株式会社COTSUBU

CHAPTER 05

リスティング広告のアカウント構造の作り方

この章で分かること

  • キャンペーンを分けてよい4つの理由と、分けてはいけないとき(細かくすると何が壊れるか)
  • 指名検索を独立させる理由——分けていないアカウントの報告書が、ほぼ必ず過大評価になる仕組み
  • マッチタイプの使い分けの考え方と、複雑になった既存アカウントを畳んで作り直す手順
この章の目次(10)
  1. 1構造は3階建て
  2. 2キャンペーンを分けてよい理由は4つ
  3. 3指名検索を独立させる
  4. 4広告グループは「同じ広告文で違和感がないか」で切る
  5. 5マッチタイプ:どこで広く取り、どこで絞るか
  6. 6自動化の進んだキャンペーン種別をいつ使うか
  7. 7複雑になった既存アカウントを畳む手順
  8. 8命名規則を決める
  9. 9よくある間違いを5つ
  10. 10この章の出口

アカウント構造を決めるのは、「何を止めたいか」の1点だけです。分け方に正解の型はありません。 止めたいものだけを止められる構造が正解で、止めたいものを止めると残したいものまで消える構造が不正解です。 この章は、キャンペーンを分ける理由を4つに絞り、指名検索を独立させ、細かくしすぎて成果が分散する失敗を避けながら、10項目で構造の合否を出すための章です。

この章で分かること

  • キャンペーンを分けてよい4つの理由と、分けてはいけないとき(細かくすると何が壊れるか)
  • 指名検索を独立させる理由——分けていないアカウントの報告書が、ほぼ必ず過大評価になる仕組み
  • マッチタイプの使い分けの考え方と、複雑になった既存アカウントを畳んで作り直す手順

構造は3階建て

媒体によって呼び名は違いますが、どの検索広告もおおむね3階建てです。名称は変わるので、最新は公式ヘルプで確認してください。

階層 ここで決まるもの 分ける基準
キャンペーン 予算・地域・時間・配信先・入札方式 止めたい単位(=予算を分けたい単位)
広告グループ 広告文と着地先 同じ広告文で違和感がない語のまとまり
キーワード どの検索に出すか 意味の近さ

覚えることは2行です。予算を分けたいならキャンペーンを分ける。広告文を変えたいなら広告グループを分ける。 それ以外の理由で分けません。

キャンペーンを分けてよい理由は4つ

説明できる理由は、実務上ほぼ次の4つに限られます。この4つに当てはまらない分割は、管理の手間が増えるだけです。

# 分ける理由 例 分けないと起きること
1 予算を分けたい 主力サービスと、試している新サービス 新サービスの検証に予算が回らない/主力の予算を食う
2 地域が違う 本社商圏と、支店商圏 地域別に強弱を付けられない
3 目的が違う 新規の刈り取りと、既存訪問者への再アプローチ 役割の違うものが同じ財布になり、成果の出所が見えない
4 指名検索を分けたい 社名・商品名での検索だけを独立させる アカウント全体の数字が実力より良く見える(次節)

逆に、「キーワードの種類が違うから」「なんとなく整理したいから」で分けるのは×です。分けた数だけ成果件数が散り、どれも判断できる量に届かなくなります。

指名検索を独立させる

構造の話でいちばん効くのがここです。 指名検索(社名・商品名での検索)は、もともと問い合わせにつながりやすい——すでに名前を知っていて、探しに来ている人だからです。広告の巧拙とはほとんど関係ありません。

これが一般語のキャンペーンに混ざっていると、次のことが起きます。

混ざっている場合 分けている場合
アカウント全体のCPAが実力より安く見える 新規開拓の実力がそのまま見える
一般語が全部赤字でも、平均では合格に見える 一般語の良し悪しが単独で判定できる
指名が減っただけでCPAが悪化し、原因を誤診する 指名の増減を単独で追える(SNS広告の効果測定にも使える)

分けていないアカウントの報告書は、ほぼ必ず過大評価になっています。 そして指名は、広告以外の施策(SNS・チラシ・展示会・紹介)の結果として増減します。 単独で取り出せると、広告の外側で起きていることの指標としても使えます。

なお「指名は放っておいても来るから広告を出さない」という判断もあり得ます。どちらでも構いませんが、決めて、理由を書いてください。 競合が自社名で出稿している場合は、出さない判断が高くつくことがあります。

