CHAPTER 06
フォーム・電話・LINEの計測設定
この章で分かること
- フォームの4類型と、それぞれの計測方法(外部フォームで参照元が消える事故の直し方)
- 電話をどこまで数えられるか。数えられない部分をどう埋めるか
- LINE・チャットで取れる範囲と、取れない範囲の境目
この章の目次(10)
- 1Webで完結しない問い合わせは3つ(+台帳で拾うもの)
- 2フォームは4類型ある
- 3外部フォームで参照元が消える(最も多い事故)
- 4電話:どこまで数えられるか
- 5LINE・チャット
- 6取りこぼしを埋める「1問」
- 7突き合わせ表(月1回・15分)
- 8数えないと決めてよいもの
- 9よくある間違いを5つ
- 10この章の出口
問い合わせの多くは、Webの中で完結しません。電話がかかってくる、LINEに友だち追加される、外部のフォームサービスに飛んでいく。 このどれかが主導線の会社で、Webのフォームだけを数えていると、自社の実力を半分しか見ていないことになります。しかも、足りない分は広告やSEOの成果として計上されません。 この章は、経路ごとに「どこまで数えられて、どこからは数えられないか」を確定させ、数えられない部分を受付台帳で埋めるための章です。
この章で分かること
- フォームの4類型と、それぞれの計測方法(外部フォームで参照元が消える事故の直し方)
- 電話をどこまで数えられるか。数えられない部分をどう埋めるか
- LINE・チャットで取れる範囲と、取れない範囲の境目
Webで完結しない問い合わせは3つ(+台帳で拾うもの)
| 経路 | Webで取れる範囲 | 取れない範囲 |
|---|---|---|
| 外部フォーム | 遷移するところまで(設定次第で完了まで) | 設定をしないと成果も参照元も丸ごと失う |
| 電話 | 番号のリンクを押したところまで | 通話が成立したか、内容、受注したか |
| LINE・チャット | 追加ボタンを押したところまで | LINEの中で起きたこと |
| (来店・FAX・紹介・名刺) | 取れない | すべて |
この表は、自社に関係のある行だけを見てください。4行すべてに対応する必要はありません。電話が鳴らない商売なら2行目は飛ばしてよく、LINEを使っていなければ3行目も不要です。逆に、1つでも主導線になっている行があるなら、その行の右側——取れない範囲——をどう埋めるかを、この章で決めることになります。
ここで見落とされやすいのが4行目です。来店・FAX・紹介・名刺は、Webの計測から完全に外れるので、計測の話をしているときには議題にすら上りません。ところが、多くの中小企業で、実際の問い合わせのかなりの部分がここに入ります。紹介で成り立っている商売は珍しくありません。この部分を数えないまま「Webからの問い合わせが月5件しかない」と判断すると、自社の実力を大きく見誤ります。
計測の設計というと、どうやって取るかの話だと思われがちですが、実務で効くのはむしろ逆です。取れないものを早く確定させ、取れない前提で別の手段を用意する。この章の後半で受付時の1問に紙幅を割いているのは、それが取れない範囲を埋める唯一の方法だからです。費用はかからず、今日から始められます。
「取れない範囲」を放置するか、台帳で埋めるかが、この章の分かれ道です。 取れないものは、どれだけ設定を足しても取れません。取れないと確定させて、別の方法で数えるほうが早いです。
フォームは4類型ある
同じ「問い合わせフォーム」でも、作りによって計測の難しさがまったく違います。自社がどれかを先に確定してください。
| 類型 | 作り | 成果を数えられるか | 参照元は残るか | やること |
|---|---|---|---|---|
| ① 自社内・完了ページが別アドレス | /contact/thanks に移動する |
容易 | 残る | 完了ページの表示を成果にする(4章A) |
| ② 自社内・同じアドレスで完了表示 | 画面が切り替わらず「送信しました」と出る | できるが壊れやすい | 残る | サイト側にデータレイヤーへの書き込みを頼む(5章) |
| ③ 外部サービスを枠で埋め込み | ページの中に別サイトの画面がはまっている | 難しい | 残る(ページ自体は自社) | 埋め込み元の仕様を確認。①に作り替えるのが早い |
| ④ 外部サービスへ移動 | 押すと別ドメインのページへ飛ぶ | 設定しないと不可 | 設定しないと消える | 下記のとおり |
この表は、左から右へ読んでください。自社のフォームがどの行かを1行目の「作り」で特定し、そのまま右端の「やること」まで横に読めば、次の作業が決まります。上下を比較する表ではありません。
