問い合わせが来ないときに、広告やSEOを足すのは順番として間違いです。受け皿が漏れているところに水を足しても、漏れる量が増えるだけだからです。
先に見るのは5箇所。全部で30分ほどで通せます。しかも1〜3番目は費用がかかりません。
受け皿の考え方は受け皿で決まる部分(Web広告運用の教科書 10章)と公開後の改善(サイト制作の教科書 11章)に詳しく書いています。この記事は、そこから「今日やる順番」だけを抜き出したものです。
その前に、どこで詰まっているかを大きく切り分けておきます。
| 状況 | 見分け方 | 先に直す場所 |
|---|---|---|
| そもそも人が来ていない | 月のセッション数が2桁台 | 集客(広告・SEO・MEO) |
| 人は来ているが、問い合わせページまで行かない | 問い合わせページの閲覧数が少ない | 導線と文言 |
| 問い合わせページまで来て、送信しない | 閲覧はあるが送信が0 | フォームの項目 |
| 送信されているが、社内で止まっている | 送信は記録されているのに営業が知らない | 通知先と対応の体制 |
いちばん見落とされるのが最後の行です。 広告費を足す前に、この行を潰してください。
1. フォームから、自分で1通送る
いちばん確実な点検です。社外の環境から(スマホの回線でも構いません)自社のフォームに1件送り、次の4つを確かめます。
- 送信ボタンを押して、完了画面が出るか
- 送信した本人に自動返信が届くか
- 社内の通知先に届くか。迷惑メールフォルダも必ず見る
- 通知先のアドレスが、今その仕事をしている人のものか
届かない原因で多いのは次の3つです。
| 原因 | 起きていること |
|---|---|
| 送信元アドレスがサイトのドメインと違う | メールの送信者認証(SPF・DKIM)に失敗し、迷惑メール扱いになる |
| 通知先が退職者や旧担当者のアドレスのまま | 誰も見ないメールボックスに溜まり続ける |
| フォームの設置後にサーバーやメール環境を変えた | 送信処理だけが古い設定のまま止まっている |
フォームは送信側の画面には「送信しました」と出るため、両側とも気づけません。 サイトを作ってから一度も試していないなら、今日試してください。設定で決めるべきことは実装で決めること(サイト制作の教科書 8章)にまとめています。
2. 電話が繋がるか
サイトに載せている電話番号に、営業時間内と時間外の両方でかけてみてください。
- 時間内:何コールで出るか。留守番電話になっていないか
- 時間外:何も言わずに切れていないか(用件を残せるか、翌営業日の案内があるか)
- スマホでサイトを見たとき、番号を押すだけで発信できるか
業種によっては、フォームより電話のほうが件数が多いことがあります。電話の件数を数えていないまま「問い合わせが来ない」と言っている会社は珍しくありません。 番号を計測用に分ける方法もありますが、まずは着信履歴を1か月分だけ数えるところからで足ります。
3. 返信までの時間
当日中に返っているかどうかが分かれ目です。 比べられている最中に問い合わせをする人は、返信の早い会社から順に話を進めます。
決めることは3つだけです。
- 誰が一次返信をするか(営業ではなく事務でよい。内容の回答は後でよい)
- 何時間以内に返すか(社内の約束として決めて、通知先に共有する)
- 担当が不在の日に誰が代わるか
自動返信メールに「◯営業日以内にご連絡します」と書いてあるのに、実際は3日かかっている状態が最も損をします。書いてある時間を守れないなら、書いてある時間のほうを直してください。
4. スマホで見たときの導線
スマホで自社サイトを開き、トップページから問い合わせを完了するまでに何回タップが必要かを数えます。
| 見る場所 | 合格ライン |
|---|---|
| トップからフォームまで | 2タップ以内で着く |
| 画面の上部(スクロールせずに見える範囲) | 何の会社か、どこに連絡すればよいかが分かる |
| フォームの入力項目 | 必須項目が5個以内。住所や希望日は後で聞く |
| 送信ボタン | 画面内に収まり、押しても反応がないことがない |
| 電話番号 | タップで発信できる |
フォームの項目が多いほど、送信される件数は減ります。「後の商談で聞けること」は全部フォームから外してください。 名前・連絡先・用件の3つで足りることがほとんどです。導線の組み方はサイト構成と導線の設計(5章)に書いています。
5. 何屋かが、1画面で分かるか
最後に、サイトのトップページと、広告を出しているならその着地ページを開いて、スクロールする前の画面だけで次の3つが分かるかを見ます。
- 何を売っている会社か
- どこで(対応エリア・業種)
