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地方DX

自治体のペーパーレス化|紙・Excel業務をデジタル化する具体的な方法

宇田川 将也|6
ペーパーレス自治体DXkintone業務効率化

自治体の「紙文化」はなぜ根強いのか

多くの自治体では、いまだに紙の申請書、紙の稟議、紙の回覧が日常的に使われています。Excelで管理しているデータも「印刷して決裁を取る」という運用が残っている庁舎も少なくありません。

紙文化が根強い背景には、以下の理由があります。

  • 法制度の制約 — 一部の手続きで紙や押印が法的に求められてきた
  • 慣習と安心感 — 「紙で残しておけば安心」という心理的な慣れ
  • デジタルツールの知識不足 — 何を使えばいいかわからない
  • 予算の制約 — 大規模なシステム導入に予算を確保しにくい

しかし、デジタル改革関連法の施行やマイナンバーカードの普及により、自治体のペーパーレス化は「やるかやらないか」ではなく「いつやるか」の問題になっています。

ペーパーレス化で得られる具体的な効果

自治体がペーパーレス化を進めることで、以下の効果が期待できます。

コスト削減

  • 印刷費・用紙代の削減 — 年間で数百万円規模のコスト削減事例も
  • 保管スペースの削減 — 書庫の維持管理コストが不要に
  • 郵送費の削減 — 庁内外の書類やりとりを電子化

業務時間の短縮

  • 検索時間の短縮 — 紙の書類を探す時間がゼロに
  • 承認プロセスの高速化 — 電子決裁で回覧が即座に完了
  • データ入力の二重作業を解消 — 紙に書いてからExcelに転記する手間を排除

住民サービスの向上

  • 窓口の待ち時間短縮 — オンライン申請で来庁不要に
  • 24時間対応 — デジタル化された手続きは時間を問わず受付可能

自治体のペーパーレス化を進める5つのステップ

ステップ1:業務棚卸しで「紙が必要な業務」を可視化する

まずは庁内のすべての業務を洗い出し、どの業務で紙が使われているかを一覧化します。

棚卸しの際に確認すべきポイントは以下です。

  • その紙は法的に必要か?(法改正で不要になっていないか確認)
  • その紙は誰が見ているか?(実は誰も見ていない紙が大量にある)
  • その紙は他のデータと連動しているか?

ステップ2:デジタル化の優先順位をつける

すべてを一度にデジタル化するのは現実的ではありません。以下の基準で優先順位をつけましょう。

優先度 条件
頻度が高い × 関係者が多い × デジタル化が容易
頻度は中程度だが改善効果が大きい
法的制約がある、または紙のままで問題がない

毎日使う帳票」「多くの課にまたがる業務」から着手するのが効果的です。

ステップ3:適切なツールを選定する

自治体のペーパーレス化に使えるツールの例を紹介します。

ノーコードツール(プログラミング不要)

  • kintone — 業務アプリを自分で作成可能。自治体での導入実績が豊富
  • Microsoft Power Platform — 既にMicrosoft 365を導入済みの自治体と相性が良い
  • Google Workspace — フォームやスプレッドシートの連携で簡易なデジタル化が可能

電子決裁・ワークフロー

  • 電子決裁システムの導入で、紙の回覧・押印を電子化

文書管理システム

  • 既存の紙文書をスキャンしてデジタルアーカイブ化

ステップ4:パイロット部署で試験導入する

全庁一斉ではなく、1つの課で3ヶ月程度の試験運用を行いましょう。

パイロット導入のポイントは以下です。

  • デジタル化に前向きな課を選ぶ(無理に抵抗感の強い部署から始めない)
  • 成功指標を決めておく(処理時間の短縮、紙の使用量削減など)
  • 職員からのフィードバックを丁寧に拾う
  • 問題が出たらすぐに改善する

ステップ5:成功体験を全庁に横展開する

パイロット部署での成果を数字で可視化し、全庁に共有します。

「あの課がやって上手くいった」という実績は、他の課の職員にとって最も説得力のある動機づけになります。成功事例の横展開は、トップダウンの指示より効果的です。

職員の抵抗を乗り越えるコツ

ペーパーレス化で最も大きなハードルは、技術ではなく人の心理です。

「面倒が減る」を実感してもらう

デジタル化のメリットを抽象的に説明しても響きません。「この作業が5分で終わるようになる」というように、具体的なBefore/Afterを見せることが重要です。

並行運用期間を設ける

いきなり紙を廃止するのではなく、一定期間は紙とデジタルを並行運用します。職員が新しい仕組みに慣れてから、段階的に紙を廃止していくアプローチが受け入れられやすくなります。

「詳しい人」を各課に配置する

IT部門だけに頼るのではなく、各課に1人、デジタルツールに詳しい職員(DXリーダー)を配置します。困ったときに気軽に聞ける人が近くにいることで、定着率が大幅に向上します。

kintoneを活用したペーパーレス化の具体例

多くの自治体で導入が進んでいるkintoneを使った具体例を紹介します。

備品管理のデジタル化

  • 紙台帳で管理していた備品情報をkintoneアプリに移行
  • 在庫数がリアルタイムで確認でき、発注のタイミングが一目瞭然に

出張申請のオンライン化

  • 紙の申請書・承認印をkintoneのワークフローに置き換え
  • スマートフォンからも申請・承認が可能に

住民からの問い合わせ管理

  • 電話メモを紙で回していた運用を、kintoneで一元管理
  • 対応状況が全員に見える化され、対応漏れがゼロに

まとめ

自治体のペーパーレス化は、業務棚卸し→優先順位づけ→ツール選定→パイロット導入→横展開というステップで着実に進められます。全庁一斉に変えようとせず、小さな成功体験を積み重ねることが成功の鍵です。

そして最も重要なのは、職員が「自分でもできる」と感じられるように丁寧にサポートすることです。

株式会社COTSUBUでは、自治体のペーパーレス化支援として、業務の棚卸しからkintone等のツール導入、職員研修まで一貫して対応しています。「紙の山をどこから崩せばいいかわからない」という段階からお手伝いできますので、お気軽にご相談ください。

現場での実例

島根県海士町では、紙の回覧で回っていた決裁をkintoneのプロセス管理に載せました。どこで止まっているかが一覧で見え、出張中でも決裁が進むようになっています。押印の扱いは、決裁の記録がシステム上に残ることをもって代えるという運用を内部規程で定めました。


関連リンク

宇田川 将也/ 代表取締役

2024年に総務省の地域活性化起業人として島根県海士町に着任。役場に住み込んで業務改善に従事し、kintoneで電子決裁や定期健診管理を構築しました。

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