株式会社COTSUBU

CHAPTER 01

LINE公式アカウントで何ができるか

この章で分かること

  • LINE公式アカウントを開いた時点で手に入るものと、入っていないものの境目
  • 公式アカウントだけで足りる範囲/Lステップ・エルメが要る範囲/LIFFが要る範囲の線引き
  • LINEに投資して報われるかを判定する10項目の点検リストと、その合格ライン
この章の目次(8)
  1. 1「割り込む権利」であることの意味
  2. 2開設した時点で入っているもの・入っていないもの
  3. 3道具は3段階しかない
  4. 4払う先は3つに分かれている
  5. 5判断は、この6つを上から通す
  6. 6失格条件
  7. 7よくある誤解を3つだけ
  8. 8この章の出口

LINE公式アカウントは集客ツールではなく、相手のトーク画面に割り込む権利です。家族や友人からの連絡と同じ場所に、自社のメッセージが並びます。 だから問いは「LINEをやるべきか」ではありません。「割り込んでよい用が定期的にあるか」と、「その用を届けるのにどこまでの道具が要るか」の2つです。 この章は、道具の線引きを3段階の表にし、6つの問いを上から通し、10項目の点検リストで着手の可否を決め切るための章です。

この章で分かること

  • LINE公式アカウントを開いた時点で手に入るものと、入っていないものの境目
  • 公式アカウントだけで足りる範囲/Lステップ・エルメが要る範囲/LIFFが要る範囲の線引き
  • LINEに投資して報われるかを判定する10項目の点検リストと、その合格ライン

「割り込む権利」であることの意味

メールとLINEの最大の違いは、技術ではなく置かれる場所です。メールは、大量の広告に混ざった受信箱の1行です。LINEは、家族・友人・仕事の連絡と同じトーク一覧に並びます。

この差が、そのまま両側に効きます。届きやすい代わりに、邪魔だと判断されるのも速い。そして邪魔だと判断されたときの操作が、ボタン1つのブロックです。解除の操作よりはるかに簡単で、こちらからは誰がブロックしたか分かりません。

だから、LINEの設計で最初に決めるべきなのは「何を配信するか」ではなく、「割り込んでよい用が、こちらに定期的にあるか」です。用がないのに登録だけ集めると、友だちの数と配信の費用だけが増え、ブロックの比率が上がります。

この教科書の主題が「集める方法」ではなく「集めた後」なのは、この一点に尽きます。 集める技術は、用がある会社を助けますが、用がない会社の損失を大きくするだけです。

開設した時点で入っているもの・入っていないもの

LINE公式アカウントは開設そのものは無料で、料金プランは送れるメッセージの量で分かれています。プランの金額と通数の上限はここには書きません(変わるため)。LINEヤフーの料金ページで確認してください。

入っているものは、おおよそ次のとおりです。

入っている 何ができるか
一斉配信 友だち全員、または絞り込んだ相手に同じ内容を送る
ステップ配信 登録からの日数に応じて順番に送る(使える条件は提供元のヘルプで確認)
あいさつメッセージ 登録した瞬間に自動で届く1通目
応答メッセージ・自動応答 特定の言葉に自動で返す
1対1のチャット 個別にやり取りする
リッチメニュー トーク画面の下に常に出るボタンの面
クーポン・ショップカード 割引と来店スタンプ
リサーチ 簡単なアンケート
分析画面 友だちの増減、ブロック数、配信ごとの反応、友だち追加の経路の内訳

一方、入っていないものが4つあります。ここが後の判断をすべて決めます。

入っていない どういうことか
友だちの本名・連絡先 見えるのは表示名とアイコンだけで、本名とは限りません。氏名や電話番号は、こちらから聞いて答えてもらう以外に手に入りません
「この人がどこから登録したか」の個人単位の記録 分析画面で経路ごとの人数は見られますが、「この人はチラシから来た」という一人ひとりの記録は残りません
一人ひとりに印を付けて、条件で絞る仕組み 属性による絞り込みはありますが、これは推定された属性で、しかも利用には一定の友だち数が必要です(条件は提供元のヘルプで確認)。自分で付けた印での絞り込みとは別物です
業務側の情報 空き状況・在庫・その人の過去の履歴は、LINEの中にはありません

この4つが、そのまま「道具を足す理由」になります。 逆に言えば、この4つが要らない商売なら、公式アカウントだけで足ります。無理にツールを入れる必要はありません。

道具は3段階しかない

LINE周辺の商品は数多くありますが、できることの境目は3つに分かれます。

やりたいこと 公式アカウントだけ +Lステップ・エルメ +LIFF(自社開発)
全員に同じ内容を送る ○ ○ -
登録からの日数で順番に送る ○ ○(条件による分岐まで) -
誰がどの入口から来たかを個人単位で残す × ○ ○
一人ひとりに自分で決めた印を付け、絞って送る × ○ ○
アンケートの回答を、その人の情報として残す × ○ ○
入口ごとに1通目を変える × ○ ○
入口ごとに、成約まで何人進んだかを数える × ○ ○
入力内容によって、次に出す画面を変える × × ○
空き状況・在庫・過去の履歴を見せる × × ○
社内システムの情報をその場で出す/書き込む × × ○
1対1のチャットで返す ○ ○ -
クーポン・ショップカード ○ - -