- 次に何をすればいいか(問い合わせ・資料請求・電話)
社内の人は答えを知っているので判定できません。取引のない人に見てもらい、5秒見せて「何の会社?」と聞くのが確実です。答えられなければ、広告を足しても同じ結果になります。
広告を出している場合は、検索した語と着地ページの見出しが揃っているかも見てください。「原状回復 費用」で検索した人が会社概要に着地していれば、そこで終わります。
30分で通す点検表
| # | 見るもの | 合格ライン | 費用 |
|---|---|---|---|
| 1 | フォーム | 自分で送った1件が、自動返信と社内通知の両方に届く | 0円 |
| 2 | 電話 | 時間内は3コール以内。時間外に案内がある | 0円 |
| 3 | 返信 | 当日中に一次返信。担当不在時の代役が決まっている | 0円 |
| 4 | スマホの導線 | 2タップでフォーム。必須項目5個以内 | 0円〜 |
| 5 | 1画面の分かりやすさ | 社外の人が5秒で「何屋か」を言える | 0円〜 |
5つ全部が○になってから、広告やSEOに進んでください。 順番はこの記事の最初の表と、広告とSEO、どちらを先にやるかにまとめています。
一度直しても、また壊れる
この5つは、一度○にしたら終わりではありません。 静かに壊れるものばかりなので、壊れるきっかけを知っておくと気づけます。
| 壊れるきっかけ | 壊れる場所 |
|---|---|
| メールのサービスやサーバーを変えた | フォームの通知が届かなくなる |
| 担当者が異動・退職した | 通知先が誰も見ないアドレスになる |
| サイトを更新した・プラグインを更新した | フォームの送信処理が止まる |
| 電話の転送設定を変えた | 時間外の案内が消える |
| 新しく広告を出し始めた | 着地ページと検索語がずれる |
3か月に1回、この記事の点検表を通してください。 費用は0円で、30分で終わります。カレンダーに繰り返しの予定として入れてしまうのがいちばん確実です。
あわせて、直した日と直した内容を1か所に記録してください。次に数字が動いたとき、その原因を探せるようになります。記録がないと、「先月から問い合わせが減った」の原因が永久に分かりません。
5つを直しても来ない場合
そのときは、そもそも見られていない可能性が高いです。ここで初めて集客の話になります。
- 検索から来ていない → SEOの教科書、店舗があるならローカル検索(9章)
- 広告は出しているが成果がない → 広告アカウントの点検手順(2章)
- 一度来た人と接点が切れる → LINEナーチャリングの教科書
なお、数字で判断するには計測が要ります。GA4とGoogleタグマネージャーの設定はアクセス解析・GA4設定で15万円から、現状の診断は無料です。どこで離脱しているかのサイト改善・CVR改善の現状分析は20万円からで、レポートだけ受け取って社内や既存の制作会社で直していただいて構いません。
まとめ
- 広告やSEOを足す前に、受け皿の5箇所を点検する。1〜3番は費用0円
- 自社フォームから自分で1通送る。迷惑メールフォルダと通知先の宛先まで見る
- 電話は時間内と時間外の両方でかける。件数を数えていないなら着信履歴を1か月分数える
- 一次返信は当日中。守れない時間を自動返信に書かない
- フォームの必須項目は5個以内。後の商談で聞けることは外す
- 5秒見せて「何屋か」を社外の人が言えるか。言えないなら集客を足しても同じ結果になる
→ 集客・マーケティング支援 → サイト制作の教科書(全12章) → Web広告運用の教科書(全12章) → サイト改善・CVR改善
よくある質問
問い合わせが来ないとき、まず何から見ればいいですか
自社のフォームから自分で1通送ってみてください。届いていないケースが実際にあります。次に電話、返信までの時間、スマホでの導線、ページの分かりやすさの順です。広告やSEOを足すのはその後で、順番を逆にすると集めた人がそのまま漏れます。
フォームから送ったのに社内に届かないことがあるのはなぜですか
フォームからの通知メールが迷惑メール扱いになっている、送信元アドレスがサイトのドメインと違って認証に失敗している、通知先が退職者のアドレスのまま、の3つがよくある原因です。フォームの画面上は「送信しました」と出るため、送った側も受ける側も気づけません。
サイトを作り直せば問い合わせは増えますか
増えるとは限りません。作り直す前に、どのページで離脱しているかを数字で見てください。当社では現状分析を20万円から行っており、直せば済むサイトを作り直すと80万円以上が不要にかかります。分析の結果、作り直したほうが早いと判断することもあります。


