株式会社COTSUBU

CHAPTER 08

広告文とクリエイティブの作り方・比べ方

この章で分かること

  • 検索広告の広告文とSNS広告の素材で、決定的に違う点(探している人に見せるか、探していない人に見せるか)
  • 訴求の分け方と本数の決め方。いいね・再生回数を判断材料にしない理由
  • 入れ替えの頻度と、素材が切れて配信が止まる状態の防ぎ方
この章の目次(8)
  1. 1検索広告とSNS広告は、書くものが違う
  2. 2何案作るか:訴求を分ける
  3. 3何で比べるか:判断材料を絞る
  4. 4素材が切れて配信が止まらないようにする
  5. 5広告文と着地先を揃える(ここが必須項目)
  6. 6審査で落ちたときに、素材をどう扱うか
  7. 7よくある間違いを5つ
  8. 8この章の出口

広告文と素材の良し悪しは、見た目では決められません。 決めてよいのは、問い合わせ件数と獲得単価だけです。 この章の作業は3つしかありません。訴求の違う案を複数出す・同じ基準で比べる・数字の悪いものから差し替える。 難しいのは作ることではなく、好みで決めないことです。 この章は、何案作るか、何で比べるか、いつ入れ替えるかを決め、10項目の点検リストで広告文とクリエイティブの合否を出すための章です。

この章で分かること

  • 検索広告の広告文とSNS広告の素材で、決定的に違う点(探している人に見せるか、探していない人に見せるか)
  • 訴求の分け方と本数の決め方。いいね・再生回数を判断材料にしない理由
  • 入れ替えの頻度と、素材が切れて配信が止まる状態の防ぎ方

検索広告とSNS広告は、書くものが違う

同じ「広告文」でも、読む人の状態がまったく違います。ここを取り違えると、どれだけ作っても当たりません。

検索広告 SNS・ディスプレイ広告
相手の状態 すでに探している(語を打った) 探していない(流れてきた)
最初の仕事 打った語と一致していると示す 止めてもらう(読む理由を作る)
効く要素 語の一致・条件(地域・価格・対応範囲) 画像と動画の最初の数秒・1行目
消耗の速さ 遅い(同じ人が何度も見ない) 速い(同じ人に繰り返し表示される)
差し替えの頻度 数字が動いたとき 月次で入れ替える前提

検索広告で最も効くのは、打たれた語を広告文と着地先の見出しに揃えることです。凝った言い回しよりも一致が効きます。 SNS広告は逆で、探していない人の手を止める必要があるため、画像・動画と最初の1行が結果のほとんどを決めます。そして同じ素材を出し続けると、同じ人に何度も表示されて反応が落ちます。 当社が「同じ素材を3ヶ月以上出し続けない」としているのはこのためです。

何案作るか:訴求を分ける

案を増やすときにやりがちなのが、同じことを言い回しだけ変えて3本作ることです。これは比較になりません。どれが勝っても「言い回しの違い」しか分からないからです。

分けるのは言い回しではなく、訴求(何を売りに出すか)です。

訴求の軸 言っていること 向く状況
課題 「◯◯で困っていませんか」 相手が困りごとを自覚している
実績・事例 「◯社が導入」「◯年の実績」 数字や事例を出せる
価格・条件 「◯円から」「初回相談無料」 価格が明快で、隠す条件がない
手軽さ・速さ 「最短◯日」「登録不要」 競合が遅い/手続きが重い
不安の解消 「解約はいつでも」「名義は御社」 過去に他社で失敗した人が多い

当社の決めごとは、訴求の違う案を毎月3本前後つくり、数字の悪いものから差し替えることです。最初から10案作る必要はありません。同時に動いている案が1本しかない状態を作らないのが要点です。1本では比べる相手がいないので、良いか悪いかが永久に分かりません。

価格・条件の訴求を使うときは、条件を省略しないでください。「◯円〜」の条件、税別か税込か、無料の範囲がどこまでか。ここは11章(審査と法規制)の領域でもあり、広告だけでなく着地先にも同じ条件が書いてある必要があります。

何で比べるか:判断材料を絞る

判断材料は、成果件数と獲得単価(CPA)だけです。 これ以外の数字は、参考にはなっても判断には使いません。

数字 使い方
成果件数 判断に使う。主要な判断材料
獲得単価(CPA) 判断に使う。許容CPA(1章)と比べる
クリック率 参考。低いと表示機会を活かせていない可能性
表示回数 参考。少なすぎると比較にならない
いいね・保存・コメント 判断に使わない
再生回数・再生完了率 判断に使わない

