kintoneの一覧で「条件に合う行だけ色を変える」設定は、標準機能にはありません。標準でできるのは絞り込みで一覧を分けるところまでです。色を付けるには、公式APIの kintone.app.getFieldElements() を使ったJavaScriptを書くか、設定だけで済む無料プラグイン条件書式を使います。
標準機能でできること・できないこと
| やりたいこと | 標準機能 |
|---|---|
| 条件に合うレコードだけを並べる | できる(一覧の絞り込み条件) |
| 条件で並べ替える | できる(一覧のソート) |
| 条件で文字色・背景色を変える | できない |
| ドロップダウンの選択肢ごとに色を決める | できない |
| 数値が一定を超えたら目立たせる | できない |
| グラフの色を変える | できる(グラフの設定。一覧の色とは別) |
kintoneの一覧の設定画面には、そもそも色に関する項目がありません。ここを探して時間を使う方が多いので、先に書いておきます。
まず絞り込みで代替する
色が付けられなくても、一覧を分けるだけでかなり効きます。
- アプリの設定 →「一覧」→「+ 一覧を追加」
- 表示形式は「表形式」、表示する項目を選ぶ
- 絞り込み条件に「ステータス」=「遅延」を指定
- 「要対応」という名前で保存 →「アプリを更新」
これで、その一覧を開けば対応すべきレコードだけが並びます。プラグインを入れる前に、まずこれをやってください。
ただし弱点があります。
- 一覧を切り替えないと気づけない。 普段見ている一覧では、遅延も通常も同じ見た目です
- 全体の中での位置が分からない。 「30件のうち3件が遅延」という比率が見えません
- 複数の状態を同時に見られない。 「遅延」「保留」「高額」を一度に把握したい場合、一覧を3つ切り替えることになります
色分けは、この3つを埋めるために使います。逆に言えば、1つの状態だけを追いかける業務なら、絞り込みで十分です。
JavaScriptで一覧のセルに色を付ける
kintoneには、一覧の特定のフィールドのセルの要素をまとめて取得する公式API kintone.app.getFieldElements() があります。画面のHTMLを自前でたどらずに済むので、画面の作りが変わっても壊れにくいのが利点です。
「ステータスが『遅延』の行を、うすい赤にする」最小の例です。
(() => {
'use strict';
const COND = 'ステータス'; // 条件に使う項目
const HIT = '遅延';
// 行全体を塗るので、その一覧に出している項目を並べる
const ROW_FIELDS = ['案件名', 'ステータス', '担当者', '納期'];
const BG = '#FFD9D9';
kintone.events.on('app.record.index.show', (event) => {
// 一覧に出ていない項目は null が返るので除く
const columns = ROW_FIELDS
.map((code) => kintone.app.getFieldElements(code))
.filter((cells) => cells !== null);
event.records.forEach((record, i) => {
const on = record[COND] && record[COND].value === HIT;
columns.forEach((cells) => {
cells[i].style.backgroundColor = on ? BG : '';
});
});
return event;
});
})();
20行ほどです。app.record.index.show は一覧を開いたとき・ページを送ったとき・並べ替えたときに毎回発火し、event.records の並び順と getFieldElements() が返すセルの並び順は一致します。だから i で突き合わせられます。
条件に合わないときに '' を入れて色を消しているのがポイントです。ページを送ったときに前の行の色が残らないようにするための1行で、これを省くと表示がずれます。
詳細画面で1つの項目に色を付ける場合は、kintone.app.record.getFieldElement('金額') で要素を取ります。イベントは app.record.detail.show です。
