株式会社COTSUBU

CHAPTER 04

検索広告とSNS広告、どちらを先に出すか

この章で分かること

  • 検索広告とSNS広告の根本的な違いと、自社がどちらから始めるべきかを判定する3つの材料
  • ディスプレイ(リマーケティング)を足してよい条件と、足してはいけない条件
  • 2媒体同時に始めてはいけない理由と、2媒体目を足す条件・止める条件の書き方
この章の目次(11)
  1. 1検索とSNSは、客の状態が違う
  2. 2判定その1:検索されているか
  3. 3判定その2:素材を作れるか
  4. 4判定その3:サイトに人が来ているか
  5. 5順番を1枚にする
  6. 62媒体を同時に始めてはいけない
  7. 7媒体ごとの役割を、言葉にして書く
  8. 8媒体をまたいだ二重計上を先に決める
  9. 9増やす条件と、止める条件を先に書く
  10. 10よくある間違いを5つ
  11. 11この章の出口

媒体選びは、機能の比較ではありません。「客が探しているか、まだ探していないか」の1点で決まります。 探されている商材なら検索広告が先、探されていない商材ならSNS広告が先、ディスプレイ(リマーケティング)はそのどちらかが回ってから足すもの——順番はこれだけです。 この章は、自社がどちらなのかを自分の手元のデータで判定し、最初の1媒体に絞り込み、2媒体目を足す条件と止める条件を先に書いておくための章です。

この章で分かること

  • 検索広告とSNS広告の根本的な違いと、自社がどちらから始めるべきかを判定する3つの材料
  • ディスプレイ(リマーケティング)を足してよい条件と、足してはいけない条件
  • 2媒体同時に始めてはいけない理由と、2媒体目を足す条件・止める条件の書き方

検索とSNSは、客の状態が違う

機能の違いではなく、広告が当たる人の状態が違います。ここを取り違えると、どんなに設定を丁寧にやっても数字は出ません。

検索広告 SNS広告(Meta等) ディスプレイ(リマーケティング)
客の状態 探している(困りごとを自覚済み) 探していない(自覚していないか、後回し中) 一度来た(自覚済みで、まだ決めていない)
出す相手の決め方 客が打った語で決まる 配信設定と媒体の学習で決まる 自社サイトに来た人の中から決まる
数字を決める主因 どの語に出すか/出さないか 素材(画像・動画・文章) 誰を戻すか(リストの切り方)
効き始める速さ 数日 2週間〜(学習に時間が要る) 2週間〜(リストが溜まってから)
前提 その語が検索されていること 素材を作り続けられること 訪問者がいること

この表から、媒体選びの問いは3つに分解できます。①自社の商材は検索されているか。②素材を毎月作れるか。③サイトに人が来ているか。

判定その1:検索されているか

「検索されていない」を感覚で決めないでください。手元で確かめる方法が3つあります。

# 確かめ方 見るもの 判定
1 キーワードの調査機能で語を入れる 月間の検索数の目安 月間検索数が1以上の語を3つ挙げられるなら、検索広告の土俵に乗る
2 自社サイトの検索流入を見る 検索から来た人が実際に打った語 発注に近い語が並んでいれば強い材料
3 既存客に聞く 「どうやってうちを知りましたか」 検索・紹介・SNSのどれが多いか

2と3が最も信頼できます。 自社の実データと、実際に金を払った人の証言だからです。 1は媒体の提供する目安値なので、数字そのものより「0か、0でないか」を見るつもりで使ってください。呼び名も提供形態も変わるので、最新は公式ヘルプで確認してください(探す言葉:「キーワード プランナー 検索ボリューム」)。

ここで注意が1つ。商圏を掛けると検索数は必ず小さく出ます。 「外壁塗装」は多くても「◯◯市 外壁塗装」は少ない。小さいこと自体は問題ではありません。 問い合わせる確率が高い語なので、月に数件取れれば成立します。1章で計算した許容CPAと件数で判断してください。

判定その2:素材を作れるか

SNS広告は設定より素材で数字が決まります。 そして素材は消耗品です。同じ素材を出し続けると、同じ人に何度も表示されて反応が落ちます。 当社は訴求の違う案を毎月3本前後つくり、数字の悪いものから差し替えることにしています。同じ素材を3ヶ月以上出し続けません。

つまりSNS広告を選ぶとは、「毎月2〜3本の素材を作り続ける体制を持つ」と決めることです。社内に作れる人がいないなら、外注費を月予算に入れてください。当社の場合は運用代行費に素材制作が含まれます(Meta広告運用・SNS広告運用:初期構築20万円〜/運用代行 月10万円〜。動画の撮影が必要な場合は別途。すべて税別)。

