CHAPTER 11
LINEの効果測定|登録数を成果と呼ばない
この章で分かること
- 数える5つと、見なくてよい数字(友だち数の累計・表示回数・他社の平均値)
- 入口別に出口まで数える方法(3章のタグを、11章で初めて回収します)と、月次で見る画面3つ・所要時間
- 直す順番は出口から。A/Bの回し方(一度に1つだけ変える)と、数字が動かないときに疑う順番
この章の目次(12)
- 1登録数を成果と呼ばない理由
- 2数えるのは5つ
- 3入口別に、出口まで数える
- 4見なくてよい数字
- 5月に1回、30分。見る画面は3つ
- 6直す順番は、出口から
- 7改善は、一度に1つだけ変える
- 8数字が動かないときに疑う順番
- 9止めたものを記録する
- 10測らないほうがよい場合
- 11よくある誤解を3つ
- 12この章の出口
「友だちが1,200人になりました」は、報告であって成果ではありません。1,200人のうち何人が予約したかが言えなければ、続けるか止めるかを判断できません。 数えるのは5つだけです。登録数・ブロック率・クリック率・出口の件数・入口別の内訳。この5つを月に1回、30分で見る形にします。 この章は、成果の単位を出口の件数に置き直し、入口別に成約まで追えるようにし、直す順番を「出口 → 配信 → メニュー → 入口」で固定するための章です。
この章で分かること
- 数える5つと、見なくてよい数字(友だち数の累計・表示回数・他社の平均値)
- 入口別に出口まで数える方法(3章のタグを、11章で初めて回収します)と、月次で見る画面3つ・所要時間
- 直す順番は出口から。A/Bの回し方(一度に1つだけ変える)と、数字が動かないときに疑う順番
登録数を成果と呼ばない理由
理由は3つあります。
1つ目。登録数は、集め方でいくらでも動きます。 強い特典を付ければ増えます。増えた分だけ、特典だけ受け取って離れる人も増えます。増減の原因が「集め方」にあるのに、配信の評価として読んでしまうのが、最も多い誤読です。
2つ目。累計の友だち数は、減りません。 ブロックした人も数に残る数え方をしていると、グラフは永遠に右肩上がりになります。右肩上がりのグラフを毎月見ても、何も判断できません。
3つ目。登録数が増えても、出口の件数が増えていないことが普通にあります。 そしてそれは、LINEの設計に問題があるという重要な情報です。登録数だけを見ていると、この情報が一生手に入りません。
だから、成果の単位は出口の件数にします。2章で1つに絞った出口——予約数・来店数・再注文数・申込数のどれか。「先月はLINE経由で予約が◯件」と言える状態が、この章のゴールです。
数えるのは5つ
| # | 数字 | どこで見るか | 何が分かるか |
|---|---|---|---|
| 1 | 登録数(月ごと・入口別) | ツールの流入経路/入口タグの人数 | どの入口が人を連れてきているか |
| 2 | ブロック率(月ごと・配信の翌日) | 公式アカウントの分析/配信の記録表 | 送りすぎ・ずれた相手に送っていないか |
| 3 | クリック率(配信ごと) | 配信の記録表(2章で作ったもの) | 中身と相手が合っているか |
| 4 | 出口の件数(月ごと) | 業務側(10章でつないだ先) | これが成果 |
| 5 | 入口別の出口件数 | 入口タグ × 出口のタグ/業務側の経路フィールド | どの入口の友だちが実際に買ったか |
5番が、この章で最も価値のある数字です。 そして、最も多くの会社が持っていない数字でもあります。
理由ははっきりしています。入口タグ(3章)と、出口の記録(10章)の両方が無いと出せないからです。2章で「入口ごとにURLを分ける」、3章で「タグは遡れない」、10章で「経路のフィールドを足す」と書いてきたのは、すべてこの1つの数字のためです。
有効友だち数で見る
割合を出すときの分母は、累計の登録数ではなく、ブロックを除いた有効な友だち数にします。累計で割ると、時間が経つほど分母だけが膨らみ、何をしても数字が悪くなっていくように見えます。
- ブロック率 = その月のブロック数 ÷ 月初の有効友だち数
- クリック率 = 押した人数 ÷ その配信を送った人数(全体の友だち数ではありません)
2つ目を間違えている例が多いです。 セグメント配信を500人に送って50人が押したなら、クリック率は10%です。友だち5,000人で割って1%と記録すると、一斉配信と比べられなくなります。分母は「送った人数」で統一してください。
入口別に、出口まで数える
やることは3つです。
- 入口タグが付いている(2章・3章。付いていないなら、今日以降の登録から)
- 出口に到達したことが記録される(申込のタグが付く、または業務側にレコードが入る)
