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不動産DX

不動産バックオフィスの業務効率化5選|事務作業を半分にする方法

宇田川 将也|7分
バックオフィス業務効率化不動産DX経理事務作業

バックオフィスの非効率が営業の足を引っ張っている

不動産会社の経営者は、営業活動の改善には熱心でも、バックオフィス業務の効率化は後回しにしがちです。しかし、事務スタッフが契約書の作成や入金の照合に追われていると、営業のサポートが手薄になり、結果的に営業にも影響します。

ここでは、不動産会社のバックオフィスで手を入れやすい5つの業務を紹介します。タイトルは「半分」としていますが、どれだけ減るかは業務の件数と今のやり方で決まります。着手前に今の時間を記録し、自社の数字で確かめてください。

当社代表は2014〜2018年、投資用不動産販売会社のバックオフィスで経理・契約・督促を担当し、kintoneで社内アプリを作っていました。以下は、経理・契約・入金といった事務の側から見た手の入れ方です。

着手する前に:今の時間を数える

5つのどれを選ぶ場合も、最初にやることは同じです。

順 やること 目安
1 対象の作業を書き出す(例:仲介手数料の入金確認) 1時間
2 1回あたりの時間と月の回数を2週間メモする 2週間
3 「月の回数 × 1回の時間」が大きい順に並べる 30分
4 上から1つ選び、導入後に同じメモを取る 1か月

「つらい作業」と「時間の大きい作業」は一致しないことが多いです。月末の大仕事より、毎日の小さな転記のほうが合計は大きくなりがちです。数え方の詳細は教科書 業務棚卸し 4章にあります。

効率化1:経理業務のクラウド化

現状の課題

  • 手書きの帳簿や紙の領収書を管理している
  • 月末の請求書作成にまとまった時間がかかる
  • 税理士とのやり取りが紙ベース
  • 仲介手数料の入金管理がExcel

解決策

クラウド会計ソフトを導入し、銀行明細の取り込みと仕訳の候補づくりを機械に任せます。

ツール 特徴
freee会計 銀行口座・カードの明細連携
マネーフォワード クラウド 会計・請求・経費などのシリーズ
弥生会計 オンライン 弥生シリーズからの移行

料金はプランと人数で変わります。最新は各社の公式サイトで確認してください(2026年9月確認)。選ぶ前に顧問税理士に「どのソフトなら共有して見られるか」を聞くのが先です。税務上の扱いは顧問税理士に確認します。

効率化2:契約書類の自動生成

現状の課題

  • 契約書のテンプレートに手入力している
  • 物件名や金額の転記ミスが発生する
  • 同じ情報を複数の書類に何度も入力している

解決策

物件情報や顧客情報から、契約書類の下書きを自動で作る仕組みにします。

  • kintoneの帳票出力プラグイン(PrintCreator等)
  • Excelのマクロによる自動生成
  • 不動産業務管理システムの帳票機能

効くのは「元の情報を1回だけ入力する」ことです。 帳票を作る前に、物件・顧客・契約の情報を台帳に揃えてください。当社の kintone 不動産見本(/kintone/for/fudosan)では、契約番号を年度ごとに自動採番(K-FY2026-0001 の形)しています。書式の中身(重要事項説明書・契約書に何を書くか)は、宅建士と所属団体の書式で確認し、仕組みの側で変えないでください。

効率化3:ポータルサイトへの物件登録

現状の課題

  • 複数のポータルに同じ情報を手入力している
  • 物件写真のアップロードに時間がかかる
  • 価格変更時に全ポータルを個別に更新する必要がある

解決策

方法 内容 向いている会社
一括入稿できる業務システム 1回の入力で複数ポータルへ 掲載物件が多く、入れ替えが頻繁
入力代行サービス 入力作業を外に出す 物件数の波が大きい
自社で手入力のまま 手順とチェック表だけ整える 掲載数が少ない

料金や連携できるポータルは各社で確認してください。どの方法でも、物件情報の正の台帳を社内に1つにしておかないと、価格変更の反映漏れが起きます。表示のルール(おとり広告にならない掲載の管理など)は、不動産公正取引協議会連合会の資料と所属団体で確認してください。

効率化4:入金管理の自動化

現状の課題

  • 仲介手数料や家賃の入金確認を通帳記帳で行っている
  • どの入金がどの取引に対応するか照合に時間がかかる
  • 滞納の発見が遅れる

解決策

銀行口座とクラウド会計を連携し、入金データを自動で取り込みます。

  • インターネットバンキングの明細を自動取得
  • 振込名義で入金を候補に当てる
  • 当たらなかった入金だけを人が見る

全件を人が照合する形から、「当たらなかったものだけ人が見る」形に変えるのが要点です。振込名義が契約者名と違う(法人名・家族名義)ケースは必ず残るので、名義の対応表を台帳に持たせます。督促の手順や文面は、法的な扱いを含めて顧問の弁護士・所属団体で確認してください。

