LINEは不動産営業と相性がよい
LINEは日常の連絡手段として広く使われていて、メールより「届いたことに気づいてもらいやすい」連絡手段です。ただし開封率やブロック率は、配信の内容・頻度・友だちの集め方で大きく変わります。他社の平均値は自社の答えにならないので、自社で記録して確かめてください。
不動産会社がLINE公式アカウントを使うと、内見の日程調整や書類の案内といった細かい連絡がまとまり、追客の抜けが減ります。
設計の一般論はLINE運用の教科書 2章 集めた後の設計に譲り、この記事では不動産会社に当てはめた具体を書きます。
LINE公式アカウントの基本機能
| 機能 | 活用方法 |
|---|---|
| メッセージ配信 | 新着物件情報、キャンペーン告知 |
| 1:1チャット | お客様との個別やり取り |
| リッチメニュー | 物件検索、内見予約、よくある質問へのリンク |
| 自動応答 | 営業時間外の自動返信 |
| ステップ配信 | 友だち追加後の自動メッセージシーケンス |
| セグメント配信 | ターゲット別のメッセージ送信 |
細かいステップ配信やタグ付けは、Lステップやエルメなどの拡張ツールを組み合わせることが多くなります(機能と料金は各社で確認)。
先に決める3つ
アカウントを作る前に、次の3つを決めます。ここが決まらないうちは、リッチメニューの画像を作り始めないでください。
| 決めること | 不動産会社での例 | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 出口(何に着地させるか) | 賃貸なら内見予約、売却なら査定の申込 | メニューも配信も「とりあえず物件情報」になる |
| 1:1チャットの担当 | 店舗ごとに当番を1人。担当営業が決まったら引き継ぐ | 既読のまま放置され、他社で内見が決まる |
| 物件情報の正(元の台帳) | 物件管理システム、またはkintoneの物件台帳 | 成約済みの物件を送り続ける |
アカウント開設と初期設定
基本設定のポイント
- アカウント名: 会社名(例: ○○不動産)
- プロフィール画像: 会社ロゴ
- あいさつメッセージ: 友だち追加直後に送るメッセージ。希望条件(エリア・予算・入居時期)を聞く短いアンケートへの案内を入れる
- 応答設定: 営業時間内は手動対応、時間外は「翌営業日に担当からご連絡します」と自動応答
リッチメニューの設計
リッチメニューは、トーク画面の下部に常時表示されるメニューです。出口のボタン(内見予約・査定申込)を一番押しやすい位置に置きます。
おすすめのメニュー構成:
- 物件を探す(自社サイトの物件検索ページへ)
- 内見予約(予約フォームへ)
- よくある質問(FAQ)
- お問い合わせ(1:1チャットへ)
- 会社案内(会社紹介ページへ)
- キャンペーン情報(最新キャンペーンへ)
予約の受け方と担当者への通知は内見予約管理のデジタル化で扱っています。
友だちを増やす方法
入口ごとに友だち追加のURL(QRコード)を分けてください。 入口ごとに分けておくと、どこから来た人が内見まで進んだかを後から数えられます。登録と同時に入口のタグが付くように設定し、テスト登録で実際に付くか確かめます。タグは遡って付けられないので、集め始める前にしかできない作業です。
オフラインでの施策
- 店頭にQRコードのPOPを設置
- 名刺にQRコードを印刷
- チラシやDMにQRコードを掲載
- 内見時にお客様に友だち追加を案内
- 「LINE友だち追加で○○プレゼント」のキャンペーン
オンラインでの施策
- 自社サイトにLINE友だち追加ボタンを設置
- ポータルサイトからの反響への返信メールで、LINEでも連絡できることを案内
- SNSでLINE友だち追加を案内
- Google広告からLINE友だち追加への誘導
効果的な配信コンテンツ
新着物件情報
- 物件写真+基本情報をカード形式で配信
- 「詳細はこちら」のリンクで自社サイトへ誘導
- 配信の直前に、物件台帳で募集中かを確かめる
配信頻度は「週◯回が適切」という出典のある数字がありません。配信ごとに翌日のブロック数の増え方を記録し、自社の数字で決めます(→ 教科書 2章)。
お役立ち情報
- 引越しの手続きチェックリスト
- 部屋探しのコツ
- エリアの生活情報
- 季節に応じた情報(花粉対策、防災など)
キャンペーン情報
- 仲介手数料の割引
- 引越し費用のサポート
- 成約特典
割引や特典の書き方は表示の規約・景品表示法に関わるため、不動産公正取引協議会連合会の公表資料か所属団体で確認してください。
業態で何が変わるか
| 業態 | 出口 | LINEが効く場面 | 注意すること |
|---|---|---|---|
| 賃貸仲介 | 内見予約 | 条件のすり合わせ、内見日程の調整、申込書類の案内 | 物件の回転が速い。配信前の募集確認を毎回 |
| 賃貸管理 | 入居者からの連絡窓口 | 設備の不具合の受付、更新・退去の案内 | 入居者向けと募集向けでアカウントを分けるか先に決める |
| 売買仲介 | 査定申込・個別相談 | 検討期間が長いお客様への定期のお知らせ | 売り込みを3通続けて反応がなければ止める |