- 2つを掛け合わせて数える
3つ目の方法は、使っている道具で変わります。
| 道具 | 数え方 |
|---|---|
| ツールの絞り込み | 「入口タグ = 店頭」かつ「状態タグ = 予約済み」の人数を出す。入口ごとに繰り返す |
| ツールの分析機能 | Lステップのクロス分析のように、タグを掛け合わせて出せる機能を使う |
| 業務側(10章) | 申込レコードの「経路」フィールドで集計する。金額まで出せるのはこちら |
金額まで見たいなら、業務側で数えてください。 LINE側のツールは人数を数える道具で、売上を数える道具ではありません。10章で「経路」のフィールドを足しておくと、ここで効いてきます。
出す表は1つ
| 入口 | 登録数 | 出口に進んだ人数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 店頭POP | 80 | 12 | 15.0% |
| Webサイト | 140 | 7 | 5.0% |
| 広告A | 220 | 4 | 1.8% |
| 紹介カード | 30 | 9 | 30.0% |
この表が出た瞬間に、意思決定が変わります。 広告Aは登録数が最も多いのに、出口はほとんど出ていません。紹介カードは登録数が少ないのに、割合が最も高い。登録数だけを見ていたら、広告Aを増やす判断をしていたはずです。
これが、2章で「入口を分けるのは集める作業ではなく、集める前にしか打てない設計だ」と書いた理由です。この表が出せないアカウントでは、広告費を止めるべきか続けるべきかが、最後まで判断できません。
なお、割合の絶対値を他社と比べても意味がありません。比べる相手は、自社の先月と、自社の他の入口だけです。
見なくてよい数字
見る数字を3つに絞るには、見ない数字を決めるのが先です。
| 数字 | なぜ見なくてよいか |
|---|---|
| 累計の友だち数 | 減らない。判断に使えない |
| 配信の表示回数・到達数 | ほぼ全員に届く。差が出ない |
| 他社・業界の平均クリック率 | 出典のある共通の数字は存在しません。 業種・集め方・商材で変わる |
| 1回の配信の細かい上下 | 1回では判断できない。3回分の記録がそろってから見る(6章) |
| リッチメニューの「見た目の評価」 | 5章のとおり、エリア別タップ数だけを見る |
3つ目について、この教科書の約束を繰り返します。この本には、出典のない統計を書きません。 「開封率◯%」「平均クリック率◯%」という数字を見かけたら、その出典と、自社と同じ条件かを確認してください。確認できないなら、自社の先月の数字を基準にするほうが、確実に正しい判断ができます。
月に1回、30分。見る画面は3つ
点検リストの7番は「毎月見る画面が3つ以内に決まっている」です。3つを超えると、続きません。
| # | 見る場所 | 見るもの | 目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | LINE公式アカウント/ツールの分析画面 | 今月の登録数・有効友だち数・ブロック数 | 5分 |
| 2 | 配信の記録表(自社の表計算) | 今月の配信の行(人数・クリック率・翌日のブロック増) | 10分 |
| 3 | 業務側(kintone等) | 今月の出口の件数。経路がLINEのものと、それ以外 | 10分 |
残り5分で、1行だけ書きます。「今月:登録62/有効1,140/ブロック9/配信4本・平均クリック6.1%/予約LINE経由14件。先月比+2件。次にやること=広告Aの入口を1か月止めて様子を見る。」
この1行が、翌月の自分への申し送りになります。毎月ためると、3か月後には「何をしたら何が起きたか」の履歴になります。 分析レポートは要りません。1行で足ります。
見る人と直す人を決める
点検リスト8番です。見る人と直す人は、同じ人でなくて構いません。 ただし両方に名前が要ります。
「数字は見ているが、誰も直さない」状態が、最も多い詰まり方です。月次の30分の最後に、次の1か月で直すことを1つだけ決めてください。 3つ決めると、1つも終わりません。
直す順番は、出口から
数字が悪いとき、どこから手を付けるか。順番は固定です。
| 順 | 直す場所 | 疑うこと | 効く速さ |
|---|---|---|---|
| 1 | 出口 | 出口が1つに決まっているか。完了までの手数が多すぎないか。件数を数えられているか | 最も速い |
| 2 | 配信 | 送る相手が合っているか(3軸・除外)。中身が「何も買わなくても得か」(6章) | 速い |
| 3 | メニュー | 出口のボタンが1つ目にあるか。タップ0のボタンが無いか(5章) | 中 |