素材が切れて配信が止まる——これがSNS広告で最も多い失敗です。設定の問題ではなく、体制の問題です。

判定その3:サイトに人が来ているか

ディスプレイ(リマーケティング)は、一度サイトに来た人に当てる施策です。来訪者がいなければ何も起きません。 当社は「サイトへの訪問者数が月1,000人を下回る場合、リストが溜まるまで1ヶ月ほどかかる」とお伝えしています。その場合は、先に検索広告で訪問者を増やすのが順番です。

逆に、検索広告を回していて、来ているのに問い合わせに至らない人が多い状態なら、追加する価値が最も大きい局面です。 知らない人に広く見せる使い方(認知目的のディスプレイ)は、従業員10〜50名規模の会社には最初におすすめしません。費用がかかるわりに問い合わせにつながりにくいためです。リマーケティングで数字が立ってから範囲を広げてください。

順番を1枚にする

3つの判定を組み合わせると、始める媒体はほぼ自動的に決まります。

自社の状態 1番目 2番目 3番目
検索されている/サイトに人が来ている 検索広告 ディスプレイ(リマーケティング) SNS広告
検索されている/サイトに人が来ていない 検索広告 SNS広告 ディスプレイ
検索されていない(新商品・認知がない) SNS広告 ディスプレイ(リマーケティング) 検索広告(指名検索が出てきてから)
検索されていない/素材も作れない 広告以外を先に(営業・紹介・SEO) — —

最後の行は逃げではありません。1章で書いたとおり、「今はやらない」も正しい結論です。

2媒体を同時に始めてはいけない

最も多い相談が「検索とMetaを両方やりたい」です。当社は必ず1つに絞ってから始めます。理由は3つです。

  1. 予算が割れて、どちらも判断できない。 1章の決めごとでは、主要な成果が30件たまるまでCPAを判断しません。予算を半分ずつにすると、30件に届くまでの時間が単純に倍になります
  2. どちらが効いたか分からない。 同時に始めると、問い合わせが増えても減っても原因を切り分けられません
  3. 手が足りない。 検索広告は検索語句の精査、SNS広告は素材の入れ替えと、毎週やる作業の中身が違います。 両方を片手間でやると、両方が止まります

例外は1つだけです。 指名検索(社名・商品名)の検索広告は、SNS広告と同時に出して構いません。指名は量が少なく費用も小さく、SNSで認知が広がると指名検索が増えるためです。受け皿として置いておく性格のもので、検証の対象ではありません。

媒体ごとの役割を、言葉にして書く

2媒体目以降は、役割を書き分けてから足します。書けないうちは足さないでください。

媒体 役割の書き方の例 見る数字
検索広告 刈り取り。 今探している人を取りこぼさない 成果件数とCPA
SNS広告 掘り起こし。 まだ探していない人に認知させる 成果件数とCPA、加えて指名検索数の変化
ディスプレイ 連れ戻し。 一度来て決めなかった人にもう一度当てる 成果件数とCPA、頻度の上限

役割が違うものを同じキャンペーン(同じ財布)に入れないのが原則です。2章の工程5で最もよく出る×が、「ディスプレイ面に予算の半分が流れていたが、成果はほぼ検索から出ていた」という状態です。役割の違うものが同居していると、これが見えません。

媒体をまたいだ二重計上を先に決める

媒体を増やすと必ず起きるのが、同じ1件を2つの媒体が自分の成果として数えることです。 SNS広告を見た人が、後で社名を検索して問い合わせた。この1件を、SNSも検索も自分の成果に数えます。媒体の合計が社内の件数より多くなるのはこれが原因です(3章の表の原因6)。

これは媒体の不正ではなく、各媒体が自分の貢献を自分の基準で数えているだけです。対処は2つ。

  • 社内の件数を正とする。 月1回、媒体合計と社内件数を並べ、差を記録する(3章)
  • 媒体をまたいだ配分は追わない。 中小規模の予算では、正確に配分する仕組みのコストが見合いません。合計で許容CPA以内に収まっているかを見ます

増やす条件と、止める条件を先に書く

始める前に書いてください。数字が悪い週に感情で決めないためです。

2媒体目を足す条件:1媒体目が、主要な成果30件以上たまった状態で、
                   許容CPA以内を3ヶ月続けたとき

止める条件:主要な成果が30件たまった時点で、
            CPAが許容CPAの1.5倍を超えていたら止める
            (30件に届かないうちは、良し悪しを判断しない)

