株式会社COTSUBU
AI活用

AI活用のインハウス化支援とは?自走できる組織の作り方

宇田川 将也|8分
AIインハウス化組織開発人材育成内製化

AI活用のインハウス化支援は、外部の会社が一定期間社内に入り、支援が終わったあとも社内だけで回る状態を作るサービスです。道具を導入して終わりではなく、使い方と直し方を社内に残すところまでが範囲です。

何を自社に持てば内製化できたと言えるか、いま自社がどの段階にいるかは、教科書の12章にまとめました(→ 自社に持つ3つと4段階の自己診断は教科書 12章 AIの内製化)。この記事では、実際に支援を受けるときの進め方・支援会社の選び方・契約の終え方という、個別の疑問に答えます。

支援の形は3つある

「支援」と一口に言っても、社内に何が残るかは形によって違います。

形 支援会社がやること 社内がやること 向く会社
相談だけ 定例で質問に答える、方針を一緒に決める 手を動かすのは全部社内 使う人がすでにいて、判断に迷っている
伴走 定例の進行、指示文の型づくり、つまずいた箇所の解説 業務での実行と、指示文の手直し 担当者は決まったが、進め方が分からない
実作業を含む伴走 上に加えて、連携や自動化の作り込み 決めごとと確認、作ったものの運用 社内に作れる人がいない

実作業を含む伴走を選ぶときほど、終わり方を先に決めてください。 作る部分を頼むのは問題ありません。困るのは、作ったものを社内で直せないまま契約が終わることです。

支援を受けるときの進め方(最初の3か月の例)

時期 やること 月末に社内に残っているもの
1か月目 対象業務を1つに決める。着手前の所要時間を記録する。任せる範囲の表を作る 対象業務名、着手前の数字、線引きの表
2か月目 支援会社と一緒に指示文を作り、ファイルにして共有フォルダに置く。2回目以降の手直しは社内の担当者がやる 指示文のファイル、手直しの履歴
3か月目 2人目の担当者が、支援会社も1人目もいない状態で1回やってみる 2人目がつまずいた箇所の記録、更新した手順書

どの月も、「月末に社内に何が残っているか」で進み具合を判断します。定例で話した量や、支援会社が作ったものの量では測りません。

業務の選び方と、着手前に測るものは教科書 2章 生成AIの業務活用|どの作業から始めるか、2人目の作り方は教科書 9章 AI活用を社内に残すにあります。

定例は「宿題の切り分け」で終える

伴走の定例でいちばん起きやすいのは、話して終わることです。毎回、終わる前にどちらが・何を・いつまでにを分けます。当社は定例の文字起こしをAIに渡し、宿題の切り分けまでを手順書(スキル)にして毎回同じ形で出しています。

以下は定例の文字起こしです。宿題を次の2つに分けて表にしてください。
- 社内でやること(担当者名・内容・期限)
- 支援会社がやること(担当者名・内容・期限)
発言で担当者や期限が明言されていないものは「担当未定」「期限未定」と書き、
推測で埋めないでください。最後に、次回の定例で確認することを3つ挙げてください。

社内の宿題が毎回ゼロなら、それは伴走ではなく外注です。 社内に何も残っていない合図なので、進め方を見直してください。

支援会社の選び方:聞く質問と、答えの見分け方

提案書の出来より、次の質問への答え方で判断します。

聞くこと 安心できる答え 気をつけたい答え
作った指示文や設定を、自社で直すにはどうすればいいか 直し方を教える時間が契約に入っている。ファイルの置き場所が決まっている 「変更はご依頼いただければ対応します」だけ
成果物・アカウントは誰の名義になるか 自社の名義、自社のフォルダやリポジトリに置く 支援会社のアカウントの中で動かす
使う道具はどう選ぶか 業務と確認のしやすさで選ぶ。乗り換えられる形にする 特定の製品を前提にしている
うまくいかなかったらどうするか やめる条件を最初に決める 「必ず効果が出ます」
何をもって支援を終えるか 社内でできるようになったことで判断する 期間だけが書いてある
効果の数字はどこから出すか 着手前後に自社で測った数字を使う 出典のない削減率を示す

最後の行は特に見てください。「◯%削減」のような数字を、自社の業務を測る前から示す会社は、測る手順を持っていない可能性があります。

契約書に入れておく項目

契約の後から頼むと、追加の見積になりやすい項目です。

項目 書いておく中身
成果物の範囲 指示文・手順書・設定・コードの一式。自社が受け取るものとして列挙する
置き場所と名義 自社の共有フォルダ・リポジトリ・アカウントに置く
直し方の引き継ぎ 社内の担当者が1回自分で直すところまでを支援に含める
秘密情報の扱い APIトークン等は自社が発行し、終了時に無効化する
終了条件 期間ではなく、社内でできるようになったことで書く
範囲と金額 月に何をどこまでやるか。範囲の外は別見積と明記する

