株式会社COTSUBU

CHAPTER 11

広告審査に落ちたときの直し方|薬機法・景表法

この章で分かること

  • 審査に落ちたときに確認する順番と、表現を直すときの原則(1か所ずつ直す)
  • 規制が強いとされる分野で、出稿前に確認しておくべきこと
  • 景品表示法・薬機法・ステルスマーケティング規制に触れる可能性がある箇所と、誰が最終的に責任を負うのか
この章の目次(8)
  1. 1最初に:この章は法的な助言ではありません
  2. 2審査に落ちたときに見る順番
  3. 3規制が強いとされる分野
  4. 4景品表示法に触れる可能性がある箇所
  5. 5誰が最終的に責任を負うのか
  6. 6ポリシーも法令も変わる
  7. 7よくある間違いを5つ
  8. 8この章の出口

広告には、「出せるかどうか」という関門が2つあります。媒体の審査と、法令です。前者は落ちれば配信が止まり、後者は行政処分につながる可能性があります。 この章は、この本で唯一「点検リストの全項目が必須」の章です。 他の章の×は損で済みますが、ここの×は損では済まないことがあります。 この章は、審査に落ちる理由の確かめ方と直す順番を決め、規制の強い分野で事前に確認すべきことを挙げ、10項目の点検リストで出してよい表現かどうかを確かめるための章です。

最初に:この章は法的な助言ではありません

この章に書いてあることは、判断の基準ではなく、確認すべき箇所の一覧です。

  • 媒体の審査基準は非公開です。当社も規制の強い分野では事前に表現の範囲をお伝えしますが、通ることは保証しません(保証できる会社はありません)
  • 法令の解釈は、商材・表現・文脈によって変わります。 この本の記述をもって「大丈夫」と判断しないでください
  • 最終的な判断は、媒体の審査と、弁護士・薬事の専門家・業界団体など、判断できる立場の人に確認してください。 迷ったら出さない、が最も安い選択です

この章で書くのは、「ここを確認しましたか」という問いだけです。答えを書くことはしません。

この章で分かること

  • 審査に落ちたときに確認する順番と、表現を直すときの原則(1か所ずつ直す)
  • 規制が強いとされる分野で、出稿前に確認しておくべきこと
  • 景品表示法・薬機法・ステルスマーケティング規制に触れる可能性がある箇所と、誰が最終的に責任を負うのか

審査に落ちたときに見る順番

審査で止まると、配信が止まります。日次の点検(9章)で最初に気づくべき事象のひとつです。落ちたときは、次の順で確認します。

順 確認すること よくある中身
1 媒体が示している理由 通知に理由の分類が書かれていることが多い。まずそこを読む
2 広告文・素材の表現 効果の断定、誇大な表現、根拠のない最上級表現、記号や装飾の使い方
3 着地先ページ 落ちる原因が広告ではなくページ側にあることがある(表示不備・必要な記載の欠落)
4 業種の要件 許認可・資格の提示、事前申請が必要な分野かどうか
5 アカウントの状態 支払い情報、事業者情報、過去の違反履歴

3が見落とされがちです。 広告文だけ直して再申請し、また落ちる、を繰り返す典型的な原因がこれです。広告と着地先は、同じ基準で見られると考えてください。

媒体の公式ヘルプで探す言葉は「広告ポリシー」「広告の審査」「制限付きのコンテンツ」「事前申請」などです。ポリシーは改定されます。必ず最新を確認してください。

直すときの原則

原則 理由
1か所ずつ直す 一度に全部書き換えると、何が原因だったか分からないまま終わる
削る方向から試す 足すより削るほうが速い。断定表現・最上級表現をまず外す
落ちた理由と表現を記録する 同じ理由で二度落ちないため。担当が変わっても引き継げる
再申請の回数を数える 何度も落ちるなら、表現ではなく商材の扱い方に原因がある可能性

点検リストの8(審査落ちの履歴と理由を記録している)は、この作業のためにあります。記録が無い会社は、人が変わるたびに同じ壁にぶつかります。

規制が強いとされる分野

分野によっては、広告の表現に法令上の制限がかかる場合があり、媒体側でも追加の要件(事前申請、資格の証明など)が設けられていることがあります。自社がここに当たるかどうかを、出稿前に確認してください。

