株式会社COTSUBU

CHAPTER 10

サイトリニューアルの301リダイレクト

この章で分かること

  • 旧URLの全行に行き先を書く方法と、301でなければならない理由
  • 切り替え当日の手順(時刻・担当・順番)と、メールを止めないための確認
  • 戻し方(切り戻し)を先に決める形、公開直後に見る3点、旧サーバーを止める日
この章の目次(10)
  1. 1リニューアルで順位が落ちる仕組み
  2. 2転送表:旧URLの全行を埋める
  3. 3メール:ここが止まると業務が止まる
  4. 4切り替え当日の手順
  5. 5戻し方(切り戻し)を先に決める
  6. 6旧サーバーは、すぐに止めない
  7. 7公開後に数字が落ちたとき
  8. 8頼まないほうがよい移行
  9. 9よくある間違いを5つ
  10. 10この章の出口

リニューアルで検索順位が落ちる原因は、デザインでもシステムでもありません。旧URLから新URLへの転送(301)を、1行ずつ埋めなかったことです。 切り替え当日にやることは、実は多くありません。事故が起きるのは、当日ではなくその前に決めていなかったことです。旧URLの行き先、DNSを切り替える時刻と担当、メールを止めない段取り、そして「どうなったら元に戻すか」。この4つを先に紙にしておけば、当日は30分で終わります。 この章は、転送表の作り方と当日の手順、戻し方(切り戻し)の条件、公開直後に見る3点を決めるための章です。

この章で分かること

  • 旧URLの全行に行き先を書く方法と、301でなければならない理由
  • 切り替え当日の手順(時刻・担当・順番)と、メールを止めないための確認
  • 戻し方(切り戻し)を先に決める形、公開直後に見る3点、旧サーバーを止める日

リニューアルで順位が落ちる仕組み

検索エンジンは、URLごとに評価を持っています。10年かけて評価がたまった example.com/service/koji.html を、新サイトで example.com/services/construction/ に変えたとき、「この2つは同じページです」と伝えないと、古いほうの評価は行き場を失います。 伝える方法が301(恒久的に移動した、という転送)です。

やったこと 検索エンジンから見た状態 結果
旧URLに301を設定した ページが引っ越した 評価が新URLへ引き継がれる
旧URLが404になった ページが消えた 評価は消える。流入も消える
旧URLを全部トップへ301した 個別ページが全部トップになった 中身が違うので引き継がれにくい
旧URLをそのまま放置(旧サーバーが生きている) 同じ内容が2か所にある どちらを出すか分からなくなる

この表の4行は、作業の丁寧さの順ではなく、後から取り返せるかの順に並んでいます。1行目以外はどれも流入を失いますが、2行目と3行目は気づいた時点で転送を足せば回復に向かいます。4行目だけは、旧サイトが生きている限り状態が続くので、まず旧サイトを検索に出ない状態にするところから始めることになります。症状が似ていても、最初にやることが違います。

3つ目と4つ目が、実際によくある失敗です。 「とりあえず全部トップへ飛ばしました」という設定は、作業としては1行で済みますが、旧ページで取れていた検索からの流入は戻りません。

301・404・410の使い分けと、消す・統合するの判断は SEOの教科書 5章(サイトの構造とURL設計)・7章(既存ページの直し方) に書いています。この章では、発注側が確認する側の手順だけを扱います。

転送表:旧URLの全行を埋める

作るのは表1枚です。行が1つでも空いていたら、そのページの流入は失われます。

この表を作る作業は、リニューアル全体の中で最も地味で、最も効きます。デザインや原稿は、公開後に直せます。転送は、抜けた行の分だけ流入が消え、消えたことに気づくのが数ヶ月後になります。しかも、その数ヶ月分は戻りません。工程の中でこの作業だけは、着手を遅らせないでください。