2段目(Lステップ・エルメ)は、LINEヤフーが公開している Messaging API という仕組みの上に、第三者が作ったツールです。LINEの公式機能ではありません。だから「LINEにその機能がある」のではなく、「APIを使って外から足している」という理解が正しく、乗り換えや解約の話(12章)もここから出てきます。

3段目(LIFF)は、LINEヤフーが公式に提供している仕組みです。LINEアプリの中でWebの画面を開き、しかも開いている人が「どの友だちか」を取得できるのが要点です。外部の予約サイトに飛ばすのと決定的に違うのは、ブラウザに出ないこと、そして誰が操作しているか分かることです。

LIFFと似たものにLINEミニアプリがありますが、これは審査を通してLINEアプリ内の枠に載せるもので、要件と手間が変わります。多くの場合、まずLIFFで作って効果を確かめる順番をおすすめしています(詳細は9章)。

払う先は3つに分かれている

kintoneと同じで、LINEも請求書が1枚で来ません。

払う相手 何に対して払うか 性質
LINEヤフー 公式アカウントの月額と、送ったメッセージの量 友だちが増え、送る回数が増えるほど増える
ツールの提供元(Lステップ・エルメ等) 友だち数と機能に応じた月額 入れた時点から毎月。プランの条件は提供元の料金ページで確認
作る人(外部 or 自社の人件費) 設計・構築・運用。LIFFを作るなら開発とサーバー 作るときと、直し続けるときに発生

見落としやすいのは1つ目です。友だちを増やすと、配信の費用が自動的に増えます。 集めること自体にコストが乗るので、「とりあえず集める」は無料ではありません。出口が決まっていない友だちは、毎月の請求を押し上げるだけになります。

当社の見積もりに入るのは3つ目だけです。LINE公式アカウントやツールの月額は御社のご契約になります(/services/line)。

判断は、この6つを上から通す

途中で「いいえ」が出たら、そこで止めます。下の問いに進んでも答えは変わりません。

問い1 割り込んでよい「用」が月に1回以上あるか

相手にとって得がある知らせが、月に1回はあるか。新商品、空き枠、期限、季節の案内、使い方。自社が言いたいことではなく、相手が知って得をすることで数えます。12ヶ月分のネタを3つも書き出せないなら、配信は続きません。

問い2 その用の先に、LINEの中か1タップ先で終わる出口があるか

出口とは、予約・問い合わせ・来店予約・再注文のように、その場で完了して、完了したことがこちらで分かり、件数が数えられるものです。「サイトを見てもらう」は出口ではありません。数えられないからです。

問い1と問い2が両方「いいえ」なら、ここで終わりです。

問い3 同じ人と2回以上接点を持つ理由があるか

LINEは、一度きりの取引には向きません。リピート・来店・更新・再注文・紹介のどれかがあって初めて、登録してもらった意味が出ます。一生に一度の買い物で、しかも検討が終わった相手には、送る用がありません。

問い4 友だちを一人ひとり別扱いする必要があるか

ここが、ツールを入れるかどうかの分かれ目です。全員に同じものを送って成立する商売なら、公式アカウントだけで足ります。「どこから来た人か」「買った人か、まだの人か」で内容を変えたいなら、2段目が要ります。この判断を先に済ませてください。迷ったまま契約すると、機能の多さに設計が引きずられます。

問い5 LINEが構造的に苦手な領域に入っていないか

次の5つは、作り込んでも報われません。

苦手な領域 理由 代わりに見るもの
新しい人に見つけてもらう 登録した人にしか届かない。検索結果には出ない SEO・広告
長い資料を読ませる トーク画面は短文の場。スクロールが続くと閉じられる PDFやサイトに置いてリンクする
登録前の人への告知 友だちでない人には届かない 広告・SNS
検討が終わった相手への継続接触 送る用がない 送らない(ブロックが増えるだけ)
規約で扱いが制限される商材・表現 業種と表現に制限がある LINEヤフーの規約と各ツールの規約を確認する

1つ目を誤解している会社が最も多く見られます。LINEは「見つけてもらう」道具ではなく、「見つけてくれた人を忘れさせない」道具です。 入口そのものは、検索・広告・店頭・紹介といったLINEの外側で作ります。

