CHAPTER 05
サイトの構成と導線の設計
この章で分かること
- トップページの役割(全部載せる場所ではない理由)と、階層・クリック数の目安
- 全ページに「次の行き先」を割り当てる表の作り方
- 問い合わせ導線の置き場所と、電話番号・URL・パンくず・追加ページの決め方
この章の目次(10)
- 1トップページは「振り分けるページ」
- 2構成は「図」にする。表でも代わりになる
- 3全ページに「次の行き先」を1つ書く
- 4問い合わせ導線は、全ページから届かせる
- 5URLの付け方は、規則を1つに決める
- 6パンくずと、重複ページの整理
- 7公開後に足すページの置き場所を先に作る
- 8作らない・置かない判断
- 9よくある間違いを5つ
- 10この章の出口
サイトの構成は、会社の組織図ではありません。読み手が「次にどこへ行くか」を迷わないための順路です。 だから合否は見た目では決まりません。決まるのは2つだけで、行き止まりのページが0であることと、どのページからでも問い合わせに届くことです。 この章は、ページを並べ、階層を3段以内に収め、全ページに「次の行き先」を1つ書いて、公開後に足すページの置き場所まで決めるための章です。
この章で分かること
- トップページの役割(全部載せる場所ではない理由)と、階層・クリック数の目安
- 全ページに「次の行き先」を割り当てる表の作り方
- 問い合わせ導線の置き場所と、電話番号・URL・パンくず・追加ページの決め方
トップページは「振り分けるページ」
トップページに情報を集めるほど、問い合わせは減ります。読み手が探す対象が増えるからです。トップページの仕事は3つだけです。
なぜそうなるのかを、順に説明します。サイトを訪れた人は、そのページを読みに来たのではなく、自分の困りごとに答えがあるかを確かめに来ています。確かめる作業は、本人にとって面倒な作業です。面倒な作業に付き合ってくれる時間は、長くありません。トップページに情報が多いほど、この確かめる作業が長くなり、途中で帰る人が増えます。
発注する側から見ると、この理屈は直感に反します。伝えたいことが多いのだから、多く載せたほうが伝わるはずだ、と考えるのが自然です。ところが、読み手の側には「全部読んでから判断する」という選択肢がありません。読み手がやっているのは、読むことではなく、選ぶことです。選ぶ作業を助けるページと、選ぶ作業を邪魔するページがあり、情報量が多いページは後者になります。
だからトップページの設計は、何を載せるかではなく、何を載せないかを決める作業になります。載せないと決めたものは、消えるのではなく各ページに移ります。移す先が見つからない情報が出てきたら、それはそもそも誰にも必要とされていない情報かもしれません。
| 仕事 | 具体的に置くもの | 置かないもの |
|---|---|---|
| 何の会社かを言う | 1行の説明(誰向けに、何をする会社か) | 長い理念・社史 |
| 誰向けかを示す | 対象・対応エリア・対応できる規模 | 業界用語だけの事業一覧 |
| 行き先に振り分ける | サービス・実績・採用・問い合わせへの入口 | 全ページへのリンクを並べたメニュー |
この表は、左から右へ1行ずつ、対にして読んでください。中央の列が「置くもの」、右の列が「置かないもの」で、同じ行の2つは同じ話題を扱っています。多くの会社でトップページが重くなる原因は、中央の列を置き忘れているからではなく、右の列を一緒に置いてしまっているからです。理念も事業一覧も、それ自体は悪いものではありません。置く場所が違うだけです。
判定は1つです。トップページを開いて5秒で、「何の会社で、自分が対象かどうか」が分かるか。 分からなければ、写真やアニメーションを増やしても直りません。
2章の表1(ページ一覧)の2列目に書いた「起こさせたい行動」を、そのままトップの振り分け先にします。1章の目的の1行が、ここで全ページに分配されます。
構成は「図」にする。表でも代わりになる
構成は、頭の中ではなく1枚の図にします。手書きでもパワーポイントでも構いません。図を書けない場合は、次の表で代用できます。
| 階層 | ページ名 | 親 | このページの役割 | 次の行き先 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | トップ | — | 振り分ける | サービス一覧 |
| 2 | サービス一覧 | トップ | 該当するサービスを選ばせる | 各サービス |
| 3 | サービスA | サービス一覧 | 問い合わせさせる | 問い合わせ |
| 3 | サービスB | サービス一覧 | 問い合わせさせる | 問い合わせ |
| 2 | 実績一覧 | トップ | 自社と同じ業種を探させる | サービスA/問い合わせ |
| 3 | 実績(個別) | 実績一覧 | 該当サービスへ戻す | サービスA |