もうひとつ、この表は発注側が関わる価値が高い表です。どの旧ページに価値があるかは、制作側には分かりません。問い合わせにつながっていたページ、営業がよく見せていたページ、取引先がブックマークしているページ——これらは社内にしか情報がありません。行き先の判断だけでも発注側が持つと、転送の質が変わります。

旧URL 新URL または「消す」 判断の理由 確認
/index.html / トップ ○
/company.html /company/ 会社概要 ○
/service/koji.html /services/construction/ 内容が対応 ○
/blog/2015/summer-campaign.html 消す(410) 終了したキャンペーン ○
/news/list.html?page=2 /news/ 一覧の2ページ目 ○

旧URLの一覧は、次のどれかで出します。

出し方 取れるもの 備考
Search Console の検索パフォーマンス(ページ別) 流入のあるURL 最優先で残す対象が分かる
GA4 のページ別レポート(過去1年) アクセスのあるURL 検索以外の流入も見える
旧サイトのサイトマップ(sitemap.xml) 掲載されている全URL 古いままのことがある
制作側にクロールしてもらう リンクでたどれる全URL 最も漏れが少ない

全部を移す必要はありません。 判断は3つに分かれます。

旧ページの状態 判断
流入がある/被リンクがある 必ず新URLへ301する。 内容も引き継ぐ
内容は古いが、同じテーマの新ページがある 新ページへ301する
終了したキャンペーン・役割の終わったページ 消す。似たページが無ければ無理に転送しない

そして、もう1つ重要な判断があります。変えなくてよいURLは、変えないでください。 リニューアルのたびにURLを作り直す理由はありません。同じURLで中身だけ新しくすれば、転送も評価の引き継ぎも不要です。最も安全な移行は、転送が少ない移行です。

メール:ここが止まると業務が止まる

サイトの切り替えで最も損害が大きい事故は、順位ではなくメールです。サイトとメールが同じサーバーで動いている場合、サーバーを移すとメールも一緒に止まります。

確認すること ○の条件
今のメールはどこで動いているか サーバー名が言える(サイトと同じか、別か)
切り替え後もそのまま使うか 使う/移す、が決まっている
DNSのメール向け設定を引き継ぐか MX・SPF・DKIM の設定を移す段取りがある(制作側が作業)
受信が止まらない時間帯を選んだ 業務時間外に切り替える
止まった場合の連絡先 サーバー会社・制作側の窓口と受付時間

発注側が言えるべきなのは、上の1行目と2行目だけです。 技術作業は制作側がやりますが、「メールはどうなりますか」と聞かないと、誰も確認しないまま当日を迎えることがあります。

切り替え当日の手順

決めるのは、時刻・担当・順番の3つです。

順 やること 担当 目安
1 旧サイトのバックアップを取る 制作側 前日まで
2 新サイトの最終確認(9章の必須4項目を再確認) 発注側 当日の直前
3 DNSまたはサーバーの切り替え 制作側 作業自体は数分
4 反映を待つ — 数分〜数時間(最大で1日程度)
5 主要ページを踏む(トップ・サービス・問い合わせ) 発注側 反映後すぐ
6 フォームをもう1件送る 発注側 反映後すぐ
7 主要な旧URLを踏んで301を確認する 発注側 反映後すぐ
8 サイトマップをSearch Consoleに提出 制作側 当日中
9 計測に数字が入っているか見る 発注側 当日中

切り替えは、平日の午前中にやってください。 金曜の夕方と連休前は避けます。何か起きたときに、直せる人が捕まらないためです。反映には時間差があり、社内のパソコンでは新サイト、スマホの回線では旧サイト、という状態が一時的に起きます。これは異常ではありません。 数時間から、長くて1日で揃います。

6番を必ず入れてください。 9章でフォームの実送信を通していても、切り替えでサーバーが変わると送信の経路が変わります。公開前に届いていたフォームが、公開後に届かなくなるという壊れ方をします。