JavaScriptカスタマイズの基本は13章 JavaScript・API・外部連携にまとめています。
この書き方で足りなくなるところ
| 足りないところ | 何が必要になるか |
|---|---|
| 金額が100万円より大きいなら、のような大小の比較 | record['金額'].value は文字列。Number() で数値にしてから比べる(しないと「1000」<「900」になる) |
| 日付の大小の比較 | YYYY-MM-DD は文字列のままでも比較できるが、日時は表記が違うので変換が必要 |
| 条件を「かつ」「または」で組み合わせる | 条件の判定を配列にして回す作りに変更 |
| ルールが5本、10本に増える | 条件のたびにコードを編集。現場では変更できなくなる |
| 一覧に出している項目が変わった | ROW_FIELDS の書き換えが必要 |
| サブテーブルの中のセル | 公式APIでは要素を取得できない |
| カレンダー表示・カスタマイズビュー | getFieldElements() は表形式の一覧でしか使えない |
一番大きいのは、ルールが増えたときの管理です。 「金額が大きい案件も黄色にしたい」と言われるたびに開発者に依頼が必要になると、色分けは更新されなくなります。
設定だけで済ませる:条件書式(無料)
COTSUBUが公開している無料プラグイン条件書式は、上の内容を文章の形の設定画面で作れます。
もし [ステータス] が [遅延] と等しい なら、[行全体] の背景を [うすい赤] にする
- 条件は「等しい/等しくない/含む/より大きい/以上/より小さい/以下/空欄/空欄でない」
- 複数の条件を「かつ/または」で組み合わせられる
- 数値と日付は大小で比べる(1000と900を文字の並びで比べない)
- 色は候補から選ぶ方式。読みにくい組み合わせを選ぶと設定画面が注意してくれる
- 色を付ける場所は「行全体」か「選んだ項目だけ」
- 一覧画面と詳細画面の両方に対応
無料・会員登録不要・外部と通信しません。 kintoneの公式APIだけで動くので、自治体のLGWAN環境や、閉じた社内ネットワークでも使えます。ライセンスの条文はプラグインのライセンスに掲載しています。
設定はこの6ステップです。
- アプリの設定 →「プラグイン」→「条件書式」の歯車アイコン
- 「色を付ける画面」で、一覧画面・詳細画面のどちらに色を付けるかを選ぶ
- 「+ ルールを追加」で条件を作る(「+ 条件を追加」で増やし、「すべてに当てはまるとき/どれか1つでも当てはまるとき」を選ぶ)
- 文字色・背景色を選ぶ。選ぶとすぐ下に見本が出る
- 「色を付ける場所」で「行全体」か「選んだ項目だけ」を選ぶ
- 「保存する」→「アプリを更新」
知っておくべき動きのルール
- ルールは上から順に見て、先に当てはまったものが採用されます。並べ替えは「▲」「▼」
- 「行全体」を塗ったうえから「項目」を塗るので、項目の指定が前に出ます
- 一覧で行全体を塗ると、その一覧に出ている項目の列に色が付きます。左端のチェックボックスや操作ボタンの列には付きません
- 色が付くだけで、レコードの値は変わりません
- 新規作成・編集の画面、印刷画面には色を付けません
- サブテーブルの中の列は、条件にも対象にも使えません
- カレンダー表示やカスタマイズビューでは色が付きません
色の使い方は、決めてから付ける
色分けは、入れた直後がいちばん効いて、半年後に効かなくなります。原因はほぼ「色が増えたこと」です。
色は3つまでにする
赤・黄・通常(色なし)の3段階で足ります。4色目を足したくなったら、それは一覧を分けるべき別の軸です。青も緑も紫も付いた一覧は、どれも目立たないのと同じになります。
赤は「いま手を打つもの」だけに使う
赤が10件並ぶ一覧は、赤を見なくなります。赤はその日のうちに動くものに限定し、「気にしておくもの」は黄色にしてください。赤の件数が常時二桁になったら、条件がゆるすぎます。
背景はうすく、文字は黒のまま
いちばん失敗しないのは「背景=うすい色/文字色=そのまま」です。黒い文字のままなので必ず読めます。こい背景を選ぶときは、文字色を白にしてください。条件書式の設定画面は、読みにくい組み合わせを選ぶと注意を出します(保存はできますが、直すことをおすすめします)。