| 2 | 会社概要 | トップ | 信用を確認させる | 問い合わせ |
| 2 | 採用 | トップ | 応募させる | 応募フォーム |
| 2 | 問い合わせ | トップ | 送信させる | (完了ページ) |
| 2 | お知らせ一覧 | トップ | 動いている会社だと示す | サービス一覧 |
この表を作る効用は、完成した表そのものより、埋める過程にあります。「このページの役割」の欄が書けないページと、「次の行き先」の欄が書けないページが、必ず数行出てきます。その行が、公開後に更新されなくなるページです。制作会社との打ち合わせでこの表を広げ、書けなかった欄を先に潰しておくと、後から「このページは何のためにあるんでしたっけ」という会話が起きません。
10ページ前後のサイトなら、この表は30分で埋まります。図を描くより速いことも多いので、図が苦手な方は最初から表で構いません。大事なのは形式ではなく、全ページが1枚に載っていることです。
この表に載っていないページは、作らないか、載せるかのどちらかにしてください。 図にも表にも無いのに存在するページは、公開後に誰も更新しません。
階層は3段、重要ページは2クリック以内
| 決めごと | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 階層の深さ | 3段以内(トップ→カテゴリ→個別) | 4段目に入ったページは、読み手も社内も存在を忘れる |
| 重要ページまでのクリック数 | トップから2クリック以内 | 売りたいページ・採用ページが該当 |
| メニューの項目数 | 5〜7個 | 多いほど選べなくなる。スマホでは特に |
| 1ページの役割 | 1つ | 2つ書くと、どちらも中途半端になる |
10ページ前後のサイトで4段目が出るときは、たいてい分類の仕方が間違っています。分類は会社の部署ではなく、読み手の探し方で切ってください。
全ページに「次の行き先」を1つ書く
この章の必須項目の1つ目です。読み終わったあとに行く場所が無いページを、行き止まりと呼びます。
| よくある行き止まり | 直し方 |
|---|---|
| 会社概要(読んで終わり) | 末尾に「相談する」と、関連するサービスページへの導線を置く |
| 実績の個別ページ | 該当するサービスページへ戻す(一覧に戻すだけにしない) |
| お知らせの個別ページ | サービス一覧か、関連する実績へ |
| 採用の募集要項 | 応募フォームへ(「気になる方はご連絡ください」だけにしない) |
| 送信完了ページ | 返信までの日数を書き、実績かお知らせへ戻す |
送信完了ページを忘れる会社がとても多いです。 ここは、問い合わせた人が最後に見る画面です。「送信しました」だけでは、返信を待つ人が不安になります。返信までの日数と、その後の流れを書いてください。
よくあるのは、実績ページはよく読まれているのに問い合わせが増えない、という形です。調べてみると、実績の個別ページの末尾にあるのが、実績一覧へ戻るリンクだけ。読み手は、自社と似た事例を見つけて「これはうちでもできるのか」と思った瞬間に、一覧へ戻されます。戻った先には、また事例が並んでいる。事例を3つ4つ見て、そのまま帰ってしまいます。
直すのは、実績ページの末尾に、該当するサービスページへのリンクと、相談を促す1行を足すことだけです。ページを増やす必要も、文章を書き直す必要もありません。最も読み込んでくれた人を、出口なしで帰すのを止めるだけです。
行き止まりが損をするのは、読まれていないページではなく、よく読まれているページで起きたときです。点検するときは、アクセスの多い順に上から5ページだけ見てください。全ページを一度に直そうとすると、たいてい途中で止まります。
導線を決める手順
ページごとに、次の3行を埋めるだけです。
| 埋めること | 例(実績の個別ページ) |
|---|---|
| このページを読んだ人は、次に何を知りたいか | 同じことを自社でやるといくらかかるか |
| その答えがあるページはどれか | サービスAのページ |
| 行かせる手段は何か | 本文末尾のボタン+関連リンク |
「次に何を知りたいか」が書けないページは、ページの中身が足りていないか、そもそも必要のないページです。
問い合わせ導線は、全ページから届かせる
この章の必須項目の2つ目です。置き場所は決まっています。
| 場所 | 置くもの | 備考 |
|---|---|---|
| ヘッダー(全ページ) | 「お問い合わせ」ボタン | スマホでも常に見える形にする |
| フッター(全ページ) | 問い合わせ・電話・会社情報 | ページの最後まで読んだ人の出口 |
| 各ページの本文末尾 | そのページの内容に合った誘導文+ボタン | 「お問い合わせはこちら」だけにしない |
| サービスページの途中 | 長いページなら中ほどにもう1つ | 最後まで読まない人がいる |
