株式会社COTSUBU

CHAPTER 02

LINE公式アカウントの運用設計|入口とタグ

この章で分かること

  • 設計図に書く5つの欄と、埋める順番(なぜ出口から逆なのか)
  • 入口ごとにタグを分ける作業の中身と、後回しにすると取り返せない理由
  • ブロックを増やさない頻度の決め方(出典のない「週◯回」に頼らない方法)と、セグメントを切ってよい3つの軸
この章の目次(9)
  1. 1設計図は5欄。埋める順番は下から上
  2. 2入口ごとのタグ:ここだけは、集める前にしか手を打てない
  3. 3配信は3種類に分かれる。Aから作る
  4. 4頻度は「週◯回」で決めない。測り方で決める
  5. 5セグメントは3軸だけ。しかも目的は「送らない相手を決めること」
  6. 6状態のタグは排他にする
  7. 7規約と個人情報(ここは断定しない)
  8. 8よくある間違いを3つ
  9. 9この章の出口

友だちが増えても売上が動かない原因は、配信の文面ではありません。集めた後に通す道が、1本も引かれていないことです。 道を引く作業は、リッチメニューを作るより、配信の文面を考えるより先に来ます。順番を逆にすると、メニューと配信とタグが別々の理屈で増えていき、半年後に誰も直せなくなります。 この章は、設計図1枚(5欄)を出口から逆に埋め、入口ごとのタグ・配信の3分類・頻度の決め方・セグメントの3軸を確定し、12項目の点検リストで作り始めてよいかを判定するための章です。

この章で分かること

  • 設計図に書く5つの欄と、埋める順番(なぜ出口から逆なのか)
  • 入口ごとにタグを分ける作業の中身と、後回しにすると取り返せない理由
  • ブロックを増やさない頻度の決め方(出典のない「週◯回」に頼らない方法)と、セグメントを切ってよい3つの軸

設計図は5欄。埋める順番は下から上

紙1枚、または表計算の1シートで足ります。欄は5つです。

欄 書くこと 埋める順番
⑤ 出口 何に着地させるか(予約・問い合わせ・来店・再注文) 1番目
④ セグメント 誰に何を出し分けるか 2番目
③ 配信 何を、いつ、何通 3番目
② タグ どんな印を、いつ、自動で付けるか 4番目
① 入口 どこから登録するか(何種類のURLを用意するか) 5番目

入口から順に考えると、必ず「とりあえず登録してもらう」で止まります。登録の先が決まっていないので、そこから先が書けないからです。出口から逆に埋めると、途中の欄が自動的に決まります。

出口が満たすべき条件は3つ

  • その場で完了する(サイトを見てもらう、は完了ではありません)
  • 完了したことがこちらで分かる(誰が完了したか特定できる)
  • 件数を数えられる(先月は何件、と言える)

出口は1つに絞ります。2つ置くと、配信もメニューも半分ずつになります。予約と問い合わせの両方を受けたい場合も、主にするほうを1つ決めて、もう一方は控えに置きます。

入口ごとのタグ:ここだけは、集める前にしか手を打てない

この教科書は「集めた後」を主題にしていますが、唯一、集める前にやらなければ取り返せない作業がここです。

やることは3つだけ

  1. 入口ごとに別の友だち追加URL(QRコード)を用意する
  2. そのURLから登録した人に、登録と同時にタグが自動で付くように設定する
  3. テスト登録して、実際に付くことを確認する

Lステップ・エルメには、入口を識別できるURLを発行する仕組みがあります(呼び名は各社で違います)。これを使うと、「この人は店頭のPOPから来た」という記録が、その人の情報として残ります。1章で見たとおり、公式アカウントの管理画面だけでは経路ごとの人数しか見えず、個人単位では残りません。

なぜ取り返せないのか

タグは遡って付けられないからです。 今日この設計をしたら、今日以降に登録した人にしか付きません。すでにいる友だちには、アンケートに答えてもらうなどの方法で後から推測するしかなく、しかも答えてくれるのは一部です。

