見る)
| 症状 | 見るところ | 直し方 |
|---|---|---|
| 問い合わせが0件 | 本当に届いているか | 自分で1件送る(9章の項目3をもう一度) |
| フォームを開く人はいるが、送信が少ない | 必須項目の数、エラーの出方 | 必須を「返信に必要なもの」だけに減らす |
| スマホからの送信が少ない | 実機で入力してみる | 入力欄の大きさ、キーボードの種類、確認画面の長さ |
| 途中でやめている | 入力の負担が大きい項目 | 住所・予算・詳細な要望を任意にする |
「フォームを開いた数」と「送信した数」の両方を見てください。 開く人が少ないなら導線の問題、開くのに送らないならフォームの問題です。ここが切り分けの起点になります。
2. 導線
| 症状 | 直し方 |
|---|---|
| フォームに到達しない | ヘッダー・フッター・本文末に問い合わせ導線を置く(5章) |
| 特定のページで離脱が集中 | そのページに次の行き先を足す。行き止まりを0にする |
| 電話したい人が電話できない | スマホで番号をタップ発信できるようにする |
| 迷って戻っている | パンくず・一覧への戻り導線を足す |
3. 文言
読み手が問い合わせをためらう理由は、たいてい書いていないことです。
| 書いていないこと | 読み手が思うこと |
|---|---|
| 価格の目安 | いくらか分からないから聞きたくない |
| 対象(誰向けか) | うちの規模でも頼めるのか分からない |
| 問い合わせ後に何が起きるか | 売り込まれるのではないか |
| 返信までの日数 | いつ返ってくるか分からない |
| 対応エリア | 来てもらえるのか分からない |
| 実績・事例 | 本当にできるのか分からない |
この6つを埋めるだけで、問い合わせが増えることがあります。 費用は文章を書く時間だけです。
4. デザイン
ここまで直して動かないときに、初めてデザインを触ります。ただし、デザインの直しでも「作り直し」ではありません。 トップページの一番上(最初に見える範囲)だけを直す、写真を差し替える、文字を大きくする——部分的な直しで足りることがほとんどです。
直しても数字が動かない場合
サイトの問題ではないことがあります。 ここを見誤ると、改善費用だけがかかり続けます。
| 状態 | 起きていること | やること |
|---|---|---|
| そもそも人が来ていない(月の流入が数十) | 検索されていない/知られていない | 広告・営業・紹介。サイトを直しても分母が無い(Web広告運用の教科書) |
| 来ている人が客ではない | 語と商材が合っていない | 対象を明記する(SEOの教科書4章) |
| 価格が市場と合っていない | サイトでは解決できない | 価格・商品そのものを見直す |
| 問い合わせは来るが受注しない | サイトではなく、その後の対応 | 返信の速さ・提案の中身を見る |
| 競合と条件が同じで選ぶ理由が無い | 差が無い | 事例・数字・一次情報を出す(6章) |
この表は、改善を頼む前に上から順に当てはめてください。5行のどれかに当てはまるなら、サイトを直す前にそちらを片づけるほうが速く、費用も小さく済みます。当てはまらないと確認できて初めて、サイトの側に原因があると言えます。迷ったときは、1行目の流入数だけでも先に見てください。分母が足りているかどうかは、他の4行と違って、その場の数字ひとつで判定できます。
当社は、検索されていない商材や、価格が市場と合っていない場合、「サイトを直しても数字は動きません」とお伝えします(サイト改善 のFAQ)。ここを言わずに継続契約を結ぶと、半年後に必ず揉めます。
1つ目は特に多い状態です。流入が月に数十しかないサイトで、フォームを直しても意味がありません。 100人来て1件だったものが2件になるのが改善で、10人しか来ていなければ何をしても0件か1件です。この場合、直す対象はサイトではなく人の集め方になります(SEOの教科書、または広告)。
作り直す前に直す
1章で書いたことを、公開後の視点でもう一度書きます。作り直しは、改善の最後の手段です。
| 状態 | 判断 |
|---|---|
| 特定のページだけ数字が悪い | 直す。 そのページだけ |
| フォームの送信率が低い | 直す。 フォームと導線 |
| 内容が古い | 直す。 文言の更新 |
| スマホで崩れる/10年以上前の作り | 作り直しを検討する |
| CMSが動かない/管理画面に入れない | まず入る手段を探す。無理なら作り直し |
| 流入も問い合わせもある | 直す。 URLを変えない(10章) |
当社の場合、サイト改善は現状分析 20万円〜/改修 30万円〜/継続的な改善 月5万円〜(税別、分析だけの依頼も可・最短2週間)です。作り直し(80万円〜)と比べて、先に分析するほうが安く済むことがほとんどです。LPの改善は、公開後の改善として月10万円〜で受けています。
改善を頼むとき、渡すと見積もりが小さくなるもの
| 渡すもの | 効く理由 |
