株式会社COTSUBU
マーケティング

広告とSEO、どちらを先にやるか|予算別の決め方

宇田川 将也|8分
Web広告SEO集客予算中小企業

広告とSEOのどちらを先にやるかは、いつまでに問い合わせが要るかで決まります。予算は、その次に効く条件です。

3か月以内に件数が要るなら広告。1年かけて1件あたりの費用を下げたいならSEO。この順番を予算の話から始めると、「安いほうから」という理由でSEOを選び、半年後に何も起きていない、という結果になりがちです。

判断の全体像はWeb広告運用の教科書(全12章)とSEOの教科書(全12章)にまとめています。この記事は、その2冊のどちらを先に開くかを決めるためのものです。

先に決めるのは、1件にいくらまで払えるか

広告もSEOも、自社の許容獲得単価(1件の問い合わせにいくらまで払えるか)が決まっていないと、良し悪しを判定できません。 他社の平均値は要りません。自社の数字だけで出せます。

項目 出し方 例(自社の数字に置き換えてください)
1件受注したときの粗利 直近の受注実績から 30万円
問い合わせから受注になる割合 直近1年の問い合わせ件数と受注件数 5件に1件(20%)
問い合わせ1件に払える上限 粗利 × 受注率 30万円 × 20% = 6万円

この6万円が上限です。広告で1件6万円を超えていたら止める、SEOに年60万円かけて年間20件取れたら1件3万円、というように、同じものさしで比べられるようになります。 計算の詰め方は広告で何が決まるのか(1章)に書いています。

受注率が分からない場合、それが最初の課題です。広告でもSEOでもなく、問い合わせを数えるところから始めてください。

広告とSEOは、何が違うのか

広告 SEO
成果が出始めるまで 配信した日から 数か月単位
止めたとき その日に流入が止まる 掲載はしばらく残る
費用の性質 出し続ける限りかかる変動費 先に作業して、後から効く前払いに近い
改善の材料 実際に検索された語が、費用つきで見られる 検索された語と順位は見られるが、費用との対応はない
コントロールできる範囲 予算・地域・時間・除外まで自社で決められる 決められるのは自社サイトの中だけ
向いている状況 期限がある。新サービスを試す。繁忙期に合わせる 同じ語で継続的に取りたい。問い合わせ単価を下げたい

広告の最大の利点は速さではなく、検証できることです。 お金を出した瞬間に、どの検索語にいくら使い、何件になったかが返ってきます。SEOにはこの折り返しがありません。だから広告を先にやると、SEOで書くべき語まで分かります。

予算別の決め方

月にマーケティングへ使える額で、現実的にできることは変わります。下の額はすべて税別・当社の料金(実値)です。

月に使える額 現実的な組み方
〜5万円 広告もSEOも外注しない。Googleビジネスプロフィールの整備、フォームと電話番号の点検など、費用のかからない手当てから
10〜20万円 全額を広告費に入れて、自社で出す。運用代行は付けない
30〜50万円 広告費20万円+運用代行(月10万円〜)。ここから代行が成立する
60万円〜 広告を回しながらSEO(月30万円〜・6か月〜)を並走させる

月10〜20万円の帯で代行を付けてはいけない理由は単純で、当社の運用代行は広告費の20%または月10万円のいずれか高い方だからです。月10万円の予算を代行費に使えば、広告費がゼロになります。この帯は自社で出し、迷った箇所だけ広告アカウント診断(1媒体5万円〜・5営業日)で第三者に見てもらうほうが、お金が残ります。

広告費そのものは、当社では月20万円からを推奨しています。これを下回ると判断に必要なデータが溜まるまでに時間がかかるためで、業種によっては月10万円から試すこともあります。

どちらも後回しにすべき状態

次の3つのどれかに当てはまるなら、広告もSEOも始めないでください。 出したお金がそのまま消えます。

  • 問い合わせ件数を数えられていない。 どこから来た何件かが分からないまま媒体を増やすと、止める判断ができません(→コンバージョンを正しく数える(3章))。GA4とGoogleタグマネージャーの設定はアクセス解析・GA4設定で15万円から、現状の診断は無料で行っています
  • 受け皿が壊れている。 フォームが送信できない、送信後に社内へ届いていない、営業時間外の電話が鳴りっぱなし。これは広告の問題ではありません(→受け皿で決まる部分(10章))
  • サイトに「何屋か」が書かれていない。 誰に何を売るページなのかが曖昧なサイトに人を連れてきても、帰るだけです(→作る前に決めること(1章))

広告で見つけた語を、SEOに渡す

両方やる場合の順番は、広告が先でSEOが後です。理由は材料の流れにあります。

  1. 広告を1〜3か月出し、実際に検索された語とその成果を集める
  2. 問い合わせにつながった語だけを抜き出す
  3. その語でページを作る(→キーワードの決め方(4章))
  4. SEOで順位が付いた語は、広告側の入札を下げるか外す