つまり、友だちが1,000人いるアカウントで後からタグ設計をしても、その1,000人は「どこから来たか分からない人」のままです。 入口の設計だけは、友だちを集め始める前に済ませてください。

入口の分け方

媒体名で分けるのではなく、「これが効いていなかったら止める」と判断したい単位で分けます。

入口の例 URL/QRを分ける単位 1通目を変えるか
店頭のPOP 卓上・レジ横など、置き場所ごと 変える(すでに来店している前提で書ける)
名刺・チラシ 印刷物ごと 変える
Webサイトのボタン ページごと(料金ページ・事例ページ) 変える(何を見て登録したか分かる)
広告 広告セットごと 変える
紹介カード 紹介者の区分ごと 変える

最初は5つ以内にしてください。 10も20も作ると、どの入口も人数が少なすぎて判断できません。判断できない記録は、付けても意味がありません。

入口タグの使い道は3つ

  1. どの入口の友だちが出口まで進んだかを数える(11章)
  2. 入口ごとに1通目を変える(4章)
  3. 効いていない入口を止める(広告費を寄せる先が決まる)

3つ目が最も金額に効きます。入口を分けていないと、広告を止めるべきか続けるべきかが、最後まで判断できません。

配信は3種類に分かれる。Aから作る

「配信を考える」と言うとき、実は性質の違う3つが混ざっています。

種類 起点 誰がいつ作るか 作り直す頻度
A 登録直後の自動配信(ステップ) 登録した瞬間 最初に1回作る 3ヶ月に1回見直す
B 定期の配信(一斉・セグメント) カレンダー 毎月作る 毎回
C 出来事に紐づく配信(リマインド・お礼・期限) 予約・購入・期限の到来 最初に1回作る 半年に1回

必ずAから作ります。 Bから始めると、毎月の作業だけが増えて、登録した瞬間という一番大事な時間帯が空白のままになります。登録直後は、その人が一番こちらに関心を持っている時間で、しかも同じ人には二度と来ません(詳細は4章)。

Cは、最も安定して効きます。 相手にとって用があるタイミングで届くからです。予約の前日リマインド、購入後のお礼と使い方、期限の30日前。1回作れば、あとは勝手に効き続けます。Bを増やす前に、Cを1つ作ってください。

「3通で終わる」を原則にする

当社は、同じ人への売り込みを3通以上続けないという原則で設計します。3通送って反応がなければ、その人への出口の案内は止め、Bの定期配信だけに戻します。

理由は2つです。4通目以降で反応が増える保証がないこと、そして反応しなかった人に送り続けることが、ブロックの最も大きな原因だからです。追い続けて失うのは、その1件ではなく、その人との接点そのものです。

吹き出しは1回3つまで

1回の配信で送る吹き出し(メッセージの塊)の数に、上限を決めてください。当社は3つまでを出発点にしています。

  • 理由は読む負担です。トーク画面が連投で埋まると、内容に関係なく「うるさい」と判断されます
  • 費用とは別の話です。通数は「送った回数 × 送った人数」で数え、1回の配信に吹き出しを複数入れても1通です(正確な数え方と無料の範囲は提供元の料金ページで確認してください)。費用に効くのは、配信の回数と相手の人数です

頻度は「週◯回」で決めない。測り方で決める

「週◯回ならブロックされない」という数字は、出典のある形では存在しません。 業種でも、友だちの集め方でも、商材でも変わります。他社の平均値を持ってきても、自社の答えにはなりません。

だから、決めるのは頻度そのものではなく、測り方です。

配信の記録表を1枚作る

配信するたびに、次の5列を1行ずつ追加します。表計算1シートで足ります。

列 何を書くか
配信日・時刻 いつ送ったか
種類 A/B/C と、内容の分類(案内・お知らせ・特典など)
配信人数 何人に送ったか
クリック率 リンクを押した人の割合
翌日のブロック増 配信の翌日に、ブロック数が何人増えたか