30件・3ヶ月・1.5倍は、当社が使っている決めごとです。理論値ではありません。社内で別の数字にして構いませんが、始める前に書いておくことだけは変えないでください。 なお「30件たまる前に費用だけが積み上がる」場合は、止める判断ではなく配信量が足りていないか、そもそも探されていないの疑いです。判定その1に戻ります。

よくある間違いを5つ

「競合がMetaをやっているので、うちもMetaから始める」 ——競合の商材・粗利・素材体制は分かりません。見えているのは「出稿している」ことだけで、効いているかは見えません。 → 直し方:判定その1〜3を自社のデータでやる。特に自社サイトの検索流入と既存客への聞き取りは、その日のうちにできます。

「検索されていないから、うちは広告に向かない」 ——検索広告に向かないだけです。まだ探していない人に届けるSNS広告という選択肢があります。SEOとは判断の分かれ方が違います。 → 直し方:判定その2(素材を作れるか)に進む。作れないなら、作れる体制を用意するか、営業・紹介を先にやる。

「リマーケティングは安いと聞いたので、最初に入れた」 ——戻す相手がいなければ配信されません。訪問者が少ないアカウントでは、リストが溜まるまで何も起きず、設定だけが残ります。 → 直し方:先に検索広告かSNS広告で訪問者を増やす。月間訪問者が少ない段階では、タグだけ入れてリストを溜め始め、配信は後回しにする。

「しつこいと苦情が来たので、リマーケティングを全部止めた」 ——止める前に頻度の上限を設定してください。1人あたり1日◯回まで、期間は◯日までという形で制御できます(当社は1日3回・30日程度から調整します)。 → 直し方:頻度の上限と期間を設定し直す。訪問ページ別にリストを分け、全員に同じ1枚を出すのをやめる。

「媒体を3つに増やしたら、合計の件数は増えたがCPAが悪化した」 ——増やした媒体が悪いとは限りません。媒体をまたいだ二重計上で、分母(費用)は実数なのに分子(件数)が水増しされている可能性と、予算が割れて各媒体が学習に必要な件数に届いていない可能性があります。 → 直し方:社内の受注記録を正として、媒体合計ではなく社内件数でCPAを出し直す。そのうえで、成果の出ていない媒体から予算を引き上げる(7章)。

この章の出口

手元に残っているべきものは4つです。

  1. 最初の1媒体(1つだけ。理由が1行で言える)
  2. 判定の根拠(検索されているか/素材を作れるか/訪問者がいるか、の○×)
  3. 媒体ごとの役割(2媒体目以降を足すときに書く。「刈り取り」「掘り起こし」「連れ戻し」)
  4. 足す条件と止める条件(件数・期間・許容CPAの倍率を数字で書いたもの)

媒体が1つに決まったら、次はその中身の組み方です。同じ予算でも、構造の組み方で止められる/止められないが決まります。

次の章へ:5章 リスティング広告のアカウント構造の作り方

この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)

点検リスト:媒体の選び方(10項目)

# チェック項目 合格の状態
1 売りたいものが検索されているか確認した 月間検索数が1以上の語を3つ挙げられる
2 客が実際に使っている媒体を確認した 既存客への聞き取りか、自社サイトの流入元で確認した
3 最初の媒体を1つに絞った 2媒体同時に始めていない
4 その媒体に許容CPA×目標件数の予算を出せる 月予算が計算済み
5 素材を用意できる(またはなくても始められる形にした) 検索広告なら文章、SNSなら画像・動画の当てがある
6 リマーケティングの前提(訪問者数)を確認した 月間訪問者が少なすぎてリストが溜まらない状態ではない
7 媒体ごとの役割を書き分けた 「検索=刈り取り」「SNS=掘り起こし」のように役割が言える
8 媒体をまたいだ重複計上を避ける取り決めをした 同じ1件を2媒体で成果に数えていない
9 2媒体目を足す条件を決めた 「1媒体目が許容CPA以内で3ヶ月」のように条件が書いてある
10 止める条件も決めた 「◯件たまって許容CPAの1.5倍を超えたら止める」と書いてある

合格ライン=10項目中7つ以上。ただし 1・4 は必須です。 1が×なら、検索されていない商材に検索広告を出すことになり、費用は表示されないまま、または関係のない検索に消えます。 4が×なら、判断に必要な件数が溜まる前に予算が尽きます。どちらも、始める前から損が確定している状態です。

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更新日 2018年10月20日