株式会社COTSUBU
不動産DX

SUUMO・HOME'Sの費用対効果を正しく測る方法|不動産ポータル広告のROI分析

宇田川 将也|7分
SUUMOHOME'S費用対効果ROI不動産広告ポータルサイト

ポータルサイトの費用対効果、正しく把握していますか?

多くの不動産会社にとって、SUUMOやHOME'Sなどのポータルサイトは集客の柱です。しかし、「毎月いくら使って、何件の成約につながっているか」を、媒体ごとに言える状態になっていない会社は少なくありません。

原因は分析の手法ではなく、反響が成約までつながった記録が、どこにも残っていないことです。反響はポータルの管理画面に、来店は店舗のメモに、契約は別の台帳にあると、成約単価は計算できません。感覚で判断していると、費用対効果の悪い掲載に払い続けることになります。

ROI分析に必要な3つの指標

1. 反響単価(CPR: Cost Per Response)

反響単価 = 月間掲載費用 ÷ 月間反響数

計算の例(架空の数字):月20万円の掲載で反響が40件なら、反響単価は5,000円です。

2. 来店単価(CPV: Cost Per Visit)

来店単価 = 月間掲載費用 ÷ 月間来店数

反響があっても来店に繋がらなければ売上にはなりません。同じ例で来店が10件なら、来店単価は20,000円です。

3. 成約単価(CPA: Cost Per Acquisition)

成約単価 = 月間掲載費用 ÷ 月間成約数

判断に使うのはこの指標です。同じ例で2件成約すれば、成約単価は100,000円です。1件あたりの粗利(仲介手数料など)が分かるなら、成約単価が1件の粗利に対してどれくらいかを並べると、続けるかどうかの線が引けます。

成約は件数が少なく、1件の差で大きく動きます。1か月の数字では判断せず、3か月分をまとめて見てください。

ポータルサイト別のROI比較表

各指標をポータルサイトごとに並べる表の形です。数字は自社の台帳から入れます。

指標 SUUMO HOME'S at home 自社サイト
月間費用
反響数
反響単価
来店数
来店率
成約数
成約単価

自社サイトの「月間費用」には、制作・保守・サーバー・広告など、その月にかかった費用を入れます。0円として並べると、自社サイトだけが実力以上に安く見えます。

どの媒体の成約単価が安いかは、会社・エリア・扱う物件で変わります。「ポータルより自社サイトのほうが効率がよい」といった一般論ではなく、この表の自社の数字で判断してください。

正確な計測のために必要なこと

反響の出所を正確に記録する

いちばん大事で、後から取り返せない作業です。今日から記録した反響しか、分析には使えません。

反響の種類 記録のしかた
ポータルからのメール反響 通知メールの差出人・件名で媒体が分かる。台帳に転記するとき媒体を選択肢で入れる
電話 受電時に「何をご覧になってお電話を」と聞き、選択肢で入れる
来店(飛び込み) 来店カードに「何でお知りになりましたか」の欄を作る
自社サイト・LINE フォームに流入元の項目を入れるか、入口ごとにURLを分ける

流入元は自由記入にしないのがポイントです。「スーモ」「SUUMO」「すーも」が別々に集計されます。選択肢は、掲載中の媒体+自社サイト+紹介+その他で足ります。

反響から成約までを一気通貫で追跡する

反響の1行に、来店日・申込日・成約日を同じ行に書き足していく形にします。反響台帳と成約台帳が別々だと、どの反響が成約したかを毎月探すことになり、続きません。kintoneなどの台帳なら、流入元を選択肢で揃え、状態(反響→来店→申込→成約)を同じレコードで進められます。

ポータルの管理画面の反響数と、台帳の反響数は一致しません。数える立場も日付の付け方も違うためです。判断には台帳の件数を使い、管理画面の数字は併記します。→ ずれの分け方は計測の教科書 7章 媒体との突き合わせ

毎月の手順(月1回・同じ日に)

  1. 各ポータルの請求額を、媒体ごとに表の「月間費用」へ入れる
  2. 台帳を流入元で絞り込み、その月の反響・来店・成約の件数を数える
  3. 3つの単価を計算し、直近3か月の合計でも出す
  4. 管理画面の反響数を横に併記し、大きくずれた媒体は表の下に理由を書く
  5. 「判断の分かれ目」の表に当てはめ、翌月やることを1つだけ決める