広告グループは「同じ広告文で違和感がないか」で切る

粒度の判断基準はこれ1つです。そのグループのキーワードを全部読み上げて、1本の広告文で全部に答えられるか。

  • 「外壁塗装 費用」「外壁塗装 相場」「外壁塗装 見積」→ 同じ広告文でいい。1グループ
  • 「外壁塗装 費用」「屋根修理 業者」→ 違う。分ける

もう1つの目安が中身を全部読み上げられる程度の数に収まっていること。数十・数百に膨らんでいるグループは、広告文が必ずどれかとずれています。

細かくしすぎると壊れるもの

「1キーワード1広告グループ」のような極端に細かい構造は、成果件数を分散させます。 自動入札はグループやキャンペーン単位で溜まった成果件数を手がかりに配信を寄せます。1グループあたり月1件では、手がかりになりません(7章)。

構造 起きること
細かすぎる 成果が分散し、学習に必要な件数に届かない。管理の手間だけが増える
粗すぎる 広告文が全部のキーワードとずれる。悪いものだけを止められない

迷ったら粗いほうから始めてください。 後から分けるのは簡単ですが、分かれたものを統合すると履歴が途切れます。

マッチタイプ:どこで広く取り、どこで絞るか

検索広告のキーワードには、どこまで近い検索に出すかの指定があります。一般に、完全一致・フレーズ一致・部分一致と呼ばれる3種類です。定義も挙動も改定されるため、最新は公式ヘルプで確認してください(探す言葉:「キーワード マッチタイプ 定義」)。

考え方だけ書きます。

使い方 役割 必ずセットでやること
広く取る指定 まだ知らない語を見つけるための探索 除外の運用(6章)。広く取って放置は最も費用が漏れる
狭く取る指定 発注に近い語を確実に取りこぼさない 予算を優先的に回す

原則は「広く取る場所と、狭く取る場所を分ける」こと。同じグループに混ぜると、広い側が予算を吸って狭い側が出なくなります。 広く取るなら、除外を運用する覚悟とセット。 これができないなら、狭い指定だけで始めてください。取りこぼしはしますが、漏れ続けるよりずっと安全です。

自動化の進んだキャンペーン種別をいつ使うか

媒体は年々、「キーワードも配信先も媒体側が決める」タイプのキャンペーンを増やしています。名称と仕様は頻繁に変わるので書きませんが、使ってよい条件は変わりません。

条件 理由
計測が正しい(3章が○) 媒体は登録された成果を手がかりに配信する。間違った成果に最適化されると被害が大きい
成果件数が溜まっている 手がかりが足りないと、単価が高いまま安定しない
除外が効く状態になっている 自動化されるほど、出したくない先に出る量も増える
中身を見られる どの語・どの面に出たかを確認できないと、点検ができない

計測が×のアカウントで自動化の強い種別を使うのが、最も損が大きい組み合わせです。3章に戻ってください。

複雑になった既存アカウントを畳む手順

キャンペーンが20個以上あり、少額の予算が割れている——2章の工程3で最もよく出る状態です。全部消して作り直すのは、履歴を捨てることになるのでおすすめしません。 次の順で畳みます。

順 やること 判断基準
1 直近90日で費用も成果も0のものを止める 迷う余地がない。まず数を減らす
2 費用が許容CPAの3倍未満のものを「まだ判断できない」に分類 「試していない」と「効かない」は別。消さずに保留
3 残ったものを、4つの分ける理由のどれに当たるか書く どれにも当たらないものが統合候補
4 統合候補を、予算を分けたい単位でまとめ直す 止めたいものだけ止められるか、で確認
5 指名検索を独立させる 最後にやっても効果は変わらない。ただし必ずやる
6 変えた日を記録する 数字に段差が出たとき、原因を1日で特定できる

1回で全部やらないでください。 構造を変えると入札の学習がやり直しになります。2章の「直す順番」に従い、先に漏れ(6章)を止め、配分を直し、構造と入札は後です。

命名規則を決める

名前を見れば何のためのものか分かる状態にします。凝る必要はありません。区切り文字を決めて、左から大きい順に並べるだけです。

[媒体]_[目的]_[地域]_[対象]
例)検索_新規_横浜_外壁塗装
  検索_指名_全国_社名
  Meta_新規_全国_初回相談

命名規則の効用は2つ。①担当が変わっても読める。②レポートを並べたときに、種類ごとに並ぶ。 既存の名前を一括で変えるのは後回しで構いません。これから作るものから適用してください。