最後の列が要です。ブロックは配信の翌日に集中します。 月末にまとめて見ると、どの配信が原因か分かりません。翌日に1行書くだけで、自社にとって「やりすぎ」がどこかが、3回分で見えてきます。

当社が出発点にしている決めごと

以下は出典のある統計ではなく、当社が運用で使っている決めごとです。理由を添えるので、守って記録を取り、自社の数字が3回分たまったら自社の値に置き換えてください。

決めごと 理由
最初は週1回まで 増やすのは後からできる。減らすと「止まった」と見える
連続する2日に送らない 内容に関係なく、うるさいと判断されやすい
1回3吹き出しまで 読む負担に効く(通数=費用は増えない)
朝9時前・夜21時以降は送らない 生活時間への割り込みになる
同じ人に同じ案内を3回以上しない 3通で終わる原則

増やしてよい条件

頻度を上げるときは、感覚ではなく条件で決めます。

直近3回の配信で、翌日のブロック増が友だち数の 0.5% を超えず、かつクリック率が前3回より下がっていないとき、月に1回だけ頻度を1段上げる。下がったら、すぐ元に戻す。

この 0.5% も当社の決めごとです(早めに気づける線として使っています)。自社の記録が3回分たまったら、自社の平常時の数字に置き換えてください。 大事なのは値そのものではなく、上げる条件と戻す条件を先に決めておくことです。決めていないと、反応が悪いときに「もっと送ろう」という逆方向の判断が出ます。

セグメントは3軸だけ。しかも目的は「送らない相手を決めること」

絞り込みの軸は、いくらでも作れてしまいます。作ってよいのは3つだけです。

軸 何で切るか 何のために
状態 買う前/買った後/休眠 送る内容そのものを変える
入口 どこから登録したか 効いている入口を見つける
興味 押したボタン・答えたアンケート 本人が示した関心にだけ寄せる

切ってはいけない軸

推定された属性(年齢・性別など)では切りません。 理由は2つです。推定であって本人の申告ではないこと、そして利用に一定の友だち数が必要なこと(条件は提供元のヘルプで確認してください)。

推定が外れた配信は、外れた相手にとって「自分と関係ない配信」になります。関係ない配信が2回続くと、内容の良し悪しに関係なくブロックされます。 3軸はいずれも、本人の行動の記録です。推定より確かです。

最初は2つだけでよい

「まだ出口に進んでいない人」と「進んだ人」。この2つだけで、配信の内容の8割が決まります。買った人に「初めての方へ」を送らない、それだけでブロックは減ります。

除外リストを3つ作る

セグメントの本来の目的は、送る相手を選ぶことではなく、送らない相手を決めることです。 次の3つは、必ず除外に入れてください。

  • 直近◯日以内に同じ案内を受け取った人(日数は自社で決める)
  • 予約・申込の直前の人、または申込の手続きが進行中の人
  • 問い合わせの対応が終わっていない人

3つ目を忘れると、クレームの対応中に販促の配信が届きます。これは設計の問題であって、文面をどれだけ丁寧に書いても防げません。

状態のタグは排他にする

「見込み」「予約済み」「来店済み」「休眠」は、同時に2つ付かないようにします。2つ付いた瞬間、どちらの配信にも入ってしまい、矛盾した内容が届きます。

同時に、付け替わる瞬間を決めてください。「予約フォームを送信したとき」「来店を記録したとき」「90日間どの配信にも反応しなかったとき」のように、操作かイベントに紐づけます。人の判断で付け替える設計にすると、必ず付け忘れます。

タグの命名と棚卸しの作り方は、次の3章で扱います。

規約と個人情報(ここは断定しない)

LINEは、メールマガジンとは守るべきものが違います。特定電子メール法の話ではなく、LINEヤフーの規約・LINE公式アカウントガイドラインと、個人情報の扱いです。