自社がどの類型か分からない場合は、実際に1件送ってみるのが最も速い判定方法です。送信した後、ブラウザのアドレス欄を見てください。自社のドメインのまま、アドレスの末尾だけが変わっていれば①。何も変わらず画面の中身だけが変わったなら②。送信前から別のサービスのドメインになっていたなら④。ページの一部だけが別サイトの画面としてはまっていたなら③です。判定に5分もかかりません。
①に寄せられるなら、寄せてください。 完了ページを1枚作るだけで、以降の計測がほぼ壊れなくなります。③④を①に近づける改修は、多くの場合、数時間で終わります。
改修を頼むかどうかで迷ったら、頼んでください。この改修は、計測の話の中では例外的に、費用対効果がはっきりしている作業です。数時間の作業で、以降すべての月の数字が正しくなり、広告とSEOの評価が同時に直ります。逆に、これを直さないまま他の計測設定を増やしても、土台が壊れているので積み上がりません。優先順位を付けるなら、この章の中で最初に手を付けるべき作業です。
外部フォームで参照元が消える(最も多い事故)
④のとき、何もしないと次のことが起きます。
- 問い合わせが1件も記録されない(成果が0件に見える)
- あるいは、記録はされるが参照元が「そのフォームサービス」になる
2つ目が厄介です。数字は出ているので、壊れていることに気づきません。 そして、広告もSEOも成果0件のまま、「効いていない」と判断されます。
これが1年以上続くと、たとえばこうなります。問い合わせは実際には毎月届いている。ところが解析ツールの上では、成果の参照元がすべて同じフォームサービスの名前になっている。検索経由の成果も、広告経由の成果も、ゼロです。社内では「広告は効いていない」という結論が出て、広告を止める判断が下されます。
止めた月に問い合わせが減れば、その時点で気づけるはずです。しかし、減ったことは「季節のせい」として処理されがちです。減った理由と計測の壊れが、社内では別々の話として扱われるからです。この2つを結びつけるのが、8章の変更履歴と、この章の突き合わせ表です。
この事故が広範囲に効くのは、計測が止まるのではなく、参照元だけが壊れる点にあります。件数は正しいので、月次の会議では誰も異常に気づきません。異常が現れるのは、経路別の内訳を見たときだけです。9章で経路別の内訳を画面に載せると決めているのは、こういう壊れ方を毎月自動的に目に入れるためでもあります。
直し方は2つあります。下のほうが確実です。
| 直し方 | 内容 | 確実さ | 手間 |
|---|---|---|---|
| A 設定で解決する | 参照元の除外と、ドメインをまたぐ計測を設定する(3章) | 中(相手のサービス側の対応が要る) | 小 |
| B 自社の完了ページへ戻す | 送信完了後に、自社サイトの /contact/thanks に転送してもらう |
高い | 小〜中(フォーム側の設定次第) |
Bが使えるなら、Bにしてください。 多くのフォームサービスには「送信後の転送先」を指定する設定があります。自社の完了ページに戻せば、①と同じ形になり、参照元も成果も普通に取れます。
どちらの場合も、設定した後に自分で1件送って、参照元まで確認してください。 設定した「つもり」で終わっている例が非常に多い場所です。
電話:どこまで数えられるか
電話は、Webの計測では「押した」までしか分かりません。
| 取れるもの | 取れないもの |
|---|---|
| スマートフォンで電話番号のリンクを押した回数 | 通話が成立したか |
| どのページから押したか | 話した内容、受注したか |
| どの経路(広告・検索)から来た人が押したか | パソコンの前で番号を見て、固定電話でかけた人 |
| — | 間違いタップかどうか |
押した回数は、かけた回数ではありません。 この前提を関係者全員で共有してください。共有していないと、「電話が20件と出ているのに、うちには5件しか来ていない」という話になります。
数えられるようにするための3つ
| やること | 内容 |
|---|---|
| 番号をリンクにする | tel: で発信できる形にする。画像の電話番号は、押しても発信されず、計測もできません |
| クリックを計測する | GTMでクリックのトリガーを作る(5章) |
| 設置場所を分ける | ヘッダー・フッター・固定ボタンをパラメータ(location)で分ける(3章) |
画像の電話番号は、意外と多く残っています。 ヘッダーのロゴ画像に番号が入っている、バナー画像の中に番号がある、といった形です。テキストにしてリンクにするだけで、計測も使い勝手も同時に良くなります。
