株式会社COTSUBU

CHAPTER 09

広告運用の日次・週次・月次でやること

この章で分かること

  • 日次・週次・月次に何を見て、何を触らないか。毎日見る項目を3つ以内に絞る理由
  • 月次レポートに最低限そろえる項目と、自分で再現できるかの確かめ方
  • 異常(急増・急減・0件)に気づく基準と、忙しい月に落としてよい作業・落としてはいけない作業
この章の目次(9)
  1. 1時間の使い方をひとつの表にする
  2. 2日次:見るのは3つだけ、触らない
  3. 3週次:検索語句を見て、除外を足す
  4. 4月次:許容CPAと突き合わせる
  5. 5異常の基準を先に決めておく
  6. 6忙しい月に落としてよいもの
  7. 7誰がやるかを名前で書く
  8. 8よくある間違いを5つ
  9. 9この章の出口

広告の運用が止まる理由は、成果が出ないからではありません。毎週・毎月やることが決まっていないからです。 決まっていれば、忙しい月でも日次5分・週次30分・月次60分で回ります。決まっていないと「今週は何を見ようか」を考える時間のほうが長くなり、やがて管理画面を開かなくなります。 この章は、見る項目を日次・週次・月次に振り分け、触らない期間を決め、異常に気づく基準を置き、10項目の点検リストで続く体制かどうかを確かめるための章です。

この章で分かること

  • 日次・週次・月次に何を見て、何を触らないか。毎日見る項目を3つ以内に絞る理由
  • 月次レポートに最低限そろえる項目と、自分で再現できるかの確かめ方
  • 異常(急増・急減・0件)に気づく基準と、忙しい月に落としてよい作業・落としてはいけない作業

時間の使い方をひとつの表にする

まず全体像です。この表を埋めて、担当者名と曜日を書き込めば、この章の仕事は半分終わります。

頻度 時間 見るもの 触ってよいもの
日次 5分 ①配信が止まっていないか ②費用が異常でないか ③成果件数 原則、触らない(止まっているときの復旧だけ)
週次 30分 実際に検索された語/成果0で費用の出ている項目/素材と広告文の消耗 除外の追加、明らかな無駄の停止
月次 60分 許容CPAと実績の突き合わせ/予算配分/レポートの再現 予算配分、目標値(必要な場合のみ1つ)
四半期 120分 媒体を増やす・減らす判断/許容CPAの再計算/名義と権限 構造の変更、媒体の追加・停止

合計すると、月におよそ5時間です(日次5分×20日+週次30分×4+月次60分)。これが最小の形で、ここから増やすほど続かなくなります。

日次:見るのは3つだけ、触らない

毎日見る項目を増やすと、動いていないのに何かを変えたくなります。 日次の数字は振れるので、そこに手を入れると7章で書いた「評価不能な状態」を毎日作ることになります。

日次の目的は改善ではなく、事故の発見です。

見るもの 異常のサイン やること
配信が動いているか 費用が0になっている 審査落ち・決済エラー・予算切れ・キャンペーン停止を確認
費用が異常でないか 前日比で大きく増減している 設定変更の有無を確認。変えていないなら翌日も見る
成果件数 数日連続で0 計測が壊れた可能性を先に疑う(3章)

3つめが重要です。「急に0件になった」の原因は、広告ではなく計測の側にあることがよくあります。 サイトの改修、フォームの変更、CMSの更新でタグが外れる。気づかないと、その日から先の数字がすべて過小になります。

決済エラーは、最も多くて最ももったいない停止理由です。 カードの有効期限切れで丸1日配信が止まっていた、というのは珍しくありません。日次5分の価値のほとんどはここにあります。

週次:検索語句を見て、除外を足す

週次でやる作業は1つに絞れます。実際に検索された語を見て、発注意図のない語を除外する。 6章で設計した除外リストを、毎週更新する作業です。

週次で見るもの 合格の状態
実際に検索された語(費用の多い順) 発注意図のない語への支出が総費用の5%以内
成果0で費用の出ている項目 直近90日で成果0かつ費用1万円以上の項目が0件
除外の追加履歴 今週、1件以上追加している(または「追加不要」と判断した記録がある)
素材・広告文の状態 同時に2案以上動いている。次に出す案が0本でない(8章)

除外は1回やって終わる作業ではありません。 検索される語は毎月増えます。2章の点検リストの9(直近30日に1回以上、除外を追加した形跡がある)は、運用されているかどうかの判定として置いてあります。