分野 確認したいこと(例)
医療・歯科・美容医療 医療広告に関する規制と指針の対象になるか。体験談・ビフォーアフターの扱い
医薬品・医薬部外品・化粧品・健康食品 薬機法(医薬品医療機器等法)に触れる表現でないか。効果・効能の表現の範囲
金融・保険・投資 業法上の表示義務、リスク表示、登録番号の表示
人材・求人 職業安定法など、募集にあたって明示が必要な事項
不動産 表示に関する公正競争規約、おとり広告の禁止、必要な表示事項
美容・ダイエット・サプリメント 効果の断定、個人の感想の扱い、景品表示法上の根拠の有無
士業・許認可が要る事業 資格・登録の表示、業務範囲の表示

この表は「これだけ見ればよい」という一覧ではありません。 自社の分野に関わる法令・指針・公正競争規約がほかにもある可能性があります。業界団体や所管省庁の資料、専門家に確認してください。

当社の決めごととして、規制の強い分野では、契約前に表現の範囲をお伝えします。 ただし前述のとおり、媒体の審査基準は非公開のため、通ることは保証しません。

景品表示法に触れる可能性がある箇所

景品表示法では、商品・サービスの内容について実際より著しく優良であると示す表示(優良誤認)や、取引条件について著しく有利であると示す表示(有利誤認)が問題になり得ます。広告で関係しやすいのは、次のような箇所です。

箇所 確認すること
「No.1」「最安」「日本初」などの最上級表現 調査の出典・調査機関・調査期間・調査対象を示せるか。示せないなら使わない
効果の表示(「必ず」「確実に」「◯%改善」) その数字・断定の根拠資料が手元にあるか
価格表示(「◯円〜」「今だけ」「通常価格◯円→◯円」) 条件・税別税込・対象範囲が明示されているか。比較対象の価格に実態があるか
無料の表示 どこまでが無料かが書いてあるか
お客様の声・体験談 効果を保証する表現になっていないか。対価の有無

最上級表現は、根拠資料を先に用意してから使うものです。「他社より安いと思うから」で書ける表現ではありません。当社が自社のサービスページで「業界最安」と言わず、「トヨクモの半額以下」のように比べる相手を決めて言うことにしているのも同じ理由です。

この本の他の章で「業界平均」を一度も使わないのも、同じ考え方に立っています。 出典と条件を示せない数字は、判断材料としても、広告の根拠としても使えません。

ステルスマーケティング規制

景品表示法の指定告示として、事業者の広告であることを隠した表示が規制の対象とされています(いわゆるステマ規制)。広告運用で関係しやすいのは、次のような場面です。

  • インフルエンサーや第三者に対価を払って投稿してもらったものを、広告であると分かる形にしているか
  • 口コミ・レビューの掲載や依頼の仕方
  • 広告素材として第三者の投稿を使う場合の表示

対象範囲と判断の基準は、消費者庁が告示と運用基準として公表しています。 自社の施策が当たるかどうかは、必ず最新の原文で確認してください。 表示の仕方(どう書けば広告と分かるか)についても、運用基準に考え方が示されています。

誰が最終的に責任を負うのか

ここが12章(発注)とつながる部分です。

役割 任せられる範囲 任せられない範囲
代理店・運用会社 媒体ポリシーに沿った表現の提案、審査対応、落ちた理由の特定と修正 商材の事実が正しいかどうかの保証
制作会社 表現の作成、修正 同上
広告主(自社) — 表示内容が事実に合っているかの確認。最終承認

「◯%改善します」「業界No.1です」と書いてよいかどうかを最終的に判断できるのは、その事実を持っている自社だけです。 代理店は、自社が渡した情報が正しい前提で作ります。ここを渡しきることはできません。

だから点検リストの9(表現の最終確認者が決まっている)が必須項目に入っています。誰が承認したかが残る形にしてください。 承認の記録は、あとから問われたときの説明にもなります。

ポリシーも法令も変わる

変わるもの 確認のしかた
媒体の広告ポリシー 公式のポリシーページを定期的に確認する。更新の告知が出ることもある
法令・告示・運用基準 所管省庁(消費者庁など)の公表資料を確認する
業界の自主規制・公正競争規約 業界団体の資料を確認する

「確認する人と頻度を決める」のが点検リストの10です。 頻度は自社で決めて構いません(四半期に1回、など)。決めていないと、誰も見なくなります。

規制の強い分野では、表現を変えたとき・新しい商材を出したとき・媒体を増やしたときに、その都度確認するのが現実的です。

よくある間違いを5つ

「広告文だけ直して再申請した」 ——落ちる原因が着地先ページにあることがあります。広告だけ直しても同じ理由で落ち続け、その間ずっと配信が止まります。 → 直し方:広告と着地先を同じ基準で見る。 点検リストの7がこれです。ページ側の記載(価格の条件、必要な表示、資格・許認可)も確認してから再申請する。