この順番だと、SEOで書く記事のテーマを推測で決めずに済みます。逆にSEOを先にやると、検索数だけを見て選ぶことになり、発注意図のない語で上位を取って終わることがあります。

なお、広告で成果の出なかった語をSEOで狙っても、多くの場合は同じ結果になります。広告で反応がない語は、検索している人が買う気で調べていない語だからです。

「両方少しずつ」を選ばない

実際によく見るのは、広告を月5万円、SEOの記事を月1本という配分です。どちらも判断に必要な量に届いていないため、1年経っても「効いたのか効かなかったのか分からない」という結論になります。

避け方は1つで、期間を区切って片方に寄せることです。

  1. 3か月は広告だけに寄せる。使う語を10個以内に絞る
  2. 3か月後、1件あたりの費用を許容上限と比べる
  3. 上限を下回っていれば広告を増やす。上回っていれば語か着地ページを変えてもう3か月
  4. 広告で成果の出た語が特定できてから、SEOを始める

予算が小さいほど、寄せる判断が成果を分けます。配分そのものに迷う場合は、事業の粗利と受注単価から逆算して決めるところから支援しています。

どちらも効きにくい業種がある

検索で探されない商材というものがあります。名前を知らないと検索できないもの、困ってから探すのではなく人づてで決まるものがこれにあたります。

検索で取りやすい 検索で取りにくい
困りごとが言葉になる(「漏水 修理」「就業規則 作成」) 何と呼ぶか本人が知らない
業者を比べてから決める 紹介や既存の付き合いで決まる
地域と商材で絞り込める 全国の少数の相手にしか売れない
緊急度がある 買うかどうかを何年も検討する

右の列に当てはまる場合、広告もSEOも先にやるべき施策ではありません。 既存客との接点を切らさないこと、紹介が起きる形を作ることのほうが先です。LINEで接点を持ち続ける形が合う業種もあります(→LINEナーチャリングの教科書)。

自社がどちらかを確かめる方法は簡単で、自社の商材を表す語が、月にどれくらい検索されているかを見ることです。検索数がほとんどない語で上位を取っても、来る人がいません。

費用の目安(当社の場合)

何に 費用
広告の初期構築 20万円〜
広告の運用代行 月10万円〜(広告費の20%または月10万円の高い方)
広告費 実費(月20万円〜を推奨。当社を経由しません)
広告アカウント診断(単発) 1媒体5万円〜/3媒体まで12万円〜
SEO継続支援 月30万円〜(6か月〜)
SEOの記事制作 5万円〜/本
GA4・GTM設定 15万円〜(診断は無料)

配分そのものを決めるところから相談したい場合はマーケティング戦略設計(単発40万円〜、継続は月10万円〜)があります。初回相談と現状調査は無料です。

まとめ

  • 順番は予算ではなく期限で決める。3か月以内に件数が要るなら広告
  • 先に「問い合わせ1件にいくらまで払えるか」を、自社の粗利と受注率から出す
  • 月10〜20万円の帯では代行を付けず、自社で広告を出す。代行費が広告費を食う
  • 数えられていない・受け皿が壊れている・何屋か書いていない。この3つがあるなら両方やらない
  • 両方やるなら広告が先。成果の出た検索語だけをSEOに渡す

→ Web広告運用の教科書(全12章) → SEOの教科書(全12章) → 集客・マーケティング支援 → リスティング広告運用

よくある質問

広告とSEO、結局どちらを先にやるべきですか

3か月以内に問い合わせを増やしたいなら広告です。広告は設定した日から出て、止めればその日に止まります。SEOは成果が出るまで時間がかかる代わりに、止めても掲載が即座に消えるわけではありません。期限が先にあり、予算が後に来ます。

予算が月10万円でも広告運用を頼めますか

その額なら運用代行は付けず、自社で出すことをおすすめしています。当社の運用代行は月10万円から(広告費の20%または月10万円のいずれか高い方)なので、月10万円の予算をすべて手数料に使うことになり、広告費が残りません。自社で出してみて、判断に迷う点だけ単発の広告アカウント診断(5万円から)で見る形が現実的です。

広告とSEOを同時に始めてはいけませんか

いけないわけではありませんが、予算を明確に分けられる場合に限ります。同じ財布から出すと、成果が出るまで時間のかかるSEO側が先に削られます。同時にやる利点は、広告の検索語句レポートで成果の出た語が分かり、その語をSEOの対象に回せることです。

宇田川 将也/ 代表取締役

2024年に総務省の地域活性化起業人として島根県海士町に着任。役場に住み込んで業務改善に従事し、kintoneで電子決裁や定期健診管理を構築しました。

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