色だけに意味を持たせない
色が見分けにくい方には、赤も黄色も同じに見えることがあります。大事な状態は、色に加えて項目の値でも分かるようにしてください。 「ステータス」列が一覧に出ていれば、色が伝わらなくても文字で読めます。色は「気づかせる」ためのもので、「伝える」のは値の役目です。
そして、何色が何を意味するかをアプリの説明に書いてください。 アプリの説明欄に「赤=期限超過/黄=3日以内」と1行書いておくと、後から入った人が迷いません。引き継がれない色のルールは、そのうち誰も触れなくなります。
期限の色分けとの住み分け
同じ「一覧の色分け」でも、今日を基準にするかどうかで使う道具が変わります。
| 色を付けたい条件 | 使うもの |
|---|---|
| ステータスが「遅延」 | 条件書式 |
| 金額が100万円より大きい | 条件書式 |
| 担当者が空欄 | 条件書式 |
| 納期が2026-10-01より前(固定の日付) | 条件書式 |
| 期限が今日より前(期限切れ) | 期限・残日数 |
| 期限まであと3日以内 | 期限・残日数 |
| 土日・祝日を除いた営業日での残り | 期限・残日数 |
条件書式の無料版は、条件に入れる日付が固定の値です。「今日」「今月末」のような動く日付は扱いません。一方で期限・残日数は、一覧を開いた日の日付で判定し直すため、保存してから日がたってもずれません。期限の色分けの詳細はkintoneで期限・残日数を表示して色を付ける方法にまとめています。
両方入れても問題ありません。 期限の色は期限・残日数に任せ、それ以外の条件を条件書式で作る、という分け方が素直です。
色で見せるか、項目を隠すか
見せたうえで目立たせるのが色分け、そもそも見せないのが表示の出し分けです。入力画面をすっきりさせたい場合はkintoneで条件によって項目を出し分ける方法をご覧ください。なお、一覧の列が多すぎて色を付けても目立たない場合は、色を足す前に一覧の列を減らすのが先です(→5章 アプリ設計の基本)。
まとめ
- kintoneの一覧に、条件で色を変える標準設定はない
- まずは絞り込みで一覧を分ける。1つの状態を追うだけならこれで足りる
- 色を付けるなら公式APIの
kintone.app.getFieldElements()を使う。一覧を開くたびに判定し直される - JavaScriptは書けるが、条件が増えると現場で変更できなくなる
- 設定だけで済ませるなら無料の条件書式。数値と日付は大小で比べる
- 色は3つまで。赤は「いま手を打つもの」だけ。背景はうすく、文字は黒のまま
- 色だけに意味を持たせない。状態は項目の値でも分かるようにする
- 今日を基準にした期限の色分けは期限・残日数の担当
→ kintone導入支援の詳細 → kintone無料プラグイン一覧 → kintoneで期限・残日数を表示して色を付ける方法
よくある質問
kintoneの標準機能で、条件に合う行の色を変えられますか
変えられません。kintoneの一覧には、条件によって文字色や背景色を変える設定そのものがありません。標準でできるのは、絞り込み条件で「遅延だけの一覧」を作って分けることまでです。色を付けるにはJavaScriptか、条件書式プラグインを使います。
ドロップダウンの選択肢ごとに色を付けられますか
標準ではできません。選択肢の文字列に色を設定する機能がないためです。「ステータスが『遅延』なら赤」のように、値を条件にして色を付ける形で実現します。
サブテーブル(テーブル)の中のセルにも色を付けられますか
条件書式プラグインでは付けられません。kintoneの公式APIでテーブルの中のセルの要素を取得できないためです。公式APIの範囲だけで作る方針のため、画面の内部構造を無理にたどることはしていません。
「納期が今日より前なら赤」のように、動く日付で色を付けられますか
無料版の条件書式では、条件に入れる日付は固定の値です。今日を基準にした色分けは、期限・残日数プラグインが担当します。期限の色分けはそちらを、金額やステータスなど値そのものの色分けは条件書式を使ってください。
条件書式プラグインは無料ですか
無料です。会員登録も不要で、MITライセンスのため商用でも使えます。外部のサーバーと通信しないので、自治体のLGWAN環境や閉じた社内ネットワークでも動きます。


