株式会社COTSUBU

CHAPTER 09

サイト公開前のチェックリスト|受入検査

この章で分かること

  • 発注側だけができる検査は何か(作る側の確認と重ならない部分)
  • 14項目を通す順番と、1人でかかる時間(合計2時間・必須4項目は30分)
  • ×が出たときに公開を止める基準と、検収(受け取りました、と言うこと)の成立条件
この章の目次(11)
  1. 1発注側が見るものは3つに絞られる
  2. 2順番と時間:合計2時間
  3. 31. フォームを実際に送る(必須)
  4. 42. 会社の基本情報を1文字ずつ照合する(必須)
  5. 53. HTTPSとテスト設定の残り(必須)
  6. 64〜6. スマホ・リンク・誤字
  7. 77. 残りの5項目
  8. 8検収は「見た」ではなく「通した」で成立する
  9. 9自分でやらなくてよいこと
  10. 10よくある間違いを5つ
  11. 11この章の出口

公開前チェックは、作る側の動作確認とは別のものです。発注側が、自分の手で、自分の会社の事実を確かめる受入検査です。 作る側は「設計どおりに動くか」を見ます。発注側しか見られないのは、住所が本当に合っているか、フォームが本当に自分の受信箱に届くか、テスト用の設定が残っていないかです。ここを他人に任せると、公開した瞬間に損失が出ます。 この章は、14項目を2時間以内で自分で通し、×が出たときに公開を止める基準を決めるための章です。この本で一番使われる章です。

この章で分かること

  • 発注側だけができる検査は何か(作る側の確認と重ならない部分)
  • 14項目を通す順番と、1人でかかる時間(合計2時間・必須4項目は30分)
  • ×が出たときに公開を止める基準と、検収(受け取りました、と言うこと)の成立条件

発注側が見るものは3つに絞られる

制作側は、表示・動作・リンク・フォームの送信を一通り確認してから納品します。それでも事故が起きるのは、次の3つが発注側にしか判定できないからです。

発注側にしか分からないこと 例 放置すると
事実が合っているか 住所の番地、代表者名の漢字、電話番号、設立年、許認可番号 公開後に訂正。信用を落とす
本当に自分のところへ届くか フォームの宛先、迷惑メール、対応する担当 問い合わせが来ていないのに、来ないと思い込む
公開してよい状態か 仮の文言、テスト用の設定、社外秘が写った写真 検索結果に出ない/内部情報が公開される

この表は、制作側との役割分担を決めるために使ってください。左の列に並んでいる3つは、能力の問題ではなく、立場の問題で発注側に残ります。制作会社がどれだけ優秀でも、自社の登記簿は持っていませんし、自社の受信箱は開けません。だから「しっかりした会社に頼んだから大丈夫」は、この3行については成り立ちません。

作る側を疑う話ではありません。制作会社は自社の住所を知らないし、自社の受信箱も開けません。 だから発注側がやります。

受入検査という言葉を使っているのには理由があります。動作確認とは目的が違うからです。動作確認は、作ったものが仕様どおりかを見ます。受入検査は、受け取ってよいかを判断します。前者は作る側の責任範囲で、後者は発注側の意思表示です。この2つを同じものだと思っていると、「確認しました」と言われた時点で終わったつもりになり、自分では何も見ないまま公開日を迎えます。

もう1つ、公開後に直せばよいという考え方についても触れておきます。技術的には、公開後でもほとんどのものは直せます。問題は、直すまでの間に何が起きるかです。公開直後は、社内の全員と、取引先と、既存の顧客が一斉に見ます。サイトの一生のうちで、関係者が最も集中して見る数日間です。その数日に間違った住所が出ていることの損失は、あとから直しても回収できません。

だからこの章の判断は、「直せるかどうか」ではなく「公開している間に損失が出るか」で行います。必須4項目を決めているのも、この基準で選んだ結果です。

順番と時間:合計2時間

ページ数が10前後なら、1人で2時間です。必ずこの順番でやってください。 先に重いもの(実送信・事実照合)を終えると、×が出たときに直す時間が残ります。

順 やること 目安 該当する点検項目
1 フォームを実際に送る(PCとスマホの両方から) 20分 3・4
2 会社の基本情報を1文字ずつ照合する 20分 5
3 HTTPSとテスト設定の残りを見る 10分 8・9
4 スマホの実機で全ページを見る 30分 1
5 全ページのリンクを踏む 20分 2
6 誤字脱字・画像の確認 20分 6・7
7 速度・計測・転送表・納品物・当日の手順 20分 10〜14