| 買取再販 | 売却の相談 | 売主からの写真・資料の受け取り | 物件の所在や事情など、扱う情報が重い。受け取った情報の保管場所を決める |
ステップ配信の設計
ステップ配信は、友だち追加を起点に自動で段階的にメッセージを送る機能です。賃貸仲介の例で、日数は自社に合わせて変えます。
| 経過日 | 配信内容 |
|---|---|
| 追加直後 | あいさつ+希望条件のアンケート |
| 回答後 | 担当者が条件に合う物件を選んで送る(ここは人) |
| 3日後 | 内見予約の案内 |
| 7日後 | 新着物件のピックアップ(希望エリアのタグで出し分け) |
| 14日後 | 検討状況の確認 |
| 30日後以降 | 月1回の新着のお知らせだけに戻す |
物件を選ぶのは人、案内の文面は自動と分けます。条件に合わない物件が自動で届くと、ブロックの原因になります。
セグメント配信の活用
お客様をタグで分類し、ニーズに合った情報だけを配信します。
- エリア別: 渋谷区希望、目黒区希望など
- 物件種別: 賃貸、売買、投資
- 検討段階: 情報収集中、具体的に探している、契約済み
- 間取り: 1R〜1K、1LDK〜2LDK、3LDK以上
タグに使うのは、本人がアンケートやボタンで答えた内容だけにします。推定の年齢・性別で切ると、外れた相手には関係ない配信になり、ブロックされやすくなります。
費用と料金プラン
LINE公式アカウントは無料プランから始められ、月に送る通数に応じて有料プランに分かれます。料金と無料の範囲は改定されることがあるため、最新はLINEヤフーの料金ページで確認してください(2026年9月確認)。 吹き出しの数え方と通数の見積もり方はLINE公式アカウントの料金と通数にまとめています。判断の分かれ目は月に送る通数で、無料の範囲に収まるうちは無料プランのままで構いません。
当社でのやり方
当社の代表は、空き家を再生した一棟貸しの宿を運営する空き家地方創生株式会社(AKIYATO)にCTOとして関わり、エルメでLINEを構築しています。そこでも最初に決めたのは配信の文面ではなく、予約という出口と、誰がいつ返信するかでした。不動産会社でも、配信の自動化より先に1:1チャットの当番と返信の期限を決めてください。
よくある失敗
成約済みの物件を配信し続けた(従業員10名ほどの賃貸仲介会社で起きやすい例)——新着物件を毎週まとめて配信していたが、配信文を作ってから送るまでに数日あり、その間に決まった物件が混ざっていた。問い合わせのたびに「もう決まりました」と返すことになり、ブロックが増えた。なぜ:配信文の元が物件台帳ではなく、担当者の手元のメモだった。どうすればよかったか:配信の直前に台帳で募集中かを確かめる工程を、配信手順の最後に固定する。
| 失敗 | 人が確かめる場所 |
|---|---|
| 契約済み・入居中の方に募集を配信 | 状態のタグが付け替わっているか |
| 既読のまま返信が遅れた | 当番表と、返信待ちの一覧を毎日 |
運用の注意点
- 配信頻度は記録で決める: 翌日のブロック増を配信ごとに記録し、増え方を見て調整する
- 営業色を出しすぎない: 手続きや暮らしの情報を混ぜる。割合は反応を見て決める
- 返信の期限を決める: 営業時間内に届いたものは当日中など、自社で守れる線にする
- 個人LINEを使わない: 必ず公式アカウントで対応する
まとめ
LINE公式アカウントは、追客の抜けを減らす道具です。
- 出口(内見予約・査定申込)を1つ決め、入口ごとにURLを分けてから集める
- ステップ配信で追客を自動化し、物件を選ぶところは人が担う
- セグメント配信と除外でブロックを抑える
- 配信の直前に物件台帳で募集中かを確かめる
- 無料プランから始め、通数を見積もってから有料プランを検討する
反響と顧客の記録を1か所にまとめる台帳は、kintoneの不動産向け見本(物件台帳・反響/顧客・内見予約など6アプリ)で形を確かめられます。構築は1業務1アプリまで最大1か月0円です。
関連リンク
- 不動産DX支援
- LINE運用の教科書 2章 集めた後の設計
- 不動産会社のMA(マーケティング自動化)入門
- 2026年の不動産テックトレンド5選|業界を変えるテクノロジーの最前線
- AIで物件説明文を自動生成する方法|不動産会社の業務効率化テクニック
よくある質問
LINE公式アカウントの料金はいくらですか
無料プランと有料プランがあり、月に送れる通数で分かれます。料金と無料の範囲は改定されることがあるため、最新はLINEヤフーの公式サイトで確認してください。通数は吹き出しの数で数えるので、1回の配信で送る吹き出しの数を先に決めておくと費用が読めます。
営業担当の個人LINEでやり取りしてはいけませんか
おすすめしません。担当者が辞めたり休んだりすると、お客様とのやり取りが会社に残らず、引き継げなくなるためです。公式アカウントの1:1チャットを使い、誰が返すか・いつまでに返すかを決めて運用します。
LINEで物件情報を送るときに気をつけることは何ですか
配信の直前に、その物件がまだ募集中かを物件台帳で確かめることです。成約済みの物件を送り続けると、表示のルールに関わるおそれがあります。どこからが問題になるかは、不動産公正取引協議会連合会の公表資料や所属団体で確認してください。


