株式会社COTSUBU

CHAPTER 07

LINEのチャット・自動応答の使い分け

この章で分かること

  • チャットを開いてよいアカウントと、開かないほうがよいアカウントの見分け方
  • 自動で返す範囲/人が出る範囲の線の引き方と、営業時間外の扱い
  • チャットを開くと増える工数の見積もり方と、8項目の点検リスト
この章の目次(12)
  1. 1まず「開かない」という選択肢がある
  2. 2自動と人の境目は「在庫・金額・約束」で引く
  3. 3応答の設定は3つ。呼び名ではなく役割で覚える
  4. 4営業時間外に返すのは「答え」ではなく「いつ返すか」
  5. 5当番の決め方:3つだけ書く
  6. 6未返信を見つける仕組みが、この章の必須項目
  7. 7対応中の人を、配信の除外に入れる
  8. 8履歴は「トークの中」に置いたままにしない
  9. 9個人情報をトークで受け取る範囲を決める
  10. 10チャットを開くと、何がどれだけ増えるか
  11. 11よくある誤解を3つだけ
  12. 12この章の出口

チャットを開くというのは、機能を1つオンにすることではありません。「返す人」を雇うのと同じ決定です。 LINEは相手にとって家族や友人と同じ場所なので、送った側は数分から数時間で返事が来ると思っています。その期待に応える当番が決まっていないなら、開かないほうが印象は良くなります。 この章は、自動と人の境目を1本引き、対応時間と当番と未返信の見つけ方を決め、チャットを開くと何時間増えるかを見積もってからオンにするための章です。

この章で分かること

  • チャットを開いてよいアカウントと、開かないほうがよいアカウントの見分け方
  • 自動で返す範囲/人が出る範囲の線の引き方と、営業時間外の扱い
  • チャットを開くと増える工数の見積もり方と、8項目の点検リスト

まず「開かない」という選択肢がある

LINE公式アカウントには1対1のチャットがありますが、必ず使わなければいけないものではありません。 配信だけで運用し、問い合わせは電話・メール・フォームで受ける、という設計は十分に成立します。

判断はこの3つで足ります。

問い はい いいえ
出口(予約・申込)の手前で、人が答えないと進めない質問があるか チャットを検討する 開かない。自動応答とフォームで足りる
営業時間内に、30分以内に気づける人がいるか 開いてよい 開かない。または受付時間を絞る
やり取りの内容を業務側に残す手段があるか 開いてよい 先に残す手段を決めてから開く

1つ目が「いいえ」なら、チャットは開かないほうが良いです。 答える用がないのに窓口だけ開くと、来るのは「今やってますか」「これいくらですか」のような、自動応答か掲載で解決すべき質問だけになります。それでも人が読んで返す時間はかかります。

自動と人の境目は「在庫・金額・約束」で引く

境目を「簡単な質問は自動、難しい質問は人」と決めると、現場で判定できません。判定できる基準は、答えが変わるかどうかです。

自動で返してよい 人が出る
営業時間・定休日・場所・駐車場 空き状況・在庫・残数
予約の方法・持ち物・所要時間 金額の見積もり・値引きの可否
よくある質問の答え(掲載済みのもの) 「できますか」の判断(個別の条件が絡むもの)
予約ページ・申込フォームへの案内 クレーム・トラブル
受付時間外であることの案内 個人の契約・履歴に関すること

左側はいつ誰が聞いても答えが同じもの、右側は今の状況か、その人の事情で変わるものです。この線なら、新しい質問が来たときも、その場でどちらか判定できます。

よくある質問は、上位5件だけ自動化する

最初から20件を自動応答にすると、作るのに時間がかかるうえ、多くは一度も使われません。直近1ヶ月に実際に来た質問を数え、多い順に5件を自動化してください。5件を超えて必要になったら、そのとき足します。

質問が数えられない(チャットをまだ開いていない)場合は、電話で最も多い質問の上位5件を使います。聞かれる内容は経路が変わってもほぼ同じです。

応答の設定は3つ。呼び名ではなく役割で覚える

LINE公式アカウントの管理画面には、自動で返すための設定と、人が返すためのチャット画面があり、時間帯によって切り替える設定もあります。呼び名と設定場所は変わることがあるので、LINEヤフーのヘルプで現在の名称を確認してください。役割で覚えると迷いません。

役割 何をするもの 決めること
自動で返す 特定の言葉や、いつでも同じ答えを返す 上位5件の質問と、その文面
人が返す 担当者が個別に返信する 当番・受付時間・初回返信の目標時間
時間帯で切り替える 受付時間内と時間外で動きを変える 受付時間と、時間外の文面