この表の順番は、作業の重さではなく、やり直しの発生しやすさで並べています。1と2で×が出ると、直した後にもう一度全体を見ることになります。先に軽い作業から始めて、最後の実送信で×を見つけると、それまでの1時間半が無駄になります。逆に言えば、時間が足りない日は上から順に途中まででも構いません。上2つさえ終わっていれば、残りは公開の前日でも間に合います。

1と2で合計40分。ここが×なら、残りをやる前に差し戻します。 直したあとで、もう一度1からやり直すためです。

1. フォームを実際に送る(必須)

この本で最も重要な作業です。 画面を見るのではなく、送ります。

確認すること ○の条件
送信できる 完了画面が出る
届く 指定した宛先の受信箱に届いた(共有アドレスと個人アドレスの両方)
迷惑メールに入っていない 迷惑メールフォルダも開いて確認した
自動返信が来る 送信者側に届いた。会社名・署名・返信までの日数が正しい
内容が読める 入力した値がすべて本文に入っている(文字化けしていない)
空送信できない 必須項目を空にすると、エラーが出て送信できない
スマホからも送れる スマホの実機で1件送った

送信は2件行います。1件目は普通に、2件目は必須項目を空にしてエラーが出るかを見ます。件名に「テスト」と入れておくと、公開後に本物の問い合わせと混ざりません。

たとえば、リニューアル後に問い合わせがぱったり止まったとします。社内では「新しいサイトが悪かったのではないか」という話になり、デザインを戻すかどうかまで議論される。ところが実際に起きているのは、フォームの宛先が旧担当者のアドレスのままになっている、ということがあります。その人が異動していれば、受信箱は誰も開きません。

気づくのは、取引先から「先日フォームから問い合わせたが返事がない」と電話が来たとき、ということになりがちです。問い合わせは受信箱の中に残っていても、返信の機を逃したものがほとんどになります。

この事故は、制作側の確認では絶対に見つかりません。制作側は、自分たちのテスト用アドレスに届くことを確認するからです。送信できることと、自社に届くことは別の話です。だから点検リストの3番は、単に「送信できる」ではなく「指定した宛先の受信箱に届いた」を合格ラインにしています。

届いたあとも1つ確認します。誰が返信するのか。 宛先の受信箱を開く人が決まっていないフォームは、届いていても放置されます。氏名と、返信までの日数(2章で決めた自動返信の文面に書いてある日数)を一致させてください。

2. 会社の基本情報を1文字ずつ照合する(必須)

登記簿謄本か、名刺か、請求書と突き合わせます。 画面を眺めて「合っていそう」は不合格です。

項目 照合元 よくある誤り
商号 登記簿・名刺 「株式会社」の前後、旧字体、スペース
所在地 登記簿 番地のハイフン、ビル名、階数
電話番号・FAX 名刺 市外局番、旧番号のまま
代表者名 登記簿 漢字違い(髙・﨑・邊 など)
設立年月 登記簿 創業と設立の混同
資本金・従業員数 決算書・人事 古い数字のまま
法人番号・許認可番号 登記簿・許可証 桁の欠け
営業時間・定休日 自社の運用 変更後のまま直っていない

所在地と電話番号は、Googleビジネスプロフィールや名刺とも一致させます。 表記が揺れると、検索結果での同一性が弱くなります(SEOの教科書9章)。

3. HTTPSとテスト設定の残り(必須)

公開直後に最も多い事故が、テスト環境の設定が本番に残ったまま公開されることです。検索結果に一切出ない状態が数週間続き、気づくのは順位を調べたときになります。

見るもの ○の条件 確認方法
HTTPS 鍵マークが出て、警告が出ない アドレスバーを見る
http でアクセスしたとき https に転送される http:// で開いてみる
検索避けの設定 残っていない https://(ドメイン)/robots.txt を開き、Disallow: / が無いこと
noindex 本番ページに付いていない ページを右クリック→ソース表示で noindex を検索
テスト環境 検索に出ない状態になっている テスト用URLが公開されたままでないか
計測のテストモード 解除されている GA4のデバッグ設定・タグのプレビューが切れている
ダミー文言 残っていない 「サンプル」「テキストが入ります」「Lorem」「〇〇株式会社」で全文検索
テスト用の画像 残っていない 仮のロゴ・仮の人物写真

この節の項目は、どれも「残っているはずがない」と思われているものばかりです。だからこそ残ります。制作側は公開作業の手順に沿って解除しているつもりで、発注側は解除されているものだと思っている。双方が確認したつもりでいる領域に、こういう設定は残ります。どれも数分で見られるので、思い込みを挟まずに自分の目で見てください。