|---|---|
| 直近90日の問い合わせ件数(入口別) | 目標との差が最初から分かる |
| GA4とSearch Consoleの閲覧権限 | 調査の時間が減る |
| 1章で決めた目的の1行と目標件数 | 何を改善と呼ぶかが決まる |
| 管理画面のID | 直す作業に入れる |
| この章の点検リストの○× | どこが×かが分かっていれば、見積もりは「何をやるか」から始まる |
逆に、何も渡さないと、最初の1ヶ月が調査で終わります。 その分の費用がかかります。
自分で直すもの/頼むもの
| 直すもの | 自分でできるか |
|---|---|
| フォームの必須項目を減らす | CMSのフォーム設定なら自分でできる |
| 文言の書き換え | 入力欄になっていれば自分でできる |
| 問い合わせボタンの追加 | ページによる。テンプレートなら制作側 |
| 写真の差し替え | 自分でできる(8章で入力欄にしていれば) |
| 表示速度の改善 | 制作側に頼む |
| URL構造の変更・301 | 制作側に頼む(間違えると流入を失う) |
| ページの新規追加 | 入れ物があれば自分で、無ければ制作側 |
線引きの基準は「間違えたときに戻せるか」です。 文言も写真も戻せます。URLと転送は、間違えると流入が消え、気づくのに時間がかかります。
よくある間違いを5つ
「アクセス数を増やそうとする」 ——アクセスが増えても、問い合わせが増えるとは限りません。関係の無い人が1000人来ても0件です。直し方:目標を問い合わせ件数に戻す。アクセスは、件数が頭打ちになってから増やす。
「デザインから直す」 ——最も高くて、最も遅くて、最も効きにくい順番です。フォームが届いていないのにデザインを直した例もあります。直し方:フォーム → 導線 → 文言 → デザインの順で見る。1つ直すごとに、1ヶ月数える。
「一度にたくさん直す」 ——5か所を同時に直すと、どれが効いたのか分かりません。次に何をすればよいかも分からなくなります。直し方:月に1つだけ直す。直した日を記録して、翌月の数字と並べる。
「毎日数字を見る」 ——日々の数字は揺れます。毎日見ると、動いていないのに何かを変えたくなります。直し方:見るのは月1回。日付を決めて、30分だけ。
「問い合わせが来ないのはサイトのせいだと決めつける」 ——流入が月数十しかない、価格が合っていない、対応が遅い——サイトの外に原因があることは珍しくありません。直し方:流入・問い合わせ・受注の3段階で、どこが細いかを見る。細いところから直す。
この章の出口
この章を終えたとき、手元に残っているべきものは3つです。
- 月の問い合わせ件数(入口別に分かれていて、1章の目標と並んでいる)
- 直す一覧(フォーム → 導線 → 文言 → デザインの順に並び、今日・今週・今月の期限が付いている)
- 見る画面3つ(増やさないと決めたもの)
ここまでで、直す方法は分かりました。残る問題は1つだけです。これを来月も、来年も続けられるか。 続かない理由は、やり方が分からないことではなく、担当と時間が決まっていないことです。最後の章で、続く形と、社内でやれる範囲の広げ方を決めます。
この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)
点検リスト:公開後90日(10項目)
公開90日後に1回、そのあとは半年に1回付けます。
| # | チェック項目 | 合格ライン |
|---|---|---|
| 1 | 問い合わせ件数を月単位で数えている | 「先月は何件」が言える |
| 2 | 入口ごとに分けて数えている | フォーム・電話・LINE・資料請求を分けられる |
| 3 | 1章で決めた月間件数と比べた | 目標と実績が並んでいる |
| 4 | 流入を指名と非指名に分けて見た | 社名検索を除いた数字が出せる |
| 5 | 離脱が集中しているページを特定した | ページ名が挙がっている |
| 6 | 問い合わせページまでの到達数を見た | フォームを開いた数と送信した数の両方 |
| 7 | 転送の抜けが無いか確認した | Search Console の404を見た |
| 8 | 直す順番を今日・今週・今月に振り分けた | 一覧に期限が付いている |
| 9 | 自分で直せるもの/頼むものを分けた | 線引きができている |
| 10 | 見る画面が3つ以内に決まっている | 画面名が書いてある |
合格ライン=10項目中8つ以上。ただし 1・2 が×なら、以後の改善は効果を判定できない。
1と2が×の状態で改善を始めると、直した後に「増えたのか、たまたまか」が永久に分かりません。先に数える仕組みを作ってから、直してください。 数え始めた月から1ヶ月あれば、比較の元になる数字が手に入ります。
なお、公開から30日はデータが少ないため、判断は90日を待ちます。 7(404の確認)だけは、公開直後から見てください。転送の抜けは早いほど損失が小さく済みます(10章)。
この章に関係する記事
更新日 2018年10月20日
