株式会社COTSUBU
不動産DX

不動産会社のExcel管理からの脱却方法|業務効率を劇的に改善する手順

宇田川 将也|7分
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不動産会社のExcel管理、限界を感じていませんか?

不動産会社の多くは、物件情報や顧客情報をExcelで管理しています。最初は手軽で便利ですが、社員が増え、物件数が増えてくると、さまざまな問題が表に出てきます。

「あのファイルどこだっけ?」「最新版はどれ?」「数式が壊れている」——こうした声が社内で上がり始めたら、Excel管理の限界が近いサインです。

当社代表は2014年からkintoneを使ってきました。2014〜2018年は投資用不動産販売会社のバックオフィス(経理・契約・督促)で、kintoneの社内アプリを作っていました。この記事では、不動産会社がExcelから移るときに何を先に移し、何を移さないかを中心に書きます。

Excel管理で起きる5つの典型的な問題

問題 具体例 影響
ファイルの散在 個人PCやUSBにバラバラに保存 情報共有ができない
バージョン管理の崩壊 「最終版_v3_修正済み(2).xlsx」 どれが正しいか分からない
同時編集の制限 誰かが開いていると編集できない 業務が止まる
数式・マクロの属人化 作った人しか直せない 退職リスク
データ量の限界 行が増えると動作が重くなる 検索・集計に時間がかかる

特に不動産業界では、物件情報の鮮度が大切です。空室・価格・申込の状況が古いまま営業すると、顧客の信頼を失いかねません。

まず判断する:移すか、Excelのままでよいか

全部を移す必要はありません。次の表で、ファイルごとに判断します。

条件 判断
2人以上が同じファイルを更新している 移す
同じ物件・顧客の情報が2つ以上のファイルにある 移す(どちらが正か決める)
期限(更新日・解約通知・引渡し)を人が覚えている 移す
1人だけが使う試算・シミュレーション Excelのままでよい
完了済みの古い案件の記録 Excelのままアーカイブ
月1回の集計用のシート 移した先の集計機能で作り直す

迷ったら「その行を、これから検索するか・数えるか」で決めます。 どちらもしないなら移しません。

Excel脱却の3つのステップ

ステップ1:現状の業務フローを棚卸しする

まずは、社内でExcelがどのように使われているかを書き出します。

  • どの部署が、何のExcelファイルを持っているか
  • そのファイルは誰が更新し、誰が閲覧しているか
  • 更新頻度はどのくらいか
  • ファイル間の転記(コピペ)は発生していないか

この棚卸しをせずにツールを導入すると、「結局Excelも併用している」という二重管理に陥ります。書き出し方は教科書 業務棚卸し 3章にあります。

ステップ2:優先度の高い業務から移行する

すべてを一度に移行しようとすると失敗します。以下の基準で優先順位をつけます。

  • 更新頻度が高いもの(物件情報、反響管理など)
  • 複数人で共有しているもの
  • ミスが起きた時の影響が大きいもの

不動産会社の場合、まず「物件管理」と「反響管理」から着手するのが基本です。

ステップ3:適切なツールを選定する

ツール種別 代表例 特徴 向いている会社
業界特化型の業務システム 不動産向けの業務システム各社 不動産業務の機能が揃っている 業務のやり方をシステムに合わせられる
ノーコードの業務アプリ kintone など 自社の業務に合わせて作れる 自社のやり方を残したい・業態が混ざっている
自社専用の開発 開発会社に依頼 完全オーダーメイド 独自の仕組みが事業の中心にある

料金は各社の公式サイトで確認してください(2026年9月確認)。kintoneの費用の考え方は教科書 kintone 2章にまとめています。

不動産のExcelを移すときの3つの分かれ目

移行の一般的な手順(掃除・CSV取り込み・並行運用)は教科書 kintone 11章に書いたので、ここでは不動産特有の分かれ目だけ挙げます。

分かれ目 Excelでよくある形 移すときの形
物件の単位 建物で1行、部屋は列や備考に 部屋で1件。建物名+部屋番号で二重登録を防ぐ
キー 物件名で探している 物件コードを移行時に振る(例:P-0001)
反響と顧客 反響の一覧に顧客情報が毎回書かれている 顧客と反響を分け、同じ人の2回目の反響を顧客に紐づける

当社の kintone 不動産見本(/kintone/for/fudosan)は、物件台帳・反響/顧客・内見予約・契約・賃貸管理(入居)・原状回復/修繕の6アプリで、この形にしています。物件名+部屋番号の二重登録防止、内見の時間重複の警告、契約番号の年度自動採番も入っています。