ダミー文言は、フッターや下層の細かいページに残ります。 サイト内検索が無い場合は、ブラウザの検索(Ctrl+F/command+F)で1ページずつ「サンプル」を探すのが確実です。

4〜6. スマホ・リンク・誤字

スマホは実機で見ます。 パソコンの画面を狭くした表示は、実機と違います。指で触ったときの押しやすさは実機でしか分かりません。

見るところ ×の例
横にはみ出していないか 横スクロールが出る。表が切れる
文字が読める大きさか 拡大しないと読めない
ボタンが押せるか リンク同士が近すぎて誤タップする
電話番号 タップしても発信されない(発信させる設定にしたか)
画像 縦長の写真で顔が切れる
フォーム 入力欄に文字を打つと画面が崩れる

リンクは全ページ、全リンクを踏みます。 見るのは、404が出ないこと、外部リンクの行き先が正しいこと、PDFが開くこと、電話とメールのリンクが動くことです。ページ数が多い場合は、リンク切れを一覧で出す無料ツールを使って構いませんが、問い合わせ導線だけは必ず手で踏んでください。

誤字脱字は2人以上で見ます。書いた本人は見つけられません。特に、社名・人名・数字・価格・日付を重点的に見ます。

画像は全部開いて、社外秘や個人情報が写っていないかを見ます。事務所の写真にホワイトボードの顧客名、パソコン画面、書類、他社のロゴ、顔が写り込んだ第三者——これらが写っていると、公開後に取り下げることになります。

7. 残りの5項目

項目 確認方法 ○の条件
表示速度 PageSpeed Insights のモバイル LCP 2.5秒以下・INP 200ms以下・CLS 0.1以下(8章)
計測 GA4のリアルタイム/Search Console 自分でアクセスして数字が動く。フォーム送信が1件計上される
転送表(リニューアルの場合) 制作側から受け取る 旧URLの全行に、新URLか「消す」が書いてある(10章)
納品物 一覧と突き合わせる 管理画面のID・サーバー情報・ドメイン情報・手順書
公開当日の手順 書面 時刻・担当者名・戻し方が書いてある(10章)

計測は「入っているか」ではなく「数字を返すか」で見ます。 タグを入れただけで動いていない例、フォームの送信完了が計上されない例は珍しくありません。ここが壊れていると、11章の改善が丸ごとできなくなります。

なお、robots.txt・サイトマップ・タイトルの重複といった土台の点検は、SEOの教科書2章の点検リスト(12項目・90分)で通してください。同じ表を2冊に書きません。この章は、そこに含まれない「発注側にしか分からないこと」に絞っています。

検収は「見た」ではなく「通した」で成立する

検収(受け取りました、と言うこと)を曖昧にすると、公開後の修正が有償か無償かで揉めます。次の形にしてください。

検収に必要なもの 中身
14項目の○× この点検リストに記入したもの
必須4項目がすべて○ 3・5・8・9
納品物の受領 管理画面のID・サーバー情報・ドメイン情報・手順書(項目13)
残っている×の扱い 「いつまでに、どちらが、無償で直すか」を書面にした

「残っている×の扱い」を書かずに検収すると、その×は自社の宿題になります。 ×のまま検収してよいのは、期限と担当が書面にある場合だけです。4章で確認した「修正が何回・いつまで無料か」が、ここで効いてきます。

自分でやらなくてよいこと

この章は発注側の作業ですが、全部を自分でやる必要はありません。

項目 自分でやる 頼んでよい
フォームの実送信(3・4) 自分でやる 代替不可
会社情報の照合(5) 自分でやる 代替不可
画像の社外秘確認(7) 自分でやる 代替不可
リンク全踏み(2) 問い合わせ導線だけ自分で 残りはツール・制作側
速度(10) 測るだけ 直すのは制作側
計測(11) 動くか確認 設定は制作側
転送表(12) 有無の確認 作るのは制作側

この表の使い方は、忙しいときに何を手放すかを決めることです。左に「自分でやる」と書いてある3行だけを死守し、残りは頼むか、ツールに任せるか、後回しにする。全部を自分でやろうとして結局どれも中途半端になるより、3行を確実に通すほうが事故は減ります。

代替不可の3つは、合計1時間です。 ここだけは、どれだけ忙しくても発注側がやってください。他社が作ったサイトの受入検査を頼みたい場合は、当社のサイト改善(現状分析 20万円〜・改修 30万円〜)でも受けています。