法的な有効性や、成果物の権利の書き方は、顧問の弁護士に「この条文で成果物の権利と利用範囲はどうなるか」を確認してください。

契約の終え方

支援の最終月は、新しいことを始めず、次の表を1行ずつ確認します。

確認すること 確かめ方
指示文・手順書が自社の置き場所にある 社内の担当者が自分で開ける
自社で1回直した履歴がある 支援会社の手を借りずに直した記録がある
2人目が1人で回せた 支援会社も1人目もいない日に回った
支援会社に発行したアカウント・トークンを止めた 無効化した日と、した人の名前を記録する
自動で動いている処理と止め方が分かる 一覧と、止める手順がある
困ったときの相談先 スポットで聞ける先を決めてある

4行目を落とさないでください。終了後も外部から入れるトークンが残っている状態は、担当者が変わると誰も気づけません。引き継ぎ物の一覧の作り方は教科書 9章にあります。

当社でのやり方

当社は、開発・記事や教科書の執筆・社内業務の自動化を、Claude Code で日常的に回しています。支援先に渡す形も、自社で使っている形と同じです。

  • 1案件=1フォルダ。 直下には、概要とルールを書いた CLAUDE.md と、接続先を書いた _env.md だけを置きます。トークンなどの実値は _secrets/ に分け、CLAUDE.md や git には入れません。記録は日付で始まるファイル名で docs/ に置きます。AIは作業のたびに CLAUDE.md を読んでから動きます
  • 失敗をルールにして足す。 CLAUDE.md の先頭に「返答は必ず日本語で書く」とあるのは、長い作業のあとのまとめが英語に切り替わる事故が繰り返し起きたため、あとから足したものです。うまくいかなかったことを、指示書の1行にして残します
  • 繰り返す仕事は手順書(スキル)にする。 定例の議事録から宿題を切り分ける、広告のレポートを取る、といった仕事を手順書にしてAIに読ませています。手順書はファイルなので、社内の人が読んで直せます
  • 本番で試さない。 kintone の開発・検証は開発者向けの検証環境で行い、AIが書いたコードは人が差分を見てから反映します
  • 道具は用途で使い分ける。 受託では OpenAI の API を使ったアプリも作っています。特定の道具を前提にしないので、乗り換えられる形で残せます

よくある失敗

失敗 起きること 対策
支援会社のアカウントの中で作る 終了と同時に使えなくなる 最初から自社の名義で作る
定例で話すだけ 社内に何も残らない 毎回、社内の宿題を1つ以上決める
担当者を1人だけにする その人の異動で止まる 3か月目までに2人目を決める
終了条件が期間だけ 延長か終了かを判断できない 社内でできるようになったことで書く
全員向けの研修から始める 使う業務が決まらず、翌週には忘れる 対象業務を決めてから、その担当者に教える

まとめ

  • 支援の形は「相談だけ・伴走・実作業を含む伴走」の3つ。作り込みを頼むほど、終わり方を先に決める
  • 進み具合は「月末に社内に何が残っているか」で測る
  • 定例は、どちらが・何を・いつまでにの切り分けで終える。社内の宿題がゼロなら外注になっている
  • 支援会社には「自社で直す方法」「成果物の名義」「終わるときに渡すもの」を聞く
  • 最終月は、置き場所・自社で直した履歴・2人目・トークンの停止を確認する

当社のインハウス化支援は、伴走 月10万円〜、実作業を含む伴走 月30万円〜、環境整備15万円〜です(税別)。社内勉強会はClaude Code導入支援で1回10万円〜承っています。

→ AI活用支援 → 教科書 12章 AIの内製化 → CLAUDE.mdとは?AIに仕事を覚えさせる方法 → AI導入の費用比較|ツール別の料金とROI

よくある質問

インハウス化支援は、どのくらいの期間お願いするものですか

期間より先に、終わる条件を決めてください。「社内の担当者が指示文を自分で直せた」「2人目が1人で業務を回せた」のように、確かめられる条件にしておくと、延長するかどうかをその場で判断できます。条件のない契約は、毎月なんとなく続きます。

支援会社を選ぶとき、何を聞けばいいですか

「作ったものを自社で直すにはどうすればいいか」「成果物とアカウントは誰の名義になるか」「契約を終えるとき何を渡してもらえるか」の3つは必ず聞いてください。この3つに具体的に答えられない会社に頼むと、支援が終わった時点で止まります。

社内にITに詳しい人がいなくても、インハウス化はできますか

できます。自社に持つ必要があるのは、任せる範囲の決めごとと、指示文を直せることと、使える人が複数いることで、プログラムを書ける人ではありません。作り込みが必要な部分は、範囲と金額を決めて外に頼み続けて構いません。

宇田川 将也/ 代表取締役

2024年に総務省の地域活性化起業人として島根県海士町に着任。役場に住み込んで業務改善に従事し、kintoneで電子決裁や定期健診管理を構築しました。

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