業態で何が変わるか

業態 最初に移すExcel 移すときの注意
売買仲介 物件台帳と反響・追客の一覧 売主・買主が同じ人のことがある。顧客を1か所にする
賃貸仲介 反響一覧と内見予約 内見の時間が重ならないように予約を台帳で持つ
賃貸管理 入居者・契約の台帳 更新日・解約通知の期限を計算で出す(人が覚えない)
買取再販 仕入れ物件の一覧と工事・原価の表 物件ごとに仕入れ〜販売までを1本で追えるようにする

Excel脱却で実際にどれくらい変わるのか

変わる量は会社ごとに違うので、移行前に自社の数字を取っておきます。

測るもの 移行前に記録すること
物件情報の更新 1日の更新にかかる時間、更新漏れの件数
反響の集計 月末の集計にかかる時間
情報の食い違い 「古い情報で案内した」「二重に連絡した」件数

2週間分あれば十分です。移行後に同じ記録を取り、比べます。

移行時の注意点

  • 全員の合意を得ずに進める: 現場の反発で定着しない
  • データ移行を甘く見る: Excelの表記ゆれ(建物名・部屋番号の書き方)が想像以上に多い
  • 研修を省く: 「使えばわかる」は通らない。操作の場を最低2回設ける
  • 旧Excelを残す: 「念のため」で残すと二重管理になる。並行運用の終了日を先に決め、終わったら読み取り専用にする

失敗例

従業員10名ほどの賃貸仲介・管理会社で、建物単位のExcelをそのままの形で移した場合に起きやすい失敗です。部屋ごとの空室状況は備考欄に書かれていたため、移行後も空室の一覧が出せず、担当者は結局Excelで空室表を作り続けました。

原因は、物件の単位を「部屋」に直さずに移したことです。移行の前に部屋で1件の形に直し、建物名+部屋番号で二重登録を防いでおけば、空室の一覧は絞り込みだけで出せました。

もう1つ多いのが、反響の一覧を顧客と分けずに移すケースです。同じお客様が別のポータルから2回問い合わせると、2人の顧客として登録され、担当者が別々に連絡してしまいます。移す前に、電話番号やメールアドレスで同じ人をまとめる作業を1回入れてください。

まとめ

  • ファイルごとに「移す/Excelのまま」を判断する。検索も集計もしないものは移さない
  • 物件管理と反響管理から始める
  • 不動産特有の分かれ目は、物件を部屋単位にする・物件コードを振る・顧客と反響を分ける
  • 業態ごとに最初に移すExcelが違う
  • 効果は移行前の記録と比べて、自社の数字で確かめる
  • 旧Excelは並行運用の終了日を決めて読み取り専用にする

kintoneでの構築はkintone導入支援で受けています(構築は最大1ヶ月0円)。


関連リンク

よくある質問

Excel管理はいつやめるべきですか

「あのファイルどこだっけ」「最新版はどれ」「数式が壊れている」といった声が社内で上がり始めたら、Excel管理の限界が近いサインです。判断の目安は、同じ物件・顧客の情報を2人以上が別々のファイルで更新しているかどうかです。不動産業界では物件情報の鮮度が大切で、古い情報で営業すると顧客の信頼を失いかねません。

どの業務からExcelを卒業すればいいですか

更新頻度が高いもの、複数人で共有しているもの、ミスが起きたときの影響が大きいものから移行します。不動産会社の場合、まず物件管理と反響管理から着手するのが基本です。すべてを一度に移行しようとすると失敗します。

Excelの次は何を使えばいいですか

選択肢は大きく3つで、業界特化型の業務システム、kintoneのようなノーコードの業務アプリ、自社専用の開発です。業界特化型は機能が揃っている代わりに自社のやり方を合わせる必要があり、ノーコードは自社の業務に合わせて作れる代わりに設計を自分たちで決める必要があります。料金は各社の公式サイトで確認してください。

Excel脱却でどれくらい効果がありますか

会社の規模と今のExcelの使い方で変わるので、一律の数字は出せません。移行前に、物件情報の更新にかかる時間、反響の集計にかかる時間、情報の食い違いで起きた手戻りの件数を2週間ほど記録してください。移行後に同じ記録を取れば、自社でどれだけ変わったかを説明できます。

移行でよくある失敗は何ですか

4つあります。全員の合意を得ずに進めて現場の反発で定着しないこと、Excelの表記ゆれを甘く見てデータ移行でつまずくこと、研修を省いて「使えばわかる」と考えること、そして「念のため」で旧Excelを残して二重管理になることです。並行運用の終了日を最初に決めておくのが最も効きます。

宇田川 将也/ 代表取締役

2024年に総務省の地域活性化起業人として島根県海士町に着任。役場に住み込んで業務改善に従事し、kintoneで電子決裁や定期健診管理を構築しました。

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