コールトラッキング(電話番号の出し分け)
「どの経路から来た人の電話か」を正確に知りたい場合、訪問者ごとに違う電話番号を表示するサービスがあります。仕組みは次のとおりです。
| 仕組み | 得られるもの | 費用・注意 |
|---|---|---|
| 経路ごとに別の番号を表示し、転送する | 通話の成立数、通話時間、経路別の内訳 | 月額と通話料がかかる。提供各社の料金ページで確認 |
判断の条件は1つです。「電話が主導線で、かつ月の電話件数が十分にあるか」。 電話が月に数件の会社では、台帳で数えたほうが早く、安く、正確です。
当社は、まず台帳(下記の1問)から始めることを勧めています。 台帳で3か月数えて、電話の比率が高いと分かってから、有料の仕組みを検討すれば十分です。
LINE・チャット
Webの計測で取れるのは、友だち追加ボタンを押したところまでです。
| 取れるもの | 取れないもの |
|---|---|
| 追加ボタンのクリック | 実際に友だち追加されたか |
| どのページから押したか | LINEの中で何が起きたか |
| — | ブロックされたか |
LINE側にも、友だち追加の経路を判別する仕組みがあります(仕様と名称は変わるため、最新はLINE側の公式ヘルプで確認してください。探す言葉:「友だち追加経路 分析」)。Web側の数字とLINE側の数字は、別々に見て、突き合わせます。
注意点が1つあります。LINEやSNSのアプリ内ブラウザから自社サイトを開くと、通常のブラウザとは別の入れ物になります(3章)。そのため、「LINEから来た人がサイトで問い合わせた」は、同じ人としてつながらないことがあります。これは仕組み上のもので、設定では直りません。
LINEの中の数字(配信・開封・ブロック・そこからの問い合わせ)は、LINEナーチャリングの教科書11章が扱います。 同じ表を2冊に書きません。この本の責任範囲は、「Web側で、LINEへの送り出しを数えられているか」までです。
取りこぼしを埋める「1問」
最も安く、最も効く計測は、受付のときに1問聞くことです。
| 質問 | 選択肢(5つに固定する) |
|---|---|
| 「当社をどちらでお知りになりましたか」 | ① 検索 ② 広告 ③ 紹介 ④ SNS・LINE ⑤ その他(自由記入) |
| 決めごと | 理由 |
|---|---|
| 選択肢は5つまで | 増やすと聞く側が面倒がり、記録されなくなる |
| フォームにも同じ項目を置く | Webと電話を同じ分類で並べられる |
| 必須にしない(フォームの場合) | 必須にすると離脱が増える |
| 「その他」を自由記入にする | 想定外の経路を拾える。年1回、選択肢を見直す材料になる |
この1問だけで、電話・紹介・来店を含めた全経路の内訳が取れます。 精度は計測ツールに劣りますが、計測ツールが取れない範囲を唯一埋められる方法です。
聞いた内容は、受付台帳の列に足してください。 頭の中に置かず、記録します。
突き合わせ表(月1回・15分)
経路ごとの数字を、1枚に並べます。並べるだけで、壊れている場所が見えます。
| 月 | 経路 | Web側の数字 | 台帳の件数 | 差 | 差の理由 |
| | フォーム | | | | |
| | 電話 | | | | |
| | LINE | | | | |
| | 紹介・その他 | (取れない) | | — | — |
| 見るところ | 読み方 |
|---|---|
| Web側があるのに台帳が0 | 届いていない疑い。 すぐ実送信(2章・工程2) |
| 台帳があるのにWeb側が0 | 計測が止まっている、または参照元が消えている |
| 電話のWeb側が台帳より大きい | 正常(押した回数>かけた回数) |
| 紹介の比率が高い | Web以外の施策が効いている。Webの評価を過小にしない |
この表は、差の大きさではなく、差の向きを見るための表です。どちらが大きいかで意味が変わります。Web側が大きいのは電話では正常、フォームでは異常。台帳が大きいのはフォームでは異常、紹介では当然——という具合に、経路ごとに正常の形が違います。表を作る目的は、経路ごとの正常な形を一度言葉にしておくことです。一度決めておけば、翌月からは向きが変わった行だけを見れば済みます。
担当者と実施日を決めてください。 決めていないと、必ずやらなくなります。
数えないと決めてよいもの
| 数えないもの | 理由 | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 通話の成立数(コールトラッキング無しの場合) | Webでは取れない | 台帳の1問で経路だけ拾う |