Lステップ・エルメを併用している場合は、組み合わせによって自動応答の動き方が変わることがあります。 設定を変えたら、必ず自分のスマホから友だち追加して、受付時間内と時間外の両方でテストしてください。管理画面の表示ではなく、実機に届いたものが正解です。

営業時間外に返すのは「答え」ではなく「いつ返すか」

時間外の文面で最もやってはいけないのは、「後ほどご連絡いたします」だけで終えることです。いつ返ってくるか分からない状態は、待つ側にとって最も負担が大きいからです。

時間外の文面に入れるものは3つです。

  1. 受付時間(「平日10:00〜18:00」のように具体的に)
  2. 次に返信する時刻(「翌営業日の午前中に返信します」)
  3. 急ぐ場合の別の手段(電話番号、または予約ページ)

3つ目があると、急いでいる人はそちらに移動します。移動してもらえれば、待たせた不満は発生しません。

当番の決め方:3つだけ書く

複数人で返す場合、決めるのはシフト表ではありません。次の3つです。

決めること 書き方の例
一次返信の担当(時間帯ごと) 午前=Aさん/午後=Bさん。不在日は前日までに交代
引き継ぐ相手(自分で答えられないとき) 金額はCさん、技術的な内容はDさん
返さない判断をする人 営業の勧誘・無関係な連絡は、返さずに閉じてよい。判断はBさん

3つ目を決めていないと、対応しなくてよいものにまで時間を使います。

一次返信の目標時間

以下は出典のある基準ではなく、当社が運用で使っている決めごとです。

受付時間内は4時間以内に一次返信。4時間で答えが出せないものは、「確認しています。◯日の◯時までに返信します」だけを先に送る。

理由は、相手が困るのは答えが遅いことではなく、届いたかどうか分からないことだからです。答えの前に受領だけ返すと、催促と、同じ内容の二重の問い合わせが減ります。自社で3ヶ月分の記録が取れたら、実際の返信時間に合わせて自社の値に置き換えてください。

未返信を見つける仕組みが、この章の必須項目

チャットで最も多い事故は、返し忘れです。 悪意も怠慢もなく起きます。既読の画面を開いた時点で「対応した」ように見え、そのまま他の仕事に移るからです。

止めるには、次のどれか1つを必ず入れてください。

方法 向いている規模
未対応のチャットに印(タグ・ラベル)を付け、閉じるときに外す 全規模。最初はこれでよい
1日の終わりに、未対応の一覧を担当が目視で確認する 1日の件数が10件以下
ツール側の通知・担当者割り当て機能を使う 件数が増えてきたとき(機能の有無は提供元の機能ページで確認)

24時間を超えた未対応が、誰かの目に必ず入る状態であれば方法は何でも構いません。これが×のあいだは、チャットを開いていること自体が危険です。

対応中の人を、配信の除外に入れる

2章で作った除外リストの3つ目がここです。問い合わせの対応が終わっていない人に、販促の配信を送らない。

クレームの対応中に「新商品のご案内」が届くと、文面がどれだけ丁寧でも関係がありません。これは文章の問題ではなく設計の問題で、除外の条件を1つ入れるだけで消えます。

対応中を示すタグ(状態_対応中 など)を作り、チャットを開いたら付け、閉じたら外す。3章のタグ設計の中で、これだけは手作業でも構いません。付け外しの回数が少なく、忘れても未返信の確認で拾えるためです。

履歴は「トークの中」に置いたままにしない

トーク画面は、検索も集計もできません。担当が変わると、誰が何を約束したのかが分からなくなります。

業務側に残すものは、全文ではなく3つで足ります。

残すもの 例
いつ、誰から、何の用件だったか 2026-09-20/Aさん/見積もりの依頼
こちらが何を約束したか 9/22までに見積もりを送る
結果 9/22送付・9/25受注

顧客管理(kintone等)に1行入れるだけです。自動で入れる方法は10章で扱いますが、最初は手作業でよいので、入れる場所と担当を先に決めてください。場所が決まっていない状態で自動化だけ考えると、いつまでも始まりません。

個人情報をトークで受け取る範囲を決める

トークは会話の場であって、申込書ではありません。受け取ってよいものと、よくないものを先に決めてください。

トークで受け取ってよい トークで受け取らない
希望日時・人数・おおまかな要望 クレジットカード番号・口座番号
「予約したい」という意思表示 健康・診療に関する詳細な内容
氏名と連絡先(用途を先に示した場合) 本人確認書類の画像
商品の写真(相談のため) マイナンバー

右側を受け取ってしまうと、トーク履歴そのものが管理すべき情報になります。削除の手順も保存期間も決まっていない場所に置かれることになるので、受け取らないのが最も安全です。右側が必要な申込は、フォーム(8章)かLIFF(9章)で受けます。

