地方在住でもキャリアを諦めない時代へ
「東京じゃないとまともな仕事がない」。この常識は、コロナ禍を契機に大きく崩れました。リモートワークの普及により、地方に住みながら都市部の企業と仕事をすることが当たり前になりつつあります。
そしてもうひとつの変化が、複業(パラレルキャリア)の広がりです。地方×複業×リモートの組み合わせは、都市部では実現できない独自のキャリアを築ける可能性を秘めています。
地方×複業×リモートが生み出す3つの価値
1. 生活コストの圧倒的な低さ
東京都心で1LDKのマンションを借りると月10〜15万円ですが、地方都市なら同等以上の広さの物件が3〜5万円で見つかります。固定費を下げることで、収入のすべてを最大化しなくても充実した生活が送れます。
これは複業との相性が抜群です。「高単価の案件を必死に取り続ける」のではなく、やりたい仕事・成長できる仕事を選ぶ余裕が生まれるからです。
2. 地域課題という「ブルーオーシャン」
都市部ではレッドオーシャンのITスキルも、地方に目を向けると活躍できるフィールドが無数にあります。DX推進が遅れている地方企業や自治体は、ITスキルを持つ人材を切実に求めています。
3. ワークライフバランスの実現
通勤時間ゼロ、自然豊かな環境、地域コミュニティとのつながり。都市部では得にくいこれらの要素が、地方在住のリモートワーカーには手に入ります。
地方で複業を始めるための実践ガイド
複業案件の見つけ方:地方在住者向け
地方在住で複業案件を見つけるには、大きく分けてリモート完結型の案件と地域密着型の案件の2つのアプローチがあります。
リモート完結型の案件を探す方法
- 複業マッチングサービス(リモートOKで絞り込み検索)
- X(旧Twitter)やLinkedInでの情報発信・人脈構築
- オンラインの技術コミュニティやビジネスコミュニティへの参加
- 以前の職場の同僚・上司からの紹介
地域密着型の案件を探す方法
- 地域の商工会議所やビジネス支援センターへの相談
- 自治体の「関係人口」「地域おこし協力隊」関連の募集
- 地元企業へのDX支援の直接提案
- 地域のコワーキングスペースでの人脈づくり
リモート×複業で成功するためのインフラ整備
地方でリモートの複業を行ううえで、以下のインフラは必須です。
- 高速インターネット回線: 光回線が理想。山間部ではStarlinkも選択肢に
- ワークスペース: 自宅の専用デスクか、地元のコワーキングスペース
- ビデオ会議環境: Webカメラ、マイク、照明。背景にも配慮
- セキュリティ対策: VPN、パスワードマネージャー、二要素認証の徹底
時差を活かした働き方
海外のクライアントと仕事をする場合、日本の地方在住は時差の面で有利に働くことがあります。例えば、欧州のクライアントとの仕事なら、日本の午後が先方の朝に当たるため、午前中を国内案件に充て、午後を海外案件に充てるという時間配分が可能です。
地方×複業の成功事例:自治体DXの現場から
地方自治体が抱えるDXの課題
多くの地方自治体は、以下のようなDXの課題を抱えています。
- 紙ベースの業務プロセスが残っている
- IT人材が庁内にいない、もしくは極めて少ない
- 大手SIerへの外注はコストが高く、柔軟性に欠ける
- 住民サービスのデジタル化が遅れている
これらの課題に対し、複業人材がリモートで支援するというモデルが各地で成果を上げ始めています。
COTSUBUの自治体DX支援
株式会社COTSUBUは、島根県海士町や西ノ島町、三重県名張市などで自治体DX支援の実績があります。COTSUBUのメンバーは東京をはじめとする各地に在住しながら、リモートで自治体の業務改善に携わっています。
COTSUBUの複業モデルでは、メンバーに最低限の固定給(企業版ベーシックインカム)を支給しつつ、他社の案件も自由に受けられる仕組みを採用しています。このモデルにより、自治体案件の報酬が市場価格より低い場合でも、社会的意義の高い仕事に取り組めるという利点があります。
自治体DXに複業で関わるメリットは大きく3つあります。
- 社会貢献: 自分のスキルで地域課題の解決に直接貢献できる
- 希少な経験: 行政の業務プロセスを理解する機会は、民間だけでは得られない
- 信頼と実績: 自治体との取引実績は、他の案件獲得時にも大きなアドバンテージになる
地方移住×複業を検討する際のチェックリスト
地方移住と複業の組み合わせを検討している方は、以下の項目を事前にチェックしてください。
- 現在の複業先・クライアントがフルリモートに対応しているか
- 移住先のインターネット環境(光回線の有無、速度)
- 移住先にコワーキングスペースやカフェがあるか
- 医療・教育・買い物などの生活インフラ
- 自治体の移住支援制度(補助金、住居支援など)
- 月に何回、都市部への出張が必要になりそうか
- 移住先の地域コミュニティとの接点があるか
- パートナーや家族の理解と合意が得られているか
「お試し移住」から始める
いきなり完全移住するのはリスクが大きいため、以下のステップを踏むことをおすすめします。
- ワーケーション(1-2週間): 候補地で実際にリモートワークを体験する
- 二拠点生活(3-6ヶ月): 月の半分を地方、半分を都市部で過ごす
- 本格移住: 生活基盤を地方に完全に移す
各ステップで「仕事に支障はないか」「生活は快適か」「地域との相性は良いか」を確認しながら進めることで、失敗のリスクを最小化できます。
地方×複業を支える企業文化
地方在住の複業メンバーが活躍するためには、所属する組織の文化も重要です。COTSUBUのValue「一箇所に留まるな」は、物理的な場所にも当てはまります。東京に留まる必要はない、地方に留まる必要もない。自分にとって最適な場所で、最高の仕事をする。
また、「速さと行動量は全てを凌駕する」というValueは、地方在住の複業者にとって特に重要です。物理的な距離を言い訳にせず、オンラインでのレスポンスの速さと行動量で信頼を獲得していくことが、地方×複業×リモートを成功させる鍵になります。
まとめ:地方×複業×リモートは「制約」ではなく「戦略」
地方在住をキャリアの「ハンディキャップ」と捉える時代は終わりました。むしろ、生活コストの低さ、地域課題というブルーオーシャン、ワークライフバランスという地方ならではの強みを活かし、複業とリモートワークを組み合わせることで、都市部では実現できない豊かなキャリアを築くことができます。
大切なのは「まずやります、と言える人」であること。完璧な環境が整うのを待つのではなく、まずはワーケーションから、まずはひとつの複業案件から始めてみてください。