「他社が同じ表現を使っているから大丈夫」 ——他社が使っていることは、自社が使ってよい根拠になりません。その他社が指摘を受けていないだけか、根拠資料を持っているかのどちらかです。 → 直し方:判断の根拠を「他社」ではなく「自社の根拠資料」に置く。 最上級表現を使うなら、調査の出典・期間・対象を先に用意する。用意できないなら使わない。

「お客様の声だから、効果を書いても問題ない」 ——第三者の発言の形でも、広告として掲載すれば事業者の表示として扱われ得ます。対価を払った投稿であれば、ステマ規制の観点も出てきます。 → 直し方:体験談の扱いを、業種の規制と景品表示法の両面で確認する。 対価を払った投稿は、広告であると分かる形にする。判断がつかないものは載せない。

「『〜円〜』と書いてあるから、価格は問題ない」 ——下限だけを書いて条件を書かないと、有利誤認が問題になる可能性があります。税別・税込の別、どの条件で下限になるのかが要ります。 → 直し方:条件を明示する。 この本でも、当社の料金はすべて「税別」と書き、初期費用・運用費・広告費を分けて書いています。

「代理店が作った広告だから、責任も代理店にある」 ——表示内容が事実に合っているかを保証できるのは、事実を持っている自社だけです。任せた結果の責任まで移せるわけではありません。 → 直し方:最終確認者を自社に置き、承認の記録を残す。 代理店には、媒体ポリシーの確認と審査対応を任せ、事実の確認は自社が行うと役割を分ける(12章)。

この章の出口

手元に残っているべきものは4つです。

  1. 10項目の○×が付いた表(日付入り。表現を変えたら付け直す)
  2. 根拠資料の置き場(最上級表現・効果の数値・価格の条件を使うなら、その根拠)
  3. 審査落ちの記録(日付・理由・直した内容。同じ理由で二度落ちないため)
  4. 最終確認者の名前と、確認の頻度(誰が承認し、いつポリシーと法令を見直すか)

4つめは、担当が変わっても残る形にしてください。 表現の承認は、広告運用のなかで唯一、外に出せない仕事です。

当社に運用を依頼される場合も、ここは同じです。媒体ポリシーの確認と審査対応は当社が行いますが、表示内容が事実に合っているかの最終確認は御社にお願いしています。 そして、規制の強い分野では事前に表現の範囲をお伝えしますが、媒体の審査に通ることは保証しません。

残るは1つです。ここまでの作業を、自社でやるか、頼むか。 最後の章で、費用の中身と発注の判断を扱います。

次の章へ:12章 広告代理店の手数料と選び方

この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)

点検リスト:審査と法規制(10項目)

# チェック項目 合格の状態
1 媒体の広告ポリシーを読んだ 自社の業種に関する項を確認した日付がある
2 業種に必要な許認可・資格の表示を確認した 必要な表示が広告と着地先の両方にある
3 効果・効能の表現を確認した 断定的な表現を使っていない
4 「No.1」「最安」等の表示に根拠資料がある 調査の出典と条件を示せる
5 価格表示の条件が明示されている 「〇円〜」の条件・税別税込が書いてある
6 体験談・口コミの扱いを確認した 対価を払った投稿を広告として表示している
7 着地先ページも同じ基準で確認した 広告だけ直して、ページが残っている状態ではない
8 審査落ちの履歴と理由を記録している 同じ理由で二度落ちていない
9 表現の最終確認者が決まっている 誰が承認したかが残る
10 法改正・ポリシー改定を確認する頻度を決めている 確認する人と頻度が決まっている

合格ライン=全10項目が○。この章だけは、全項目が必須です。 他の章は「7つ以上」「8つ以上」で先に進めますが、ここは違います。他の章の×は損で済み、あとから取り返せます。この章の×は、法令違反と行政処分につながる可能性があり、取り返せないことがあります。

×が1つでもある状態で配信しないでください。そして、この10項目が全部○でも、それは「適法である」という判断ではありません。 確認すべき箇所を確認した、というだけです。判断が必要な箇所は、必ず専門家と媒体の審査に確認してください。

読んでも決めきれないところは、一緒に決めます

30分の相談は無料です。2章の点検を当社が代わりに回すこともできます(単発可)。引き受けられる範囲は広告アカウント診断にまとめています。

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更新日 2018年10月20日