| 4 | 入口 | どの入口が出口まで届いているか。効いていない入口を止める | 最も遅い(ただし金額に最も効く) |
この順番には理由があります。 出口が詰まっていると、配信を直しても入口を増やしても、そこで全部止まります。バケツの底に穴が空いている状態で、水を足す作業をしてはいけません。
そして、上ほど今日できて、明日結果が出ます。 入口の改善は、新しく登録した人が出口に進むまで待つので、判断に数か月かかります。速く効く順に直すと、改善のサイクルが回り始めます。
具体的に、どこを疑うか
| 症状 | 疑う順番 |
|---|---|
| 登録は増えているが、出口が増えない | ①出口の手数 → ②配信で出口を案内しているか → ③メニューの1つ目 |
| クリック率が下がってきた | ②送る相手(除外が効いていない/同じ案内の3回目)→ ②中身 |
| ブロックが増えた | ②頻度と送る相手(6章の記録表。翌日の列を見る) |
| 出口は出ているが、売上が伸びない | ④入口(単価の低い入口に偏っていないか。業務側で金額を見る) |
| 全部の数字が動かない | 配信が止まっていないか。 実は2か月送っていない、が本当にあります |
最後の行は冗談ではありません。月次を見る習慣が無い会社では、配信が止まっていたことに半年気づかないことがあります。
改善は、一度に1つだけ変える
6章で曜日と時間帯について書いたことを、この章では改善全体に広げます。
1回の配信で変えるのは1つだけ。 送る時間と、件名と、送る相手を同時に変えると、どれが効いたのか永久に分かりません。
| 変えられるもの | 一度に変えてよい数 |
|---|---|
| 送る時間帯・曜日 | 1つ |
| 1通目の最初の1行 | 1つ |
| 送る相手(セグメント) | 1つ |
| リンクの見せ方(ボタンか文中か) | 1つ |
そして、1回で判断しないでください。 6章と同じく、同じ条件で3回送ってから比べます。 1回の配信のクリック率は、たまたまで簡単に上下します。
AとBを同時に出す形(半分ずつ送る)が使えるなら、そのほうが速いです。 同じ日に送れるので、曜日や世の中の出来事の影響を受けません。ツールに分割配信の機能があるかは、提供元の機能ページで確認してください。使えない場合は、3回交互に送って比べる形で足ります。
比べた結果は、配信の記録表の右端に1列足して書いてください。「時間帯テスト:19時/11時」のように。書かないと、半年後に同じテストをやり直すことになります。
数字が動かないときに疑う順番
3か月見ても何も動かないときは、次の順で疑います。上から順に、確かめるのが速い順です。
- そもそも配信しているか(記録表に行があるか)
- 出口の件数を数えているか(業務側で経路が分かるか。数えていないだけで、実は出ていることがあります)
- 出口に進んだ人が、ステップから外れているか(4章の必須項目。外れていないと、予約済みの人に予約の案内が届き続けます)
- 送る相手が合っているか(除外3つが効いているか)
- 出口の手数(何タップで完了するか。実機で自分でやってみる)
- 入口の質(登録数の多い入口が、出口に届いていないのでは)
2番が、実務では驚くほど多いです。 「LINEは効果がない」という相談の中身をたどると、出口の件数を数える仕組みが無いだけ、ということがよくあります。数えていないものは、増えていても見えません。
何か月見てから判断するか
点検リスト12番です。判断するまでの期間を、先に決めてください。
当社は3か月を出発点にしています(出典のある数字ではなく、当社の決めごとです)。理由は、配信の記録が3回分そろう最短の期間であり、かつ季節の影響をある程度ならせる最短の期間だからです。自社の商売の周期が長いなら、その周期に合わせて伸ばしてください。
大事なのは長さではなく、先に決めておくことです。決めていないと、2か月目に「効いていない気がする」で止め、4か月目に「やっぱりやろう」で再開し、記録が途切れます。
止めたものを記録する
点検リスト11番です。止めた配信・止めた入口を、日付と理由で残してください。
| 日付 | 止めたもの | 理由 |
|---|---|---|
| 2026-05-12 | 毎週火曜の商品紹介 | 3回連続でクリック率が2%未満。翌日のブロック増が続いた |
| 2026-07-01 | 広告Aの入口 | 登録220に対し出口4件。他の入口に予算を寄せる |
これが無いと、半年後に同じことをもう一度始めます。 担当が代わったときは確実に始まります。止めた記録は、やったことの記録より価値があります。
測らないほうがよい場合