週次でやらないことも決めておきます。入札方式の変更、目標値の変更、構造の組み替え。これらは評価期間が必要なので、週単位で動かすと何も分からなくなります(7章)。

月次:許容CPAと突き合わせる

月次の目的は、続ける・直す・止める・任せるを決めることです。そのために必要な数字は多くありません。

# そろえる項目 何のためか
1 費用(媒体ごと・キャンペーンごと) いくら使ったか
2 成果件数(入口ごと:フォーム・電話・LINE) 何件取れたか
3 獲得単価(CPA) 1件いくらで取れたか
4 許容CPAとの比率(「今月は許容CPAの何%か」) 合格か不合格か。この1行が結論
5 指名検索を除いた数字 実力の把握(指名が混ざると過大評価になる)
6 今月変えたことの一覧 数字の段差と照合するため
7 来月やること(3つ以内) 次の行動

4番が結論です。 「CPAは18,000円でした」だけでは判断できませんが、「許容CPA20,000円に対して90%でした」なら、その場で続ける・止めるを決められます。比べる相手は自社の許容CPAと、先月の自社の数字だけです。業界平均は使いません(1章)。

レポートの数字を自分で再現する

月次でもう1つやることがあります。受け取った(または自分で作った)レポートの件数を、管理画面から同じ期間・同じ条件で出せるかを確かめる作業です。

確かめ方 見るところ
期間の取り方が同じか クリックした日で数えるか、問い合わせた日で数えるか
含めている成果の種類が同じか 主要コンバージョンだけか、副次も足しているか
対象が同じか 全キャンペーンか、指名を除いているか

ここが合わないレポートは、良い悪い以前に判断材料になりません。 2章の点検リストの14がこの項目です。代理店に頼んでいる場合も、閲覧権限をもらって自分で再現できる状態にしてください。

そして、社内の受注記録との突き合わせも月1回です。ずれるのが普通で、問題はずれること自体ではなく、ずれる理由を誰も説明できないことでした(2章・3章)。合格ラインは±20%以内、または理由を説明できることです。

異常の基準を先に決めておく

「おかしい気がする」では動けません。数字で基準を置きます。

異常 基準の例 最初に疑うもの
費用が急減した 前週比−50% 配信停止・審査落ち・決済エラー・除外の入れすぎ
費用が急増した 前週比+50% 予算変更・入札の変更・競合の出稿
成果が0になった 3日連続0 計測の破損(サイト改修・タグの消失)
表示回数が急減した 前週比−50% 直近に入れた除外が広すぎる(6章)
CPAが跳ね上がった 許容CPAの2倍超が2週続く 配分の偏り・指名比率の低下・季節要因

基準の数値は、自社で決めて構いません。 大事なのは「調べ始める線を、事前に引いておく」ことです。線が無いと、悪い数字が出た日の感情で止める判断をしてしまいます。

「表示回数の急減 → 直近の除外を疑う」は見落とされやすい経路です。除外は費用を減らす作業なので、効きすぎても「良くなった」に見えます。 6章の点検リストの9(除外しすぎていないか確認する仕組みがある)が、ここに対応します。

忙しい月に落としてよいもの

全部やるか、全部やらないか、の二択にすると、忙しい月に全部止まります。 落とす順番を先に決めます。

優先 作業 落としてよいか 理由
1 日次5分(配信停止の確認) 落とさない 止まったまま放置すると、その期間の機会がまるごと消える
2 月次の許容CPAとの突き合わせ 落とさない 落とすと、効いているかどうかが分からなくなる
3 週次の検索語句の精査 隔週まで落としてよい 翌週にまとめて2週分見る
4 素材の入れ替え 1ヶ月落としてよい ただし2ヶ月続けて落とさない(消耗する)
5 月次レポートの体裁づくり 落としてよい 数字さえ手元にあれば、体裁は後で整えられる

この表があること自体が、点検リストの必須項目(9)です。 忙しい月は必ず来ます。そのとき何を残すかを、忙しくない月に決めておくのが唯一の方法です。

誰がやるかを名前で書く

「気づいた人がやる」は、誰もやらないのと同じです。見る人と直す人を、名前で決めてください。 別の人でも構いませんが、条件が1つあります。直す人の作業時間(月5時間前後)が、業務として認められていることです。認められていないと、忙しい月から順に消えます。

代理店に運用を任せている場合も、社内に「見る人」は必要です。 レポートを受け取るだけの状態だと、数字が正しいかを誰も確かめられません(2章のよくある間違い5つめ)。