ボタンの文言は「お問い合わせ」だけにしないでください。 何が起きるか分からないボタンは押されません。「見積もりを依頼する」「まず相談する(無料)」「資料を受け取る」のように、押した後に起きることを書きます。
電話番号の扱いを決める
これは好みではなく、業務の話です。
| 判断 | 条件 |
|---|---|
| 載せる+スマホでタップ発信できるようにする | 電話で受けられる人が、営業時間中は必ずいる |
| 載せるが、受付時間を明記する | 時間外の着信が困る |
| 載せない(フォームだけ) | 電話を取れる人がいない/営業電話を増やしたくない |
取れない電話番号を載せるのが、いちばん損をします。 かけて出なかった会社に、二度目はありません。電話を受ける人がいないなら、載せないほうが良い判断です。
載せるか載せないかで迷ったら、社内で「誰が取るか」を先に聞いてください。その質問に名前で答えられないなら、載せない側に倒します。「手が空いている人が取る」という答えは、実際には誰も取らないという意味になりがちです。
逆に、電話で受けたほうが早く決まる商売——見積が現地を見ないと出せない、急ぎの依頼が多い、といった業態——では、載せる側に倒してください。その場合は受付時間を必ず明記します。時間を書いておけば、時間外にかけた人は「不在だった」ではなく「時間外だった」と理解します。同じ不通でも、受ける印象がまったく違います。
URLの付け方は、規則を1つに決める
URL(ページのアドレス)は、後から変えると転送設定が必要になります(10章)。作るときに規則を1つ決めて、最後まで守ってください。
| 決めること | 決め方の例 |
|---|---|
| 英語か日本語か | どちらでもよい。ただし混在させない |
| 単語の区切り | ハイフンでそろえる |
| 大文字・小文字 | 小文字でそろえる |
| 階層の付け方 | サービス配下なら /services/◯◯ のように親を入れる |
| 末尾のスラッシュ | あり・なしのどちらかにそろえる |
日本語URLは、そのまま表示されると読みやすい一方、コピーすると長い文字列になります。社外に貼る機会が多いなら英語、社内資料が中心なら日本語、程度の判断で構いません。どちらでも大きな差は出ません。
検索での扱い(URLの設計が順位にどう影響するか、クラスタとハブの作り方)は、この教科書では扱いません。 SEOの教科書 5章(サイト構造とURL設計) を見てください。この章で決めるのは、発注側が迷わず運用できる規則が1つあるかどうかだけです。
パンくずと、重複ページの整理
パンくず(トップ > サービス > サービスA のような表示)は、トップ以外の全ページに出してください。読み手が今どこにいるかを示す唯一の手がかりです。検索結果から個別ページに直接入ってきた人は、トップを見ていません。
同じ内容のページが2つ以上あるのも、この段階で潰します。
| よくある重複 | 判断 |
|---|---|
| 「サービス」と「事業内容」 | 統合する。片方を消す |
| 「よくある質問」が各ページと一覧に散っている | 一覧に集約するか、各ページに置くかを決める |
| 「会社概要」と「私たちについて」 | 統合する |
| 「お知らせ」と「ブログ」と「コラム」 | 更新する人がいる入れ物だけ残す(2章の表3) |
判定は簡単です。2つのページの違いを1行で説明できないなら、1つにしてください。
公開後に足すページの置き場所を先に作る
サイトは公開後に必ず増えます。増やす場所を先に決めておかないと、トップページの下にページが直付けされていき、2年後には階層が崩れます。
| 入れ物 | 何を足すか | 要否の判断 |
|---|---|---|
| お知らせ | 会社の動き・休業案内 | 月1回以上更新する人がいるなら作る |
| 実績・事例 | 案件ごとの記録 | 営業で使うなら作る。最も効きやすい入れ物 |
| 記事・コラム | 検索から人を集める記事 | 書く人がいる場合だけ。いないなら作らない |
| よくある質問 | 問い合わせで毎回聞かれること | 作る。問い合わせ対応の時間が減る |
| 採用の募集要項 | 職種ごとの募集 | 継続採用するなら作る |
「記事・コラム」は、入れ物だけ作って空のまま放置されるページの第1位です。 2章の表3で「社内でやる人」に名前が入らなかったなら、作らないでください。空のブログは、更新が止まっていることを公開し続けます。
作らない・置かない判断
| よくある要望 | 当社の判断 |
|---|---|
| メニューに全ページを並べたい(メガメニュー) | 10ページ前後なら不要。5〜7項目に絞る |
| トップに全サービスの説明を載せたい | 載せない。振り分けに徹する |
| サイト内検索を付けたい | 50ページ未満なら不要。構成が正しければ検索されない |