問い6 毎月配信を作る担当が決まっているか

配信は、作る人がいなければ止まります。止まったアカウントは、次に送ったとき「誰だっけ」と思われてブロックされます。担当者名が書けないなら、着手しないのが正解です。

失格条件

問い1と問い2が両方「いいえ」の場合、点検リストの点数に関係なく対象外です。 割り込んでよい用がなく、着地する出口もない状態で友だちを集めると、増えるのは配信の費用とブロックの比率だけです。

この場合にやることは、LINEの設計ではありません。出口を先に1つ作ることです。出口ができてから戻ってきてください。

よくある誤解を3つだけ

「友だちを増やせば売上が増える」 ——増えるのは、まず配信の費用です。送る相手が増えれば、LINEヤフーへの支払いも、ツールの段階も上がります。売上が増えるのは、増えた友だちに送る用があり、着地する出口があるときだけです。点検リストの1・2・3を先に埋めるのは、そのためです。

「Lステップを入れれば自動化できる」 ——自動になるのは送信だけです。誰に、いつ、何を送るかは人が決めます。設計しないまま入れると、タグが増えすぎて誰も意味が分からなくなり、一斉配信にしか使わないまま月額だけ払うことになります。実際、当社に相談が来る既存アカウントの多くがこの状態です。ツールを入れる前に、2章の設計図を1枚書いてください。

「まず友だちを1,000人集める」 ——人数は目標になりません。出口が決まっていれば100人でも数字は出ますし、出口が無ければ1,000人でも0件です。しかも1,000人分の配信費用は毎月かかり続けます。集めるのは、出口と1通目が決まってからです。

この章の出口

この章を終えたとき、手元に残っているべきものは次の3つです。

  1. 出口が1つ(予約・問い合わせ・来店予約・再注文のどれか。名前で言える形で)
  2. 点検リストの点数と、合格ラインのどこに入ったか(必須4項目がすべて○か)
  3. 道具の線をどこで引いたかが1行(公式アカウントだけ/+Lステップ・エルメ/+LIFF)

この3つが揃っていれば、次は「集めた後にどう扱うか」の設計に進めます。揃っていなければ、まだ友だちを集め始めないでください。集めた後の道が引かれていない状態で集めた友だちは、あとから設計をやり直しても取り返せません(その理由は次の章で説明します)。

次の章へ:2章 LINE公式アカウントの運用設計|入口とタグ

この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)

点検リスト:LINEナーチャリングに投資して報われるか(10項目)

対象は会社全体ではなく、1つのアカウントです。店舗ごと・ブランドごとにアカウントを分ける場合は、それぞれに付けてください。

# チェック項目 ○の条件(合格の状態)
1 同じ人に2回以上接点を持つ理由がある リピート・来店・更新・再注文のどれかがある
2 LINEの中、または1タップ先で終わる出口が1つ決まっている 予約・問い合わせ・来店予約・再注文のどれかを名前で言える
3 月に1回以上、相手に得がある知らせがある 12ヶ月分の配信ネタを3つ以上書き出せる
4 友だちが増える入口が今すでに2つ以上ある 店頭・サイト・名刺・広告など、実在する入口を2つ挙げられる
5 登録数と出口の件数を月単位で数えている(または数える用意がある) 「先月の登録は何人、予約は何件」が言える
6 配信を毎月作る担当が決まっている 担当者名が書いてある
7 メールやDMではなくLINEである理由が言える 相手がLINEを日常的に使う層である
8 友だちを一人ひとり別扱いする必要があるかを判断した 要る/要らないが決まっている(要るならツールが要る)
9 6ヶ月以上続ける前提がある 予算と担当が6ヶ月分ある
10 LINEヤフーの規約と、使うツールの規約を確認した 自社の業種・表現・取得する情報が制限に当たらないことを確認済み

合格ライン

○の数 判断
7つ以上 着手してよい。問い4の答えに従って道具を決める
4〜6つ 公式アカウントだけで3ヶ月試す。 ツールは入れない
3つ以下 LINE以外(SEO・広告・営業)を先にやる

必須項目は 1・2・9・10 の4つです。どれか1つでも×なら、何点でも着手しません。 また、失格条件(問い1と問い2が両方×)に当たる場合は、点数に関係なく対象外です。

9番を必須に入れている理由は、LINEが溜めた友だちの数に効果が比例する道具だからです。3ヶ月でやめると、費やした費用に対して友だちが少ないまま終わります。10番を必須に入れている理由は、規約に触れた場合に止まるのが配信ではなくアカウントそのものだからです。友だちごと失います。

読んでも決めきれないところは、一緒に決めます

30分の相談は無料です。タグと導線の設計から引き受けます。引き受けられる範囲はLINE公式アカウントの設計・運用にまとめています。

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更新日 2018年10月20日