戻し方(切り戻し)を先に決める

当日に「戻すべきかどうか」を議論すると、判断できません。条件と判断する人を、前日までに書面にしておきます。

状態 判断 対応
サイトが表示されない(数分以上) 戻す 旧サイトに切り戻し、原因を調べる
フォームが届かない 戻さない フォームの宛先だけ直す。直るまで電話番号を目立たせる
メールが止まった 戻す 最優先。業務が止まる
一部のページだけ崩れている 戻さない そのページだけ直す
検索結果に旧サイトが出ている 戻さない 正常。数日で入れ替わる
順位が下がった 戻さない 判断は90日後(後述)

この表は、当日に開いて上から探す表です。起きた症状を左の列から探し、真ん中の判断をそのまま採用してください。その場で考え直さないことが、この表の目的です。切り替え当日は関係者が緊張しているので、戻さなくてよい症状でも「念のため戻しましょう」という声が出ます。戻す作業そのものにも危険があるので、決めておいた条件以外では動かさないほうが安全です。

戻す条件は「業務が止まるか」の1点で決めます。見た目や順位では戻しません。そして、戻す判断をする人を1人決めます(1章で決めた決裁者で構いません)。

切り戻しができる状態とは、次の3つが揃っていることです。旧サイトのバックアップがある/旧サーバーがまだ生きている/DNSを戻す手順を制作側が持っている。 このうち2つ目が、次の話につながります。

旧サーバーは、すぐに止めない

公開した日に旧サーバーを解約すると、切り戻しができなくなります。

時期 やること
公開日 旧サーバーはそのまま動かしておく(ただし検索に出ない状態にする)
公開後1〜2週間 問題が無ければ、旧サイトの表示を止める
公開後1〜3ヶ月 バックアップを手元に保存したうえで、解約する
解約の前 メール・データベース・画像・ドメイン管理が旧サーバーに残っていないか確認する

「検索に出ない状態にする」を忘れると、新旧2つのサイトが同じ内容で検索に出ます。 どちらを出すか検索エンジンが迷い、新サイトの評価が伸びません。旧サーバーを止めるまでは、検索避けの設定を入れてもらってください。

解約の前に、旧サーバーの中身を一度ダウンロードして保存します。後から「あの写真のデータが無い」「昔の記事を見たい」は必ず起きます。

公開後に数字が落ちたとき

リニューアル直後は、検索からの流入が一時的に下がることがあります。下がったからといって、すぐに何かを変えないでください。

経過 見る数字 判断
公開〜7日 主要ページが検索に出るか(社名検索) 出ていれば正常。出なければ9章の項目9を疑う
〜30日 Search Console の404、インデックス登録数 404が出ていれば転送の抜け。転送表に戻って埋める
〜90日 流入と問い合わせ件数 判断はここから。 戻らなければ原因を調べる
90日を過ぎても戻らない 転送・内容・構造の順に見る 転送の抜けが最も多い原因

最初に疑うのは、常に転送の抜けです。 Search Console の「ページのインデックス登録」で404になっているURLを見ると、転送表から漏れた旧URLがそのまま並びます。ここを埋めるのが、最も速く効く対応です。

当社のサイトリニューアル(80万円〜)では、全URLの対応表を作ってから公開し、公開後3ヶ月は順位と問い合わせ数を追います。この3ヶ月を追わないリニューアルは、成功したか失敗したかが分からないまま終わります。

頼まないほうがよい移行

移行は、安く済ませようとすると最も高くつく工程です。 それでも、頼まなくてよい場合があります。

状況 判断
旧サイトが5ページ以下で、流入がほぼ無い 転送表は自分で書ける。制作側に設定だけ頼む
旧サイトの記事が200本以上ある 頼む。 手作業では漏れる
旧サイトのURLをそのまま使う 転送そのものが不要。最も安全
ドメインごと変える(社名変更など) 頼む。 旧ドメインを最低1年は維持し、301で受ける
旧サイトの管理画面に入れない まず入れる手段を探す。無理なら公開されているURLだけで表を作る