計測の仕組みを先に作りすぎないでください。 次のどれかに当たるなら、今月は表を1枚作るだけで十分です。
| # | 当てはまる状況 | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 1 | 友だちが少なく、月の出口が数件 | 件数を数えるだけでよい。割合は母数が小さすぎて意味が出ない |
| 2 | 配信をまだ始めていない | 2章の記録表の1行目を埋めるところから |
| 3 | 出口が2つ以上あって絞れていない | 2章に戻る。何を成果と呼ぶかが決まっていない状態では測れません |
| 4 | ダッシュボードを作ることが目的になっている | 月次の1行メモで代用する。見る時間が増えるほど、続きません |
4番が、実は一番よく起きます。きれいな管理画面を作っても、直す人が決まっていなければ何も変わりません。
よくある誤解を3つ
「もっと詳しく分析すれば、原因が分かる」 ——分析の粒度を上げても、記録していなかったことは出てきません。 出口の件数と入口タグが無い状態で分析機能を高度にしても、出てくるのは「友だちが何人増えたか」だけです。足すべきは分析ではなく、記録です。 そして記録は、始めた日からしか貯まりません。
「クリック率が高い配信が、良い配信だ」 ——クリック率は中身と相手が合っていたかを示す数字で、成果ではありません。煽った件名でクリックは増やせますが、開いた先で期待と違えば、次から押されなくなります。見るのは、クリック率と出口の件数の両方です。 クリックは増えたのに出口が増えていないなら、配信ではなく出口側の問題です。
「先月より悪いから、やり方を変えよう」 ——1か月の上下では変えないでください。3回分の記録がそろってから判断するのが、6章から一貫した原則です。毎月やり方を変えると、変えたことの効果が測れないまま1年が過ぎます。変えないという判断も、記録に残してよい判断です。
この章の出口
この章を終えたとき、手元に残っているべきものは次の3つです。
- 入口別の表が1枚(入口・登録数・出口に進んだ人数・割合の4列。実際に数字が入っている)
- 点検リスト12項目のうち、必須の1・2・5がすべて○(全体で10以上)
- 月次の1行メモが1か月分(今月の5つの数字と、次の1か月で直すこと1つ)
この章までで、作る・受ける・つなぐ・測るが1本につながりました。 残っているのは、これを続けるための話です。 どの道具で回すのか、いくらかかるのか、乗り換えるときに何が失われるのか、そして誰が続けるのか。最後の章で、契約とデータと人の話をします。
この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)
点検リスト:計測の土台(12項目)
運用を始めた月に1回、そのあとは3か月に1回、○×を付けてください。
| # | チェック項目 | ○の条件(合格の状態) |
|---|---|---|
| 1 | 成果の単位が出口の件数になっている | 予約数・来店数・再注文数のどれか。登録数ではない |
| 2 | 入口別の登録数が見える | 入口タグごとの人数が出せる |
| 3 | 入口別の出口件数が見える | 「どの入口の友だちが予約したか」の表が出せる |
| 4 | ブロック率を月次で記録している | 3ヶ月分の推移がある |
| 5 | 配信ごとのクリック率を記録している | 記録表に全配信の行がある(分母は送った人数) |
| 6 | 有効友だち数(ブロックを除いた数)で見ている | 累計の登録数を分母にしていない |
| 7 | 毎月見る画面が3つ以内に決まっている | 見る場所が書いてあり、30分で終わる |
| 8 | 数字を見る人と直す人が決まっている | 担当者名が両方書いてある |
| 9 | 出口の件数をLINE以外の経路と分けて数えている | 業務側に経路の記録がある(10章) |
| 10 | 前年・前月との比較ができる | 実際に出した(出せるはず、ではない) |
| 11 | 止めた配信・止めた入口の記録がある | 止めた日と理由が書いてある |
| 12 | 数字が動かない期間の扱いを決めてある | 何ヶ月見てから判断するかが書いてある |
合格ライン=12項目中10以上。必須項目は 1・2・5 の3つです。
- 1が×だと、何を増やしたいのかが決まっていません。 配信を直しても、良くなったかどうかを判定できません
- 2が×だと、広告や販促を止める判断が永久にできません。 しかも遡れません(2章・3章)。今日設定しても、今日以降の登録にしか付きません
- 5が×だと、6章の「頻度を上げてよいか」の判断ができません。 記録表は、この章のために2章で作ったものです
更新日 2018年10月20日