よくある間違いを5つ

「公開日の当日にチェックする」 ——×が出ても直す時間がありません。結局「軽微だから」と言って公開し、そのまま残ります。直し方:公開の3営業日前に14項目を通す。当日は9・14の再確認だけにする。

「フォームは制作会社が確認済みと言っていた」 ——制作会社の環境では届きます。届かないのは、発注側の受信環境(迷惑メール判定・社内のメールサーバー・共有アドレスの転送設定)が原因のことが多いからです。直し方:発注側が、発注側の端末から、本番の宛先へ送る。

「社内の全員に見てもらってから公開する」 ——確認者が増えるほど、意見が「ここの色が」「この言い回しが」に流れ、事実の誤りは誰も見なくなります。直し方:確認者は3人以内(1章)。その代わり、担当を分ける(事実の照合・誤字・スマホ表示)。

「検索に出ないのは、まだ新しいからだと思った」 ——noindex や Disallow: / が残っているだけ、という例は本当にあります。新しいからではありません。直し方:公開翌日に robots.txt を開き、Search Console でインデックス登録を申請する。1週間たっても社名で出ないなら、9を疑う。

「誤字はあとで直せばいい」 ——直せますが、最初に見た人には直す前の版が届きます。 公開直後は、社内・取引先・既存客が一斉に見るタイミングです。直し方:公開前に2人で見る。特に社名・人名・数字・価格・日付。

この章の出口

この章を終えたとき、手元に残っているべきものは3つです。

  1. 14項目の○×(必須4項目がすべて○になっている)
  2. 検収の書面(納品物を受け取り、残った×の期限と担当が書いてある)
  3. 公開当日の手順(時刻・担当・戻し方)

中身の検査は終わりました。残るのは切り替えの作業です。ここから先は、失敗すると検索からの流入や、会社のメールが止まります。作業する人も、失敗したときの損失も別物なので、章を分けています。

次の章へ:10章 サイトリニューアルの301リダイレクト

この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)

点検リスト:公開前チェック(14項目)

公開の3営業日前に、発注側だけで通します。 当日に回すと、×が出ても直す時間がありません。

# チェック項目 合格ライン
1 全ページをスマホの実機で見た 崩れ・はみ出しが無い
2 全ページのリンクを踏んだ 404 が0
3 問い合わせフォームを実際に送信した 届いた/自動返信が来た/文面が正しい
4 フォームの必須チェックが効く 空送信できない
5 会社の基本情報が正しい 商号・所在地・電話・代表者名を1文字ずつ照合した
6 誤字脱字を2人以上で確認した 確認者が2人以上
7 画像に社外秘・個人情報が写っていない 全画像を確認した
8 HTTPSで表示され、警告が出ない 鍵マークが出る
9 テスト環境がインデックスされない状態になっている 本番に Disallow: / が残っていない/テスト環境が検索に出ない
10 表示速度が合格ライン内 モバイルで LCP 2.5秒以下・INP 200ms以下・CLS 0.1以下
11 計測が動いている GA4 と Search Console が本番で数字を返す
12 旧URLからの転送表がある(リニューアルの場合) 全URLの対応表がある
13 納品物を受け取った 管理画面のID・サーバー情報・ドメイン情報・手順書
14 公開当日の手順と担当が決まっている 時刻・担当・戻し方が書いてある

合格ライン=14項目中12以上。ただし 3・5・8・9 のどれかが×なら公開しない。

  • 3が×:問い合わせが届きません。公開している期間がまるごと無駄になります
  • 5が×:社名や住所が違うサイトは、信用を落とすために公開することになります
  • 8が×:ブラウザが警告を出し、フォームを送る人がいなくなります
  • 9が×:検索結果に出ません。しかも、気づくまでに時間がかかります

この4つは、公開日をずらしてでも直します。 直すのに数時間しかかからない項目ばかりです。逆に、10(速度)や6(誤字)は公開後でも直せます。止めるか止めないかは「公開している間に損失が出るか」で判断してください。

判断に迷う項目が出たときは、止める側に倒してください。公開日を1日ずらす損失は、たいてい社内の段取りだけで収まります。一方、間違った状態で公開したときの損失は社外に出ます。社内で収まるものと社外に出るものを比べたら、社外に出るほうを避けるのが原則です。公開日が対外的に告知済みで動かせない場合だけ、例外として、×のまま公開し、その日のうちに直す段取りを先に組んでください。

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更新日 2018年10月20日