| 来店数 | Webでは取れない | 台帳、またはレジの記録 |
| LINEの中の行動 | この本の範囲外 | LINEナーチャリングの教科書11章 |
| FAX・郵送 | 件数が少なく、経路も明確 | 台帳に1行 |
「取れない」と確定させることが、設計です。 取れないものを取ろうとして半年を使うより、台帳で数え始めるほうが早く結論が出ます。
よくある間違いを5つ
「外部フォームに飛ばしているが、参照元が消えていることに気づいていない」 ——成果0件、または参照元がすべてフォームサービス名になります。数字は出ているので気づきません。 直し方:送信後に自社の完了ページへ戻す設定にする。設定後、自分で1件送って参照元まで確認する。
「電話タップを、かかってきた件数だと思って報告していた」 ——押した回数と、かかってきた件数は違います。間違いタップも入ります。直し方:レポートの項目名を「電話リンクのクリック数」にする。件数は台帳の側を正とする。
「電話番号を画像で置いている」 ——押しても発信されず、計測もできません。直し方:テキストにして tel: のリンクにする。スマホで実際に押して確認する。
「LINEの友だち追加を成果にしているが、追加された数を数えていない」 ——Web側で取れるのはボタンのクリックまでです。クリックしたが追加しなかった人が含まれます。直し方:Web側(クリック)とLINE側(追加)を別の数字として並べる。突き合わせ表で差を見る。
「どこで知ったかを聞いていないので、紹介と検索が区別できない」 ——最も安い計測を捨てています。直し方:受付時の1問を今日から始める。選択肢は5つに固定し、台帳に列を足す。
この章の出口
手元に残っているべきものは4つです。
- フォームの類型の確定(①〜④)と、④の場合の設定・実測の記録
- 電話の計測(リンク化・クリック計測・設置場所の分け方)
- 受付時の1問(選択肢5つ・台帳の列)
- 突き合わせ表(経路別・担当・実施日)
ここまでで、自社側の数え方は揃いました。次は、広告媒体が出してくる数字との突き合わせです。媒体の数字とGA4の数字は、正しく設定しても一致しません。一致しない理由を説明できる状態にします。
次の章へ:7章 GA4と広告の数字が合わない理由
この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)
点検リスト:Webで完結しない問い合わせ(12項目)
| # | チェック項目 | 合格ライン |
|---|---|---|
| 1 | 自社のフォームが4類型のどれかを確定している | ①〜④のどれかが書いてある |
| 2 | 外部フォームの場合、完了が計測できている | 自分で1件送って、成果として記録された |
| 3 | 外部フォームの場合、参照元が残っている | 実送信の参照元が、フォームサービス名になっていない |
| 4 | 電話番号がテキストでリンクになっている | スマホで押すと発信される。画像の番号が残っていない |
| 5 | 電話リンクのクリックを計測している | 実際に押して1件記録された |
| 6 | 電話の設置場所を分けている | ヘッダー・フッター等がパラメータで分かれている |
| 7 | 電話の数字の意味を関係者が共有している | レポートの項目名が「クリック数」になっている |
| 8 | LINEへの送り出しを計測している | 追加ボタンのクリックが記録される |
| 9 | LINE側の数字を別に見ている | Web側とLINE側を並べて見る形になっている |
| 10 | 受付時に「どこで知ったか」を聞いている | 選択肢5つ。台帳に列がある |
| 11 | 突き合わせ表がある | 経路別に、Web側と台帳を並べた表がある |
| 12 | 突き合わせの担当と実施日が決まっている | 氏名と日付が書いてある |
合格ライン=12項目中9以上。ただし 3・4・10 のどれかが×なら、点数に関係なく先に直します。
- 3が×:広告もSEOも成果0件に見えます。 すべての施策の評価が壊れます
- 4が×:電話が主導線の会社では、押せない・数えられないが同時に起きています。機会損失そのものです
- 10が×:取れない経路を埋める唯一の手段がありません。聞き始めるのは今日からできます
10は、費用ゼロ・当日開始できます。 3と4は、いずれも設定と表示の変更だけで終わることがほとんどです。
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更新日 2018年10月20日