ドメインを変える場合は、旧ドメインを解約しないでください。 解約した瞬間に、旧ドメインへのリンクも、ブックマークからの流入も、そこに紐づいたメールも全部消えます。

よくある間違いを5つ

「旧URLは全部トップページへ転送した」 ——作業は1行で済みますが、個別ページで取れていた検索流入は戻りません。中身の違うページへの転送は、引き継がれにくいためです。直し方:1行ずつ対応先を書く。対応する新ページが無いなら、無理に転送せず消す判断をする。

「転送表はもらったので大丈夫」 ——表があることと、設定されていることは別です。表どおりに設定されていない例、設定はされたが302(一時的な移動)になっている例があります。直し方:主要な旧URLを10本、実際にブラウザで踏む。新URLに飛べば○。

「金曜日の夕方に公開した」 ——何か起きたときに、直せる人が土日は捕まりません。月曜の朝まで止まったままになります。直し方:平日の午前中に切り替える。連休前は避ける。

「公開したので、旧サーバーを解約した」 ——切り戻せなくなり、旧サイトのデータも取り出せなくなります。メールが旧サーバーで動いていた場合は、メールも消えます。直し方:公開後1〜3ヶ月は維持する。解約前に中身をダウンロードして保存する。

「公開直後に順位が下がったので、慌てて直した」 ——直した影響と、切り替えの影響が混ざり、何が原因か分からなくなります。直し方:まず Search Console の404を見て、転送の抜けだけを埋める。それ以外は90日待つ。

この章の出口

この章を終えたとき、手元に残っているべきものは3つです。

  1. 転送表(旧URLの全行に、新URLか「消す」が書かれ、主要URLは実際に踏んで301を確認済み)
  2. 当日の手順書(時刻・担当・順番と、メールを止めない段取り)
  3. 戻す条件(業務が止まるか、の1点。判断する人の名前つき)と、旧サーバーを止める日

公開は終わりました。ここから先、サイトは資産にも、放置された看板にもなります。分かれ目は数えているかどうかです。次の章では、何を数え、どこから直すかを決めます。

次の章へ:11章 ホームページの問い合わせを増やす

この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)

点検リスト:公開と移行(12項目)

切り替えの3営業日前に、発注側が制作側と一緒に埋めます。

# チェック項目 合格ライン
1 旧サイトの全URL一覧がある 本数が数えてある
2 旧URLごとに、新URLか「消す」が決まっている 全行が埋まっている
3 転送が301で設定されている 主要URLを実際に踏んで301を確認した
4 残すと決めたページのURLが変わっていない 変えない判断をしたページが実際に同じURL
5 サイトマップを提出した Search Console でステータス「成功」・エラー0
6 旧サイトのメールと独立して切り替えた メールが止まらない段取りになっている
7 DNSの切り替え時刻と担当が決まっている 時刻と名前が書いてある
8 戻し方(切り戻し)が決まっている 手順と、判断する人が決まっている
9 公開直後に主要ページを踏んだ トップ・サービス・問い合わせを実際に開いた
10 計測が公開後も動いている 公開当日のデータが入っている
11 旧サーバーを止める日が決まっている 日付が決まっている(すぐ止めない)
12 公開後90日の追跡担当が決まっている 名前と、見る画面が決まっている

合格ライン=12項目中10以上。ただし 2・3・6 は必須。

  • 2が×:埋まっていない行の数だけ、検索からの流入を失います。後から埋められますが、その間の流入は戻りません
  • 3が×:転送表があっても、設定されていなければ意味がありません。表と実物は別です。必ず踏んで確かめます
  • 6が×:メールが止まると、サイトの成否とは関係なく業務が止まります

新規に作る場合(旧サイトが無い場合)は、1〜4と11が対象外です。 その場合の合格ラインは、残る7項目のうち6つ以上、必須は6となります。

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更新日 2018年10月20日