  • LINEヤフーの規約と、使うツール(Lステップ・エルメ等)各社の規約の両方を確認してください。当社が代わりに判断できるものではありません
  • 特に見るのは3点です:取得してよい情報/送ってよい内容と表現/業種の制限
  • 解釈が分かれるところは、自社で判断せず提供元に問い合わせてください
  • 氏名・連絡先のような個人情報を受け取るなら、何に使うかを先に示してから受け取ってください

規約に触れたときに止まるのは配信ではなく、アカウントそのものです。友だちごと失います。設計の段階で1回確認するほうが、はるかに安く済みます。

よくある間違いを3つ

「リッチメニューから作る」 ——最も多い順番の間違いです。見た目から入ると、置くボタンが出口と合いません。メニューは出口が決まってから作るもので、しかも押されたかどうかで作り直すものです(5章)。先に作った画像に、後から設計を合わせることになります。

「タグを細かく作れば、後で何でもできる」 ——逆です。使わないタグは、判断を速くするどころか遅くします。1人の友だちに付く印は、状態1つ+入口1つ+興味がいくつかで足ります。既存アカウントの立て直しで当社が最初にやるのは、タグを増やすことではなく使っていないタグを消すことです(/services/lstep)。

「反応が悪いのは配信の内容が悪いから」 ——内容の前に、送った相手と時間が合っていないことのほうが多いです。文面を書き直すより、除外リストを1つ作るほうが早く効きます。内容を疑うのは、3軸のセグメントと除外を入れてからにしてください。

この章の出口

この章を終えたとき、手元に残っているべきものは次の3つです。

  1. 5欄の設計図が1枚(⑤出口から逆に埋まっていて、①入口の数とURLの数が一致している)
  2. 点検リスト12項目のうち、必須の1・2・3・12がすべて○(全体で10以上)
  3. 配信の記録表が1枚(5列あり、1行目が埋まっている。まだ配信していないなら、テスト配信の行でよい)

この3つが揃えば、道は引けています。残っているのは、その道に置く設定と文面です。 次は、設計図の②欄(タグ)を実際の設定に落とします。ここを雑にすると、半年後に誰も触れないアカウントになります。

次の章へ:3章 Lステップのタグ設計|増やさない・引き継げる

この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)

点検リスト:集めた後の設計(12項目)

友だちを集め始める前、またはツールを契約する前に付けてください。

# チェック項目 ○の条件(合格の状態)
1 出口が1つに決まっている 名前で言える/完了した件数が数えられる
2 入口ごとに別の友だち追加URL/QRを用意した 入口の数=URLの数(最初は5つ以内)
3 入口ごとに登録時のタグが自動で付く テスト登録して、実際に付くことを確認した
4 登録直後の自動配信(A)が3通以内で作ってある 1通目が「登録時に約束したもの」を渡している
5 定期配信(B)の1ヶ月分のネタが書き出してある 3本以上
6 出来事に紐づく配信(C)を1つ以上決めた リマインド・お礼・期限のどれか
7 1回の配信の吹き出し数の上限を決めた 数字で決めてある
8 配信の記録表がある 5列(日付・種類・人数・クリック率・翌日のブロック増)があり、1行目が埋まっている
9 セグメントが3軸(状態・入口・興味)の中に収まっている 推定の属性で切っていない
10 送らない相手(除外)の条件を決めた 3つ書いてある
11 状態タグが排他になっている 同時に2つ付かない/付け替わる瞬間が決まっている
12 LINEヤフーと使用ツールの規約を確認した 業種・表現・取得する情報について確認済み

合格ライン=12項目中10以上。必須項目は 1・2・3・12 の4つ。

  • 2と3は、後から遡れません。 今日決めたタグは、今日以降に登録した人にしか付きません。ここが×のまま友だちを集めると、その期間の友だちは一生「どこから来たか分からない人」になります
  • 8が×のあいだは、配信の頻度を上げないでください。 上げてよいかを判断する材料が無いまま増やすことになります
  • 4・5・6は、どれか1つが空でも進めて構いません(作りながら足せます)。ただし4が空のまま集め始めるのは避けてください。登録直後は一度しか来ません

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更新日 2018年10月20日