効率化5:社内承認フローのデジタル化

現状の課題

  • 稟議書を紙で回している
  • 上長が不在だと承認が止まる
  • 過去の承認履歴を探すのに時間がかかる

解決策

ツールの型 例 向いている場合
ワークフロー専用 ジョブカンワークフロー 承認だけをデジタルにしたい
業務アプリ型 kintone 承認を案件・契約の記録とつなげたい
グループウェア一体型 サイボウズ Office 社内連絡もまとめたい

料金は各社の公式サイトで確認してください。導入の前に、直近1年でその承認が否決されたことがあるかを確かめます。一度も否決がない承認は、実質は通知です。通知で足りるなら承認を外すほうが早くなります。

業態で何が変わるか

業態 時間を食いやすい事務 先に手をつける所
売買仲介 契約書類の作成、手数料の入金確認 効率化2(契約書類)
賃貸仲介 ポータル登録と価格・空室の更新 効率化3(ポータル)
賃貸管理 家賃の入金照合、更新・解約の期限管理、オーナー報告 効率化4(入金)と期限の台帳化
買取再販・投資用販売 仕入れ・工事・販売の原価の集計、ローン・決済の段取り 効率化1(経理)で物件ごとの原価を追えるように

賃貸管理では、入金と同じくらい期限が事務を重くします。当社の見本は、更新日までの残日数と、退去日から解約通知の期限(30日前)を台帳に出しています。

効率化の優先順位の付け方

5つの施策を同時に進めるのは現実的ではありません。以下の基準で優先順位を付けます。

  1. 月の回数 × 1回の時間が大きいものから着手
  2. 導入コストが低いものから着手
  3. 現場の不満が大きいものから着手

一般的には「経理のクラウド化」と「承認フローのデジタル化」が導入しやすい施策です。ただし、同じ情報を複数の場所に入力している状態を残したままツールを足すと、入力先が増えるだけになります。

失敗例

従業員10名ほどの賃貸管理会社で、クラウド会計・ワークフロー・ポータル一括入稿を同じ月に入れた場合に起きやすい失敗です。物件と契約者の情報が3つのツールに別々に入り、家賃改定のたびにどれを直したか分からなくなりました。事務の時間はかえって増え、半年後に一部を元のExcelに戻しました。

原因は、正の台帳を決めずにツールを並べたことです。先に「物件・契約者の情報はここが正」と1つ決め、ほかのツールはそこから読む形にしてから、1つずつ入れれば避けられました。

まとめ

  • 着手前に「月の回数 × 1回の時間」を2週間記録する。減った量は自社の数字で確かめる
  • 経理はクラウド会計で明細を取り込み、税務の扱いは顧問税理士に確認
  • 契約書類は元の情報を1回だけ入力する形に。書式の中身は宅建士・所属団体で確認
  • 入金は「当たらなかったものだけ人が見る」形に
  • 業態ごとに先に手をつける所が違う。ツールを並べる前に正の台帳を1つ決める

事務の台帳を kintone で作るご相談はkintone導入支援で受けています(構築は最大1ヶ月0円)。


関連リンク

よくある質問

バックオフィスの効率化でどれくらい時間が減りますか

業務の件数と今のやり方で大きく変わるので、一律の数字は出せません。着手する前に、対象の作業に1回何分かかり、月に何回あるかを2週間ほど記録してください。導入後に同じ記録を取れば、自社でどれだけ減ったかを数字で説明できます。

クラウド会計ソフトの費用はいくらですか

freee会計・マネーフォワード クラウド・弥生会計 オンラインなどがあり、料金はプランと人数で変わり、改定もされます。最新は各社の公式サイトで確認してください。選ぶときは料金より、使っている銀行口座と連携できるか、顧問税理士が使い慣れているかを先に確かめます。

ポータルサイトへの物件登録を効率化する方法はありますか

複数ポータルへ一括で入稿できる業務システムを使うか、入力代行に出すかのどちらかです。料金や連携できるポータルは各社で確認してください。どちらを選ぶ場合も、物件情報の元(正の台帳)を社内に1つ決めておかないと、価格変更の反映漏れが起きます。

承認フローのデジタル化にはどのツールがいいですか

承認だけならワークフロー専用のツール、承認した内容を案件や契約の記録とつなげたいならkintoneのような業務アプリ、社内の連絡もまとめたいならグループウェア一体型が向いています。料金は各社の公式サイトで確認してください。スマホから承認できれば、上長が外出中でも止まりません。

5つの施策はどれから手をつけるべきですか

一般的には経理のクラウド化と承認フローのデジタル化が導入しやすい施策です。5つを同時に進めるのは現実的ではないので、月の回数×1回の時間が大きいもの、導入コストが低いもの、現場の不満が大きいものという基準で優先順位を付けてください。

宇田川 将也/ 代表取締役

2024年に総務省の地域活性化起業人として島根県海士町に着任。役場に住み込んで業務改善に従事し、kintoneで電子決裁や定期健診管理を構築しました。

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