業態で何が変わるか

業態 分母にする成約 注意すること
賃貸仲介 賃貸借契約 件数が多く、月次でも傾向が見える。反響への初回連絡の速さの影響が大きい
賃貸管理(入居者募集) 管理物件の成約 空室期間の短縮も効果に入る。オーナーへの報告と同じ数字を使う
売買仲介 売買契約 成約が少なく、賃貸より長い期間でまとめないと判断できない
買取再販 再販物件の売買契約 物件ごとの掲載期間と値下げの履歴も並べる

判断の分かれ目

集計表で見えたこと 次にやること
反響は多いが来店が少ない 反響日時と初回連絡日時の差を台帳で測る
来店は多いが成約が少ない 媒体ではなく、提案・物件の合い方を疑う
反響が少ない物件が多い 写真・説明文・条件を見直す。改善しなければ掲載枠を別の物件に回す
成約単価が1件の粗利に近い 掲載枠を減らし、数か月の変化を見る

費用対効果を改善する5つの施策

施策1:掲載物件の入れ替え

反響が来ない物件は、写真や説明文を見直すか、掲載を止めて別の物件に予算を回します。

施策2:反響対応スピードの改善

初回連絡が早いほど来店につながりやすい、というのは各社の実感として語られますが、どれだけ差が出るかは会社ごとに違います。台帳に反響日時と初回連絡日時を残し、「何分以内に連絡できたか」と「来店したか」を突き合わせて、自社の数字で確かめてください。

施策3:物件写真の品質向上

写真は、お客様が物件を比べるときの主な材料です。明るい時間帯に撮る、部屋を片付けてから撮る、同じ部屋を複数の角度から撮る、を撮影の決まりにします。

施策4:自社サイトへの投資

自社サイト経由の反響の成約単価を、ポータルと同じ表で並べます。自社サイトの費用を正しく入れたうえで安いなら、ポータルの一部を自社サイトのSEOやコンテンツに回すことを検討します。

施策5:成約率の分析と営業改善

来店から成約までのどこでお客様が離れているかを特定します。提案の問題か、物件の合い方か、競合に負けているのかを、台帳の「見送りの理由」の欄から見極めます。

当社でのやり方

当社の代表は、不動産事業の広告運用(月予算200万円規模)を担当してきました。集計で気をつけているのは、集計の形を途中で変えないことです。途中で変えると、過去と比べられなくなります。キャンペーンごとに計測の名前を分けていくと合計を誰も見なくなる、という形の失敗は計測の教科書 3章に書きました。ポータルの集計表も、列を固定し、毎月同じ日に作ってください。

よくある失敗

電話の多い媒体を止めてしまった(従業員10名ほどの賃貸仲介会社で起きやすい例)——メール反響の数だけで媒体を比べ、反響の少ない媒体の掲載を減らした。翌月から電話の問い合わせが減った。なぜ:その媒体からは電話の反響が多かったが、受電時に流入元を聞いておらず、台帳に残っていなかった。どうすればよかったか:受電のメモに流入元の欄を作り、数か月分たまってから判断する。

まとめ

ポータルサイトの費用対効果は、反響単価だけでなく、来店単価・成約単価まで一気通貫で計測することが重要です。

  • 流入元は今日から、選択肢で記録する
  • 反響から成約までを同じ行でつなぐ
  • 成約単価は数か月分をまとめて見る。自社サイトの費用も入れる
  • 管理画面と台帳の数字は一致しない。判断は台帳で

ポータル費用を削って別のところに回すなら、回す先の相場も一緒に見ておいてください。ツール費・システム構築費・IT顧問・社内研修の目安は不動産DXの費用相場にまとめています。


関連リンク

よくある質問

ポータルの費用対効果は何で判断すればいいですか

反響単価だけでなく、成約単価(掲載費÷成約数)まで出して判断します。反響が多くても来店・成約につながらない媒体は、反響単価が安くても成約単価は高くなります。成約は件数が少ないので、数か月分をまとめて見てください。

ポータルの管理画面の反響数と、自社の記録が合いません

数える立場や日付の付け方が違うため、完全には一致しません。判断には自社の台帳の件数を使い、管理画面の数字は参考として並べます。ずれの理由の分け方は計測の教科書 7章にまとめています。

電話の反響はどう記録すればいいですか

受電時に「何をご覧になってお電話いただきましたか」と聞き、台帳の流入元の欄に選択肢で記録します。媒体ごとに専用の電話番号を出せる仕組みがあるかは、各ポータルの担当窓口で確認してください。

宇田川 将也/ 代表取締役

2024年に総務省の地域活性化起業人として島根県海士町に着任。役場に住み込んで業務改善に従事し、kintoneで電子決裁や定期健診管理を構築しました。

経歴を見る

この記事について相談する

貴社・貴団体の状況に合わせて、最適な進め方をご提案します。

30分相談を予約する