3つめから下を判断に使うと、おもしろい素材が勝ち続け、問い合わせは増えないという状態になります。反応が多い素材と、問い合わせが来る素材は別物です。当社がSNS広告のFAQで「何案出してどれが何円で問い合わせを取れたかを毎月すべて開示し、効かない素材は止めます」と書いているのは、開示する数字をこの2つに固定しているという意味です。

いつ差し替えるか(数件で決めない)

1章の決めごとと同じで、件数が溜まるまで勝ち負けを決めません。 成果2件と成果1件の差は、偶然の範囲です。

状態 判断
成果件数が判断に足りない(当社の目安は各案30件) まだ決めない。配信を続ける
判断に足りていて、CPAが許容CPAを大きく超えている 差し替える
判断に足りていて、CPAが許容CPA以内 残す。似た訴求の案を1本足す
費用がほとんど出ていない 「効かない」ではなく「試せていない」。配分を見る(7章)
SNS系で、同じ素材を長く出していて反応が落ちてきた 件数に関係なく予定どおり入れ替える

最後の行が、検索広告との違いです。SNS・ディスプレイでは、勝っている素材でも消耗します。 勝ち素材を延命するのではなく、勝った訴求を軸に別の見せ方を作るのが次の一手です。

素材が切れて配信が止まらないようにする

現場で最も多い事故は、「良い案が思いつかない」ではなく、次に出す案が0本になることです。素材が尽きると、消耗した素材を出し続けるか、配信を止めるかの二択になります。

決めておくこと 当社の決めごと
ストック本数 次に出す案を常に1本以上確保しておく
制作の予定 毎月、訴求の違う案を3本前後つくる
差し替えの単位 毎月2〜3本を入れ替える
素材データの保有 元データは自社で保有する(制作元が変わっても使い続けられる)
記録 効いた案・審査で落ちた表現を1か所に残す

4つめは契約の話です。 バナーや動画の元データ(編集可能な形式)が制作会社にしかないと、担当が変わった瞬間に、文言の1行を直すだけで見積が必要になります。12章の点検リストの9(引き継ぎ時に渡されるもの)とつながる項目なので、発注のときに決めてください。

5つめの「記録」は、個人の記憶に置かないという意味です。勝ちパターンを知っているのが1人だけという状態は、その人が抜けた月に全部が止まります。

広告文と着地先を揃える(ここが必須項目)

点検リストの2(広告文・素材と着地先の内容が一致している)は、この章の必須項目です。理由は単純で、ここがずれていると、広告費が全額無駄になるからです。設定は何も間違っていないのに、成約率だけが落ちます。

確かめ方は、自分の広告を実際にクリックすることだけです。費用の多い広告を3本選び、スマホでも見ます。

見るところ 合格の状態
打った語(またはバナーの訴求) 着地先の最初の画面に出てくる
広告に書いた条件(価格・地域・無料の範囲) 着地先にも同じ条件が書いてある
次にやること ボタンや電話番号が最初の画面から分かる
スマホ表示 崩れていない。文字が読める

当社が「広告だけ直しても、着地するページがずれていれば数字は動きません」「LPの見出しと検索語を揃えるところまで同じ担当が対応します」と書いているのは、この作業のことです。受け皿側の詳しい点検は10章で扱います。

審査で落ちたときに、素材をどう扱うか

素材の入れ替えで避けて通れないのが審査です。詳しくは11章ですが、クリエイティブ側の決めごとを2つだけ先に置きます。

  1. 落ちた理由と、落ちた表現を記録する。 同じ理由で二度落ちないためです。記録がないと、担当が変わるたびに同じ壁にぶつかります
  2. 落ちた素材を直すときは、1か所ずつ直す。 一度に全部書き換えると、何が原因だったのか分からないままになります

媒体の審査基準は非公開です。 当社も規制の厳しい分野では事前に表現の範囲をお伝えしますが、通ることは保証しません。 ここは能力の問題ではなく、基準が公開されていないという構造の問題です。