| 各ページにSNSのシェアボタンを付けたい | BtoBではほぼ押されない。押される種類のページだけに置く |
| 動くスライドを一番上に置きたい | 1枚目しか見られないことが多い。1枚で言い切るほうが早い |
| ページを30に増やしたい | 「無いと誰が困るか」が書けるページだけ足す(2章) |
この表は、要望を断るための表ではなく、要望の裏にある目的を聞き直すための表です。右の列に書いてあるのは当社の判断であって、絶対の正解ではありません。たとえばサイト内検索は、50ページ未満なら不要というのが当社の見方ですが、製品を型番で探す商売なら話は別です。要望が出たときは、右の列を根拠に断るのではなく、「それが必要になるのはどういう場面ですか」と一度聞いてください。場面が具体的に返ってくる要望は、たいてい足す価値があります。
サイト内検索の行は、構成の出来を測る指標でもあります。 読み手が検索したくなるのは、たいてい構成で目的地に辿り着けないときです。
よくある間違いを5つ
「トップページに全部載せる」 ——全部載せると、読み手は自分に関係のある部分を探さなければなりません。探す手間は離脱に直結します。直し方:トップの役割を「何の会社か」「誰向けか」「どこへ行くか」の3つに限定し、詳細は各ページに移す。
「会社の組織図どおりにメニューを作る」 ——読み手は自社の部署を知りません。「第一事業部のサービス」と書かれても選べません。直し方:分類を読み手の探し方(困りごと・業種・エリア)で切り直す。社内の呼び名を外に出さない。
「各ページの最後を『以上です』で終わらせる」 ——読み終わった人がそのまま離脱します。最も読み込んでくれた人を、出口なしで帰すことになります。直し方:全ページの末尾に、次の行き先を1つだけ置く。2つ以上置くと、また選ばせることになる。
「問い合わせページを作ったから導線は足りている」 ——ページがあることと、辿り着けることは別です。メニューの一番右にあるだけでは、スマホではメニューを開かないと見えません。直し方:ヘッダーに常時表示のボタンを置き、フッターと各ページ末尾にも置く。押した後に何が起きるかを文言に書く。
「ブログを作れば人が来る」 ——入れ物を作っても、書く人がいなければ空のままです。更新が止まったブログは、会社が止まって見えます。直し方:2章の表3で「書く人」に名前が入る場合だけ作る。いないなら、実績・よくある質問など、社内の誰かが書ける入れ物に変える。
この章の出口
この章を終えたとき、手元に残っているべきものは3つです。
- サイトマップ図(または階層の表)。全ページが載っていて、階層は3段以内
- 全ページの「次の行き先」。行き止まりが0
- 問い合わせ導線の置き場所とボタンの文言、電話番号の扱い、URLの規則
順路が決まりました。次に決めるのは、その順路に流し込む中身です。 どれだけ導線が正しくても、各ページに書いてあることが「弊社は誠実に対応いたします」だけでは、読み手は判断できません。
次の章へ:6章 サイトの原稿と写真|誰がいつ書くか
この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)
点検リスト:構成と導線(10項目)
デザインや実装に進む前に、発注側だけで埋められます。 サイトマップ図(または上の表)と、制作側の提案書があれば判定できます。
| # | チェック項目 | 合格ライン |
|---|---|---|
| 1 | 全ページがサイトマップ図に載っている | 図に無いページが無い |
| 2 | 階層が3段以内 | トップ→カテゴリ→個別 まで |
| 3 | 重要ページがトップから2クリック以内 | 売りたいページ・採用ページが該当 |
| 4 | 全ページに次の行き先が置いてある | 行き止まりのページが0 |
| 5 | 問い合わせ導線が全ページから届く | ヘッダーかフッターに常時ある |
| 6 | 電話番号の扱いが決まっている | 載せる/載せない、スマホでタップ発信するかが決まっている |
| 7 | 同じ内容のページが2つ以上ない | 統合するか、片方を消すか決まっている |
| 8 | URLの付け方が決まっている | 規則が1つ(日本語URLの可否も決めてある) |
| 9 | パンくずが全ページに出る | トップ以外の全ページ |
| 10 | 追加するページの置き場所が決まっている | お知らせ・実績・記事の入れ物がある |
合格ライン=10項目中8つ以上。ただし 4・5 が×なら実装に進まない。
- 4が×:行き止まりのページは、読まれるほど離脱を生みます。公開後に全ページへ誘導を足す作業は、作るときに入れるより工数が倍かかります
- 5が×:問い合わせに届かない導線は、そのまま売上の損失です。ヘッダー・フッターは全ページ共通なので、実装前なら1回の指定で済みます
4・5は、公開後に直すと高くつく代表格です。 だから、デザインが上がる前のこの段階で確定させます。
更新日 2018年10月20日