よくある間違いを5つ

「毎日、管理画面を開いて何かを直している」 ——最も多い失敗です。日次の数字は振れるので、毎日触ると評価の前提が毎日変わります。結果として、良くなっても悪くなっても理由が分からないアカウントになります。 → 直し方:日次は見るだけ、触るのは週次以降と決める。日次で触ってよいのは、配信が止まっているときの復旧だけ。

「見る項目を増やした」 ——レポートを厚くし、見る指標を増やすと、開かなくなります。開かなくなった月から、事故にも気づけません。 → 直し方:日次3つ・月次7項目に戻す。 増やしたくなったら、1つ減らしてから増やす。判断に使わない数字(いいね・再生回数)は、最初から表に載せない(8章)。

「先月より悪かったので、設定を戻した」 ——季節・競合・指名比率でも数字は動きます(7章)。前月比だけで判断すると、運用の問題でないものを運用で直そうとして、かえって乱れます。 → 直し方:許容CPAとの比率で判断する。前年同月とも比べる。指名を除いた数字で比べる(5章)。

「レポートは受け取っているが、数字を確かめたことがない」 ——期間の取り方や含めている成果の種類が違うだけで、同じ月の件数は変わります。確かめていないレポートは、判断材料ではなく報告書です。 → 直し方:閲覧権限をもらい、同じ期間・同じ条件で管理画面から同じ数字を出す。 出せなければ、どの条件で集計しているかを聞く。

「何を変えたか、記録していない」 ——3ヶ月後に数字の段差を見つけたとき、原因を特定できません。変更履歴が無いアカウントは、良くなった理由も悪くなった理由も学べないので、運用が経験として積み上がりません。 → 直し方:変えた日・変えた内容・理由を1行ずつ、1か所に残す。 ファイル1枚で十分です。7章の「1回につき1つ」とセットで運用します。

この章の出口

手元に残っているべきものは4つです。

  1. 頻度の表(日次・週次・月次・四半期に、何を見て、何を触るか。担当者名と曜日つき)
  2. 月次レポートの項目(7項目。結論は「許容CPAの何%か」の1行)
  3. 異常の基準(前週比±50%など、調べ始める線)
  4. 忙しい月の最小セット(落としてよい作業の順番)

この4つが1枚に書けていれば、担当が変わっても運用は続きます。逆に、この1枚が無いアカウントは、担当が変わった月に止まります。

外部に出す場合、当社の広告運用(リスティング/Meta/SNS/ディスプレイ)には、月次レポート・改善提案・他媒体との比較が含まれます。続ける理由と止める理由を、毎月数字で示します。 運用代行は月10万円から(広告費の20%または月10万円の高い方)、最低契約期間はありません。すべて税別です。

ここまでが、広告アカウントの中の話です。それでも数字が動かないことがあります。 原因の多くは、広告の外側にあります。

次の章へ:10章 広告のCVRを上げる|LPとフォームの直し方

この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)

点検リスト:運用の型(10項目)

# チェック項目 合格の状態
1 毎日見る項目が3つ以内に決まっている 見る人と見る時間が決まっている
2 配信が止まっていないかを毎日確認している 費用0・審査落ち・決済エラーに気付ける
3 週次で検索語句を精査している 除外の追加が週次で記録されている
4 月次で許容CPAと実績を突き合わせている 「今月は許容CPAの何%か」が言える
5 月次レポートの数字を自分で再現できる 同じ期間・条件で管理画面から同じ数字が出る
6 変更履歴を残している いつ何を変えたかが1か所にある
7 触らない期間を決めている 学習中・検証中に触らないルールがある
8 異常値の基準を決めている 「前週比±50%で調べる」等の基準がある
9 忙しい月の最小セットが決まっている 落としてよい作業が書いてある
10 数字を見る人と直す人が決まっている 担当者名が書いてある

合格ライン=10項目中8つ以上。ただし 1・9 は必須です。 1が×なら、見る量が決まっていないので続きません。9が×なら、忙しい月に全部が止まります。 どちらも「今月の成果」には効きませんが、半年後に続いているかどうかを決める2項目です。点数に関係なく、先に決めてください。

5・6 は、今日から記録を始めれば来月には○になります。7 は7章の決めごとをそのまま持ってくれば埋まります。

読んでも決めきれないところは、一緒に決めます

30分の相談は無料です。2章の点検を当社が代わりに回すこともできます(単発可)。引き受けられる範囲は広告アカウント診断にまとめています。

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更新日 2018年10月20日