よくある間違いを5つ

「いいねと再生回数が伸びたので、この素材は当たり」 ——SNS広告で最も多い錯覚です。おもしろい動画は最後まで見られますが、それは購入の意思とは関係ありません。反応が多い素材に予算を寄せると、問い合わせが減ることすらあります。 → 直し方:判断材料を成果件数と獲得単価の2つだけに固定する。報告書のフォーマットからも、いいね・再生回数の欄を外す。

「言い回しだけ変えた3案を出した」 ——比較にならない3案です。どれが勝っても学びがなく、翌月も同じ作業を繰り返します。 → 直し方:訴求の軸で分ける(課題/実績/価格・条件/手軽さ/不安の解消)。「何を売りにしているか」が1行で違って言えるかを、出す前に確かめる。

「反応が良かった1本だけを残して、他を止めた」 ——1本だけの状態は、比べる相手がいない状態です。さらにSNS系では、その1本が消耗したときに代わりがありません。 → 直し方:同一グループ内に常に2案以上を動かす。勝った訴求を軸に、別の見せ方の案を1本足す。

「数件の差で勝ち負けを決めた」 ——成果3件と1件の差は偶然の範囲です。ここで負け側を止めると、たまたま悪かっただけの案を捨て、翌月に同じような案を作り直すことになります。 → 直し方:判断に足る件数を先に決める(当社の目安は各案30件)。溜まるまでは、配信を止めずに待つ。費用がほとんど出ていない案は「効かない」ではなく「試せていない」に分類する。

「素材が尽きて、同じものを半年出し続けている」 ——SNS・ディスプレイでは、同じ人に繰り返し表示されて反応が落ちます。費用は変わらないのに件数だけが減っていきます。 → 直し方:次に出す案を常に1本以上ストックする。 毎月2〜3本を入れ替える予定を、制作の予定として先にカレンダーに入れる。当社のディスプレイ広告ではバナー制作が3万円から(1組)で、単発の制作依頼も受けています。

この章の出口

手元に残っているべきものは4つです。

  1. 同時に動いている案の一覧(訴求の軸が1行で違って言えること)
  2. 判断材料の定義(成果件数と獲得単価の2つだけ、と決めた記録)
  3. 差し替えの予定(毎月何本作り、何本入れ替えるか)
  4. 記録の置き場(効いた案・審査で落ちた表現・素材の元データ)

素材の制作から検証まで外に出す場合、当社のMeta広告運用・SNS広告運用は初回相談とアカウント診断が無料、初期構築20万円から、運用代行は月10万円から(広告費の20%または月10万円の高い方)。ディスプレイ広告はバナー制作3万円から(1組)、初期設定・タグ設置10万円からです。すべて税別で、広告費は当社を経由しません。

ここまでで、組む作業(4〜6章)と、回す道具(7章・8章)が揃いました。次は、それを毎週・毎月どう回すかです。決めていないと、忙しい月に全部が止まります。

次の章へ:9章 広告運用の日次・週次・月次でやること

この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)

点検リスト:広告文とクリエイティブ(10項目)

# チェック項目 合格の状態
1 訴求の違う案が同時に動いている 同一グループ内に2案以上ある
2 広告文・素材と着地先の内容が一致している 主要3本を実際にクリックして確認した
3 検索語とページの見出しが揃っている 打った語がページの最初の画面に出てくる
4 判断に足る件数が溜まってから差し替えている 数件で勝ち負けを決めていない
5 素材の入れ替え頻度を決めている SNS系は月次で入れ替える取り決めがある
6 素材のストックがある 次に出す案が0本という状態ではない
7 良し悪しを成果件数か獲得単価で判断している いいね・再生回数を判断材料にしていない
8 過去に効いた案を記録している 勝ちパターンが個人の記憶になっていない
9 審査で落ちた表現を記録している 同じ理由で二度落ちていない
10 素材のデータを自社で保有している 制作元が変わっても使い続けられる

合格ライン=10項目中7つ以上。ただし 2・7 は必須です。 2が×なら、どれだけ良い広告文を書いても費用を捨てます(着地先がずれているため)。7が×なら、判断の基準そのものが間違っているので、改善を続けても問い合わせは増えません。 点数に関係なく、先にこの2つを直します。

10は、今日は困らないがあとから取り返せない項目です。発注時に決めておかないと、数年分の素材が使えなくなります(12章)。

読んでも決めきれないところは、一緒に決めます

30分の相談は無料です。2章の点検を当社が代わりに回すこともできます(単発可)。引き受けられる範囲は広告アカウント診断にまとめています。

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更新日 2018年10月20日