「何に使うか」を先に示してから受け取る、という原則は2章と同じです。

チャットを開くと、何がどれだけ増えるか

機能をオンにするのは1分ですが、増えるのは時間です。開く前に見積もってください。

増えるもの 見積もり方
返信そのものの時間 1件あたりの所要時間 × 月の件数。件数が未知なら、現在の電話問い合わせの件数を出発点にする
待たせないための待機 受付時間 × 営業日数。実際に返信していなくても、気にしている時間は発生する
引き継ぎ・確認 自分で答えられない質問の割合(開始後1ヶ月で測る)
業務側への記録 1件あたり1分 × 件数
自動応答の手入れ 月1回、来た質問を見て上位5件を入れ替える

件数は、開く前には分かりません。だから先に上限を決めます。

1日の件数が◯件を超えたら、受付時間を短くするか、自動応答を増やすか、フォームに寄せる。(◯は自社で決める。1件15分として、担当が1日に使える時間から逆算する)

上限を決めていないと、増えた分だけ人の時間が溶けます。チャットは、増えても請求が来ないので気づきません。だから先に決めるのです。

よくある誤解を3つだけ

「チャットを開けば親身な対応ができて、ファンが増える」 ——増えるのは、まず返信の仕事です。親身さが伝わるのは、返信が速いときだけで、遅い返信は開いていないより悪い印象になります。窓口を開けるかどうかは、やさしさではなく当番が組めるかで決めてください。

「AIや自動応答に任せれば、人は要らない」 ——自動で答えられるのは、答えが変わらないものだけです。空き状況・金額・「できますか」の判断は、その時点の状況とその人の事情で変わるので、自動では返せません(LIFFで社内の情報を見せる方法が9章にありますが、それも答えが取りに行ける形で存在している場合だけです)。自動応答は人を減らす道具ではなく、人が出る回数を減らす道具です。

「とりあえず開いておいて、来たら考える」 ——最も多い失敗です。来てから考えると、当番も除外も記録も決まっていない状態で運用が始まり、返し忘れと配信事故が同時に起きます。開くのは、点検リストの1と5が○になってからです。

この章の出口

この章を終えたとき、手元に残っているべきものは次の3つです。

  1. チャットを開く/開かないの判断と、開くなら受付時間と一次返信の目標時間が数字で書いてある
  2. 点検リスト8項目のうち、必須の1・5が○(全体で6つ以上)
  3. 1ヶ月に増える工数の見積もりと、件数の上限(超えたら何をするかまで書いてある)

ここまでで、配信・メニュー・チャットという「LINEの標準の道具」は一通り決まりました。 残っているのは、予約と申込をどう受けるかです。ここから先は、標準の機能でどこまでできるかを見極める話になります。作らなくてよいものを作らないために、次の章を先に通してください。

次の章へ:8章 LINEで予約・申込を受ける|標準機能の限界

この章の点検リストを開く(自社の状態を○×で判定する用)

点検リスト:チャット運用の点検(8項目)

チャットを開く前、または開いているアカウントの見直しのときに付けてください。

# チェック項目 ○の条件(合格の状態)
1 自動で返す範囲と、人が出る範囲が書き分けてある 一覧があり、境目が1行で言える(「答えが変わらないものは自動」等)
2 よくある質問の上位5件に自動で答えられる 5件の一覧があり、応答が設定されている
3 営業時間外の応答が設定されている 時間帯と文面が設定済み。文面に受付時間・次の返信時刻・急ぐ場合の手段が入っている
4 返信の担当と当番が決まっている 担当者名と時間帯が書いてある
5 未返信を見つける仕組みがある 未対応のまま24時間を超えたものが分かる
6 対応中の人が配信の除外に入る 除外条件に含まれている
7 重要なやり取りが業務側に残る 用件・約束・結果が顧客管理に入る(手作業の場合は手順と担当が書いてある)
8 個人情報をトークで受け取る範囲を決めた 受け取ってよい情報・よくない情報が書いてある

合格ライン=8項目中6つ以上。必須項目は 1・5 の2つです。

  • 1が×だと、判断がその場の担当者の気分で変わります。 同じ質問に、人によって違う答えが返ります
  • 5が×だと、返し忘れが必ず起きます。 そして返し忘れは、こちらからは永久に見えません。相手は黙って離れるだけです
  • 2が×でも開いて構いません(開いてから数えて作ればよい)。ただし3が×のまま開くのは避けてください。時間外に送った人が、返事の来ない画面を見続けることになります

読んでも決めきれないところは、一緒に決めます

30分の相談は無料です。タグと導線の設計から引き受けます。引き受けられる範囲はLINE公式アカウントの設計・運用にまとめています。

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更新日 2018年10月20日