よくある間違いを5つ

「整理のために、サービスごとにキャンペーンを20個作った」 ——分割の理由が「整理」だと、成果件数が散って、どれも判断できる量に届きません。 管理の手間だけが増えます。 → 直し方:分ける理由を4つ(予算・地域・目的・指名)に照らす。どれにも当たらないものを、予算を分けたい単位でまとめ直す。

「指名検索は成果が良いので、そのまま一般語と一緒にしている」 ——アカウント全体の数字が実力より良く見えます。一般語が全部赤字でも、平均では合格に見える状態です。 → 直し方:指名を独立させ、指名を除いた数字で前月・前年と比べる(2章の工程3)。指名が減っただけでCPAが悪化する誤診も、これで消えます。

「1キーワード1広告グループが最適だと聞いた」 ——広告文を語ごとに合わせられる利点はありますが、成果が分散して自動入札が学習できません。 かつて有効だった型が、今も最適とは限りません。 → 直し方:「同じ広告文で違和感がないか」で切り直す。粗いほうから始め、必要になってから分ける。

「広く取る指定にしたら、クリックは増えたが問い合わせが増えない」 ——広く取ること自体は間違いではありません。除外を運用していないのが原因です。広く取る設定と除外の運用は必ずセットです。 → 直し方:6章の除外を先に組む。除外を運用できないなら、狭い指定だけに戻す。

「構造を組み替えたら、数字が悪くなった」 ——構造を変えると入札の学習がやり直しになります。悪くなったのではなく、一度リセットされただけのことがあります。 → 直し方:変えた日を記録し、判断に足る件数が溜まるまで待つ(1章の決めごとは30件)。そして1回に1つずつ変える。 同時に複数変えると、原因を特定できません(7章)。

この章の出口

手元に残っているべきものは4つです。

  1. キャンペーン一覧と、それぞれを分けた理由(4つのどれか。当たらないものは統合候補)
  2. 指名検索の単独の数字(費用・件数・CPA。一般語と分けたもの)
  3. 広く取る場所と狭く取る場所の切り分け(広く取る場所には、6章の除外が必ず付く)
  4. 命名規則と、構造を変えた日の記録

構造を組むと、出す先が広がります。 広がった分だけ、出したくない先にも出ます。 次の章は、その日のうちに費用が減る唯一の章です。組んだ直後に読んでください。

次の章へ:6章 広告の除外設定|キーワード・配信面・地域

この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)

点検リスト:アカウント構造(10項目)

# チェック項目 合格の状態
1 キャンペーンを分けた理由が言える 「予算を分けたいから」「地域が違うから」等、1つの理由で説明できる
2 止めたいものだけを止められる 1つ止めても、残したいものが巻き込まれない
3 広告グループ内のキーワードの意味が揃っている 同じ広告文で違和感がない範囲に収まっている
4 1広告グループあたりのキーワード数が管理可能 中身を全部読み上げられる程度
5 指名検索(社名・商品名)が独立している 指名の費用と件数を単独で取り出せる
6 マッチタイプの使い分けを決めている どの階層で広く取り、どこで絞るかが書いてある
7 1つのキャンペーンに成果が集中しすぎていない 学習に必要な件数が分散しきっていない
8 使っていない空のキャンペーン・広告グループが無い 過去の残骸を削除または明示的に保管した
9 命名規則がある 名前を見れば何のためのものか分かる
10 構造を変えた日を記録している 変更履歴と数字の段差を照合できる

合格ライン=10項目中7つ以上。ただし 2・5 は必須です。 2が×の構造は事故が起きます。悪いものを止めようとして、効いているものまで止まるからです。 5が×なら、数字が必ず実力より良く見えます。過大評価された数字は、増やす判断も止める判断も誤らせます。

読んでも決めきれないところは、一緒に決めます

30分の相談は無料です。2章の点検を当社が代わりに回すこともできます(単発可)。引き受けられる範囲は広告アカウント診断にまとめています。

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更新日 2018年10月20日